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初雪 8

次に運ばれてきたのはジビエのワゴンでした。
エゾジカ・山鳩・うさぎ・鴨・・・この季節ならではの滋味溢れる素材の数々と、合わせるためのソースの乗ったワゴンをシェフが自ら押してらっしゃいました。
「ジビエが召し上がれるとうかがったので4種類ご用意いたしました。お好みのものをサーブします。いかがいたしましょうか?」 
美貴さんの斜め後・・・わたくしのほぼ正面にシェフは立っておりました。
シェフの声はテーブルの主である美貴さんに掛けられているはずなのに、その視線はわたくしの元にじっと留まっているのです。
「美味しいところをカットしてください。僕の好みはご存知でしょうから、シェフにお任せします」 
こちらで幾度もシェフの味を堪能しつくしている美貴さんならではのオーダーです。
 
「そうだなワインに合うものを。肉の味のしっかりしたものが好みなんです」 
オーダーすらも剛胆な風情を漂わせる石塚さんは、シェフに声をかけながら・・・テーブルの下に潜ませた指でプツッ・・・と、わたくしのストッキングを裂いたのです。
つ・ぅっっっっっぅ・・・ その音は・・想像以上に大きな音でした。
テーブル越しの離れた場所で、BGMと人の話声とシルバーのカトラリーの音に囲まれたシェフでさえ、一瞬手を止めたのです。
それでも次の瞬間には、何事も無かったかのようにサービスを再開しました。
シンプルなミドル丈ドレスのスリットはテーブルクロスの下で捲り上げられ・・・太ももでガーターベルトに吊られているストッキングは、足首に向けて次第に細く伝線してゆくのです。
「山崎様はいかがなさいますか?」 
石塚さんの皿をサービスの男性に委ねると、ワゴンを楽しげに眺める山崎さんに声を掛けます。
「僕はそうだな・・」 
プツッ・・・・あん、また。だめ・・聞こえちゃう。
「山鳩と鴨とうさぎを少しずつ。さっぱりめのソースがあればそれをいただけますか?」 
ツぅぅぅ・・・わたくしの左脚のストッキングは、次から次へと石塚さんの指で無惨な姿にされてゆきます。
「今年のうさぎは柔らかですからきっと楽しんでいただけます」 
ツッ・・ブチッ・・・・明らかにシェフの耳にも届いているのでしょう。そしてこの音が何を意味しているのか、この方はわかっているのです。
裂いたストッキングの下にくぐらせた指で、石塚さんがなにをなさっているのかも・・・。
プロの仮面をしっかりとかぶったシェフは、ゆったりとした動作で山崎さんの前にメインディッシュの皿をサーブします。
 
そして、ようやくわたくしを見つめ直したのです。
テーブルの下の痴態を想像し、山崎さんにサービスをしながら、もっとも柔らかなわたくしの体側の肌を・・・嬲られて微かに赤く染まるわたくしのむき出しの肩を・・・その視線で味わっているかのようでした。
「祥子様はなにがお好みですか?」 
「わたくしはエゾジカと鴨を少しずつ。ソースがとても美味しそうですね。」 
左側の露になった脇のラインに撓むバストの下辺を、石塚さんが中指で微妙なタッチで撫でてゆきます。思わぬ刺激にわたくしの答えは上ずった声になってしまいました。
「美味しいものを良くご存知ですね」 
優雅にシルバーをつかうシェフの眼がわたくしの胸元を行き来しています。
「そう、祥子さんは趣味がいいんです。お食事もお酒も」 
山崎さんのすべすべの手がわたくしの肩に親愛の情を表すかのように置かれ・・・そのまま肩甲骨の上を滑り落ちてゆくのです。
「会話も、それに・・・ドレスの下もね」 
プチッ・・・・・テーブルの下でまた一カ所・・・ツゥッッッ・・・・。
「石塚さん、飲み過ぎじゃないですか」 
嗜める山崎さんの声も、実は共犯者の笑みを含んだものでしかないのです。
さりげない言葉でずっと羞恥を刺激され、テーブルの下と・ドレスに覆われていない背中と・敏感な脇の白い肌を指先でなぞられて・・・わたくしの揺れる乳房の先端は・・はしたなく立ち上がってきてしまいました。
「どうぞ、こちらでよろしいですか?」 
わたくしの右後からシェフ自らがサービスしにいらしてくださいました。
「ありがとうございます。美味しそうだわ」 
わたくしのランジェリーをつけていない・・・ドレスの下のGカップの胸元をなぞるようなシェフの視線が・・・美味しいのはその肌だと囁くようです。
 
3人の男性はようやくわたくしから、目の前の極上の皿へと関心をうつしてくださいました。どなたも男性らしく、そして優雅にカトラリーを操ってジビエを楽しまれているようです。
「どうぞ、ごゆっくりお楽しみください。このレストランはもう他のお客様はお帰りになるお時間なのです。美貴様のテーブルだけですから、ゆっくりとご利用ください。」
「申し訳ありません。こんなに遅い時間にお邪魔して」 
美貴さんは他のお客様へのサービスを終えシェフの隣にきた支配人に何かを渡して・・・シェフと二人に頷きかけたのです。
「どうですか。ワインも美味しいですしシェフもご一緒に。もう厨房は他の方にお任せして大丈夫なのでしょう」 
「そうですね。こんな夜ですし僕たちと一緒に・・・。どうか祥子さんからもお誘いしてください」 
エゾジカをゆっくりと噛み締めて味わった石塚さんだけでなく、山崎さんまでもが熱心にシェフを誘うのです。わたくしも口添えしないわけにはいかなくなってしまったのです。
「ええ、お仕事のご迷惑にならなければ、ぜひお話を聞かせていただきたいわ」
「決まりだね、支配人」 
美貴さんの一言が全てを決めました。
「承知いたしました。ただこのお時間ですので、サービスのスタッフは失礼させていただきますが宜しいでしょうか?」
「ええ 結構です。そうですね、お酒と珈琲だけいただけるようにしてもらえれば。後はシェフがサービスしてくれますよね」
「私の無骨なサービスでお許しいただけるなら」 
ははは・・・男性達の笑い声が重なります。
人として男性としても魅力的なシェフです。ご一緒にお話したいと思う気持に偽りはありません。でも・・・これもきっと・・・
「それでは厨房を片付けてまいります。どうぞゆっくりとお食事を召し上がってらしてください」
失礼します・・・一礼すると、支配人とシェフはワゴンとともに厨房に下がってゆきました。
 
