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夢のかよひ路 5

化粧室で用を足し、車の中で寝乱れていた髪をサテンのリボンで首筋あたりに簡単にまとめてから出てまいりました。
目の前には、てっきり暖かな建物の中か車で待っていて下さると思っていた望月さんが、どなたかの飼い犬なのでしょう・・・ゴールデンレトリバーと戯れていたのです。
「お待たせしてごめんなさい。」
「あっ、祥子様。いえ、私の方こそこんなところで・・・。」
飼い主の方が戻ってこられたのでしょう。
ぶんぶんと尻尾を振っているレトリバーに、またな、と望月さんは明るく声を掛けて手を振っていました。
「かわいいわね。」
「はい。子供の頃から動物を飼うのを許してもらえなかったのでつい留守番をしている犬を見ると構いたくなってしまうんです。」
「わかるわ、その気持ち。」
「子供みたいですよね。」
はははは・・・無邪気に望月さんが笑います。
あのそれぞれに一流の男性達に囲まれていながら、それでも望月さんが卑屈になったり萎縮しているところをわたくしは見たことがありませんでした。
ただ、こうして明るい光の下で二人きりでいると、少しだけかもしれませんが無理に背伸びしていたのかがわかりました。
「ずっと運転していたのでしょう。疲れてない?」
「はい。いつものことですから、大丈夫です。」
朗らかな表情はそのままに、答えてくれます。わたくしは、ほっといたしました。

コートを着ているわたくしと違って、望月さんはジャケット姿のままです。そろそろ寒くなってきたころでしょう。
「あの、祥子様。」
車へと戻りかけたわたくしの背中へ、望月さんは声を掛けたのです。
「なぁに。」
振り返って見上げた彼の顔には、いつものしっかりしていて、頼もしくて堂々としてみせている彼にはない34歳という年齢のままの素直なはにかみが浮かんでおりました。
「祥子様は、明日はもうお仕事ですか?」
「いいえ、あと一日お休みなの。わたくしのお仕事は5日からだから。」
「あの・・・それでしたら」
思い切る様に、望月さんはわたくしをまっすぐに見つめました。
「今日一日を私だけに下さいませんか?」
答えもせず、わたくしはじっと彼を見つめ返したのです。
「お疲れでしょうから、無理はさせませんし、いたしません。どうか、二人・・」
わたくしは優しい望月さんの唇にもういいのよ・・・という気持ちを込めて左手の人差し指をそっと押し当てたのです。
「わたくしのお願いも聞いてくださる?」
コクコクと望月さんは首を縦に振るのです。
「二人きりの時は<様>なんてつけないこと。車の助手席に乗せて下さること。優しいキスをしてくれること。その3つを聞いてくださるなら、明日の朝送ってくださるまでご一緒するわ。」
「ありがとうございます。祥子さ・っ・」
ちゅっ・・・ わたくしは少し背伸びをして、いつもの様にわたくしを呼ぼうとする望月さんの唇を奪ったのです。
「だめ、祥子って呼んでくださらなくちゃ。」
「呼び捨てなんて出来ないです。祥子さん、でもいいですか。」
「ふふふ、しかたがないわね。」
「よかった。それじゃ、車に戻りましょう。」
望月さんが差し出してくださる逞しい腕に手を絡めて、ふたりはセルシオへと戻ったのです。 コメント
でえと♪
 さあ、今度こそ、デートですよね。
石塚さんのときは、あっという間にその雰囲気は
霧散してしまいましたが・・・・・・。
望月さんは、もう少し頑張れるのではと期待してます。
さやかも楽しい「でえと」がしたい・・・・。
忙しさと慌ただしさで
すっかりと楽しみから遠ざかっています。

2006/10/08 09:59| URL | さやか  [Edit]
さやか様
ふふふ でえと♪ですね。
石塚さんだとしっくりしなかったその言葉も、望月さんとだとなぜかぴったりとするのが不思議です。
お引っ越しが迫っているせいでしょうか。
さやか様もお忙しいようですね、どうぞ無理してお身体を壊さないでくださいね。


2006/10/08 10:20| URL | 祥子  [Edit]
いつか
「今日1日だけ、僕に頂戴!」っていって
優しいキスをして…。

♪あなたの1日が終わる時に そばにいられたら♪
              by Dreams Come True

PS:いつか夢を現実に(笑)。

2006/10/08 14:23| URL | eromania  [Edit]
eromania様
そう言う為には男性はいろいろ大変なのかもしれませんね。
でもぜひいつかは・・・その夢を実現してくださいね。
まだ見ぬ恋人でも、可愛いお嬢様とでも♪

2006/10/08 17:22| URL | 祥子  [Edit]
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