オペラピンクのランジェリー/前夜
爽やかな一日の終わりの時間。皆様はいかがお過ごしでらっしゃいますか?本日、このブログの元になっております<msn/淑やかな彩>が、100、000アクセス目のお客様にお越しいただくことができました。
生まれてはじめてブログを立ち上げて8ヶ月弱。
皆様に支えられてとうとう記念すべき日を迎える事ができました。
「初雪」の連載中ではございますが、とても嬉しくて・・・ここに改めて御礼を申し上げます。
記念に、新たなカテゴリーでのお話をスタートさせていただこうと思います。
「肖像 Profile of Syouko」。
いままで、登場人物の方のプロフィールなどはご紹介いたしましたが、わたくし自身のことはあまりお話していなかったように思います。いままでこちらではご紹介していないわたくしの横顔を、閑話休題のように折りに触れお話させていただきたいと思います。
今回は、<オペラピンクのランジェリー/前夜>。
よろしければどうぞ・・・続きをお楽しみください。
恨み言も・・・もう言いたくない。
あんなに愛していたその想いまで汚れてしまいそうだったから。
このまま居たらおかしくなってしまいそう。
独りの夜を絶望で塗り固めてもあの方は戻っては来てくれないのだから。
5年前にそれまでお勤めをさせていただいていた会社から独立してフリーのデザイナーになりました。そしてその2年後・・・子供もいなかったわたくしは、プライベートの独立も決めました。すでにいくつかのクライアントと契約をしておりましたので、お仕事に都合の良い都心を新たな住まいに決めて、38歳になって生まれてはじめての気ままな一人暮らしをはじめたのです。
独りになるまでのわたくしは、ボーイッシュなショートカットのヘアスタイルがトレードマークでした。近視で乱視でしたのでコンタクトには馴染めずに中学生時代からメガネを愛用しておりました。
パンツスタイルをあまり好まない元の夫の影響でしょうか、わたくしのファッションはシンプルなタイトスカートを中心としたコーディネイトばかりでした。黒かネイビーのスーツにシンプルな白のインナーが一番多い組み合わせだったように思えます。
ランジェリーは昔気質の祖母から、いつなにがあっても恥ずかしくないようにと・・・お洋服以上に気を使って整える様にと教えられていました。お洋服から透けるようなはしたない真似はしないように、祖母の言葉を忠実に守った着こなしだけはいつも心がけておりました。
どんなに暑い日にも必ずストッキングは身につけ、足許は革のパンプスかサンダルが定番のスタイルです。
お化粧は、大学生時代には単純に綺麗なものとしての興味があったのですが、家事と仕事を両立する日々を迎えるとともにメイクアップ自体は全くしないようになりました。肌を整え、過剰な日焼けに気をつける基礎化粧だけ。
決まった男性のもの=妻になった女が、女性として華美に装うことを婚家の義母が嫌ったせいもありました。
このように決して目立つスタイルをしていたわけでも、もともと美しいといわれる容姿をしていた訳でもありませんでした。
が、なぜか学生時代からボーイフレンドに事欠くことはありませんでした。とはいえ、時代が時代でしたから、いまのように奔放なお付き合いをしていたわけではありません。キスすらもお許ししない・・・そんな貞淑なお付き合いばかりでした。
成人式を待たずに当時お付き合いをしていた方にプロポーズをされて大学卒業と同時に結婚したのです。
夫がいることを承知でお誘い下さる男性もおりましたけれど「世間しらずのわたくしをからかってらっしゃるのね」と思って、いつもするりとあからさまなお誘いを躱していたのです。わたくしにとってはじめての<男性>だった方と離婚するまで、その方以外と大人の関係を持つ事など考えることもできませんでした。
独りになってしばらくは、きままな日常に夢中でした。
実家が厳しかったので経験したことのなかったオールナイトの映画。のんびりと地元の友人とたのしむティー・タイム。翌日の仕事が許せば朝まででも熱中できる読書。ファッションの趣味は結婚していたころとはあまり変わりませんでしたが、仕事を独立して以来クライアント受けを狙って伸ばしはじめたストレートのロングヘアだけが、わたくしのイメージを随分変えていたようでした。
