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梅雨入りから・・・

爽やかな風と密度の高い湿度が交互に訪れる様になると、そろそろ梅雨入りを意識します。
雨の季節はちょっと憂鬱だけど淑やかに華やかな花達に囲まれる季節。
今年は凛とした美しさの漂う水辺にご一緒しましょうか?

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その菖蒲園があるのは実は山の中。
丁寧に整地された公園は、菖蒲の時期が終わると一株一株手作業で株分けをして翌年の花の時期を待ちます。
花の時期ではない数ヶ月間に、池は様々な意匠を凝らされてお客様の訪れを待つのです。
今年の八つ橋をイメージした水路も、カメラ越しに見ると花菖蒲にぴったりなロケーションに思えました。


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「その黄色い花は<愛知の輝>って言うんだよ」
何度かこの公園にカメラを持って出かけるうちに顔見知りになった公園の管理人の方が教えてくださいます。
「ちょっと地味だけどね。花だけでなく葉も明るいグリーンだから、この一角のいいアクセントになるだろ」
「そうですね。なんとなく菖蒲園というよりもイングリッシュガーデン風な感じですよね。花も低い位置で葉に埋もれる様にして咲いてますし。」
「綺麗な黄色の花なんだ。こんなに引っ込み思案じゃなければもっと目立つのになぁ」
「ふふふ 言われてみればそうなんですね。美人さんなのにもったいない」
「だよな。今日はたくさん咲いてるからゆっくり見て行ってくれな」
「はい♪ ありがとうございます」
会釈をした頭を上げた時には、管理人さんはもう次のコーナーに花殻を摘みに向かっていました。


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ゆっくりといくつかの池をつなぐ木道をゆくと、その先には睡蓮を取り囲んで植えられた花菖蒲があります。
そこから、公園の中の東屋まであと少しです。
「花菖蒲とかきつばたとあやめの違いを解りますか?」
丁度反対側の池の畔でネイチャーガイドの男性が、4人組の女性たちに説明をしています。
「花びらの枚数で決まるとか?」
「ええっそうなの?」
「でもこのガイドブックには3枚の花びらのものも、4枚のものも6枚のものも・・・みんな花菖蒲だって書いてあるわ」
「前に花の付け根の模様が編み目なのがあやめだって聞いたことがあるけど」
「そうですね。あやめは綾目といって編み目のような柄があるのが特徴とされています。」
すごいわ 流石に博識ね さとみさんたら物知りだから・・・
ほんの少しの妬みが含まれた賞賛が、さきほどの黄色の花菖蒲のような儚げな雰囲気の女性に浴びせられます。
それを照れくさそうに顔を伏せる風情までまさに、さきほど見た愛知の輝そのものです。
「花菖蒲と杜若の違いは葉の形状にあります・・・・」

ネイチャーガイドの方の声を遠くに、わたしは足許の花にカメラを向けます。
そうね・・・こんなに違って見えても同じ花菖蒲なのよね。
3片の花びらの凛とした花と、しなやかに6片の柔らかな花びらを広げるたおやかな花。
2種類の花が不思議な調和を池の端で繰り広げています。
その向こうの睡蓮も小さな花芽をもたげはじめているようです。

どちらの生き方をしても花菖蒲であることに変わりはないのよね。
どちらの生き方も出来るのね。 優しい睡蓮たちに見守られながら。


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東屋の脇、公園の丁度中程にはその先の池と公園を囲む森林を見守るように咲いている一株の花菖蒲がありました。
雨が落ちそうな不思議に明るい曇り空を映した池がただ一人そこにいる彼女を守っているようです。
「この花はね、今年株分けするんだよ」
たくさんの花殻を摘み終えた管理人さんが、いつのまにかわたしの隣にいらしていました。
花殻は集められて、花の汁を絞って、草木染めの材料になると以前に教えていただいたことを思い出しました。
「その先の池に来年はたくさんそれと同じ花が咲くよ。また来年も見においで」
わたしはどんな顔をして、この一輪を見ていたのでしょう・・・
「そうだったんですか。一株ぽつんと寂しそうだったけど、心配なかったんですね」
「あははは そんな風に見えたのか。大丈夫だよ。来年はこの池も賑やかにするからね」
「はい。でも・・・あの・・今年もまだあと何回か来てもいいですか?」
「あぁもちろん歓迎するよ。こいつらの綺麗な姿をたくさん撮ってやってくれ」
「はい♪」

