銀幕の向こう側 27
「そこで待ってなさい。」男性の声の向こうに柔らかなシャンソンが流れています。
ざぁぁぁぁ・・・・ バスタブにお湯が溜められる音がしました。
柔らかな湿度がエアコンで冷やされた身体に心地良く感じます。
男性の声が正面からいたしました。
「脚を開いて。」
「自分でいたします。おねがいです、スカーフを解いてください。」
こんな恥ずかしいことの後始末に男性の手を借りるなんて・・・とても考えられません。
「脚を開きなさい。」
後ろ手に縛られた手首を解くためには、男性がわたくしの後にまわるしかないのです。
なのに、彼の声は正面から動く気配さえ感じさせないのです。
「もう一度言うよ、」
わたくしは、同じ言葉が男性の口から繰り返される前に、脚を肩幅の半分ほど開いたのです。
「そう、いいこだ。」
男性の手が、Tバックのウエストに挟み込まれたままのコントローラーを外しました。
「ぁ・っ・・・」
小さな卵のようなプラスティックの塊は、入れた時と逆の手順でパンティの脇から引き出されます。
滑らかな曲面が逝ったばかりの敏感な真珠の表面を撫でる感触に、わたくしははしたない声を漏らしてしまったのです。浴室の構造が・・・その声をエコーを掛けた様に微かに重複させてゆきます。
カタっ・・・。きっと洗面台の上に置かれたのでしょう。
「・・っ・ゃぁ」
男性の手がガーターの留め具に伸びました。
「任せなさい。そのままでいるんだ。」
ぴちゃ・・ 左のストッキングが足元に水音を立てて落ちてゆきます。次いで右も・・・
潮を吹いたというはしたない姿のままでいる羞恥と、その後始末を全て初対面の男性にしていただかなくてはならないという恥辱にわたくしは、身を捩らずにいることが精一杯でした。
この方のことです。ガーターストッキングをこうして脱ぐものではないということくらい充分にご存知だったことでしょう。本来なら、最初に脱がなくてはならないのは・・・Tバックなのですから。
でも、きっとわたくしの羞辱を思ってくださったのでしょう。あえて、ストッキングから先に外してくださいました。
男性にとってはただの疎ましい後始末だったかもしれません。
なぜなら、彼の手はとても事務的にわたくしの肌に戯れに触れることも無く・・・この作業を進めていったからです。
そのことが、まるでわたくしがすごく汚れていることの証のように思われてしかたありませんでした。
それでも、男性の手は優しかったのです。
「ごめん・な・・さい。」
前にいる男性にひと言だけ声を掛けたのです。
「何で謝るんだい?」
わたくしの腰のあたりから、優しい声が聞こえます。
「だって・・・汚いのに」
「何を言ってるんだい。潮を吹いただけだよ、汚い訳ないだろう。この潮を飲みたがる男もいるくらいなんだよ。」
「いゃぁ・・」
「目隠しをして自由を奪われ、ランジェリーを乱した君がフェロモンをまき散らしているんだ。鏡にいろいろな角度で映し出されている君に囲まれて、この場で押し倒さないでいるためにどれだけ私が努力しているか、わからないんだろうね。」
「ぁあっ・・みちゃ・・やぁ・・・」
そうでした。広いバスルームは至る所が鏡張りだったのです。
開きかけたままのドア、壁面、シャワーブース・・・そこにこの姿が映し出されているのです。
「でも、君は気持ち悪いだろう。だから私に任せなさい、いいね。」
Tバックのウエストに男性の指が掛かりました。
あれだけ感じ・達した後なのです。
愛液と潮でクロッチの周囲だけ濃く色の変わった藤色のサテンを、男性はご覧になっているはずでした。
ぴちゅ・ぅ・・・ 淫らな水音を立てながらランジェリーが肌から引きはがされ、ゆっくりと引き下ろされてゆきます。
「脚を上げてごらん。」
足首より下に男性の指を感じたわたくしは、小さく左足を、次いで右足をあげました。男性が見上げているとは思えませんでしたが・・・その仕草の淫らさは充分に解っておりましたから。
- 小さな子供
-
男性に身の回りの事をやってもらう。