そして、その興奮が治まるころに・・・あの方と出逢ったのです。
「わたしもね、半年前に離婚したばかりなんですよ。ははは」
スターバックスのテラス席で3度目に相席になった時にぽつりと漏らされました。いつもエスプレッソ・ショットを追加したブラックコーヒーを手に、タバコをくゆらせながら行き交う人をそれとなく眺めている男性でした。
大柄でがっしりとした体躯・よく響く太くて魅力的な声。
「名前を教えてもらえませんか?」
5度目にご一緒した時に、その方はわたくしをしっかりと見つめて・・・そうおっしゃったのです。
間もなく、彼の部屋とスターバックスを行き来する関係になりました。
同い年のその方の目的は、恋愛ではなくてわたくしとのセックスだともはっきり聞かされていました。
「いまは、疎遠になっているが好きな女もいる、でも彼女では満足できないんだ。」
それでも良かったのです。離婚をして、少し持て余しはじめた独りきりの時間の淋しさと、たったひとりの男性に開発されていた大人の女の身体の疼きをもう抑えることができなかったからです。わたくし好みの男性と過ごす大人の時間に・・・飢えていただけかもしれません。
「はずかしいくらい大きな胸と尻、感度のいい良く濡れる色白の身体。淫らな声。私の欲望をどこまでも叶えるかわいい女。もう祥子でしか満足できない。」
ソファーの足許にわたくしを跪かせてイラマチオを楽しむ彼が、うめく様にしてわたくしの身体に溺れてゆく様に・・・わたくしもいつか<思慕>という望んではいけない想いを抱いてしまったのです。
わたくしは心を許してゆく分だけ・・・彼の好みに少しずつ染まってゆきました。
多忙な時間を調整し、他の男性の誘いを全て断って・・・。
でも、八重桜の散るころに1年を越えるその方とのお付き合いは、唐突に終りました。
「結婚することになった。祥子、すまない。」
はじめて彼と出逢ったスターバックスのテラス席で、わたくしの目を見る事もできない彼はそう告げたのです。
詰る事も、泣く事もできないままわたくしはお別れいたしました。
愛していた男性に、取り乱す醜いわたくしの姿を最後の記憶に残したくなくて。
3ヶ月の間。
わたくしは抜け殻のようでした。
無理矢理に埋めた仕事のスケジュールで抜け殻の外側を・・・これ以上は壊れない様にとコーティングしました。ぽっかり開いた内側には涙だけが詰め込まれていたからです。
そして愚かなことに・・・他の恋に手を伸ばしたら二度と彼を取り戻せないと思い込んで・・もう入籍を済ませた彼がわたくしのところに戻ることはないのに・・・ひとりこの苦しさから逃れられずにいたのです。
人もまばらな都心のお盆休み。
前夜の泣きはらした瞳をサングラスに隠して紅茶をいただきに上がったお店のテラス席で、わたくしは青空にすうっと流れる雲を見つけたのです。
もう、自分を許してあげてもいいかもしれない。
アールグレーの香りが、わたくしにそう囁きかけたのです。
行きつけのランジェリーショップで、彼の為にと買い求めたまま手付かずになっていたあのオペラピンクの美しいセット。今夜あたり、あのランジェリーをまとって久しぶりの夜の街に出かけてみましょう。
そして、わたくしが愛する事の出来る人生のパートナーを見つけましょう。
時間はたっぷりあるのだから、焦らずに。
だって、わたくしは独りでは過ごせない・・・甘えたな女なのだから。
- 祥子様
-
10万のアクセス、おめでとうございます。
祥子様のことが少し分かってきて、より近親感を持ってブログを楽しむことが出来ます。
素敵な方とも同い年だったのですね。私も同い年ですね。
人生は一度きりですから、楽しんでいきたいです。
2006/05/15 23:20| URL | yamatan [Edit] -
厳しく固い教育。考えてはいけないと言われ、自分でもその観念で生きて来た。でも、ふと、あとどの位の女としての時間?と思った時にもう自分の本能のままにと思ってしまって…。素敵な女として磨きをかけねば!自分の人生です物ね…。
今後もますます魅惑の世界にお連れくださいね!
