桜陰 18
わたくしは中途半端なままで放置された自らの身体に、おずおずと指を這わせたのです。人前で、たとえどんなにお慕いしている男性の前だとしても・・・自らの指ではしたなく慰める行為を晒すことなど、普段のわたくしなら絶対に考えられないことです。
でも・・・乳首にピアス・・という途轍もない痛みを想像させる脅しには、従わないわけにはいきませんでした。
それに、高梨さんが口になさるのです。きっとだたの脅しではないでしょう。たとえ今日なさらなくても・・・次にお逢いする時には・・・彼が口にした<お仕置き>は必ず実行されるからです。
パリで?それともNYで?
装身具としてではない、はしたなく身を飾るための貴金属を、高梨さんはわたくしのために選んできたのかもしれません。そしてこともなげに・・・左手の掌に冷たい光を放つ小さな飾りを載せて、わたくしに見せるのでしょう。
「これをつけて上げるよ」と。
わたくしの左手は・・・恐怖心に負けて・・・とうとうスリップの裾をくぐって・・潤む花びらへと進みました。
風に吹かれ続けている肌の冷たさとは逆に、そこは熱く・・蕩けていたのです。
「ぁぁ・・ぁ・・・だめ・・」
ちゅぅるぅん・・・とまるで飲み込むかのように・・・濡れそぼった狭間はわたくしの指を・・・奥へ・・奥へと迎え入れようとするのです。
「・・ん・ぁ・・ぁぁ・・だ・・め・・ぇぇ・・」
右手は、花びらと真珠からの快感だけで理性を霞ませることなんて許さないと言うかの様に・・・左の乳房と、堅く立ち上がった姿のまま、レースのスリップとの摩擦にさえ淫楽を貪ろうとする乳首をやさしく愛撫しはじめてしまうのです。
「ゃぁぁ・・・だ・め・・なの・ぉぉ・・」
奥へと入り込もうとする手の動きに前屈みになってゆく姿勢がつらくなって・・・わたくしはガーデンテーブルの端に腰を預けました。
「はぁ・・・ぁぁ・・・ぁだ・・め・・」
スリップの左の肩紐は肘近くまで落ち、自らの手でもみしだかれる白いGカップの乳房を・・・露にしてゆきます。
「・・・ゅるし・・てぇぇ・・・ぁぁ・・だめ・・ぇぇぇ・・・」
体重の一部をテーブルに預けることで自由になった脚は・・・太ももの狭間でわたくしの手が自由に動き回れるほどに・・意志をなくしたかのように次第に開いてゆきます。
脚が開かれると同時にスリップの裾はたくし上げられて・・・いまではストッキングを留めているガーターベルトのストリングと秘められていなければならない太ももが・・・乱れた裾の下でほとんど春の日の下に晒されていたのです。
「・・・みない・・で・・だ・・・めぇ・・・」
羞恥と快感で伏せていた瞼が身を撫でる風に怯えて一瞬開いた時、正面にそびえる美術館のあるビルが見えたのです。
「・ぉねがぁ・・ぃ・・みなぃぃ・・でぇぇぇ」
いまも、ベランダの柵に首輪で繋がれ、ランジェリーを自らの手で乱して自慰に耽る・・・淫らな女の行為を見続けている方がいらっしゃる・・・。
「・・だぁっ・・・めぇぇぇ・・・・」
蔑みと淫欲を含んだいくつもの視線を意識した途端、身体は勝手に暴走したのです。
「ぁぁああ・・・ぁぁ・・・だめ・・・ぇぇぇ・・・」
ガチャ・・・ 背を反り返らせ快感に翻弄されそうになるわたくしの首筋を、柵に繋ぐリードと首輪が引き止めます。
「ぃくぅぅぅ・・・・・」
あまりに深く・・・それも・・自らの指で・・・逝って・・しまい・ま・した。
吹き付ける冷たい風が・・・あまりの淫らさ故の罪悪感を呼んだのです。わたくしはとっさに太ももの間の手を退け・・膝を閉じようといたしました。
「まだ、止めていいとはいってないぞ。」
高梨さんの声が開け放ったリビングの窓の方から聞こえてきました。
わたくしは抜きかけた手を・・・また・・蜜に溺れる花びらと・・はしたないピンク色の真珠へと引き戻したのです。
「もう一度、オナニーで逝ってみせるんだ。祥子。」
ガーデンチェアをテーブルから少し離れたところへ持ってゆくと、高梨さんはそこに腰掛けられたのです。
「もっと深く逝くんだ。5分以内に逝けなければ、お仕置きだからな。」
アウトドアジャケットを脱いだ高梨さんは、ネルのシャツの胸ポケットからタバコを出すと、美味しそうに火をつけられたのです。