そろそろ花菖蒲祭りのはじまる時刻なのでしょう。
来場者の数が続々と増え続けています。
今年も山の中の菖蒲園は盛況なようです。 コメント
きれいな写真をありがとうございます。
 祥子様
 きれいな、菖蒲の花々。私は菖蒲といえば紫。せいぜい知って黄菖蒲。それくらいしか知りませんでした。
 色々な色の花をした菖蒲があるのですね。
 一つ勉強になりました。
 前々から写真はお上手だと思っておりましたが、ますます、腕をおあげになっているようで、羨ましい限りです。
 この場所はどこらあたりなのでしょうか。
 オッと、聞かぬが花。
 よい場所は自分で探して、独り占めする。それくらいの意地悪は誰にでも許されることでしょう。

2009/06/15 20:12| URL | オーバーチュア  [Edit]
昨日は家族と
今日は彼と
私も、いくつかの菖蒲園巡りをしてきました。

紫、と言う色、大好きなのですが
いつも菖蒲園へ行くと
同じ紫と言えど、こんなに微妙な色彩の違いがあるのか…と
紫のグラデーションに、うっとりと浸ってしまいます。
決して手折りたいと、思うのでなく、
この花々の中に、いつまでも、留まっていたいと思わされるのです。

菖蒲の株は5年もすると、大きく成熟しすぎて衰えてくるのだそうですね。
だから、株分けして行くのだそうで。
それにしても、菖蒲の花の名は、本当に風雅な物が多くて、それを読んでいるだけでも、しっとりと素敵な気分になってきます。
交配は、きっと大変な作業なのでしょうけれど、見事ですよね!!

以前、佐原の十二橋巡りに出向いたのですが
ちょっと時期が早くて、寂しかったのです。
いつか盛りの時に、彼とサッパ舟に揺られてみたいと、密かに思っています…。

2009/06/16 01:56| URL | るり  [Edit]
水際に咲く美しい花菖蒲を眺めていると時間が
止まりますね。

花写真に水辺が映り込むと穏やかさが、さらに
増すような気がします。

ほんと♪しばらく拝見しないうちに、写真の腕は
さらに上がりましたね。

2009/06/16 22:10| URL | dreamcat  [Edit]
> どちらの生き方も出来るのね。 優しい睡蓮たちに見守られながら。

このフレーズ、とても心に沁みました。
人の一生が、花ならば。
華の彩りは、人の数ほどあるのでしょう。
心洗われるひと刻を頂戴しました。
ありがとうございます♪

2009/06/17 07:07| URL | 柏木  [Edit]
曇っている日だったのでしょうか。。。夕刻だったのでしょうか。。。

少し薄暗い空気の中であるのに凛と美しく咲き誇る花々、まるで祥子さまのようです。

2009/06/17 16:51| URL | 敦子  [Edit]
私は皆様と趣きが違うかもしれませんが..

この中で一番心を奪われるのは1番目の写真でした。

水路の赤褐色に対比する葉の緑、紫の花びらがよく映えてて..
そしてその水路は遠慮がちに..
奥へ奥へと脈々と澄み切った水を流し込む..

一番地味で、一見、その景色を邪魔してるように見えて、
実は裏方に徹し、その花たちを誇らしげに、そしていつまでも瑞々しく保つため、ひっそりと無機質に、ただただずむその姿..

その2つが水園を飾る重要な主人公..
ひとつの構図にうまく重なり合って見事なコントラストを表現していて心を震わせます。

残りの写真も構図がよく、花が誇らしげに咲居てる様子がきれいですね。


2009/06/17 19:00| URL | melto  [Edit]
ありがとうございました
梅雨入りしてから雨の少ないむしむしした毎日が続いている東京です。
昨年は紫陽花でしたので、今年は花菖蒲園めぐりをお届けしてみました。
実は、この時のお写真が全て整理出来ているわけではなくて、わたくしの携帯待ち受け用に先行して加工したお写真の中からアップさせていただきました。

オーバーチュア様
早速のコメントありがとうございました。
菖蒲園といえば、大抵が河川の側というのが定番ですがこんな山に囲まれた場所にもあるんですね。
昭和記念公園とか神代植物公園などの植物園の中にある花菖蒲園でもう少し規模の大きなものと思っていただければよろしいかと思います。
年々、いろいろな花が増えているので、今年こそは堀切菖蒲園でもと思いながら・・・またここに来てしまう(笑)不思議な場所です。

