夢のかよひ路 51
「さすがにのぼせてきました。でも、もう部屋までは我慢できません。」向き合う様に立ったわたくしをくるりと後にむかせると、望月さんはわたくしの手を浴槽の縁に付く様にさせたのです。
萎えて落ちそうになる脚を、彼の腕が引き立てます。わたくしの長い髪は、白い背に流れる墨蹟のように貼り付いておりました。
「・・っく・・」
「ああぁぁっ・・・」
ちゃぷ・ちゃ・・ちゃぷ・ちゃ・・
立ったまま突き出したわたくしのまぁるい腰を開いて・・・望月さんは後ろから突き入れたのです。
そして、そのままなんの躊躇もなく抽送を始めたのです。
「いい ですよ。ああ、いい祥子さん。」
「はぁぁん・・いいのぉぉ・・・ゆう・やぁぁ・・いいのぉぉ・・」
わたくしの声はあられもない淫楽に彩られておりました。露天風呂の切り取られた窓の闇がその声を全て吸い取って・・・明け方に向かっているはずなのに益々その色を濃くしてゆくようです。
パン・パン・パン・パン・パン・パン・・・
ちゃぷ・ちゃ・・ちゃ・じゃぁ・・じゃぁ・じゃぁ・・・
あん・あぁ・・ぁあは・ぁぁん・・あ・あっぁ・・ぃぃ・・・
温泉に浸かり続けていたわたくしの身体は、望月さんの前に突き出した大きなヒップさえ桜色に染まっておりました。
白く薄い皮膚には、いまは赤い縄ではなく望月さんの大きな手指が痛いほどに食い込んでくるのです。
温泉の湯に濡れた肌に望月さんの腰が茂みを擦り付けるほどにぶつけるリズミカルな音と、浴槽から溢れはじめた温泉の音と・・・わたくしの喘ぎ声が淫らに絡みあって・・・この半分開かれた空間をいっぱいに満たしておりました。
「いい、バックの祥子さんは うっ・・なんていいんだ。」
「はぁうっ・・」
望月さんの両手が、前屈みになり立ち上がった先端だけを湯にねぶらせているような・・・わたくしのGカップの乳房を掬い取ります。
そして、きつく掴んだその腕をぐいとご自身に引き寄せたのです。
「見て、祥子さん。見るんだ」
わたくしは何を言われているのか・・・最初は解らなかったのです。ぐぅんと太さを増した望月さんの塊に、わたくしは理性まで蕩けさせ、花びらからは温泉ではない・・・ぬめる愛液を太ももへと・・・はしたなくいく筋もしたたらせていたのですから。
「あぅっ・・・」
両の乳首を同時に摘まみ上げられて、わたくしははじめて望月さんのおっしゃることがわかったのです。
「やぁぁ・・・ゆぅやぁぁ・・・」
わたくしは思わず顔を背けてしまいました。
見つめた正面の壁には、洗い場用にと浴槽の高さから上を80cmほどの高さのガラスが覆っていたのです。
そこには、望月さんにバックから犯されながら太ももの中程から上を浴室の月光のような明かりに晒し・・・Gカップの乳房を指から溢れるばかりに握りしめられた淫麗な女の姿が浮かんでいたのです。
「見るんです!祥子さん。こうしていると、祥子さんを もっと感じさせたくなる。もっと 乱して 何もかも忘れさせるくらいに 逝かせたくなる。」
望月さんは、わたくしに言葉責めをしながらも抽送のスピードは全く変えないのです。身体を密着させている分だけ・・・より深く・・わたくしは抉られてしまいました。
あは・ぁぁん・・あ・あっぁ・・・
「あの方達が、いつもご一緒に祥子さんを愛そうとする気持ちがわかるような気がします。あの3人の方がいらっしゃれば今の祥子さんのここも・・・」
望月さんの指で左の乳首が捻りつぶされます。
ぃぃ・・いぃのぉぉぉ・・・ゆぅやぁぁ・・・
「こっちも・・・」
今度は右の乳首を引き延ばすのです。
「ここも・・・」
乳房から離した右手を茂みの中・・・真珠に向かって伸ばすのです。
い・ぃ・・やぁぁぁぁ・・・
夢のかよひ路 52
「あの方達がここに一緒にいればいまの祥子さんをもっと感じさせられるんです。もっと、感じてほしい。でも・・・」わたくしの白い背に添わされた望月さんの胸板がすっと離れてゆきます。
「もっと僕で逝ってください。」
快楽の芽から手を離し、わたくしの手首を掴むと手綱のように後ろに引いて、塊の抽送を早めたのです。
「いまは、僕だけの祥子さんだ。見て!祥子さん 鏡を見て!!」
あぁぁ・・・いやぁぁ・・いっちゃぅぅぅ
わたくしは顔を上げ・・・Gカップの乳房を望月さんの腰の動きと同じだけ揺らし、快楽に理性を白く曇らせたはしたない表情を・・・望月さんだけに犯されている姿を・・・羞辱とともに見つめたのです。
「いま、愛してるのは僕だけだ。逝くんです!逝って!!逝け! 祥子さん。」
「いっちゃうぅぅ・・いいのぉぉ・・ゆうやぁぁ・・いくぅぅぅ」
視覚が容赦なく与える羞恥は、わたくしを一気に追い上げたのです。
「逝け!」
「いくっ・・ぅぅ・・」
「うっ・・」
望月さんはわたくしに深く・深く・・・彼の分身を押し込むと、真っ白い精液を子宮に直接噴きつけたのです。
「ああ・・いい、祥子さんたまらない。」
「はぁ・・ん・・」
