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花のドレス

頬を撫でる空気が冷たくなり始めた頃
菊花展へのお誘いをいただいた

伝統的な厚物・管物
見事に仕立てられた千輪菊、懸崖…

その先に広いリビングルームのように
設えられた部屋が一つ

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「ウエディングドレスかしら」
小さな洋花の菊がスカートに敷き詰められた
ウエディングドレスが
花嫁を待つように広間の奥に置かれていた
手にはスプレーマムのブーケ

「これはいいね
 祥子さんに似合いそうだ」
「わたくしにはもうちょっと
 それにリアルに着たら一歩も動けなくなりそう」
「それがいいのだけど」

人目を避けるように唇が奪われてゆく

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「そのソファーでじっと祥子さんを見ていたいね
 ウイスキーでも嗜みながら」

頬を染めるわたくしの手を痛いほど握りしめた

緋色の時

昨夜は酷く責められたはずなのに
ふと目覚めた時は夜明け時だった

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「明日は一緒に曼珠沙華を見に行こう
 祥子さんによく似合うはずだから」
光沢のあるシルクの黒いシャツ姿であの男性はそう言った

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「いつも思うがこんなに緋色の縄が似合う」
両手を 胸を 腰を括り
太い梁に吊りながら
縄の余白の白い肌に指を這わせながら
そう呟いた 

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「鞭は久しぶりか
 身奥に響くだろう
 白い背中に あぁ まるで曼珠沙華のようだ」
熱い吐息を鞭跡にこぼしながら
その上にまた鋭い一振りを加える

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「ここまでしてもまだ感じているのか
 まだ指一本触れていないのに
 こんなに潤わせて」
吊るしていた縄をほどき
足元に跪かせて蜜壺を確かめられる羞恥に
また奥から蜜を溢れさせてしまうのに

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「やはり忘れるなんてできない
 会えてよかった
 明日までまだ何度でも
 登り詰めさせてやる」
身奥に白くとろける精を送り込んだ男性は
今わたくしの隣で
窓から細く差し込む日差しに
シャープな頬のラインを浮き上がらせいる

まだ目覚めないのに
彼の身体が昂っているのはどうしてだろう

起こしてしまいそうで
寝返りも打てないわたくしの胸を
彼の指が探った

蛍 火 発刊

夏の盛りを少し越えたような気候になってまいりました

先月に続きまして<蛍 火>が9月6日に発売開始いたします
(予約は9月4日からだそうです)

初夏のホテル
昼食会を兼ねたパーティーの終わりに
思わぬ男性と再会して始まる
一夜の物語です

どうぞお楽しみ下さいませ

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蛍火のように美しい緑の花火は珍しいものです
決して蛍達だけでは
このような美を奏でることはできませんが・・・

ジューンブライド 発刊

令和最初の梅雨は
日本らしいしっとりとした雨が続きました

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梅雨空の下 美しく咲く紫陽花を巡りながら
リアルの森本さんと思い出のトモくんの間にたゆたう
わたくしの物語<ジューンブライド>が
8月の上旬に発売されることになりました

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少し蒸す天気のはずなのに
思い出は吹雪の中

初めてご一緒する弟のような
森本さんには気づかれないと
思っていたのに・・・

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淑やかな彩の中で出逢い逢瀬を重ねる男性との
初めてのお別れの話でもあります

よろしければ電子書籍でご覧になってみてください


明けましておめでとうございます

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「明けない夜はない」とあの人は言った
「本当にそうかしら」心の中でつぶやきながら
広い背中を見送ったのはいつの日だろうか

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それでも夜は明ける
煌々とした日差しを投げかけながら
側に暖かな広い背中はいなくとも

あけましておめでとうございます
皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます