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初雪 54

「ふふ また溢れさせて。せっかくの着物をダメにしないように僕が飲んであげていたのに。いけない人ですね、祥子さんは」 
絶頂を迎えた身体は・・・今夜はまだ何一つ受け入れていない蜜壷から、とろりと薄白い蜜を湧き出させたのです。
美貴さんは濃鼠の大島の袂から出したハンカチを・・・新しい蜜に濡れ光る花びらに押し当てるようにして拭ったのです。
「・・・はぁあぁぁぁ・・・」 
縛められているからではなくて・・・わたくしは動くことも考えることも出来なくなっていました。
絶頂で緊張の極みを迎えた両脚は、いまはぐったりと力なく赤い縄を食い込ませていただけだったのです。

「解かせていただいてよろしいですか」 
背後からの声・・・望月さんです。
「ああ 頼むよ」
美貴さんが答えてわたくしの太ももの狭間からハンカチを取り上げられたのと・・両脚を引き上げていた縄のテンションが落ちたのはほとんど同時でした。
下ろされる両脚を支え・降ろし、膝から縄を解いてくださったのは石塚さんと美貴さんでした。
背を反らす様に引き上げられていた腕を止めていた縄尻が解かれた時には、山崎さんが冷たいおしぼりでわたくしの額を拭っていてくださったのです。
「ありがとうございます」
ゆっくりと開けた瞳に移った山崎さんに、無意識のうちに微笑みかけていました。

「随分深く・・・逝ってしまったみたいですね」
「いやぁ・・・はずかしい・・・」
額に当てられていたおしぼりは、ソファーの背でほつれた幾筋かの黒髪を載せた首筋を拭っていました。
「自分でいたします。お願い・・この手を解いて」
わたくしの手首はまだ縛められたままでした。はだけられた着物を掻き合わせて・・・かりそめの身繕いをしたくても・・・それすらできません。

「祥子さん。そろそろお着物を脱がれたほうがいいかもしれませんね」
わたくしの脚の縄を解き・・・圧迫されていた膝裏を丁寧にマッサージしてくださっていた美貴さんが、わたくしの右隣に腰掛けたのです。
「せっかくの着物を台無しにしそうだしね」
「おっしゃらないで・・・」
もう片方の脚を受け持ってくださっていた石塚さんは、横顔でそう言いながら暖炉に数本の薪を投げ込みます。
このままこの方達との時間を続けるには、わたくしは反応しすぎる濡れやすい身体だったのです。この高価な友禅をだめにしかねないほどに・・・これまでの行為でも溢れさせていたことはわかっていました。
わたくしの身体がそれほどに淫らに過ぎるということを・・・秘めておきたいその事実を改めてこの方達は言葉で突きつけられたのです。
「着替えてまいります。おねがいです。この手を解いてください」
「どこに行くつもりですか?祥子さん」
美貴さんが・・・不思議そうにおっしゃいます。
「先ほど着替えをした部屋へ。すぐに戻ってまいります。」
どなたも何もおっしゃって下さいません。わたくし1人にするのがそんなに不安なのでしょうか。
「この別荘から外には1人でなんて出られませんわ。今夜は皆さんと過ごします。だからおねがいです、身支度をしにいかせて」
わたくしの哀願が聞こえているはずなのに、美貴さんは眉一つ動かさずに言い放ったのです。
「身支度はしていただきます。でも僕たちの前で、ここでその着物を脱いでみせてください」

「・・いやっ・・」
男性の方達の前で着替えをするなんて・・そんなはしたないことまでさせようと言うのでしょうか。
お支度は秘かに男性の眼に触れないところでするものだと、わたくしは決めておりました。女としての最低限の嗜みであり美学ですらあります。
ですから、いままで・・・そう望月さんに箱根で許した外には・・・身繕いを男性の目の前でしたことなどなかったのです。
「ご自分でなさってくださるなら、その手の縄をすぐにも解きましょう」 
わたくしはまだ裾を乱され胸をはだけられたままでした。
この方達の前で帯を解くくらいでしたら出来るかもしれない・・・とにかく淫らに乱れたこの姿のままでいたくなくて、わたくしは美貴さんの提案を飲んだのです。
「仰る通りにいたします お願いほどいて・・・」
そう言って差し出したわたくしの手首の縄を、望月さんは丁寧に解いてくださいました。 コメント
美貴さんが・
 命令すると祥子さんは、
ずいぶん、素直に従ってしまうんですね。
他の人たちの時は、あんなに抵抗してたのに。
ちょっと、やきもちやきのさやかです♪
美貴さん・・・祥子さんをいっぱい虐めてあげてください。


2006/05/05 18:37| URL | さやか  [Edit]
美貴さんって氷のような女性ですね・・・
きっと顔が無表情・・・(怖!)

2006/05/05 19:39| URL | よしちょ  [Edit]
GWもあと2日
大型連休もあと2日を残すこととなりました。
今日もおだやかな天候に恵まれましたね。

さやか様
美貴さんはやはり他の方よりも箱根で一度多く身体を重ねているせいでしょうか。
彼の性格も、一度言い出されたことは曲げないことも
身を以て知っているだけ・・・言葉に従わざるをえないんです。
さやか様ならお判りいただけますでしょう。

よしちょ様
そうですね、美貴さんが命ずるときの顔は
とても厳しいお顔のことが多いです。
企業のトップとして多くの方を従わせるだけの威厳も備わっているのでしょうね。
(残念ながら美貴さんは・・・男性なんです ごめんなさい)

2006/05/06 10:21| URL | 祥子  [Edit]
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