銀幕の向こう側 26
コツ・カツ・・コツ・カツ・・・コツ・カツ・・・「ドアの開いている部屋があるみたいだね。」
「そうですね。お客様をご案内したあとで、確認をしてみます。」
もう廊下を来る方の声が聞こえます。
この部屋に向かって真っすぐに伸びる廊下のはずれまで、お客様とホテルのスタッフが来ているのです。
「この扉が開いているのに気付かれたようだね。君のこの破廉恥な姿を見てもらうまで、もう少しだよ。」
「だ・めぇぇぇ・・・」
だ・め・・
この言葉は、扉を開け続ける男性に向けられたものなのか、蕩けてゆくわたくしの理性に向けたものなのか、もう解らなくなっていました。
コツ・カツ・・コツ・カツ・・ 足音がもうすぐ近くまで・・・
「ぁはぁぁぁ・・・・」
「逝きたまえ!」
くっ・・男性の指がローターのコードを引いたのです。
「ああっ・・・」
ビィィィ・・・ 敏感な真珠の表面へ直接強く押し当てられたローターに・・・わたくしは腰を振り立てて、極めてしまったのです。
脚元に・・・暖かな液体を大量に吹き出して・・・
パタッ 扉が閉められました。
コツ・カツ・・コツ・カツ・・・コツ・カツ・・・
ほんの少し遅れて、扉の前を通り過ぎる二人の男性の足音がしました。
わたくしはきつく唇を噛み・・声を押し殺して・・・立ったままで逝き続けておりました。
何が起こったのか、わたくしには解っておりませんでした。
一瞬にして生暖かい液体が絶頂とともに吹き出し、ガーターで吊られたストッキングに包まれた太ももを・・ふくらはぎを・・足首までをぐっしょりと濡らしていったのです。
「おねがい・・みない・でぇぇ・・・」
男性の手が玩具の振動を止めてはじめて、わたくしは我に帰りました。
所謂・・・排泄の感覚は全くなかったのに・・・おもらしをしてしまったように濡れそぼった下半身という事実がとても恥ずかしかったのです。
ちゅ・・ 男性の唇が、震えるわたくしの唇に重ねられました。
「潮を吹いたんだね。」
「し・お・・?」
「恥ずかしがらなくてもいい。漏らした訳じゃないからね。アンモニア臭など全くしないだろう。はじめてなのかい?」
こくん・・・ わたくしは声も出せずに頷きました。
いままで、何人もの方に濡れやすい身体だといわれ続けてまいりました。
それでも<潮を吹く>ということをしたことはなかったのです。
「君のはじめてを見せてくれたんだね、嬉しいよ。いいこだ。」
本当に、嬉しそうな声をなさるのです。
わたくしの体芯を揺さぶる官能は、驚きと共にようやくおさまりはじめていました。
それと同時に、このままの姿でいることに耐えられなくなっていたのです。
「おねがいです。解いてください。」
「手が痛くなってきたかな?」
「いいえ、でもあの・・・始末をしないと」
「そうだね。こちらにおいで。」
壁に持たせかけられていたわたくしの肩を、男性の手が前に引いて真っすぐに経たせてくださいました。でも、手首のスカーフを解いてはくださいません。
「こっちだよ。さぁ」
男性がわたくしの背に腕を回して歩いて行った先は・・・バスルームのタイルが足先にひんやりとした感触を伝えてきたのです。
銀幕の向こう側 27
「そこで待ってなさい。」男性の声の向こうに柔らかなシャンソンが流れています。
ざぁぁぁぁ・・・・ バスタブにお湯が溜められる音がしました。
柔らかな湿度がエアコンで冷やされた身体に心地良く感じます。
男性の声が正面からいたしました。
「脚を開いて。」
「自分でいたします。おねがいです、スカーフを解いてください。」
こんな恥ずかしいことの後始末に男性の手を借りるなんて・・・とても考えられません。
「脚を開きなさい。」
後ろ手に縛られた手首を解くためには、男性がわたくしの後にまわるしかないのです。
なのに、彼の声は正面から動く気配さえ感じさせないのです。