吐出した後も塊を抜き出すことなく、望月さんは後ろからわたくしを抱きしめていてくださったのです。彼はわたくしの蜜壷の中で、まだ力を失うことなくひくひくと蠢いておりました。
「このまま暖まりますか?」
こくん・・・ とわたくしは力なく頷きました。
石塚さんに招待された客船に乗ってからいままで、数え切れないほどに絶頂に押し上げられ、快楽の波に漂い続けていたのです。
今度こそ、ぐったりと脚の力も抜け落ちてしまったのです。
一時も離れたくないといわんばかりに望月さんの腕はわたくしの腰に回されています。
そのままゆっくり膝を折って・・・二人でまた浴槽に腰を下ろしました。
「ぁっ・・・」
「外れてしまいましたね。」
今度はそれでも満足そうに、望月さんはわたくしの耳朶を甘噛みしたのです。
「ゃぁん・・・」
甘くやさしい耳朶嬲りにわたくしが声を上げると、ちゅっと今度は唇を重ねるだけのキスをしてくださいました。
「身体を洗って差し上げます。そして、少し休みましょう。今夜はここにふたりきりです。」
望月さんは、抱えるようにしてわたくしを浴槽から出したのです。
長く温泉に浸かり続けた身体は、指先が幾重にもふやけておりました。
「ここは、なんなの?」
先ほどまで犯された姿を映していた鏡の前で、わたくしの身体を泡立てたボディソープで洗う望月さんは、問わず語りにわたくしの疑問に答えてくれたのです。
髪を洗い、望月さんが身体を清め終えることには・・・ただの真っ黒な闇が切り取られただけだった窓には、薄明かりの中に穏やかな太平洋の美しい水平線が浮かんでいました。
真っ白なシーツと波の音に包まれて、望月さんの腕の中でわたくしは目覚めました。
昨晩入浴を済ませた後、寝返りさえ打つことなくぐっすりと眠り込んでいたようでした。
平屋の純日本家屋でした。
それでもタイマーセットされていたのでしょうか、閉め切った部屋でもエアコンが効き、夏掛けから出た浴衣の肩先が少し寒い気がいたしました。
夢のかよひ路 53
ここは、望月さんのお父様の持ちものなのだそうです。京都で育った彼も、子供のころから何度も来ていた場所だそうです。<下田の寮>と、望月さんは古風に呼んでいました。
障子から差し込む光は、眠り込んでからまださほど時間が経っていないことを示しておりました。
わたくしは、そっと頭を望月さんの腕から外しました。
腕枕は、わたくしがとても好きな・・・男性にしていただく行為の1つです。
でも、現実には人間の頭はとても重いのです。長く腕枕をしていただくのはとても疲れて腕の負担が大きいものです。
それでも望月さんは、以前箱根の宿でわたくしが甘える様におねだりをしてから・・・ずっと忘れずにわたくしが眠りに入るまでの時間は、必ずそうしてくださっていました。
「腕が痺れます。」
と頭を外そうとしても、そんなのは構わないと昨晩も同じ姿勢で、抱きしめて眠ってくださったのです。
「眼が覚めましたか?」
望月さんがわたくしを見つめてそう口にしました。
「おはようございます。」
起き出して居住まいを正してそう言おうとしたわたくしを、望月さんは布団の中に押しとどめたのです。
「おはよう・・ございま・す・・・あん・」
望月さんの唇は、すかさず早朝のキスを奪うのです。
それも・・・目覚めるための爽やかなキスではなくて・・・欲望の・・にじむ・・・キス。
「ん・ふ・・っく・・ん・・」
ちゅぱ・・ちゅく・・ 窓の外から聞こえてくる波の音よりも鮮やかに、二人の唇と舌が奏でる水音が望月さんの腕と手で両耳を塞がれたわたくしの頭の中に響くのです。
「こんな、なんです。」
望月さんは、真新しいダブルサイズのお布団の中で横向きに抱きしめられて身体に敷かれたようになっていたわたくしの右手を、彼の寝間着の腰に導きます。
合わせた浴衣の前は・・堅い望月さんの塊が熱く昂っていたのです。
「きのう・・あんなに・し・た・・のに・・」
望月さんの左手は、緩くリボンで縛った黒髪を除けてわたくしの首筋を・・・感じやすい首筋を愛撫しはじめるのです。自由のきく右手は、わたくしの手が彼の塊から離れないように抱きしめてそのまま背筋を・・・ゆっくりと上下に中指の指先だけでなぞるのです。
盆の窪から肩甲骨の間を通って腰が反る尾てい骨の少し上まで・・・。そしてその逆の道筋をゆっくり・・・。
ほんの数時間前、檜で作られた半露天の温泉を出た時、わたくしに用意されていたのは柔らかな寝間着1枚でした。
それを望月さんはやさしくゆったりと着せて、伊達締め1本で留めてくださったのです。
「そうです。祥子さんといると何度でも牡になれるんです。」
彼の着付けの腕は確かでした。寝返りを打ちながら数時間を布団の中で過ごしても、寝乱れたりはしていなかったのですから。
「はぁん・・だめ・・・」
ただ、肌に柔らかく添うその布地は・・・たった1枚隔てただけでなにも付けていないわたくしの背を望月さんの右手に簡単に与えてしまったのですから。
「まだ、何もしてません。」
何も・・・?
