2ntブログ

銀幕の向こう側 1

梅雨も明けて、湿度の高い暑い毎日が始まったころのこと。
わたくしは仕事途中にあるポスターを見かけたのです。
<ジョルジュ・バタイユ> 
第一次世界大戦のころのフランスの思想家の名前が眼にとまったのです。難解で、エロティックなのに溺れきれない・・・。わたくしにとってそんな印象の作品を書かれる作家の名前でした。
彼の作品が映画化されたのなら、ぜひ観てみたいと思いました。
レイトショー上映のみ。
21:20からの上映なら、仕事の時間を気にすることなく観にゆくこともできるでしょう。
この素敵な思いつきを実行に移そうと、わたくしは強い日差しから逃れる様に、1階のエントランスのエレベーターへと向かったのです。
 
お仕事は予定通り、さほど時間が掛からずに終わりました。
レイトショーです。上演が終われば、都内住まいのわたくしでさえ、シンデレラよろしく急いで帰途につかなければいけない時間になってしまいそうです。
仕事の緊張を緩めるのと空腹を満たすために、いきつけのイタリアンへ向かいました。
軽いお食事と、フルーティな白ワインをいただいてから、陽も落ちて涼しくなってきた通りをウインドショッピングを楽しみながら、映画館へと歩いていったのです。

熱帯夜・・・になりそうな空気は、胸元の深く開いたフリルのブラウスにまで、まとわりつくようでした。
デシンとレースでつくられた黒のブラウスとスカートに、藤色のニットジャケットがこの日の装いでした。
インナーは藤色のサテンに黒のレースでトリミングをした・・・そう、少し娼婦のようなデザインのセットだったのです。ハーフカップのブラは、Gカップのわたくしの乳房を押し上げ、フェミニンなフリルの襟元に深い谷間を作っておりました。ガーターベルトも、キャミソールも・・・柔らかいスカートの素材にラインが響くのがいやで選んだTバックも・・・揃いのデザインです。
藤色のガーターベルトの留め具の先には極薄の黒のストッキングを留め付け、足元は軽快なバックストラップのパンプスでした。
フェミニンなのにセクシーなファッションは、その日のプレゼンテーションのコンセプト<Cool Black>をイメージしたものだったのです。

映画館は5階にありました。
わたくしが数時間前に手にした1枚のチケットは、昔風の切符を半分に切る形のものでした。
いまでは全席指定が当たり前になり、大振りなチケットを発行する映画館が多い中で、その少しレトロな仕掛けさえ好感がもてたのです。
開場時間の21:10と整理番号003が、刻印されておりました。
到着したのは21:00。
まだ、前の回の映画が上映中でしたが、すでにロビーへの入場は許されておりました。係員の女性の言葉に従って、入って左手の扉の前で入場までのわずかな時間をリーフレットを手に1人の時間を過ごしたのです。
R-18指定。
そしてレイトショー上映のみ。
そんな地味な映画のはずなのに、小さなロビーには想像していた以上のお客様が集まっておりました。
お二人連れでいらしている方もありましたが、1人で作品を楽しみにやってきたという風情の40代を超えた大人の男女の姿も目についたのです。
 
「開場させていただきます。お手元のチケットの整理番号001番から順に5名様づつご案内いたします。お1人様1枚ずつチケットをお持ちになりお待ちください。」
小柄な女性のスタッフの声に、わたくしはバッグと小さなチケットを手に立ち上がったのです。
一番最初に入場した5名は、わたくしも含め会場の奥の方・・・上段に当たる席へと向かいました。 コメント
いよいよ
祥子様

こちらでも始まるのですね。
このお話にはこの背景はお似合いだって思います。
こちらでゆっくり堪能させて頂きます。
まだまだ残暑厳しいですけど、こちらにお伺いすると涼やかになりそうです。
桜草も凄く気に入りました。 V(○⌒∇⌒○) ルンルン

おっと いけない・・・お姉さまなのに。 うふふ。

2006/08/24 22:50| URL | 桜草  [Edit]
新シリーズ
いよいよ始まるのですね。始まりから、ワクワクドキドキです。

今回の背景は、これからの季節にピッタリですね。思わず東京を離れ、この様な星空の元で星に抱かれて寝たいですね。最近してないな・・

2006/08/25 00:56| URL | tako  [Edit]
細かな描写と時間の経過が物語の始まりを
告げていますね。

遅くなりましたが1周年おめでとうございます。
テンプレも涼しげで…夜空の星を眺めるのって
好きです。もう少し星の名前が分かればいい
のだけれど。

2006/08/25 07:20| URL | eromania  [Edit]
惑星と非惑星の境目
冥王星問題がニュースで取りざたされていますね。
こう・・・地球人が識別のために勝手に決めている事と思うと、なんだか少し可笑しい感じもいたします。
惑星にしたり、いや惑星じゃない・・と言ってみたり。
まるで、恋人か友達かの境界を決めているみたいですね。

桜草様
趣きの違うテンプレートでそれぞれ楽しんでいただける<銀幕>いかがですか?
妖しい月の光の下で・・・レイトショーがいよいよ開幕します。

tako様
降るような星に包まれて過ごす夜。
首都圏だと、城ヶ島の先にそんな場所があったことを思い出します。
まだ空想の初恋に憧れていた時に見た、あの圧倒的な空の下へ、今度は素敵な殿方と訪れたいものですね。

eromania様
ありがとうございます。
FC2にブログを立ててからはeromania様にも随分励ましていただきました。これからも宜しくお願い申し上げます。
<銀幕>。新しい物語をどうぞお楽しみくださいませ。

2006/08/25 11:30| URL | 祥子  [Edit]
コメントフォーム
Name
Mail
URL
Subject
Comment

Pass
Secret
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)