2ntブログ

銀幕の向こう側 31

「避妊具がないな。君を抱きたいが・・・」
目隠ししたままのわたくしにはわかりませんが、この方はどんな表情でおっしゃっているのでしょうか。
「あの・・」
「なんだい。」
「ピルを飲んでいます。妊娠の可能性はありません。抱いて・・・ください。」
改めてこんなことを問われたことも、口にしたこともありませんでした。
暗黙の了解のようにわたくしを抱かれた方達とは、この方は何かが違いました。

男性の手がバスローブの紐にかかったのです。

「わかった。嬉しいよ。」
はら・・・重みのあるローブの前が開かれます。温もっていた乳房の熱がふっと甘い香りを伴って室内に広がってゆきました。
「君の好きなふうに抱いてあげるよ。どうされたい、言ってごらん。」
男性はまだわたくしに触れてはいらっしゃいません。
ただ、その視線がわたくしの身体の上を這っていることは・・・わかりました。
「おねがいです。逝く時にわたくしの名前を呼んでください。」
「わかった。なんて呼べばいい?」
「祥子です。」
「しょうこ・・・君にぴったりの名前だね。」
「ありがとうございます。」
「祥子、綺麗だよ。」
わたくしの肩を前に倒すと、両腕から一気にバスローブを抜いたのです。
そして、力任せに男性の方へと引き倒されました。

「あっ・・・」
腰を曲げ・・・横様にベッドへと転がされたわたくしの背中の窪みに男性の舌が這ったのです。
「ぁあぁぁ・・・っ・・・」
舌はわたくしの背中をゆっくりと・・・背骨を確かめるかのように這い上がって来ます。
肩甲骨の端を右・左とまぁるくたどって・・・今度は首筋へ・・・。
くちゅぷ・・・ 男性の指がわたくしの花びらを包む丘を開いたのです。
「はぁぁっ・・・」
「さっき綺麗にしてあげたのに、もうこんなに濡れているね。」
男性の声が耳元でします。
「やぁぁ・・」
「祥子はフェラチオをするだけで、こんなに濡れるのかい?」
「ちがぁい・・ま・ぁ・・すぅぅぅ・・」
否定の言葉がなんの説得力も持たないことは、わたくしが一番解っていました。
言葉通り、いまの男性の舌戯だけで、こんなにも溢れさせたわけではなかったからです。男性に拭われた時も・・イラマチオでも・・・わたくしの身体は男性の声と言葉に犯され続けて・・・反応し続けていたのです。
「ああ、もうこんなだよ。」
「ああぁぁ・・・だめぇぇ・・」
男性の左手の指は小指と薬指が真珠を・・・中指と人差し指が花びらと蜜壷を・・・親指が・・・姫菊を・・・同時に触れてゆきます。
そして、その全てが既に蜜に塗れていることを思い知らせるのです。
「また、溢れてくる。祥子は欲しくて我慢ができないのかな。こんなによだれをたらして、だらしないね。」
「ごめんな・・さぁぃぃぃ・・」
男性の言葉は、先ほどまで口にふくませられていたあの塊の感覚を思い出させたのです。はしたなく・・・幾度でも・・・新たな蜜が湧き出してしまうのを、止めることはできませんでした。
「仕方ないね。四つん這いになりなさい。」
男性は指を秘所から抜くことなく・・そう命じるのです。
「・・はぁぁ・・ぃ」
わたくしは、上体を俯せ・・・腰を・・・男性の手に繋がれたままに・・後向きに高く掲げたのです。

銀幕の向こう側 32

ギシっ・・・
「君は本当に従順な極上のMだよ。私のS性をこれでもかと刺激してくる。何も言わなくても白いヒップを高く突き出したこの姿が、その証拠だよ。」
「ああぁぅっ・・・」
男性は指を引き抜くと、一気に昂りを押し入れたのです。
ねじれた・・ごつごつとした形と大きく張り出した先端が・・・幾度もの快楽に晒されて絶頂を味わった胎内を遠慮なく押し広げてゆくのです。
「くっ・・・締まる。こんなに濡れているのに。」
視界を奪われるのは、これほどまでに他の感覚を研ぎすますものなのでしょうか。わたくしの身体は、男性の塊の感触を胎内で確かめようとでもするように・・・いつもより強く掴み・求めているようでした。
「ぃぃいい・・ぁはぁぁん・・・」
わたくしの中を、ごつごつした塊が不規則に抉り嬲ってゆきます。
その感覚はまるで幾人もの方に次々に犯されている時のようでした。
「祥子、いいよ。ああ、いい。」
男性の腰の動きは、お見かけした年齢からは想像もできないほどに激しく躍動的でした。突き上げる度に違うポイントを刺激し・・・掠れているわたくしの声を・・なお・・淫らに引き出してゆくのです。

