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初雪 50

「ん・・ゃぁ・・・」
美貴さんに唇を塞がれたままで、それでも合わせられた唇の隙間から喘ぎを漏らしてしまうのです。
「何重にも重ねられたその衣の中に、男をそそる香りを包み込んでいるかと思うと、かえってそそられるんですよ」
いつの間にかソファーの端にいた石塚さんが、わたくしの脚元にいらしていました。
「車の中と同じアングルでも、また趣きが違いますね。豪華な着物に覆われた祥子さんの脚」
頬擦りするようにソファーに掛けた太ももを抱き・・絹の上から爪を立てる様につぅぅっと指を這わせるのです。
「んぁ・・ぁ・・やめて・・・」
「いまさらだめです。ここでの夜の過ごし方くらい、祥子さんは承知の上でしょう」
唇を啄むようなキスを繰り返しながら、美貴さんが念を押すのです。
「着替えて・・きます・・そしてベッドルームへ」
「ここには僕たちしかいないんです。だからどの部屋でしても同じです。それにこの着物姿の祥子さんがいいんだから着替えるなんてだめです。あぁこうして乳房に指を食い込ませるたびに、祥子さんの香りが漏れてくらくらしそうですよ」
「ぁっ・・はぁん・・」
ソファーで上体を捻られ・・・3人の男性に弄られているわたくしの右頬は暖炉の火で赤く色づいていました。
身八ツ口から差し入れた山崎さんの手は着物のなかの乳房を執拗に嬲り、アップにした髪から出ている耳たぶを美貴さんの唇が襲うのです。ぬめる舌が敏感で感じやすい耳朶を乳房のように吸い立てます。

「もう我慢できません。見せていただきますよ、祥子さん」
石塚さんの指が着物の裾を持ち上げるのです。
「ぃやぁ・・ゆるして・・・」
「だめです」
石塚さんをさえぎろうとしたわたくしの手を、美貴さんが掴み男性の虜力で押さえ込むのです。
「長襦袢は淡いブルーなんですね。ここにも椿が染め抜かれている・・・祥子さんにぴったりの優雅さですね」
「しないで・・・おねがい・・」
長襦袢を目にしただけで・・・許されるはずもないのです。石塚さんの手は繊細なアイスブルーの長襦袢の裾にも掛けられます。
「ああ この赤。湯文字だけ赤なんですね、綺麗ですよ。望月くんの趣味は相変わらずいいな」
湯文字一枚の上からきつく合わせた太ももを頬擦りします。先ほどやはり入浴をされたからなのでしょうか。石塚さんの頬には・・髭のざらつきはありませんでした。
「こんなに薫る。まだ絹に覆われているのに、男をそそる香りがしますよ。祥子さん」
「あぁ・っ・・」 
身体を起こすと一呼吸置いて湯文字をくつろげてしまいます。
「見ないで・・ください」
外側から白地に椿の友禅、淡水色の長襦袢、深紅の湯文字・・・そして足袋だけをつけたわたくしの揃えた脚が太ももから露になっていたのです。
「陶あんの器よりも華麗だね。この景色を愛でられるなら僕が用意した器など・・・ものの数ではありません」
石塚さんの声も強い欲情の色を帯びはじめます。
「あぁ もうフェロモンがこんなに甘く薫る」
むき出しの太ももに唇を這わせるのです。
「あぁん・・だめ・・」
柔らかな肌に走る滑る感触に、わたくしはぴくん・・と身を震わせてしまいます。

「僕たちもその景色を楽しみたいですね」
胸元を嬲り続けていた山崎さんの手が抜かれ・・・わたくしの背はソファーに押し付けられたのです。
「望月ちょっと来てくれ」
「はい」
わたくしの両手を掴んだままの美貴さんに呼ばれた望月さんが、ソファーの背側に回りました。
「祥子さんがおとなしくしているように、この手を押さえていてくれないか」
掴んでいた手を頭上に引き上げ、そのまま望月さんの手に委ねたのです。
「わかりました」
わたくしの手を頭の後で組んだようにまとめると、彼の大きな手でがっしりと拘束されてしまったのです。
「おとなしくしますから、放して・・おねがい」
望月さんなら聞いてくださるだろう・・そう思ったのです。
「いえ だめです。言うことを聞いてください」
彼の声は冷静で・・・他の方達と同じ様に牡の欲望を滲ませていたのです。
コメント
暑い皐月の始まり・・・
こんばんは。
なんでこんなに忙しいのか分かりません。
気がつくと一日が終わっていた・・・なんて毎日です。

そういうことで、ご無沙汰してしまいました。
今、46回から一気読みしました。

祥子さんの教養の深さに驚かされます。
和装、音楽、日本酒、お花、陶器そしてお茶。
さりげなく黒文字が出てきたのには、感心を通り越し、疎かに読むことはできないぞと、改めて居住まいを正しました。

結城さんがあっさりとホテルへ引き上げてしまっているのは、ちょっと肩透かしを食らわせられました。これで、終わりなのでしょうか。

唐突ですが、立ち縛りで着崩れ、おはしょりが解けて裾が引きずっている姿が好きです。危な絵の世界ですね。
おはしょりというのは、そのためにあるのでしょうか。いまひとつ存在意義がわかりません。

何とか時間を作って、毎日お邪魔できるようにします。

2006/05/01 20:23| URL | masterblue  [Edit]
masterblue様
お忙しい様ですね。
こうしてmasterblue様にコメントをいただくとほっといたします。
この数日・・・あまりセクシュアルなお話ではなかったので
退屈なさってしまわれたかなと心配しておりました。
ほんの少しのシチュエーションでも楽しんでいただけたら幸いです。

結城さんは、ごめんなさい。ご想像のような形では今回は参加いたしません。
彼女は彼女なりの苦しさを胸に秘めて、
いまごろ贅沢で豪華なホテルライフを1人寂しく送っていることでしょう。
このシーンに参加するには・・・彼女の存在ではだめなんですね。
もう少し格があがらないと・・・。
なんの魅力も感動も齎さない女性を辱めのためだけに利用するなんてことは、この方達はなさらないんですね。

おはしょりは・・・そもそも十二単のころはおひきずりで着ることが約束だった着物を、外出着として機能性を上げる為になされたものではないでしょうか。
ですから、本来はおはしょりを外した・・・masterblue様がお好きなスタイルが着物の最も美しい着こなし方なのかもしれません。
脚さばきが難しいですけれど・・・ね。

2006/05/02 00:00| URL | 祥子  [Edit]
そうそう戯れ話。先日馴染の鮨屋の旦那と息子の会話。
旦那”坊ちゃん。お燗人肌に!って言うけど、人肌って何処の温度かご存知?”
息子”脇の下?”
旦那”惜しい!、身八つから手を入れた、お乳の下のぬくいとこですよ!坊ちゃんには艶っぽかったな、わかるかな…?”
”寝ずの番”では艶話し満載でしたが、若い人達にも高尚な伝統文化だけでなく日本的な情緒もわかっていって貰いたいもの…。

2006/05/02 10:46| URL | るり  [Edit]
るり様
ふふふ 酔って四合瓶を胸元に抱きしめて
ほのかに暖まったお酒を
同席の男性にお注ぎしたことがありましたわ。
わたくしが人肌にあたためてさしあげます って・・・。
このお酒を、旨いなぁ と召し上がってくださった男性の度量に
「座布団1枚!!」ですわね♪

2006/05/02 12:24| URL | 祥子  [Edit]
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