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EVE 5

「いまの社長にあたる石塚さんのお兄さんには子供がないそうなんです。石塚さんは離婚したとはいえ、息子が一人。何を思ったか、会長である父上から息子を日本へ連れ戻せ・・・と命令が下ったみたいです。
もう、耕市くんも立派な大人ですからね、クリスマスを過ごしに行ってあげないといけないわけでもないのでこの数年は足を向けなかったらしいですが、今年はそうは行かないようでぶつぶつ言いながら3日前に旅立ちましたよ。」
「そう、大きな会社の社長さんも大変ね。」
「ええ、それで石塚さんが留守の今日、祥子さんと過ごしたと知ったらあとで酷く悔しがるでしょう。」
「ふふふ、そんなこと。で、山崎さんは?」
わたくしはもう1人の方の消息を訪ねたのです。
今日は左に座る美貴さんも、右に座る望月さんもわたくしに触れてはいらっしゃいません。大人しくお行儀よくされてらっしゃいました。
それでも、なぜかお二人からは熱気のようなものが流れ出して来て、心地良くわたくしを包んで下さいました。
「山崎様は中国です。今回は北京の少し奥だとおっしゃってました。」
望月さんの前には、2杯目のお酒が置かれていました。今夜はリラックスされているのでしょう・・・すでにラムのオンザロックを召し上がっていました。
「中国っていうことはお仕事なのね?」
石塚さんがプライベートでカリフォルニアなのです。山崎さんは違うのではないかも・・・と思いながらつい確かめてしまいます。
「ええ、縫製工場の業務提携のための訪中だそうです。このごろ中国の南では工賃も上がってしまうので、北の奥の方にも進まざるを得ないみたいですね。」
美貴さんが詳しく聞かせてくださいました。

「それは・・・たしかに中国は旧正月だから、クリスマスだ年末だといってもいつもの週末や月末と変わらないとは聞いていますけれど。そんな時期まで大変だわ。」
「国際電話で、祥子さんのいまの言葉を聞かせてやったら、山崎のことだから感激して帰ってくるかもしれませんよ。石塚さんにも掛けてみましょうか。
国際電話で、いやがらせ。いいな・・。ふたりの悔しがる顔が眼に浮かぶようだ。」
本気ともつかぬ真面目な顔で、美貴さんがそんなことを口にします。
「もう、そんなことなさらなくたって宜しいじゃないの。」
「いや。この一年の間、僕以外のだれかが祥子さんと一緒だと聞かされるたびにどれだけ悔しい想いをしたことか。やっとその想いをあの二人に・・・。」
「わかりました。それじゃ、今夜は美貴さんの気が済むまでわたくしがお付き合いいたしますわ。」
カウンターの上、ロックグラスの脇になにげなく置かれた美貴さんの大きな手に、わたくしは左手を重ねたのです。
「石塚さんも、山崎さんも大変な想いをなさっている時に、そんな電話なんてしちゃだめよ。わたくしに免じて・・・お願い。」
右隣の望月さんの表情は、背中になっていてわたくしにはわかりませんでした。
今夜を美貴さんと過ごすと口にしたわたくしに嫉妬を感じさせるような表情を浮かべているのでしょうか?それとも、アイスドールのような無表情でわたくしたちをご覧になっているのでしょうか。
「祥子さんにそこまで言われたら、我慢するしかないじゃないですか。もう、勝てないな。約束ですよ。」
「ええ。」
わかったわ、というふうにわたくしは頷きました。
たしかに美貴さんのおっしゃるように、石塚さんや山崎さんや望月さんとはお逢いしていましたけれど・・・美貴さんだけとは一度もお目にかかれなかったのです。
この週末。溜まった疲れを取ろうとお休みするつもりでおりました。
この方とご一緒なら、それなりの楽しい時間を過ごせることでしょう。
望月さんへは・・・いえ、彼ならわたくしのこの気持ちをきっと理解してくれることでしょう。