望月さんの右手はわたくしの背をいまでは背筋だけでなく、時には脇腹近くまで縦横無尽に這っていました。
それもゆっくり・・・微かに中指の先だけを触れさせて。
左手は、器用に髪をまとめていたリボンを解き、今はわたくしの後頭部をやさしく揉みほぐしていたのです。
夢のかよひ路 54
「あ・ん・・ぁっ・・・」「凝っていますね。ずっとお仕事だったんですか?」
「ん・・・そぅ・ぁ・・」
首の付け根を・・・耳の後ろを・・望月さんの指が押してゆきます。
PCでのグラフィックデザインが多いわたくしのお仕事は、眼を酷使するのです。いつも酷く凝らせてしまうその場所を、不思議にピンポイントで望月さんの指が探り当てるのです。
「ぁ・はぁ・・・」
背中に優しく触れる右手と違い、左手だけは時折強く指圧のようにわたくしのつぼを揉み込むのです。その度にわたくしは、マッサージを受けているというにはあまりに相応しくない声音を上げてしまうのです。
背筋を這う指は、あくまでソフトなままでした。
それでも、ずっと同じリズムで繰り返される刺激にわたくしははしたなく腰をくねらせ、望月さんの塊に添わせられた指を・・・淫らに震わしてしまうのです。
「マッサージなどにも行かれるんですか?」
「ぇ・えぇ・・んぁ・・」
「祥子さんなら当然決まった先生が、付いているんでしょうね。」
「あっ・・ん・・そう・なぁのぉ・・ぉぁぁぁ」
望月さんの左の親指が盆の窪を強く押し上げます。
彼の指が動くのと同じに駆け下りてゆく淫楽にも似た刺激が、わたくしの身体の芯を濡らすのです。
「なんておっしゃる先生なんですか?」
「朴・・せん・せ・い・・」
「女性の先生ですか?」
「ち・がぅぅ・・のぉ・・だん・せ・い・・のせんせぃぃなぁの・ぉぉ・・・」
「そうですか、他の先生には治療させないんですか?」
少しだけ背中を動きまわる指の圧力が・・・強くなります。肩甲骨の内側を・・治療でも響くその場所を望月さんは的確に・・責めるのです。
「んっ・・ぼく・せんせい・・だ・けぇぇ・・」
わたくしはぴくん・・と身体を震わせてしまいました。
「治療の時も、こんな悩ましい声を上げ続けているんですか?」
「あん・・ちが・うぅ・・わ・はぁん・・・」
腰のなだらかな傾斜の麓まで降りる指は、それでもその先へは進まないのです。あと・・少し・・もっと・・・あん、だめ・・そんなこと思っちゃ。
「信じられませんね。こんな風にしか触れていないのに、そんな艶めいた声を上げる祥子さんが、本職の鍼灸師の先生の手に掛かって感じないでいられるはずはないですからね。」
頭と首を揉みほぐしていた左手は、わたくしの耳の・・・貝殻のようならせんを的確に刺激するのです。
「やぁ・・はぁぁん・・・」
「何度目の治療で担当に決まったんですか?」
耳の中までも望月さんの小指が触れてゆきます。
まるで・・・ゆうべお風呂でキスされた時のように。
「いっ・・かぃ・・め・ぇぇ・・・」
「やっぱり、そうでしたか。先生の方から申し出て来たんでしょう。」 あぁ・・なんで望月さんはそんなことをご存知なのかしら。
「どうなんです、祥子さん?」
「そぅ・ですぅぅ・・」
「治療されて、薄い診察着の下の乳首をこんな風に立てて感じてるんですね。」
「やぁぁん・・ちがぅのぉ・・」
「祥子さんの身体に触れて、そんな声を聞かされて、どんどんフェロモンを濃く漂わせて・・・きっとその先生もいまの僕のようになっているんですよ。」 くぃ・・ ずっと動かなかった望月さんの腰が・・・わたくしの手のひらに塊を押し付ける様に動きました。
夢のかよひ路 55
「あぁぁぁっ・・・」手の中で跳ねるような望月さんの塊の熱と、強引に引き寄せられた口づけは強烈でした。
