EVE 7
「サンタじゃなくても、こんなに素敵なのに。解っているでしょう。」今夜美貴さんとご一緒すれば明日迎えにきてくださるのは望月さんなのです。
いま、ここで『望月さんは?』と口に出せば・・・美貴さんは望月さんも引き入れて・・・結局二人きりの時間は持てなくなるでしょう。
それくらいなら、今夜望月さん以外の男性に乱される姿を見せる事なく、明日の夜をたとえつかの間でも望月さんと二人で過ごしたいと思ったのです。
「それとも、美貴さんと一緒がいいの?」
望月さんが首を横に振ります。
「ね、明日の朝迎えに来て。明日は一緒にいられるわ。」
今度はわたくしが望月さんの耳元に唇を寄せたのです。彼にだけ聞こえる声で・・・。
「わかりました。」
わたくしに向かってはっきりおっしゃった答えは、美貴さんがこちらに戻ろうとされていることを教えてくれたのです。
「ん~、仲がいいなぁ。」
「美貴さん、酔ってらっしゃるでしょう。いつもと変わりませんわ。ねえ、望月さん。」
「はい。」
「そうかなぁ。」
美貴さんは首をかしげながら、カウンターに腰を下ろされました。
いつのまにか奥のボックス席は満席になり、カウンターの反対の端には2組のカップルが座っていたのです。
「マスター、最後の乾杯のシャンパンを頼む。」
「はい。」
「望月さんはいらしたばかりなのに。」
きっとホテルの手配も取れて、移動のためのタクシーもこちらに向かっているところなのでしょう。
「いいよな。」
「はい。もう随分いただきましたから。」
振り向くわたくしの瞳を見つめて、望月さんはそう答えたのです。
「祥子様、今年のお正月は?」
「今年は、田舎で過ごす予定ですの。」
「そうですか。いえ、ばたばたしていてお誘いできなかったので、どうなさるのか気になっていたんです。」
「お気遣いありがとうございます。」
「今年はご一緒できないのか、淋しいな。」
「はい。」
1年前のあの4日間を、まだお二人ともに忘れていらっしゃらないのがわかりました。
「もう、これからご一緒するのに。」
「あははは・・・欲張りだね。」
「そうですわ。」
お待たせしました マスターが3人の前に3つのシャンパングラスを並べてくださいます。
「これからの祥子さんとの時間に。」
「皆様のご活躍に。」
「メリークリスマス♪」「メリークリスマス♪」「メリークリスマス♪」
祥子からの手紙ー18
今日三度目の乾杯でグラスを開けるとほぼ同時にタクシーが到着したと知らせがありました。
わたくしは来たときと同じにミンクを羽織り、クラッチバックだけを持って地下のバーを後にいたしました。
待っているタクシーは2台。
その1台にわたくしは、美貴さんと二人で乗り込んだのです。
「明日電話する。迎えに来てくれ。よろしく頼む。」
「はい。」
美貴さんは望月さんにそれだけを言うと、見送ってくださる彼を置いていつものタワーホテルへタクシーを向かわせたのです。
翌朝。まだバスローブだけを纏っているわたくしに、シンプルな黒のドレスとランジェリーの一式を揃えて持って来てくださったのは望月さんでした。
二日酔いだったのかもしれません。
まだ少し眠りたい・・・とおっしゃる美貴さんを置いて、わたくしは望月さんにセルシオで送っていただきました。
もちろん、自宅の前に望月さんのお部屋に寄り道いたしましたけれど♪
お二人との夜のことは、また機会がございましたらお話いたしましょう。
(もちろん、知りたいっていうリクエストがございましたら・・・ですが(笑))
クリスマス・イヴ・イヴの物語は、ここまでです。
みなさまも素敵なクリスマスの思い出ができましたでしょうか。
- 遅まきながら・・・・
-
今年の桜草へのクリスマスプレゼントは「熱」だったようです。
23日~24日まで熱にうなされて夢を見ていましたよ。はい・・・祥子様の。
なんて冗談はいけませんね。
祥子様が素敵なクリスマスを過ごされている時に桜草は「冷えピタ」をおでこにはり体温計を口にはさみふうふう言ってました。
遅くなりましたが、メリークリスマス♪
2006/12/25 22:27| URL | 桜草 [Edit] -
さらりと上品な、すてきな短編に仕上がりましたね♪
美貴さんとひと刻を過ごしながらも。
望月さんだけとの夜も迎えたい。
なかなか不自由?なことですが。
どうやって切り抜けるんだろう?ちょっとワクワクしながら読ませていただきました。
美貴さんファンも、望月さんファンも満足な、だれもがハッピーなクリスマスだったようですね♪
投票もしましたが、語りたりなかったであろうお話。
あらためてゆっくりと、うけたまわりたいものです。^^
>桜草さま
あらあら。大変だったのですね。
さいきん、ご無沙汰だなぁって思っていたのですが。
心から、お見舞い申し上げます。
寒い季節ですから、無理しないでくださいね。
>祥子さま
私信につかってしまい、ごめんなさい。m(__)m
ほかならぬ桜草さまのことですから・・・お赦しいただけますよね?
2006/12/25 23:31| URL | 柏木 [Edit] - 熱を冷ますような...
-
目を覚ましたら、東京の街はしっとりとした雨に包まれていました。
クリスマスの狂騒を冷ますような、神様の配慮に思えたのはわたくしだけでしょうか?
桜草様
お身体大丈夫でしょうか?
今年の風邪はなにもかもが過剰なようですね。
日常のことがあると寝込んでばかりはいられないですけれど・・・どうか早くお元気になってくださいね♪
柏木様
恐れ入ります。
昨晩スタートしたアンケートもすでに45票。
中には、このまま終わりでも・・・と言って下さる方もいらして、この物語を楽しんでいただけたのだと、ほっとしております。
今日からは、年末の第九♪
また集中連載になってしまいますが、どうぞお楽しみくださいませ。
私信・・・いえいえどうぞ
桜草様はブログやHPをお持ちではないので、こうしてお見かけしたところでお話をなさりたいですものね♪
構いませんわ。
2006/12/26 07:41| URL | 祥子 [Edit]
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