EVE 2
「久しぶりだね 祥子さん。」「ご無沙汰しております。美貴さんはお元気そうね。今夜はお1人?」
「勿論。」
美貴さんの右側の椅子・・・はじめてこのバーにうかがったときに座った椅子を薦められたのです。
バーテンダーさんに引かれた椅子に、わたくしはすとん・・と腰を下ろしました。
「いらっしゃいませ」
こちらのマスターが・・・お逢いするのは梅雨時に山崎さんと伺ったとき以来でしょうか。熱いおしぼりをお持ちくださいました。
手袋の苦手なわたくしには、ほっとする温かさです。
「マスター、日頃の行いがいいと、ほらこうして素敵なプレゼントが貰える。」
「わたくしがプレゼントですの?」
「祥子さんに逢えたことが、さ。」
いつもは厳しいオーナーの、嬉しそうな顔にマスターも笑みを浮かべてわたくしの前にコースターを置いてくださいました。
「私共からは、こちらをプレゼントさせていただきます。」
まるで手品のように・・・マスターは、今度はフルートグラスにカットした苺を入れたシャンパンを出してくださったのです。
「Merry Christmas!」「Merry Christmas!」
「ははは、イヴ・イヴだけどね。」
「ふふふ♪
美貴さんはカルヴァドスの香り漂うロックグラスを上げました。
わたくしはもちろんシャンパンでお応えしたのです。
週末の土曜日。まだ23日でしたが、ちょっとこんな風に乾杯がしたくなる楽しい気分が漂っておりました。
「祥子さんこそ1人で、珍しいですね。」
「ふふふ、わたくしはいつもこちらに伺うときは1人でしょう?」
「あはは、そうでした。今夜は?」
「お友達とパーティをした帰りなんです。」
「ほう。」
「若い女の子達ばかり10人で、ね。みんな優しい恋人が迎えにきたので、わたくしはひとりこちらでお酒を楽しもうと思って伺ったのよ。」
「祥子さんだって、その気になれば迎えにきてくれる男性の一人や二人簡単に用意できたでしょうに。」
特にオーダーもしないのですが、わたくしの好みをご存知のマスターがフルーツと生ハムを使ったオードブルを並べてくださいます。
先ほどのパーティでいただいたマムよりも、少しドライなドンペリニョンにぴったりのお味でした。
「ふふっ、そんな素敵な恋人はおりませんもの。ところで美貴さんは?」
「ああ、僕はね。」
「お電話繋がりました。」
話しかけた美貴さんはマスターから電話の子機を受け取ると、わたくしにごめん・・と手を上げて電話に向かって話しはじめました。
「いま、どこだ?」
「ん、ちょうど良かった。前に預けていたブルーの紙袋あったろう。セルシオのグローブボックスにしまっておいたやつ。」
「そう、それ。持って来てくれ。」
「ああ、ここにいらしている。ああ、祥子さんだ。」
「それだけでいいよ。気を付けて来てくれ。」
「どなた?」
多分・・・美貴さんのお話様でだいたいの想像はついていました。
「望月です。そうですね20分くらいで来るかな。」
「ふふふ、よかったわ。誰かお約束の美女からのお電話かと思ってドキドキしちゃった。」
「そんな電話なら繋がないよな。」
「はい。」
美貴さんから子機を受け取って、マスターがおどけた返事をなさいます。
もう・・どこまでが本気なんだか♪
- (ё_ё)キャハキャハ
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祥子さん。お気持ちに♪が付いてますよ。
美貴さんに会えた事。
望月さんが20分したらやってくる事。
さて、どちらのせいで、この♪が付いてるのかしら。
どちらにしてもステキなクリスマスになりますように。
2006/12/23 11:10| URL | さやか [Edit] - さやか様
-
さやか様のコメントにも、上手く隠してみせない様にしてますけれど♪が沢山ついてますわ。
一人きりの美貴さん。
もしかしたらこのバーでははじめてのシーンかもしれませんね。
まだ、いまならさやか様の独り占めですよ♪
2006/12/23 20:08| URL | 祥子 [Edit]
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