ジューン・ブライド 14
「こんな中途半端なのもエッチだね、祥子さん」サテンの薄いモールドカップは、もうわたくしの鴇色の先端さえも覆ってはいませんでした。蓮の花びらのように・・・まぁるく大きなふくらみの下に、その肌の白さを強調するためのように咲き落ちていたのです。
「みちゃ・・・やぁ・・・」
「さっきここで逝ったばかりなのに、またおねだりしてるみたいだよ。何倍も美味しそうに尖ってるよ、祥子さん。」
こんな姿にされるなんて想像もしていなかったのです。恥ずかしさに赤く染まるわたくしの耳朶を舌先でねぶりながら、ぷっくりと立ち上がったままの乳首を彼の指がいらうのです。
「あぁぁ・・・だめぇ・・・」
「ちゃんと祥子さんの口からお願いしてくれないと、この後どうしていいかわからないなぁ。」
巻貝のような耳の中までも・・・トモくんの舌先は這ってゆきます。ここも感じるのだと、教えたのはわたくしでした。
「おねがい・・・手をほどいて・・・」
「だぁめ 言ったでしょう。一度、祥子さんを縛ってみたかったって。本当はこのままフロントに電話して縄を注文したいくらいなんだよ。身体中に縄痕が残るくらいぎりぎりに縛らせてくれる?祥子さん」
なんてことでしょう。いままで・・・トモくんの先輩たちとの複数での行為をたった一度ねだられたこと以外・・・アブノーマルなことを望まれたことはなかったのです。
彼が先ほどふと漏らした言葉に、こんな欲望が隠れていたなんて・・・。
「だめよ・・・縄なんて・・だめ。」
「わかってるよ。そんな怯えた顔をしなくても。祥子さんがいやなら無理強いはしないよ。僕はSMがしたい訳じゃないからね。」
言葉とは裏腹にいつもより強く耳朶を甘噛みしたトモくんの唇は、首筋へと這ってゆくのです。
「でも手首は解いてあげないよ。さぁ、どうしてほしいの、祥子さん。ちゃんと僕にお願いしてごらん。」
「やぁぁぁ・・・」
トモくんはわたくしの口から、身体を覆うものを彼の手で剥ぎ取って・・・と哀願させたいのです。
なんでもない時なら、愛語の一つとして羞恥にまみれながらもその後の淫楽を期待して口にできたことでしょう。でもわたくしのいまの身体では・・・とても、言えることではありませんでした。
「しかたないなぁ。それじゃこんなやらしい姿、僕だけが楽しむのはもったいないから、携帯で撮ってあげるよ。」
そういうと、わたくしから離れて、先ほど床に脱ぎ捨てたジャケットを拾い上げるのです。彼の手は内ポケットに入っている携帯のストラップを掴みます。
「トモくん、だめっ・・・お写真なんて だめ。」
わたくしの必死の声に、彼は携帯をジャケットに戻すと、わたくしの側に戻って来たのです。
別れようという男性の手元に、こんなはしたない姿の写真を残しておく訳にはいきません。彼には、まだ一度も二人きりの時間に写真を撮らせたことはありませんでした。
ただ一度、まだ若かった頃にかつての上司に盗み撮りされた昔の写真を・・・数枚持ち帰られたことがあるだけです。
「もう一度聞くよ、祥子さん。どうしてほしいのか、ちゃんと言ってごらん。」
すっかり露になってしまったわたくしの左の乳房を握りしめて・・・耳元で囁くのです。
もう・・・仕方ありませんでした。
「おねがい、わたくしのランジェリーを・・・脱がせて・・ちょうだい」
「ねえさん、何を考えているの?」
隣を歩く森本さんが、思い切った様に尋ねてきました。
鶴岡八幡宮のあじさい園を2/3ほど廻り終えたところでした。白い花が花火のように散るスミダノハナビの大きな株の前のことです。
「ごめんなさい。ちょっと、仕事のこと。」
「ふうぅん。」
その返事で彼が納得していないことは、充分にわかりました。
今日一日を鎌倉で過ごそうと誘ってくれたのは森本さんだったのです。時折、トモくんのことが脳裏をかすめても、不自然さを感じさせない様に適度に会話をし、相づちをうっていたつもりでした。
「せっかくお休みを取ったのに、だめね。ちょっと気になる事を思い出してしまったものだから。」
「わからなくも、ないけどね。」
彼も多忙な人でした。
今日もわたくしが気づかないだけで、もう何度も携帯が鳴っていたのかもしれません。なのに、そんなそぶりも見せずに優しくエスコートを続けてくれていました。
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祥子さんの嘘に気が付いた時の
トモ君の怒りが想像できて恐ろしいのであります。
他の人の手が愛する人に触れたって思うとき
自分だけの人ではないって分かっていても
ヤッパリ妬いてしまいますよね。
2006/06/28 03:11| URL | さやか [Edit] -
さやか様
そうなんです。
トモくんの優しさも素直さも知ってはいますが、同時に彼の激しさも
肌を合わせていれば自ずとわかるものです。
わたくしが唯一希望を託しているのは、以前の4Pの時の
セクシャルな興味を前にした牡の寛容さなのですけれど・・・/
2006/06/28 11:24| URL | 祥子 [Edit]
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