「もう一度言うよ、」
わたくしは、同じ言葉が男性の口から繰り返される前に、脚を肩幅の半分ほど開いたのです。
「そう、いいこだ。」
男性の手が、Tバックのウエストに挟み込まれたままのコントローラーを外しました。
「ぁ・っ・・・」
小さな卵のようなプラスティックの塊は、入れた時と逆の手順でパンティの脇から引き出されます。
滑らかな曲面が逝ったばかりの敏感な真珠の表面を撫でる感触に、わたくしははしたない声を漏らしてしまったのです。浴室の構造が・・・その声をエコーを掛けた様に微かに重複させてゆきます。
カタっ・・・。きっと洗面台の上に置かれたのでしょう。
「・・っ・ゃぁ」
男性の手がガーターの留め具に伸びました。
「任せなさい。そのままでいるんだ。」
ぴちゃ・・ 左のストッキングが足元に水音を立てて落ちてゆきます。次いで右も・・・
潮を吹いたというはしたない姿のままでいる羞恥と、その後始末を全て初対面の男性にしていただかなくてはならないという恥辱にわたくしは、身を捩らずにいることが精一杯でした。
この方のことです。ガーターストッキングをこうして脱ぐものではないということくらい充分にご存知だったことでしょう。本来なら、最初に脱がなくてはならないのは・・・Tバックなのですから。
でも、きっとわたくしの羞辱を思ってくださったのでしょう。あえて、ストッキングから先に外してくださいました。
男性にとってはただの疎ましい後始末だったかもしれません。
なぜなら、彼の手はとても事務的にわたくしの肌に戯れに触れることも無く・・・この作業を進めていったからです。
そのことが、まるでわたくしがすごく汚れていることの証のように思われてしかたありませんでした。
それでも、男性の手は優しかったのです。
「ごめん・な・・さい。」
前にいる男性にひと言だけ声を掛けたのです。
「何で謝るんだい?」
わたくしの腰のあたりから、優しい声が聞こえます。
「だって・・・汚いのに」
「何を言ってるんだい。潮を吹いただけだよ、汚い訳ないだろう。この潮を飲みたがる男もいるくらいなんだよ。」
「いゃぁ・・」
「目隠しをして自由を奪われ、ランジェリーを乱した君がフェロモンをまき散らしているんだ。鏡にいろいろな角度で映し出されている君に囲まれて、この場で押し倒さないでいるためにどれだけ私が努力しているか、わからないんだろうね。」
「ぁあっ・・みちゃ・・やぁ・・・」
そうでした。広いバスルームは至る所が鏡張りだったのです。
開きかけたままのドア、壁面、シャワーブース・・・そこにこの姿が映し出されているのです。
「でも、君は気持ち悪いだろう。だから私に任せなさい、いいね。」
Tバックのウエストに男性の指が掛かりました。
あれだけ感じ・達した後なのです。
愛液と潮でクロッチの周囲だけ濃く色の変わった藤色のサテンを、男性はご覧になっているはずでした。
ぴちゅ・ぅ・・・ 淫らな水音を立てながらランジェリーが肌から引きはがされ、ゆっくりと引き下ろされてゆきます。
「脚を上げてごらん。」
足首より下に男性の指を感じたわたくしは、小さく左足を、次いで右足をあげました。男性が見上げているとは思えませんでしたが・・・その仕草の淫らさは充分に解っておりましたから。
銀幕の向こう側 28
男性の気配が動き、後から声が聞こえました。「外すよ。」
キャミソールの裾を上げて、ガーターベルトのウエストのスナップが外されました。はら・・りと、藤色のサテンと黒のレースの布片はわたくしの足元へ落ちてゆきます。
男性の手は、今度はキャミソールの背中をくいと下げたのです。後ろ手に括られ高くなった肩甲骨の間のブラのスナップを外す為でした。
そして・・・・ようやく手首のスカーフが解かれたのです。
「手を上げてごらん。」
男性の声が再び前からすると・・・ばんざいをするように上げた腕から、捲り上げられたキャミソールが抜き取られます。