<お仕置き>
今日のその言葉は、淫らな甘やかさだけではなくて・・・冷たく痛い恐怖感をも含んでいたのです。わたくしは、その冷ややかな脅迫に追い立てられる様に、指を・・・動かすしかありませんでした。
-
それは祥子さんが、高梨さんのお仕置きを受け入れる事を選らんでいるから。
お仕置きなんて言葉だけ・・・本当の選択権は祥子さんにあるの。やりたくなければ突っぱねて背を向ければいい。昨日まで一人で立ってた祥子さんだからできるでしょ?たくさんの男の人たちが、祥子さんにいろんな事を求めてたけど、いつも祥子さんが受け入れてくれるのか伺ってた。
なのに、今度は違うのね。高梨さんがピアスをとおっしゃったら、祥子さんにはどんなに嫌だと思っていても突っぱねる事ができない。選択権を相手に委ねるほどの関係を高梨さんとの間に作ろうとしてるのね。そんな祥子さんは初めてだから、さやかはやきもちを妬いちゃうのです。一人で立ってた大事なお姉さんを取られる位なら、自分で汚してしまいたくなるのです。
2006/07/31 14:34| URL | さやか [Edit] -
はじめまして。
遊びに来てくださって ありがとうございました。
コメントも頂けて、本当に嬉しいです♪
官能的な小説を読んでいる時のように
読んでいるだけで興奮してしまいますね(〃ω〃)ポッ。
もっと読ませて頂きたいのですが、
また後日遊びに来させてもらいますね。
2006/07/31 14:49| URL | akko [Edit] -
このはしたない女は私ではない。脅かされ、やむをえない・・・。
と、言い訳をしながらも、どんどん深く陶酔してゆく祥子さん。
高梨さんは、やはり大人です。
脅され、強要され、逝ってください。
そんな祥子さんを、最後には高梨さんが優しく受け止めてくれるでしょう。そう願っています。
2006/07/31 22:04| URL | masterblue [Edit] -
今夜は少し肌寒いくらいの空気です。
側に寄り添ってくださる熱い肌が恋しくなるのはわたくしだけでしょうか。
さやか様
丁寧にお返事してくださって、ありがとうございます。
さやか様がおっしゃるように、そう・・・どうしてなのか高梨さんにはこんな風にわたくしは甘えてしまうんです。それは、高梨さんには何か他の方とは違うところまで心許しているからなのかもしれません。
それでもどうしてもわたくしに受け入れられないところだけは、拒否してしまうでしょう。
なのになぜか高梨さんは、その<ぎりぎり>をご存知なのです。
高梨さんも、流されるだけの女はお好きではないのです。翻弄されるだけではない・・・さやか様がお好きなわたくしを、もう少ししたら取り戻せると思いますわ。
あと少しお待ちください。
akko様
ようこそいらっしゃいました。
何度もお名前をお見かけしていて、ようやくブログにコメントさせていただけました。
お時間のある時にでも、またぜひお越しくださいませ♪
masterblue様
言い訳・・・そうなのです、きっと。
その巧みな言い訳を用意してくださるから、わたくしは高梨さんに翻弄されてしまうのかもしれません。
こんなわたくしを・・・masterblue様はお嫌いですか?
2006/07/31 23:38| URL | 祥子 [Edit] -
今週末は早めの夏休みで日本に一時帰国です。
祥子さんのようにパートナーを満足させられるでしょうか?月に1回か2ヶ月に1回の逢瀬ですから。
2006/08/01 07:31| URL | yamatan [Edit] -
yamatan様
久方の逢瀬だからこそ
濃やかな時間が過ごせるのかもしれませんわ。
女は想いの籠った時間をいただけるのなら
その幸せな満足を次の逢瀬まで宝物にして生きてゆけるものです。
久しぶりの日本でのお時間、どうぞ心行くまで楽しんでくださいませ。
2006/08/01 07:56| URL | 祥子 [Edit]
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