SnowWhite 22
「珈琲か、お茶でもお入れしましょうか?」「いや、僕はミネラルウォーターでいい。祥子が欲しいなら好きなものを入れたらいいよ。」
「それじゃ、わたくしもミネラルウォーターをご相伴させていただきます。お酒の器は下げさせていただいてもいいですか?」
「おねがいするよ。そろそろ白雪を部屋に入れてやりたいしね。」
窓の外、ホットカーペットの敷かれた犬小屋の中から明るい室内をじっと見ている白雪の姿が見えました。
「キッチンはこのままでもいいんですか?」
台所の床には、明日のために料理したおせちの鍋がいくつも並んでいます。
どんなに白雪がお行儀のよいわんちゃんでも、こんなに魅力的な香りがしてはいたずらをせずにはいられないことでしょう。
「そこのカウンターの端に木製のゲートがあるだろう。壁と床に小さな金具で止められる様になっている。」
見てみると、シンクの右脇にシンクと同じ1m20cmほどの高さの折り畳まれた木の柵がありました。壁まで90cmの距離を伸ばして、壁と床の金具を止めるともう白雪では乗り越えることもできなくなります。
「まだ祥子が台所をしているうちは仮止めでいい。止めておいてくれないか。」
「はい。わかりました。」
わたくしが壁との留め金の1つを掛けたのを確認して、高梨さんは改めてぞうきんを手にするとテラスへの窓ガラスを開けました。
「白雪!」
わふっ・・・ 暖かな小屋から膝を折った高梨さんの側に白雪が駆け寄ってきます。
「おっ、きれいにドッグフードは食べ切ったんだな。」
わん!・・ 白雪の頭と腰をなでてから、高梨さんは後ろ足と前足をそれぞれぞうきんで拭って、ようやく室内への通り道を開けてやります。
わふっ・・わん・わん・・
いつもとは違う室内の空気に白雪もほんの少し興奮気味のようでした。
キッチンのわたくしの側に来たり、さきほどまでお食事をしていたテーブルの上を不思議そうに眺めたりして、最後にはまるでそこが指定席だといわんばかりに、炉端の一番壁よりに置いてあるムートンの敷物の上に王様のように寝そべるのです。
日本酒に酔った身体には、開いた窓から流れ込む冷気も心地良いものがありました。
しばらく外にいらした高梨さんは、きっと犬小屋の中の電気毛布のスイッチを切ってらしたのでしょう。
「待て!」
テラスから戻ってくると、遊ぼうと半身を起こした白雪を制してぞうきんを手に浴室の方へ向かわれました。
それから、タオルと水の入った器を持って戻ってらしたのです。
これも定位置なのでしょうか。テラスへの窓の側にある腰高の出窓の下に、タオルを敷いて白雪用の水の入った器を置きました。
白雪は満足しているのでしょうか、水を飲みにゆこうとはしませんでした。
高梨さんが全てを終えて囲炉裏の側に腰を下ろすと、くぅぅ~んと鼻を鳴らして彼の側に甘える様に身体をすりよせます。
「なにを甘えてるんだ。白雪」
そうおっしゃりながら、高梨さんの顔はまるで我が子を見る様に幸せそうな笑みに包まれていました。囲炉裏の側に置かれた容器から、燠火のようになっている囲炉裏へと炭を足してゆきます。
- 祥子様へ
-
祥子様がお書きになっていたように、前半は料理とお食事の場面で流れ、別の祥子様を見させて頂いたようで堪能させて頂きました。
夜も深まっていきます。高梨さんの家に着いたときの、白雪とカメラ。
料理は別として、今回はこの一匹と一つの内どちらか、あるいは二つともがメインになるのかなと思っていました。大人しく淑やかな夜になるのか、この二つが登場する大人の時間になるのか、明日が楽しみです。
ところが、残念ながら私は、明日の早朝から明後日、日曜日の深夜まで所用で家を空けるのです。
残念です。
でも逆に月曜日の朝に3日分が読めると思うと,所用も苦になりません。
では祥子様、高梨さんとの楽しい一夜を過ごされん事を願っています。
2007/03/09 11:59| URL | オーバーチュア [Edit] - オーバーチュア様
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ありがとうございます。
もう少しで、夜も更けてまいります。
オーバーチュア様の予想が当たるとよろしいのですが♪
明日から3日間お出かけなのですね。
お天気が春らしく不安定なようですが・・・気をつけていってらっしゃいませ♪
お戻りをお待ちしております。
2007/03/09 14:07| URL | 祥子 [Edit] -
よかった、祥子さん体調を崩されたのかと心配しておりました…
いつも暖かなお返事ありがとうございます.*。☆・.
そうなんです!昨夜は料理本では無くお皿を買って帰宅しました(笑)
オフ会.*。☆・.羨ましいです。私も飛んで行けたら。。なにせ北海道なもので(笑)
2007/03/09 14:49| URL | 柚 [Edit] - 柚様
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ご心配おかけいたしました。
元気でしたが、忙しくしておりました。
器を新しくするのもいいですね。
お料理本というのは・・・わたくしが持っているのは、古いおせち料理の解説本が1冊だけです。
それ以外のお料理はいただきにいったお店のシェフや板前さんに教えていただいたりしています♪
美味しいものを食べて、覚えるっていうのも楽しいものですよ。
2007/03/09 18:28| URL | 祥子 [Edit] -
白雪もいつもとは違う何かが始まる予感がしているのでしょうか。
同じように固唾を呑んで…待つ、としよう。
2007/03/09 21:51| URL | eromania [Edit] - eromania様
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ふふふ、白雪もそうなのかしら。
甘えたの彼の可愛い仕草はとても愛おしいですね♪
それよりも、さりげない高梨さんのほうがどきどきしていたりして(笑)。
2007/03/10 07:32| URL | 祥子 [Edit]
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