「これで最後だね。」
自然に下ろした両腕から、ブラのストラップが抜かれました。
ざぁぁ・・。パチャ・・パチャ。
バスタブに注がれていた湯が止められたようです。
「これなら熱過ぎることはないだろう。こっちだよ。」
隠し切ることなど出来ないとはわかっていても、左腕で胸元を右腕で茂みを覆うわたくしの身体を男性の腕が誘導します。
「おねがい、目隠しを取って。」
わたくしの声は、掠れはじめていました。
何度となく上げさせられた喘ぎのせいなのは解っています。
「だめだよ。ちゃんと上がる時も私が手助けしてあげる。大人しく湯に浸かっているんだ。さぁ、右脚からだ。」
手を取って、バスタブへとわたくしを導くのです。
ホテルのバスなのです。この部屋に来て最初にバスルームを使わせていただいたときに目にした様に、決して深さがあるわけではありません。それでも、視界を奪われてお湯に身を浸すことにはかすかな恐怖心がありました。
「ちょっと待ちなさい。」
バスタブの中に膝下までの湯につかって立ってたわたくしに、男性が声を掛けたのです。
足音が離れて、次に戻ってらしたときに男性の腕にはタオルがありました。
「ここに腰掛けるんだ。」
わたくしを後ろ向きにバスタブの縁に腰掛けさせると、長い髪をタオルで器用に包んでくださるのです。失念しておりました。背中の中程まである長い髪がこのままでは酷く濡れてしまいかねなかったのです。
でも、女性の髪をタオルで・・・この方はなんでこんなことを上手になさることが出来るのでしょう。
「ありがとうございます。」
「これでいい。ゆっくり、腰を下ろしなさい。」
もう一度90度身体を回転させられると、男性の手にすがる様にしてわたくしはバスタブにゆったりと身を長らえたのです。
「なにかあれば呼びなさい。」
「はい。」
もう30分以上も縛られていた両手首を、わたくしは湯の中で揉みほぐしておりました。程よい温度の湯は、幾度もの羞恥と淫楽に疲れた身体を優しく癒してくれました。
男性は、バスルームの戸を開けたままで無言で幾度も出入りをされていたようです。
ホテルの部屋に入ってすぐのカーペットは・・・わたくしのはしたない体液で濡れそぼっている筈です。それをきっと綺麗にしてくださっているのでしょう。
じゃぁぁ・・・ しばらくしてから今度は洗面台に水音がいたします。
ぱちゃぱちゃと・・タオルを洗われているのでしょうか?
そんな音が止まって数分。
「待たせたね。」
男性の声がいたしました。
「申し訳ありません。全部していただいてしまって・・・。」
わたくしは、湯に浸かり暖まることでぼぉっとして忘れかけていた羞恥が蘇って・・・身内から暖まったせいだけじゃなく頬を赤らめてしまいました。
「いいんだよ。私が命じてさせたことだからね。さ、湯が冷めてしまう前にでよう。」
男性が浴槽に入ってこられたのです。
わたくしの揃えて伸ばした脚を跨ぐ様に立つと・・・バスタブの縁に乗せられたわたくしの手を掴まれたのです。
「ゆっくり立ってごらん。」
男性の腕に引き上げられる様にゆっくりと、浴槽の中でわたくしは立ち上がりました。
男性が何を身に着けてらっしゃるのか、何も身に付けてらっしゃらないのか・・・わたくしにはわかりません。
濡れたからだを、彼に触れさせない様に、細心の注意を払うことしかわたくしにはできませんでした。
「こっちだよ。」
男性に導かれて足を下ろしたバスタブの外には、バスマットが敷かれていました。
「そのまま。」
ふぁさ・・・。大判のバスタオルがわたくしの肩に掛けられ・・男性の手で全ての水滴が拭われてゆきます。
銀幕の向こう側 29
「わたくしが、自分で・・・」「いいんだ。」
肩先から両腕をそれぞれに拭き下ろします。
