桜陰 13
わたくしはあまりの恥ずかしさと、仰る通りにしたのに、なお羞恥を与え続ける高梨さんにつれない返事をしただけです。「僕が嫌いになったのかい。わざわざこんなに素敵な装いで逢いにきてくれたのに?」
「・・・しらない・・いじわる」
パンティがTバックじゃないのは、高梨さんのことが嫌いになったから・・・そう仰りたいのでしょうか。偶然でしたが、確かに以前高梨さんと出会った時は2度ともTバックを身に着けておりました。
今日・・・お約束をして逢う事になった時、Tバックを選ばなかったのには2つの理由がありました。
1つは久しぶりにお顔を見るのにお誘いが昼間だったからです。わざわざこの時間を選ばれるのです。きっといままでいらした海外のお話を聞かせて下さるのだと・・・だったらセクシュアルな空気をわたくしから漂わせるわけにはいかない・・・と思ったからです。
もう1つは、わたくしが<彼との行為>だけを求めていると思われたくなかったからです。高梨さんは1人の<男性>として、<プロフェッショナルな芸術家>として大変魅力的な方でした。彼がわたくしに何を望んでいたとしても、わたくしは人として彼に惹かれはじめていたのです。
ランジェリーがわたくしに与える精神的な影響を良く知っているからこそ、今日・・・Tバックを身につけるわけにはまいりませんでした。
「もう一度聞くよ。僕が嫌いになったのか、祥子」
「・・・・・」
嫌いになんかなってないです・・・と口にすることはできませんでした。無言のままで羞恥にうつむけた顔を横に振ったのです。
「聞こえないね。」
優しく深く甘い・・声。明るい屋外の午後の日差しの中でさえ・・わたくしを従わせる高梨さんの声。
「・・・きらい・・じゃない・です。」
とろぉぉ・・たったこれだけの言葉を告げただけなのにわたくしの身体はまた・・蜜を溢れさせてしまったのです。
「それじゃ、どうしてTバックじゃないんだ?」
わざとランジェリーの名前を口にして・・羞恥誘うのです。
「・・・わからない・・わ」
どう告げればいいのか、本当にわかりませんでした。身支度したときの想いを口にしても・・・彼の手にあるぐっしょりと濡れたパンティが、全てを台無しにしてしまうとわかっていたからです。
「言えないのか。」
どうしていいか解らなくて、ただ首を横に振ったのです。
「仕方ないね。また一つお仕置きが増えるだけだ。いいね。」
「・・・ゆるして・・だめ」
これ以上何をすると仰るのでしょう。
「さぁ 行こう。たったこれだけの桜並木なのに、いつまでたっても部屋にたどり着けないよ。」
右手に掴んだ濡れたパンティをCoolpixの入ったポケットに仕舞うと、わたくしの手を引いてふたたび桜並木を歩きはじめたのです。
オフィスビルのファサードに引き入れられてどのくらいたったのでしょうか。
あれほどに淫らな時間を過ごした後でも、並木の桜は美しく咲き誇っていました。
時折強まる花散らしの風は枝を揺らし、薄紅の花びらをはらはらとわたくしたちの行く手に舞わせるのです。
ブラもパンティも身につける事を許されず・・・コートの前もたった1つだけしか釦を止めることを許されずに・・・男性に手を取られて車と人の行き交う公道を歩く。それも・・・その男性の唇と指でさんざんに上り詰めさせられたあとに・・です。
わたくしは平静を装うことも、高梨さんに語りかける言葉すら失っていたのです。
「どうした?祥子」
わたくしの肩を抱き寄せる様にすると、高梨さんは優しい気遣いを見せるのです。
「んん・・ん」
ふるふると俯いた首を横に振るわたしを覗き込むようになさいます。
「怒ったのかい?」
わかりません。
怒っていたのかもしれません。屋外でこんな姿にされてしまうことに・・・何度も登り詰めさせられてしまうことに。
「そんな祥子もそそられるよ。魅力的だ。とてもね。」
肩に回っていた手が脇腹を降りて、パンティを着けていないヒップラインにたどり着くと、さもその曲線と手触りが愛おしいとでもいうように・・・手を這わせるのです。
「だ・・め・・・」
ふいにコートの裾を乱そうとする風と、大切な2つのランジェリーを身に着けていない緊張感とで、わたくしの身体はとても敏感になっておりました。
-
多分、さやかだったら
[壁] ・_・)θ★キック!!()゜O゜)ノ*゜・゜ブハッ
みたいになっちゃってたかも。
祥子さんはやさしいのだ。
2006/07/28 18:19| URL | さやか [Edit] -
さやか様
ふふふ、暴力に訴えてしまうんですか?
