オレンジの海に
以前に彼女を誘った時はクルージングパーティだった美貴にも山崎にも望月くんにも邪魔されずに
あの夜のように彼女を独り占めするために
今年は桟橋近くのホテルで催される社のパーティに誘った
”花火を一緒に楽しもう”と添え書きしたカードを見て
一度は小さく首を振った彼女
「会社の方のご迷惑になってしまいますわ」
「構わないさ」
「でも」
「一つだけ約束して欲しい
このパーティの間だけは他の男に誘惑されないでくれ」
「そんなこと起こる訳はありません」
その言葉を裏切るように
白い襟足を抜いた濃鼠に紺の絽の着物の彼女を
あの夜と同じように
何人もの男達が眩しそうな視線でとりまいていた
ホテルのマネージャーに
スウィートルームのカードキーを持たせて
男達の中から彼女を連れ出すように指示したのは私だ
部屋まで案内されてきた彼女の帯に手を掛け
一枚ずつ剥ぐのももどかしく
着物ごと抱きしめ襟と身八口から差し入れた手で愛撫し
裾をまくり上げた姿で身体を重ねた時
デジャビュのように窓の外に大きな花火が上がった
今年は〆の挨拶は兄にしてもらった
花火の終盤一枚一枚彼女の身体をおおうものを奪いながら
触れられなかった白い肌に触れてキスしてゆく
ただそれだけの繰り返しにに三度私は猛り
甘やかな喘ぎとしなる白い身体を貪りつくした
あの柔らかく白い肩がオレンジの波が寄せる岸辺を歩いてゆく
昨夜付けた左肩の茜色の印だけが
ひらひらと舞っているように見える
あの涼しい部屋はあと2日私たちのものだ
彼女の甘い蜜を吸うのは
私一人でいい
オレンジの海に彼女をさらわれないように
目の前の白い肩をこの両手で掴んだ
「部屋に戻ろう」
「ふふふ、もう?」
微笑みながら彼女の脚はホテルへと向かう
「お茶ぐらいして行きませんか?
ベッドメイクがまだ済んでいないわ きっと」
鏡のように景色を映す水面が
彼女の艶めく声に ゆらり・・・と揺れた
「ああ、そうしよう」
オレンジの海がざわ・・・と揺れる
まるで彼女を取り上げられた昨夜の男達のように
私だけのものだ あと2日は
そのくらい黙って見ていろ
心の中でそう呟く
手のひらに吸い付く白い肌の感触に
自分の中の牡を昂らせながら
- キバナコスモス?
-
花はキバナコスモスでしょうか。
いつもいつも、素敵な写真でね。M.OOKIさんのセンスと写真の処理に、勉強させてもらってます。
で、欲を言うと、多分明りを消した部屋での密会。花火が上がるたびに、その光で祥子さんの白い肌が一瞬照らし出されたのでしょうね。
その、写真も見たかった、と言ってもMOOKIさんが一緒にいるわけじゃないですね。
2013/08/15 17:29| URL | masterblue [Edit] - masterblue様
-
そういった素敵なお写真は、他のブログさんにたくさんあるのではないですか?(笑)
でも、このお話をそんなふうにリアルに受け止めていただけたなら幸いです。
今回はお花の寄りと引きのお写真の両方がいただけて、引きの光景がまるで夕日で赤くそまった海のようにキバナコスモスの花畑が見えたので・・・そこからのショートショートでした。
ありがとうございました。
2013/08/16 09:16| URL | 祥子 [Edit] - 失礼しました
-
何かとんでもない勘違いと言うか誤解をしてしまっていたようで、ご不快な思いをさせてしまったようです。
申し訳ありませんでした。
M.OOKIさんにもお詫びを伝えておいてください。
2013/08/16 20:07| URL | masterblue [Edit]
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