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外伝2/レンジローバーの帰り道 12

いやいや、まったく私も石塚さんに毒されたかな。
別に祥子さんとセックスやアブノーマルなプレイをするだけが私の望みではない。確かに彼女と肌をあわせると、信じられないほど男になれる。でも、そんな快楽のための相手として彼女が欲しい訳じゃない。
あのマリエだってあんなプレイに使うために開発したわけじゃない。私との結婚式の時にノートルダム寺院で彼女に着せることをイメージして、デザイン開発させたブランドのものなんだ。
どうしてもこのメンバーで逢うと競う様に彼女と肌をあわせたくなってしまう。きっとそれは同性の眼からみても見事だと思うこの2人に(いや、本心では若い望月くんのことだって、恐れている。いつ祥子さんの気持ちが彼の純情に傾くか・・・と)渡したくないと思うからなのだろう。ほかの人たちに祥子さんを渡さない一番簡単な方法は、抱きしめて離さないことだから・・・。
けれど、できたらゆっくりと祥子さんと話す時間がほしい。もっと、彼女自身のことが知りたい。何を喜び、何を好み、何を悲しみ、何に怒る人なのか・・・どんなことに、心からの微笑みを見せてくれるのか。

ああ、私は祥子さんに<恋>しているんだ。

「陶器のことや、お酒のこと。たまたま好みが一緒だとしたら嬉しいが、そうでなければ彼女の中にどれだけの教養が詰まっているのか想像もつかないね。」
「ええ。」
「・・・はい。」
どれだけの間、私は自分の心の中の声に囚われていたのだろう。
石塚さんの言葉に私はほんの少し遅れて間の抜けた返事をしたようだ。
「箱根では、宿の庭木の名前を歌う様にして教えてくれましたよ。」
確かにそうだ。祥子さんと居て、話題に困ることはない。私達が手を尽くして準備したものは、必ず彼女には解るようだった。
「女性だから婦人服に詳しいとは限りませんしね。毛皮にしてもドレスにしてもちゃんと価値と良さを解って着こなしてくれる人はそうは居ません。」
「そうだな。また、それが似合う。祥子さんに持たせると、華がありすぎるほどの陶あんの器がしっとりと落ち着いて見える。大抵の場合には『馬子にも衣装』で持つ人間が位負けしてしまうような器なんだがな。」
「ええ、望月もそう言っていましたよ。石塚さんから注文を受けた時にはなんて華美な器をこんなに揃えるんだって。でも、祥子さんをお迎えする時用のものだと言ったら黙ってあれだけのものを手に入れてきたんです。」
「望月くんもなかなかやるな。」
「石塚さんがそう言っていたと、聞かせてやりますよ。きっと喜ぶ。」
「いやだめだ。絶対言うなよ。祥子さんと2人きりでドライブをしている奴を喜ばせることなんてない。」
わははは・・・ 石塚さんの言葉に思わず爆笑してしまう。
「たしかに・・・ははは・・そうですね。美貴、絶対に言うなよ。」
「はは・・・解ったよ。」
ルームミラーの中の結城くんの眼が、不思議そうにこちらを見ていた。

たしかに、突然の私達の笑いは彼女にはなにがなんだかわからないことばかりだろう。
笑いの衝動が収まったところで、『心配ないよ』という気持ちを込めて結城くんの眼を見つめて微笑んでみせた。運転手にして1年のうちに出来た結城くんとの無言のコミュニケーションだ。 コメント
しかし、ほんとに見事ですね。
自分を主人公にしながら、回りの人物の粒さな性格や
その性癖まで、ここまで細かく設定されてると、
実在する人物がいるとしか思えないですね。

地位を持った男だからこそ様々な場数を踏んだ男だからこそ、その祥子の魅力に取り付かれてしまう..

そうなるとその人達と関係を持ってしまう祥子って..
ほんとに落としたくなるほどオトコにとって
魅力的な女性なんでしょうね。

ふふ、妄想が膨らみますね。


あ、コメントありがとう。
ただ、ちょっと勘違いもあるようなので、
幾分長めのコメレスしておきましたよ。(^^)


2006/12/09 12:18| URL | melto  [Edit]
melto様
ありがとうございます。
そう仰っていただけて、作者冥利につきますわ。
このお話は<物語>ですから実在の人物はおりませんの(笑)。
でももしかしたら居るのかも・・・と思っていただけるだけで、成功だと思います。
そう言っていただけてとても嬉しいです♪

melto様のブログのコメントの件
丁寧なレスありがとうございました。
簡単ですが、レスのレスをさせていただきました。
お詫びと御礼を申し上げます。
これからも・・・わたくしがお邪魔するのをどうかお許しくださいませね。

2006/12/09 13:51| URL | 祥子  [Edit]
全然大丈夫だよ。
コメレスのコメありがと♪

まだ、返事はしてないけど、またしとくね。

俺は俺の本心を判ってもらえてなかったことが
辛かっただけだから、判ってもらえただけで、
うれしいよ。

また、いつでも遠慮せず来てね♪
俺もまた来るから..

追伸)
え~..ほんとに実在する人物はいないの~?(ニヤリ


2006/12/09 15:20| URL | melto  [Edit]
melto様
ふふふ、わたくしだけ♪かも

2006/12/09 16:56| URL | 祥子  [Edit]
>彼女は何を喜び、何を好み、何を悲しみ、何に怒る人なのか・・・。
>どんなことに、心からの微笑みを見せてくれるのか。


彼女のことをすべて知りたいと思うエナジーが恋の源で
あり始まりでもある。

たとえその先が茨の道でもね。


2006/12/09 20:39| URL | eromania  [Edit]
eromania様
わたくしを好きになる事は<茨の道>ですか?(笑)
そんなに冷たくも厳しくもないつもりなのですけれど、ほほほ♪

でも、こうしてセックスの対象としてだけではなくてもっと知りたいって言って頂けるのは女としてなにより幸せなことですわ。

2006/12/09 20:48| URL | 祥子  [Edit]
こんばんは~
ご訪問ありがとうございました^^

お話をお書きなのですね。
想像力が豊かな方って素敵ですね・・・ 
私はどちらかというとノンフィクションタイプなので、尊敬します^^

色白で胸が豊かって少し共通項かもしれません(笑
もっとも祥子様のお胸にはかないませんが (/∀\*)キャハ★

またお伺いさせていただきますね。


2006/12/10 00:04| URL | おらんじぇ  [Edit]
おらんじぇ様
ようこそいらしてくださいました。
ノンフィクションを綴り続けることもとても素敵なことです。今度はおらんじぇ様のお胸の話を読ませていただきますね♪
これからもぜひお越し下さいませ。
わたくしも伺わせていただきます♪

2006/12/10 00:09| URL | 祥子  [Edit]
深い教養をたんにひけらかすのではなくて、
>謡うように教えてくれる
とは。
人を心地よくさせてこそ、ほんとうの「教養」なのですね。
いつも控えめで、受け身でいて。
それでいながら、うてば響くような応えがかえってくる。
そんな祥子像を、彷彿とさせます。

2006/12/10 10:40| URL | 柏木  [Edit]
柏木様
お恥ずかしいですわ。
そんなつもりは毛頭ないのですが・・・あの箱根の宿でもたまたまお庭が見事だったのでそんなお話になっただけですから。

2006/12/12 00:35| URL | 祥子  [Edit]
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