るり様
船にゆられて河からみる花菖蒲。
わたしも憧れのひとつです。
いろいろな場所をご紹介いただきながら、まだ一度も行っていないのでぜひ来年こそは・・と思ってます。
でも、きっと船に乗らずに岸からカメラを構えていそうですが(笑)
どなたとご一緒でも、想い出が増えることが嬉しいと思う今日この頃です。
たった一人でカメラを構えていても、このストーリーのような人とのふれあいに自然に微笑む自分自身を感じてほんのりと幸せになれます。

dreamcat様
花を写す時、いつも悩むのが植物の生えている水面や地面を写すかどうか・・・というポイントです。
写真家の先生によると、そういう部分は前ボケなどで隠すのが定石のように言われてしまうのですが、わたくしは花を引き立てる背景として、花の育つ環境の一部として違和感のない範囲で写したいな~~って思ってしまうんです。
お写真として効果的に見えていればいいのですが・・・。
腕は対して上がっていないのですが(笑)カメラのレンズの種類を揃えたので、少しだけ上手に見えているみたいです♪

柏木様
なんとなく独りなのだなと思う時、ふと掛けられる声に『あぁひとりきりじゃないんだ』と思う、そんな気持ちでした。
恋人とか夫とか両親とか兄弟とか。
強い・濃密なつながりが近くにないとなんとなく寂しくなったりします。
でも、実は淡いこんなつながりもわたくしを支えてくれているのだな・・・なんて、カメラを持って出かけるとしみじみと感じることができます。

敦子様
この日は曇り空の午後の撮影でした。
晴天の時と違って水面に移る色が重い鈍色だったのですが・・・・晴天のあまりに強い陽射しの時よりも、花がしっとりと撮れるので急に思い立って見頃よりちょっと早い時期に出かけてみました。
うっすらと漂う湿度の中で、生き生きと見える花ってなんとなく女性らしいと思われませんか?

melto様
水路・橋・・・・
ネイチャー写真の先生方によればこういう人工物は忌諱すべき被写体だそうです。
でも、自然の川辺ではないこの土地に美しい花を咲かせる為に不可欠な水路がデザイン豊かに配されているのを見てついシャッターを押してしまいました。
素朴な・何気ない水路が花の命と未来を育んでいる。
その素晴らしさをつい見逃してしまうのは、わたしたちの日常と少し似ているような気がしました。


コメントのお返事が遅くなって申し訳ありませんでした。
たくさんのコメントありがとうございました。

2009/06/20 16:47| URL | 祥子  [Edit]
一株の花菖蒲に…狩りの手を休め
しばし休憩、沼の側。
降らずの空を見上げる姿が頼もしく、力強く
見えたのは‥多分狩り馬鹿生活のせい(笑)

人工物と花の組み合わせ‥それもひとつの
いのちのカタチだよねと俺は思うんだけどなぁ

2009/06/21 02:06| URL | HAIREI  [Edit]
ありがとうございました2
HAIREI様
狩りの途中のひとときの安らぎになりましたでしょうか?
隣にいらっしゃる方が誰かは気にかかるところですが(笑)
人の手を全く掛けずに美しくある楽園などほとんどないのも事実。
であれば、人の手がかかっていることも含めての美しさを可とする、そのご意見には賛成です♪

2009/06/22 13:14| URL | 祥子  [Edit]
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2009/06/26 16:26| |   [Edit]
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2009/08/27 02:15| |   [Edit]
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2009/09/23 00:48| |   [Edit]
ブログの引越し
 拝啓、去年から居場所が定まらず
いろいろとご迷惑をお掛けいたして申し訳ございません。
今回、ようやく、FC2ブログへ引越しの運びとなりました。
このブログも6年目を数えます。
こんなに長く続けられるとは思いませんでしたが
これからもどうぞ末永くよろしくお願いします。

お手間を取らせまして申し訳ございませんが
リンクの書き換えをお願い致します。
http://maemitearukou.blog.fc2.com/

            スパンキングとSM さやか


2012/07/12 16:44| URL | さやか  [Edit]
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2012/07/23 13:51| |   [Edit]
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