照り返し
庭の白砂が眩しいほどに日差しの強い日になったこの土地に来ているはずのあの女性を
南にぽつんとある花の楽園に誘った

久しく逢っていない
春には美貴と望月くんが嵯峨野に誘ったと言っていた
昨晩は石塚さんと祇園で一献傾けた
綺麗どころを前にして二人が言葉すくなだったのは
今日私が逢う女性のことを思ってのことだった

昨年より1週間早く開いたあやめが見事だ
まるで彼女の訪れを待っていたかのように
せせらぎは季節になれば十二単を着た麗人が
曲水の宴を催すための雅な流れ

案内のままに進んだ先には
一瞬八重桜かと見まごうほどのあでやかなつつじが出迎える
今日の彼女のランジェリーは何色だろう
ナチュラルストッキングに包まれた柔らかな脚を見ながらふと思う
そして洋服屋なのに今日の彼女が着物姿でないことを
とてももったいないとも思ってしまう

木立の中の路を進んでいるのに
時折差し込む強い日差しが彼女の肌を舐めるたび
白い肌が照り返すうるわしい輝きと
赤く陽に灼けてしまわないかと気が気でない

だれも知らない白い肌と赤い日焼けの
コントラストを一人楽しみたいと思う欲望と
この白い肌に早く触れたいと思う欲望がせめぎあう
ほら、もうすぐそこだ
あでやかなつつじに囲まれた座敷まで
部屋に着いたら雪見障子などおろしてしまおう
なによりも艶やかな彼女の姿を一人楽しむために



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貴女の白い肌を想うと
陽射しにさえも激しい
嫉妬。
白い肌
朱に染め上げるのは
私の仕業でなくては。
2013/05/25 23:02| URL | dreamcat [Edit] - dreamcat様
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他の男性の視線だけでなく
日差しにまで嫉妬なさっていたら
身がもちませんことよ
ふふふ でも思って下さるのは
とても嬉しいです
2013/05/27 09:49| URL | 祥子 [Edit]




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