銀幕の向こう側 15
「きっと、私でなければ気付かなかったはずだ。それほどに綺麗に装いと同化していたから、黒のレースのランジェリーだと思ったんだよ。」「ぁっ・・・」
ぷちっ・・・ ブラウスの第一釦がループから外されるのがわかりました。
「そうこの藤色。君が着ていたカーディガンと同じ色だったね。」
「はい・・」
ようやく男性の言葉が、独白なのか質問なのかが・・・少しずつわかってきました。問いかける時は、存在感のある男性の言葉の終わりが必ずわたくしの顔に向けて直接投げかけられるからです。
こんな僅かな声音の違いは、きっと目隠しをしていなければ気付かないままだったことでしょう。
視界を奪われて時間を過ごすごとに・・・肌だけでなく、聴覚までがいつも以上に敏感になってゆきました。
「ふふ はじけそうだね。」
ぷちっ・・・ Gカップの頂きの中央にあった第二釦が、言葉通りはじけるように・・・はずされました。
一方的に視線に晒されてゆく恥ずかしさに、わたくしはふるふると首を横に振ったのです。
「綺麗だよ。キャミソールまで揃いのものを身に着けているんだね。最近はブラジャーの上にそのまま衣服を身につける女性も多いが、こういう時私の期待を高めてくれるのは、君のような慎ましやかな装いをしている女性のほうだよ。」
ぷちっ・・・ 第三釦が外れました。ランジェリーにつつまれた乳房にそっとよりそっていたレースとデシンは、ラッピングが開かれる様に・・・ふわっ・・・とわたくしの腕の上に落ちてきたのです。
この方は、どれだけの数の女性のこんな姿をご覧になってきたのでしょうか。
「みないで・・ください。」
まだ1枚たりと剥ぎ取られてはいないのに、衣服を乱されてゆくその過程を男性に見つめられるいたたまれなさに・・・わたくしは苛まれておりました。
「謙遜することはない。こんな風に着衣を乱されても、君には<端正>という言葉が似合う。<端正>だからこそ、もっと乱したくなる。」
ぷちっ・・・ 第四釦が外されました。もうスカートのウエストラインまでもこの方の眼にさらされていることでしょう。
こんな姿にするくらいなら、いっそブラウスの最後の釦も外してしまってください・・・とわたくしは、思わず口にしそうになって・・・慌てて下唇を噛んだのです。
男性の手は藤色のサテンに包まれたわたくしの腹部を、揃えた指でやさしく触りはじめました。
「だ・め・・・そんな・・ところ・・」
わたくしは、2度の言葉で封じ込められていたにも関わらず、身を捩るようにして・・・男性の手から逃れようといたしました。
お若い女性とは違うのです。筋肉の上には柔らかな脂肪が・・・年相応に乗っているのです。決して男性に誇る様に晒して、愛撫をねだる場所ではありません。
「動くんじゃない。いや、どうせ私の手からは逃れられないんだ、そうして動いて君の筋肉のしなやかさを私に味合わせてくれてもいいんだよ。」
「ゃぁぁっ・・・・」
「多くの男は・・・いや誤解を招くといけない。少なくとも私にとったら、と言い換えた方が正解かもしれないが、薄くて・堅い身体にはあまり興味がない。筋肉の動きを柔らかなボディランゲージに変えるこの身体は魅力的だ。ぴったりと胴を覆う藤色のサテンが、君の身体の起伏をいっそう鮮やかに私に教えてくれているよ。」
男性のこの言葉に、わたくしは身を捩り男性の手から逃れることさえ・・・諦めざるを得ませんでした。
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年齢相応についた柔らかな脂肪を嫌悪する
女性を見かけるけれど、男にとってこんな
魅力的な存在はなかったりする。
抱きしめると包み込まれるような気がする。
触れると柔らかくて温かくて気持ちがいい…。
2006/09/03 15:55| URL | eromania [Edit] - eromania様
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eromania様もこの方と同じことをおっしゃるのね。
きっと、女性の美醜や好悪は男性と違うところに
マスコミや流行などといったものに支配されて
存在しているものなのかもしれません。
自分自身では美しくないと思っている部分を
好きだと言われると
戸惑いと喜びの両方に襲われてしまうのです。
2006/09/03 17:06| URL | 祥子 [Edit]
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