「ああ、そうだ。望月、持って来てくれたか?」
「はい。これですね。」
望月さんがカウンターのわたくしの眼の前に置いたのは、小さなブルーの紙袋でした。
見覚えのあるシルバーのスワンのマーク。
「祥子さんにクリスマスプレゼントです。」
「あら、本当に?」
「思いついて手に入れたものなので、高価ではないですがきっと似合うと思って。開けてみてください。」 コメント
Merry Chrismas!
さすがにこの時刻となりますと。ご来客も少ないようですね♪
>国際電話で、いやがらせ
イケませんよねぇ。^^;
こういう聖なる夜に、そんなことを考えては。
止めに入って正解です♪
貴女の素敵な夜に、乾杯☆

2006/12/24 20:40| URL | 柏木  [Edit]
メリー・クリスマス
クリスマスイヴに間に合いました。
上旬に、サンタクロースになり、クリスマスコンサートをやってしまったので、もうクリスマスは終わっていました。
我が家にはサンタ服がありますよ。また来年使おうと思っています。

中国で年を越したことがあります。
さすが元日は休みでしたが、後は通常業務。
その代わり、旧正月は見事といってよいほど人がいなくなりました。みな、故郷へ戻ってしまったようです。
北京の奥ではさぞ寒いでしょう。お気の毒です。

大好きな望月さんと、素敵なイヴを!

2006/12/24 21:24| URL | masterblue  [Edit]
想いという名の熱気をオンザロックが冷ます。
愛しい人がそばにいるよ…なんて電話されたら
何も手に付かなくなりますよ、残酷(笑)。

それにしてもプレゼントの中身が気になるなあ…。

2006/12/24 22:07| URL | eromania  [Edit]
こんばんわ。

イイ夜、してますか?
社交性に乏しいウルフも思わずごあいさつ
したくなって…。

クリスマスイヴ…
貴女にハッピーが降りますよーに。

それにしても…、
なんて夜の香りなんだろー。

2006/12/24 22:47| URL | ウルフ  [Edit]
Merry Christmas♪
冷たい夜も、愛する人と肌を合わせるためには都合がいい?(笑)
今夜は奇しくも4人の殿方が、集ってくださいました。
わたくしは幸せ者です。

柏木様
あいかわらず美貴さんはおっしゃることがお茶目です。
でも、本気でなさりそうだったのですもの。
びっくりして止めてしまいました。
そのかわり、わたくしは今夜は美貴さんと過ごさなくてはいけないのですけれど・・・。

masterblue様
お国柄というか、年末年始もすぐお隣の国ではまた違うのですね。
近いところですと、沖縄もたしか旧正月でお祝いをしていたような記憶があります(あまり正確な記憶じゃないです。間違っていたらごめんなさい)。
山崎さんにも、masterblue様のコメントきっと届いていると思いますわ。

eromania様
たとえば・・・京都にいるならともかく、海外ではほんとうに嫌がらせになってしまいますものね、お電話。
プレゼントは・・・この方達はほんとうにことあるごとになにかを求めてくださっているのですね。
わたくしもわくわくです。

ウルフ様
ようこそお越しくださいました。
夜の香りに噎せて・・・染まって・・・
ウルフ様のフェロモンをまき散らしていってくださいませ♪
ウルフ様にも素敵な夜が訪れる様にお祈りしておりますわ。

2006/12/25 00:11| URL | 祥子  [Edit]
 おやおや
Merry Chrismas!
 この展開は、望月さんには酷ですねぇ・・・・。
さやかにとっては
思いもかけないクリスマスプレゼントですけど(笑)
美貴さんの活躍と望月さんの苦しみを一度で見られるなんて♪


2006/12/25 01:51| URL | さやか  [Edit]
さやか様
ふふふ、やっぱりここに注目してくださったのですね♪
これはさやか様のためのサービス・シーンです(笑)。
美貴さんはご存知ないのでしょうけれど、お逢いしていない1年の間に望月さんとは関係が深まっておりますから・・・。望月さんは、穏やかではないでしょうね、きっと。

2006/12/25 07:07| URL | 祥子  [Edit]
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