さやか様なら、眼に涙を溜めて・・・やめてください ってお願いをしたら
きっと優しく止めてくださると思いますよ。
2006/07/28 20:31| URL | 祥子 [Edit] -
こんばんは。
たとえ小さな布とはいえ、それを取り去って、そこが直接外気に触れるというのは、どんな心地なのでしょうか。
躰の中心が無くなったような頼りなさなのかもしれませんね。ましてや、祥子さんのお胸は、歩くたびに、たゆんとしていたことでしょうから。
コートを必死で押さえ、小股で坂を登る姿が目に浮かびます。
桜の舞う中、えもいわれぬ美しさです。
この姿もすてきですが、一糸まとわぬ姿だと、また違った絵になるのでしょう。いずれ拝見できるのでしょうか。
2006/07/28 21:03| URL | masterblue [Edit] -
祥子様
masterblue様があんな事を仰ってますよ。
一糸まとわぬ姿ですって・・・。
人として惹かれ始めていた高梨様に下着を身に着けぬ姿にされてしまって・・・・・。
怒っていらっしゃってもやはり高梨様への想いは変わらないでしょうね。
2006/07/28 21:12| URL | 桜草 [Edit] -
年若い女性達の剥き出しの肌が、太陽に眩しい季節…。
でも、彼が言っていました。あっけらかんと曝け出されても、何も感じないと。
やはり、恥ずかしげに、北風の様な攻めにも尚、拒みながらも少しずつ顕わになる姿。
大人の男性はそういう慎ましさに惹かれるのでしょうね…。
2006/07/28 21:44| URL | るり [Edit] -
masterblue様
仰る通りにほんの小さな布なのですよね。
でも、物心ついてからほとんどずっと身に着けていたものですから
あたりまえにあるべきものがない・・・心細さなのだとおもいます。
男性も同じではありませんか?
ただ、男性のボトムは外気に晒されるということはございませんからね。
浴衣で・・・ぜひお試しになって、そのお気持ちを教えてくださいませ。
一糸まとわぬ姿で桜の坂を歩くのは、今シーズンは諦めてくださいませ。
次の桜の季節に・・・ご一緒する方次第かもしれませんわ。
桜草様
ええ あくまでも心を許した方だからこそ
こうしてご一緒しているのですから。
坂を登っても、まだお話は終わりません。
これからの時間を、masterblue様共々お楽しみになさってくださいませ。
るり様
肌を晒して置きながら、集まる視線に嫌悪感をあらわにする。
いまの若い方達の考え方がわたくしには解りかねます。
本当に価値ある大切なものは、簡単には手に入らない・・・目にする事もできない、という大人の女の知恵をもっと有効に活用したらいいのにと、こそっと教えて上げたいですね♪
2006/07/28 22:31| URL | 祥子 [Edit] -
見え隠れするからそそるのであって、見せつけられる
ように晒されると却って引いちゃいますね。
奥ゆかしさゆえの淫らさが男を虜にするのです。
隠されると余計知りたくなる…。
2006/07/28 22:42| URL | eromania [Edit] -
eromania様
>奥ゆかしさゆえの淫らさが男を虜にするのです。
素敵な言葉ですわ。
繊細に美しく発展したランジェリーは
このような想いのための魅惑の装置なのかもしれません。
2006/07/29 07:23| URL | 祥子 [Edit]
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