そんな状況って、普通では考えられません。
でも、どういうわけかただ恥ずかしいだけじゃなくって
守られているような、慈しまれているような
そんな心地よさを感じてしまうのです。
どんどんと小さくなって
相手の掌の中に納まってしまうかのように・・・・。
2006/09/13 13:52| URL | さやか [Edit] -
江戸川乱歩の鏡地獄のような世界。
そこで、一枚ずつ脱がせてゆくのは、私にとっては憧れの世界です。
ましたや、祥子さんのように従順に身を任せてくれれば。
どうぞ、羞恥地獄も味わってください。
2006/09/13 20:41| URL | masterblue [Edit] - 祥子様
-
雨が降って急に秋が来るような感じですね。
初めての潮吹き。
そして男性によってすべてを始末していただく。
羞恥という名の快感・・・
そして目隠しされているがゆえに更に研ぎ澄まされる感覚。
きっと今までにない乱れ方だったのかしら。
2006/09/13 21:02| URL | 桜草 [Edit] - しとしとと降る雨
-
わたくしがこの夜にこの方にお逢いした時に流していた涙のようです。
さやか様
『全てを委ねること・・・それはもっとも君を自由にすることなんだ』とO嬢は囚われた城で調教師にそう言い聞かせられます。
全てを躊躇無く委ねられたら、わたくしはこんなにも羞恥に身を揉まずに済むのでしょうね。
と、恥ずかしながらとても有名な官能小説を引き合いに出させていただきました♪
masterblue様
男性は、女性に手をつくして奉仕されることがお好きなのだとばかり思っておりました。
こういう行為も・・・憧れの1つだとは。
この方がこうしてお手間を掛けて下さる訳が良く理解できました。
従順な女性。masterblue様なら何人も従えていらっしゃりそうですね♪
2006/09/13 21:02| URL | 祥子 [Edit] - 桜草様
-
乱れることを許されなかった・・・というのが真相ですわ。
両腕は縛められ、視界は奪われ、背を持たせかけた壁に肩を男性の手で押さえつけられ・・・。
そのままの姿勢で悶えることも許されないまま疼きを溜め込んでいったら。
桜草様でしたら、いかがでしょうか?
ご想像していただけますか?
2006/09/13 21:09| URL | 祥子 [Edit] - 祥子様
-
桜草ならどうなるだろう・・・想像してみました。
祥子様と同じように潮を吹くって言いたいのですが・・・。
視界が奪われ真っ暗なはずなのに、目の前が真っ白になってしまう。
そしてあらぬ言葉を発し続け、血が出るほど唇をかみ締めるかもしれませんね。
そんな桜草を相手の方はどうされるのでしょうねえ・・・・。
2006/09/13 21:25| URL | 桜草 [Edit] -
溢れてくる羞恥心に負けないように耐え忍ぶ
女性の姿っていとおしいですね。
いとおしくて我慢できずに抱きしめてしまうかも。
そこをぐっと堪えて次の扉を開けて未知なる世界
へと祥子さんを誘うわけですね。そこが凄い。
2006/09/13 21:55| URL | eromania [Edit] - 雨が止みませんね
-
この時間でもまだしとしとと雨が続いています。
重陽の節句が過ぎたばかりなのに残暑どころか秋の長雨ですね。
桜草様
さっそくありがとうございます。
>そしてあらぬ言葉を発し続け、血が出るほど唇をかみ締めるかもしれませんね。
わたくしには出来ないことと・・・しみじみ感じました。
きっと、男性にとってはその様子がとても可愛いのでしょうね。
eromania様
eromania様はこの物語ではわたくしよりも、この男性に恋してらっしゃるみたいですね。
大人ならではの自制心が、もどかしくも頼もしく感じられる方です。
2006/09/14 00:14| URL | 祥子 [Edit]
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