目隠しをされたままでも、自分の身体を拭うくらいのことはできます。なのに、男性はそのことすら許してはくれませんでした。
「ぁっ・・」
映画館からここまでの緊張感で強ばっていた首筋を、揉み込むように軽くタオル越しに圧迫してから、2つの貝殻骨を愛おしむように拭って・・・背筋を真っすぐに腰の頂きまで・・・。そのタオルは太ももの付け根までの淫らな曲面へも触れてゆきました。
「少し腕を広げてごらん」
「ん・ん・・」
男性の手が支えるタオルは、前にまわって同時にたわわな二つの乳房に触れてきたのです。
体側からふるぅんとした乳房の外側を頂きに向かって・・・でも頂きには到達せず。次には両手でたゆんと震える乳房を持ち上げる様にして下辺をやはり頂きの寸前まで。
デコルテから乳房の谷間に入り込んだタオルは、内側から押し広げるように・・・。はじめて頂きに達したパイル地の感触は、はしたなく立ち上がっていた先端を包み込むと、男性の指がタオル越しに揉み込むのです。
「ぁあっ・・・」
焦らされタオル特有の感触に高まっていた乳房の感覚は、一瞬の性的な刺激にもはしたない声を上げさせるのです。
そして太ももの狭間の茂みへ。
「おねがい・・・」
わたくしは、もうお湯ではないぬめりが溢れ出していることに気付いておりました。それを見られてしまう恥ずかしさに、一度拒否されていたにもかかわらずあらためて自分で・・・と懇願したのです。
「これも、お仕置きなんだよ。君が勝手に潮を吹いた後を私に始末をさせたんだからね。さぁもっと脚を開きなさい。」
男性の手がタオルを繰って、太ももの内側へ触れたのです。
「ふっ・・」「あぁ・・・」
ふと漏らされた男性の声が、わたくしの身体の変化に気付かれてしまったことのように思えました。
それでも、男性は何もおっしゃらず、手はことさらに事務的にタオルを動かしてゆくのです。
太ももの外側から膝裏を通ってふくらはぎへ・・・。足首を掴まれて足裏まで・・。
目隠しをされたままでも、していなくても、男性の手で拭われるという行為そのものの羞恥には変わりはなかったでしょう。
ただ1つ違うのは、目隠しされたわたくしには男性の視線がどこを彷徨っているかがわからなくて、一層の不安と羞恥を煽り立てたのです。
それでも、男性の手は乳房の後は、極めて事務的にてきぱきとわたくしの身体を拭って行ったのです。
髪を覆ったタオルを外し、わたくしの肩に備え付けのバスローブを掛けると、両手を通して前を重ねウエストで紐を縛ってくださったのです。
「さぁ、部屋で待っていてくれないか。」
わたくしの手を取って、部屋へと戻るのです。5歩・6歩・・・。
「ここだよ。」
腰を下ろす様に言われたのは、ベッドカバーを外したベッドの上でした。
「寒くはないかい。」
「はい。」
わたくしの上体をベッドヘッドに持たせかけて、足元には羽布団を掛けてくださいます。
「すぐに戻ってくるからね。」
「はい。」
男性の手がわたくしの肩を叩くと、すっと気配が離れていったのです。
シャァァァ・・・ 浴室で水音がします。きっと、男性がシャワーブースでシャワーを浴びてらっしゃるのでしょう。
室内には、まだシャンソンが低く流れていました。
どれほどの時間が経っているのか・・・目隠しをされたままのわたくしには、見当もつきません。
でもこの長い・・いいえ短い・・・時間の内に、今夜はじめてお逢いして哀しい恋心を慰めてくださった紳士のことをわたくしは信頼しはじめていたのです。
水音が止まりました。
パタ・・ン・・・ 浴室の扉が開いて。
「待たせたね。」
男性の声と体重が同時にわたくしの左側にやってきました。
「いいえ、そんなこと。」
ん・・・ 男性の唇が重ねられたのです。それは・・淫らなほどのディープキスでした。視界を奪われた上に、男性の両手で耳を塞がれたわたくしには、甘噛みされすすり上げられる唇の音も、絡め合わせれる舌の音も、注ぎ込まれ吸い上げられる唾液の音も・・・エコーを掛けた様に・・・脳内に響いたのです。