「逝きそうだ・・・あぁ。」
突然、奥まで入っていた塊を引き抜くと・・・男性はわたくしを仰向けにしたのです。
「祥子の顔を見て逝きたい。」
目隠しのスカーフをむしり取ると、男性はわたくしの瞳を見つめながら一気に奥まで突かれたのです。
「あぁぁぁ・・・やぁぁぁ・・・」
突然に与えられた視界は、わたくしの想像よりもずっと明るかったのです。
男性の塊はわたくしの中に納められ・・・より奥へ・奥へと・・抽送を繰り返してゆくのです。
「ふふ こんなに揺らして私を誘惑するね。」
「ああぁぁん・・・」
男性の腰の動きにあわせて揺れる左の乳房を掴むと、堅く立ち上がった乳首をねぶり・・・甘噛みします。
「ほんとうに敏感な身体だ。こうするたびに・・」
舌が乳首の先端をねぶってゆきます。
「私のものをくいくい締め付ける。たまらないよ。」
「ぁぁぁああ・・・はぁう・・」
もう一方の乳首を甘噛みされて・・・わたくしはもうゆとりを無くしまっていました。
真っ白く意識を蕩けさせる絶頂はもうそこまで来ていました。

「あぁぁ・・ゆるしてぇぇ・・いきますぅ・・ぅぅ・」
「わかった。一緒に逝こう、祥子」
男性は上体を起こすと、わたくしの両脚を肩に担ぎ上げ、腰の動きを凶暴なまでに早めたのです。
わたくしの蜜壷の最奥までにある、全ての淫楽のポイントを刺激する塊に・・・簡単に追い詰められます。
「祥子いいよ ああいきそうだ」
「ああ・・いくぅぅ・・・いっちゃうぅぅ」
「逝くよ、祥子!!祥子!いけっ・・!!!」
うっ・・ 男性は激しく突くと、男性の茂みをわたくしの肌に擦り付けるほどにした腰の動きを止めて・・・熱い精を放ってくださったのです。
ひく・・ひくん・・脈打つ動きが・・・わたくしの身体なのか、男性の塊なのかすら・・・わからなくなるほどの快感が四肢の先まで駆け上っていったのです。

銀幕の向こう側 33

男性は肩に担ぎ上げるようにしていたわたくしの両脚を百合の花びらを開くように放すと、改めてキスをして下さったのです。
「ぁふぅ・・ん・・」
「よかったよ、祥子。逝く君も綺麗だった。」
「ありがとう・・ござい・ま・・した。感じてくださって・・うれしい。・・ぁっ」
わたくしの中に全てを吐出した男性が・・・ひくついておさまらない締め付けに・・抜けていったのです。
「恥ずかしいよ、こんなに出してしまった。」
男性は苦笑いをして、二人の蜜を拭うためのティッシュを探していらっしゃるようでした。
「わたくしが・・・」
まだ、気怠い余韻に浸ったままの腰を曲げて・・・唇を男性の塊へと近づけたのです。
そして・・・舌を・・唇を・・・全てを使って、わたくしの哀しみを慰めてくださった男性への感謝を込めて、塊を清めました。
「ほんとうに、祥子は極上のMだ。」
「あん・・だ・め・・」
芯に残る精液までを啜りとったわたくしの唇に・・・男性はもう一度キスをなさったのです。

「シャワーを浴びておいで。」
「いえ、あの・・・このまま、あなたから頂いたものを納めたままで、今夜は眠らせていただいてもいいですか?」
男性の耳元に唇を寄せて、小さな声で囁いたのです。
「いいよ。祥子は、可愛いね。」
ようやくサイドテーブルから見つけたティッシュを差し出して、男性はわたくしのわがままを許してくださったのです。
「もう、お眠り。朝も近い・・・。」
空はまだ暗かったのです。
でも、その暗さは奥に陽の明るさを秘めた色でした。 
男性の腕の中で、ゆっくりと落とされてゆく照明に・・・微睡みが訪れるのをわたくしは拒むことなどできはしませんでした。


祥子からの手紙ー14

『わたしを愛するなら、わたしの淫らさまでも愛しなさい。』
映画に出て来た主人公の母親は、息子にそう言っておりました。
愛すること・・・愛されること。
その難しさをわたくしは心から愛した男性に思い知らされ
いまもまだ次の愛する方を定めることができずに
彷徨い続けているのです。

わたくしを、わたくしのままにお伝えし解り合うために
もっと自分自身を知る必要があると
昨晩お逢いした男性は教えてくださったように思います。

男性は、仲畑です・・・と
翌朝、朝食のテーブルで自己紹介をしてくださいました。
声優さんをなさっていて
ご一緒に見たあの映画の父親の声の吹き替えを
DVD化に際して担当することになっているそうです。

また逢えるといいですね。
とても私好みの女性ですよ、祥子さんは・・・
仲畑さんはそうおっしゃいました。
それでも、わたくしたちは連絡先を交換することなく
朝のホテルでお別れしたのです。

二人の感性が一緒なら、またいつか映画館で逢えるからね。
そう笑った仲畑さんはやはり上品な紳士でした。

今日も暑い一日になりそうです。
一度着替えに戻って、午後には打ち合わせが待っています。
笑顔で今日を迎えられたことに感謝して・・・
それでは、いってまいります。