初雪 57
「仕方ないですね。少し考える時間を差し上げましょう」美貴さんの声に、望月さんがわたくしの手首の縄を解きにいらっしゃいました。
赤い縄を解き・・・帯揚げを解くと、わたくしの肩から長襦袢を引き下ろしたのです。
「ゆるして・・・」
望月さんは無言でした。彼の手にはロフトから垂れた縄とは別の、もう一本の縄が握られていたのです。
抗うわたくしの手首を後にまわすと重ねて後手にくくり、その縄端を乳房の上下にまわして手首の上で留めるのです。
「ゃあぁぁ・・」
白足袋に緋の湯文字・・・白い上半身に赤い縄・・アップに結い上げた髪さえまるで時代劇の中の囚われたの女人のようにわたくしの姿を見せていたにちがいありません。
こんなはしたない姿のままで、4人の男性の視線に晒されながら<是>の返事をするまで言葉責めをされてしまうのでしょうか。
「どうぞ、これをお履きください」
望月さんが、先ほどわたくしがソファーのところに置いたままだったムートンのスリッパを持っていらっしゃいました。
足袋の前に揃えられ、両手を縛められてバランスのとれない身体を支えられながら右・左・・・と足を通します。
「なぜ・・」
傍らの望月さんを見上げて・・呟くように問いかけたのです。どうしてこの姿にスリッパを履かなくてはならないのか、と。
望月さんはわたくしの問いを聞かなかったかのように・・・主である美貴さんを見つめたままでした。
「もう一度だけ聞きます。祥子さん、僕たちの望みを叶えてくださいませんか?」
わかっています。この方達の誘いにお応えしたのです。それは・・・余程の事以外は彼らの望みを叶えると約束したと同じなのです。
でも、剃毛をされてしまうなんて・・・簡単に頷けることではありませんでした。
「だめです・・・どうかそれだけは許してください」
「仕方ないですね。望月!」
「どうか考え直していただけませんか」
望月さんが思い詰めた様に口にした言葉は、美貴さんに対してのものでした。
「僭越だぞ、望月」
今夜の彼の主はいつにない厳しい表情のままだったのです。
強い叱責の声に、望月さんはわたくしの肩を抱いて、リビングの一面を覆っているカーテンの前まで連れて行きました。
「このままお待ちください」
重厚なカーテンを左右に開き止めると・・・そこは床までの硝子戸でした。
ガラッ・・・その一枚をためらいも無く引き開けます。
「あぁっ・・・」
冷気が露になった素肌を刺すのです。
わたくしの素肌は総毛立ちました。
ウッドデッキのベランダは通路となる部分をのぞき、雪に囲まれていました。
「そこで良く考えてください。望月を付けます。僕たちに剃ってほしくなったら望月にそう言ってください。そうですね、これくらいは許してあげましょう」
美貴さんは手を伸ばすと、わたくしの髪をアップにしていた椿のかんざしを抜き取ったのです。
ばさ・・・わたくしのむき出しの首筋と背の中程までをロングヘアが覆いました。
わたくしたちを取り囲むように、いつの間にか他のお二人もいらして開け放たれた窓に向かって立ちはだかっていたのです。
「素直になれない貴女の場所はそこです、祥子さん」
あまりの寒さに怯える表情のわたくしを、冷酷にも連れ出すのです。後を望月さんがついてきます。
「お願い、望月さんは・・・許してあげて」
零下の外気にわたくしの肌は粟立ち・声は身体とともに震えます。後ろ手に縛められた腕を掴む美貴さんが気づかないはずはありません。
「こんな時に望月の心配ですか。それなら素直にここで承知なさい」
「いや・・・」
「わかりました。その気になったら望月にそう言ってください」
ただひと言のいらえに、わたくしに背を向けて・・・美貴さんは室内に戻られてしまいました。
- 寒いのは苦手
-
美貴さん!
これはないでしょう。
さやかは、寒いのは苦手です。
熱くしてくれなくっちゃ。
じりじりと焦げ付きそうなくらいに・・。
熱い展開を期待して待ちます。
2006/05/08 18:17| URL | さやか [Edit] -
こんばんは。
予想外の責めです。
女性の軀は、皮下脂肪の分だけ寒さには耐えられるとは思うものの、氷点下では・・・
祥子さんは望月さんを気遣い、望月さんは祥子さんをいたわり・・・祥子さんは寒さや、冷気の痛さより、望月さんへの深い思いで、耐えられなくなるのではないでしょうか。
遂に頷く祥子さんを期待しています。
この場になると、室内の三人と一緒に、祥子さんが落ちるのをワクワクしながら待っています。
完全にメッキが剥がれています。
2006/05/08 19:45| URL | masterblue [Edit] - ロンドンのような霧雨ですね
-
GWが開けた月曜日は、一転ちょっと憂鬱な曇り空の東京でした。
帰り道の霧雨は、まるでロンドンの11月頃の雨の様で・・・
あのヨーロッパの古都に再び訪れたいと旅心を誘いました。
さやか様
わたくしも寒いのはだめなのです。
でも・・・なぜ、都内ではなくわざわざ雪の別荘まで足を運んだのか。
その理由はここにあったのかもしれません。
外に出された瞬間からわたくし震えが止まりませんでしたわ。
masterblue様
実はこの責めはすでにmasterblue様にはお判りになってしまわれたかと危惧しておりました。
驚きを感じていただけて・・・少しだけほっとしております。
カーテンを開け放った吐き出し窓の向こう、
ダイニングテーブルの4つ目の椅子にお掛けになっている
masterblue様の姿が見えるようですわ。
2006/05/08 20:52| URL | 祥子 [Edit] -
お久しぶりです
ちと病気と闘ってきました
元気に戻ってきたので宜しくね^^
2006/05/08 21:39| URL | Gay [Edit] - 虜
-
帯揚げ、長襦袢、剃毛…。
ごめんなさい。祥子さんの操る言葉で勃起しました。
続きが早く読みたいです。
PS:一度で私を諦めなさいなんて、酷です。
2006/05/08 22:53| URL | eromania [Edit] - 冷たい夜も更けて・・・
-
雨に濡れて帰った部屋で
素敵な方達からのコメントが待っていてくださいました。
Gay様
お加減はいかがですか?
なにも存じ上げず・・・失礼いたしました。
お元気にお戻りになられて何よりです。
Gay様のブログにも伺わせていただきますね。
eromania様
読んで下さる方に感じていただけるなんて
わたくしにとっては一番うれしいお言葉です。
この物語で逝っていただけたらと願わずにはいられません。
夜が明けてからのアップと思いましたが・・・お言葉にお応えして
これから続きのお話をアップさせていtだきますね♪
P.S.それでは、お逢いする訳にはまいりませんわね。
2006/05/09 00:37| URL | 祥子 [Edit]
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