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「ぁぁ・・ん・ん・」ちゅぱ・・・ 引き離される唇からも水音がするほど、淫らなキスでした。
「本当に、君は従順だね。私がいない間いくらでもその目隠しを外すことができたはずなのに、そんなことを考えもしなかったようだ。命じたらそのままで待っている。きっと私が1時間戻らなければ、1時間そのままで待っているんだろう。」
わたくしに被いかぶさっている男性の身体からは湯で暖められた熱が立ち上り、その上・・・いまは何も身につけられていないようでした。
「こんな愛奴を持ってみたいものだ。」
男性がバッグの中にお持ちになっていたものは、Sの世界をご存知の方のものでした。でもご自身の口からはっきりと<愛奴>という言葉を出されたのは、はじめてのことだったのです。
ぎしっ・・・
男性が立ち上がりベッドの上に乗られたのが、マットレスの軋みでわかりました。
そして、わたくしの口元に男性の昂った熱い塊が触れたのです。
ぺちゅ・・・ 男性の言葉を待たずに、わたくしはその先端に舌を這わせました。
男性の求めている行為はこれしか考えられなかったからです。
ぺろぉ・・ぺちょ・・・ 舌先にたっぷりと唾液を乗せて、先端からくびれの裏側へ・・・そして脈打つ胴を順に茂みに向かって舐めてゆきます。
ぺちゃ・・・ 顔をあおのけて・・・塊を頬に・鼻筋に乗せるようにして男性の皺袋にも・・舌を這わせます。
ちゅぅく・・・ やさしく中のまぁるい珠ごと吸い上げて・・・右・左と・・舌でころがします。
ぺろ・ぺろぉん・・・ もう一度・・今度は皺袋の付け根から先端に向けて昂りの裏側を舌を左右にそよがせながら戻ってゆきます。
くちゅぅ・・・ そうしてからはじめて先端を含んだのです。くびれのすぐ下を唇の内側で締め付けて刺激してから・・・ずぅっと喉奥まで一気に含んだのです。
くぽぉ・・くちょ・・・ 男性の塊は、その細身の身体に似つかわしくないほどに猛々しいものでした。長さがあるというよりも・・・ごつごつと血管が浮き出しねじくれた・・・イメージだったのです。
「上手いね。いいよ。気持ちがいい。」
それまで黙ったまま、わたくしのなすがままにさせていた男性がはじめて言葉を発しました。
と、同時にわたくしの頭を両手でがっしりと掴んで、今度は男性が腰を動かしはじめたのです。
「男の身体を良く理解しているね。フェラチオが一般的になって、単に舌を這わせたり・口に含めばそれでいいと思っているだけの女も少なくない。が、君は違う。こんなフェラチオは久しぶりだよ。」
わたくしの頭をベッドヘッドに押しつけ、上顎を喉奥を遠慮なく突く男性の塊は・・・男の快感の証を滲ませはじめていたのです。
わたくしは、口内では舌をぬめり出した塊に絡め続け・・・そしてはじめて左右の手を・・・男性の柔らかな袋とその奥のすぼまりへと這わせたのです。
「ああ いいよ。その指も いい。このまま、君の口に逝きたくなってしまう。」
左の中指をすぼまりと皺袋の間を優しく押しつつ往復させてゆきます。右の手のひらは片方の袋を指先はもう一方の袋を同時にやさしく包んでおりました。
唇も舌も左右の手も、まったく別の意志を持っている様に・・・無心に動かしたのです。
「ここまでだ。」
塊が口内でひくひくと脈打ったと思った途端・・・わたくしの頭は引きはがされました。
「君はなんて女なんだ。あんなに綺麗に泣くのに、途轍もなく感じやすくて・・・こんなに性戯にも長けている。昼は淑女で、夜は娼婦・・・か。」
「いや・・・そんな風におっしゃらないで。」
ギシ・ギ・シ・・・ 男性がベッドを降り・・わたくしを覆っていた羽布団を剥いだのです。