「ジビエは癖があっていまいちだと思っていたが、これは美味しい。見直したよ」 
シャトーラグランジュのグラスを最初に飲み干したのは石塚さんでした。
「シェフの得意料理だからね。この鴨なんてたしか彼が自分で猟をしてきたもののはずですよ」 
猟銃を持ち野山をかける・・・そんな姿がぴったりイメージできるそんなシェフだったのです。
「ワインもあっという間だね」 
サービスの男性が最後のワインを美貴さんのグラスに注ぎ、会釈をして下がってゆきます。
最高の仕事をされたメインディッシュは、濃厚な味わいとはうらはらにすっとわたくしたちの身体に収まってゆきました。自家製のパンで味わうソースも絶品でした。
 
「シェフ おいしかったです。流石ですね」 
ジャケット姿のシェフと、制服のままの支配人が新たなワゴンを運んできたのです。
そこにはマディラ・グラッパ・ブランディと数種類のナチュラルチーズ・ドライフルーツ・そしてデザートが、珈琲とともに用意されていました。
「それでは私共は失礼をさせていただきます。どうぞ今夜は思う存分お楽しみください」 石塚さんの向こうにシェフのための椅子を一つ用意し・・・おのおのに好みのお酒をストレートでサービスすると、支配人は一礼をして帰っていったのです。

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コメント
10000アクセス♪
いつも<淑やかな彩>にお越し下さってありがとうございます。
実は・・・わたくしもうっかりしていたのですが、
昨日、10000アクセス目のお客様にお越しいただきました。
お引っ越しをはじめて2ヶ月足らず・・・
msnと同様に皆様に可愛がっていただけたのだと
とても嬉しくおもっております。
今夜は一人で・・・秘かに祝杯をあげにまいります♪

ありがとうございました。
これからも宜しくお願い申し上げます。

2006/03/16 18:06| URL | 祥子  [Edit]
NoTitle
 10000hitおめでとうございます。
シェフもお仲間とお見受けいたします。
次は、やっぱり・・・・・
どきどき((o(゜▽゜○)(○゜▽゜)o))ワクワク


2006/03/16 19:57| URL | さやか  [Edit]
NoTitle
10,000hitおめでとうございます。
でも、もっと多くの方に読んでいただきたいと思います。
同じSMでも、全く性質が違うので迷っていたのですが、もしお許しいただければ、私のサイトのリンクに追加させて頂きたいのですが、如何でしょうか。

さて、「初雪8」素敵なグルメ小説の仮面をかぶって、きわどい悪戯が続いていて、楽しいですね。
どうやら、シェフも一枚加わりそう。これも楽しみです。山荘までは、美味しいお料理を堪能させていただきます。

ジビエといえば、数年前に中国のシンセン、そこから車で40分ほどの田舎に半年ほど出張していました。そのとき、何かというと、鳩料理を食べていたのを思い出しました。
鳩牧場の鳩なので、ジビエとは言えないでしょうが、割合淡白な味で美味でした。しかし、到着したときの歓迎会で、頭を食べさせられたのには閉口しました。

また明日を楽しみにしています。

2006/03/16 21:00| URL | masterblue  [Edit]
おめでとうございます
10,000HITおめでとうございます。

おいしいワインで乾杯したいものですね。

これからも素敵なお話楽しみにしております。



2006/03/16 23:14| URL | 桜草  [Edit]
ありがとうございます♪
お祝いのコメントありがとうございます。
実はこちらのブログのイラストを書いてくださっているHAIREI様からお祝いのイラストを頂戴したのでさっそくアップさせていただきました。
こちらのイラストもいずれ様々なアレンジで・・・再び皆様の眼に触れることになると思います。楽しみになさってください♪


さやか様
ありがとうございます。
実はシェフはさやか様のお好きなタイプなのかもしれませんね。
登場が遅かったので、人気投票には登場していないのですが(笑)。
仰る通りシェフも・・・なんです。
さやか様の御期待に添えるといいのですけれど♪

masterblue様
リンクのお申し出をいただきありがとうございます。
とてもうれしいです。よろしくお願い申し上げます。
<グルメ官能小説>masterblue様の命名ですね♪
これからは官能のウエイトが高くなってまいります。
もう少しお待ちください。

桜草様
ありがとうございます。
今夜はわたくしは独りで日本酒で祝杯を上げさせていただきました。
春のお魚がおいしかったですわ♪
これからもよろしくお願い申し上げます。



2006/03/17 00:21| URL | 祥子  [Edit]
はじめましてw
はじめましてw ブログ見てくれてありがとうございますw

これからもよろしくお願いしますw

2006/03/17 10:03| URL | よしちょ  [Edit]
よしちょ様
いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。
楽しんでいただけましたでしょうか?
これからもよろしくお願い申し上げます。

2006/03/17 21:09| URL | 祥子  [Edit]
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