2006/05/16 01:16| URL | るり [Edit] - 管理人のみ閲覧できます
-
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2006/05/16 01:19| | [Edit] - 梅雨の走りなのでしょうか・・・
-
晴天と曇天が交互に訪れる季節になってきました。
わたくしもPCのデスクトップピクチャーを
四季咲き薔薇からクレマチス(鉄線)に変えました。
しばらくしましたら、今度はあじさいのシーズンですね。
yamatan様
ありがとうございます。
yamatan様にはmsnの方もご覧頂いていて・・・とても心強く
上海から送っていただく毎日のコメントを嬉しく思っております。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
るり様
<貞操観念>という言葉が日常に囁かれていた最後の世代。
それがわたくしたちなのかもしれませんわ。
結婚するまではバージンで・・・と口を酸っぱくして両親や祖父母に言われたわたくし達だからこそ、その枷を外して一人の女としての時を過ごす今が、色鮮やかなのだとおもいますわ。
これからも宜しくお願い申し上げます。
2006/05/16 13:25| URL | 祥子 [Edit] -
10万アクセスおめでとうございます。
「肖像 Profile of Syouko」、興味深く、そして楽しく読ませて頂きました。(覗き見趣味かな?)
沢山の祥子さんファンが、待ち望んでいた企画ではないでしょうか。
女性の気持ちに全く疎く、ましたやその奥深いところなど想像も及ばない身にとっては、とても参考にもなります。
「オペラピンク~」から始まったストーリのバックボーンをこれからも教えてください。
2006/05/16 21:00| URL | masterblue [Edit] - おめでとう~~
-
10万アクセスおめでとうございます。
祥子様の横顔がわかり、ますますのめりこみそうです。
(いけない言葉でしょうか? お許しを・・・)
これからも1ファンとして楽しみにしてまいります。
人生は一度きり・・・私も飛び出したい気分です。
2006/05/17 00:22| URL | 桜草 [Edit] - ありがとうございます
-
忙しさに取り紛れお返事が遅くなってしまって申し訳ございません。
masterblue様
「肖像 Profile of Syouko」 そのように言っていただけるとほっといたします。
当初こちらのブログをmsnでスタートした時は
<祥子>という女性は「夢の情人」でありさえすればと思っておりました。
ある男性の方達にとって魅力的な女として、
可愛がってくださる方達がそれぞれにイメージを育てていただければとさえ、
考えておりました。
ですから、リアルな経歴や様々な行為を受け入れてしまう
大人の女らしからぬ心の揺らぎや脆さを導いた事実などは
・・・敢えて書かずにきたのです。
こうして受け入れていただけて、ほっといたしました。
「肖像 Profile of Syouko」 は時折、物語と物語の狭間の
祥子の日常や想いや・・・ときには責められてくったりとしている様子など
このカテゴリで語らせていただきます。
桜草様
ありがとうございます。
桜草様には、こちらもmsnも可愛がっていただいていて
とても心強く感じております。
これからもどうぞ、宜しくお願い申し上げます。
2006/05/18 14:55| URL | 祥子 [Edit] -
これからゆっくり読ませて頂きます。
表現が淫靡で素敵ですね。
2006/06/17 16:20| URL | 犬飼 [Edit] -
犬飼様
ようこそお越しくださいました。
こちらからお読みいただくとは・・・すこしびっくりしております。
どうぞ、ごゆるりと心行くまでお楽しみくださいませ。
2006/06/17 17:00| URL | 祥子 [Edit]
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