舌の根元から全て望月さんに吸い取られそうなほどに・・・きつくわたくしを貪りながら、やさしかった右の手は・・・先ほどまで悩ましくくねらせてしまっていた腰の白い丘をひとつ・・・きつく掴み上げたのです。
「んぁあ・・ゆぅゃぁ・・・」
焦らされて疼きを溜め込まれたまぁるい腰肉を、わたくしは、はしたなく彼の手に押し付けていったのです。
望月さんの手で目覚めたばかりの無垢な身体に、昨夜の半露天風呂での絶頂の火照りを・・・ありありと思い出させられていたのです。
しっかりと閉じ合わせた太ももの間には、すでにねっとりとしたぬめりに覆われていたのですから・・・。
「担当の先生の腕はいいんですか?」
「・・ん・ぇえ・・」
質問をしながらも、望月さんの右手の指は淫らな探索を止めませんでした。
背筋を滑っていた指は、いまは白い丘の狭間を行き来しておりました。
「わかりました。それではこれからも担当の先生以外にはこの身体を・・」
「ぁうっ・・」
望月さんの中指が寝間着越しに姫菊を探り当てて、強く押し当てたのです。
そこも、すでにわたくしの蜜でうっすらと濡れているはずです。
寝間着を汚しはしないかと・・・そんなことさえ、わたくしの頭をよぎったのです。
「触れさせないでください。いいですね。」
「はぁ・・ぃぃぃ」
昨夜ずっと赤い縄の結び目がきつく食い込んでいた姫菊は、柔らかな布の感触を敏感に感じ取っておりました。望月さんの主の美貴さんにはアナルコイタスの趣味があったのです。
でも・・・彼にはないはずです。これ以上のことを望月さんには、いまだけは求められたくなかったのです。
「祥子さんの声は響くんです。奥まったホテルのメインダイニングであの方達に嬲られている嬌声さえ、お帰りが遅いと心配して上がっていった僕の耳には聞こえたのですから。」
えっ・・・年末のメインダイニングの行為さえ・・彼に知られていたの?
わたくしは身体を一瞬堅くしてしまいました。
「マッサージルームの薄いカーテン1枚では、きっと隣の先生やそこで治療を受けている男性患者にも聞かれているでしょう。このフェロモンで噎せ返るような声を。」
「やぁぁ・・・ん・・・」
彼の指はまたつつっっっ・・・と背筋を上がって行ったのです。
先ほどまでのセクシュアルな愛撫を身構えていたわたくしは、再び襲った柔らかな刺激に思わず悩ましい声を上げてしまったのです。
「声は仕方がありません。でもこの身体をほかの男性には無闇に触れさせたりしないで下さい。おねがいです。」
望月さんの両腕は、わたくしをきつく抱きしめたのです。
「ん・・くぅ・・・」
そのまま重ねられたキスは、望月さんとの約束の口づけになりました。
わたくしはもう朴先生以外の男性の先生に・・・マッサージとはいえ・・・触れさせることはないでしょう。
朴先生が治療をお止めにならないかぎり。
彼の若い嫉妬に、わたくしは愛おしさを覚えずにはいられませんでした。
キスの間も望月さんの塊は、ずっとひくひくと熱く堅く・・・脈打っておりました。そして、寝間着の合わせた前の向こうにあるはずなのに、わたくしの指先にはもうにじんだぬめる雫がふれたのです。
なのに彼の手は、相変わらずわたくしの背面しか愛撫してくれないのです。
感じやすく柔らかい腰肉も、あの瞬間強く揉みしだかれただけでした。
「ん・・・あ・・は・ぁん・・・」
首を背中を頭を・・・優しい指が這い回るのです。
ただ・・・触れる行為は、わたくしに信じられないほどの疼きを溜め込ませていたのです。昨夜、あれほど上り詰めさせられ続けたのにもかかわらず・・・わたくしはもう、この優しい愛撫に耐えられなくなっていたのです。
「おねが・い・・ゆぅや・・」
自分自身の声が欲情に掠れてしまうことさえ、恥ずかしくて。でも・・もう・・・。
「し・て・・・」