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桜陰 16

「だめ・・・ぁっ・・ぁぁ」
動くエレベーターの中でなんて・・・。
わたくしは両手で高梨さんの頭を押さえようといたしました。でも、その時には彼の舌はわたくしの真珠を探り当てていたのです。
ぺちゃ・・・ 茂みの奥の小高い丘はすでにたっぷりと蜜を溜めておりました。そうでなくともそこから溢れた淫らな印は、わたくしの太ももをぬめつかせていたのですから。
「・・ゃぁ・・ぁあ・・」
ぴちゅぅ・・・ぺちゃぁ・・・ ご自身が仕掛けた行為で溢れ出した蜜の味を確かめる様に、肉厚の舌が花びらの内外を・・・真珠の周囲を・・いくども這い回るのです。
「あぁぁぁ・・・だめぇぇぇ」 
チン・・・
高梨さんに花蜜ごと真珠をすすり上げられて・・・わたくしは16階へ到着すると同時に・・・逝ってしまったのです。
 
「歩けるか? 祥子」
唇をわたくしの蜜で光らせたままで、素早く周囲の荷物を手にすると、高梨さんは閉まりかけるエレベーターのドアを足で押さえてわたくしの手を引いたのです。
 
16階のエレベーターホールから4つの扉の前を、わたくしは桜色の透けるオーガンジーのスリップとガーターストッキングだけの姿のままで通り過ぎました。どの扉もひっそりと閉まったままで・・・ふいに開いたりしなかったのは僥倖と言えたでしょう。
高梨さんが鍵を開ける僅かな間さえ、いつ誰の目にこの姿を晒されてしまうかもしれない危険にわたくしは身を隠す事も出来ず・・・震えていたのです。

4ヶ月ぶりの高梨さんの部屋は、最後にわたくしがお邪魔をしたときのままの雰囲気でした。
「靴のままでおいで」
先に部屋に入った高梨さんは、白のキャンバス張りのソファーにわたくしの荷物とコートを無造作に置かれたのです。
「こっちだよ」
リビングの一面を構成している床までのレースのカーテンと窓を開けると・・・高梨さんはわたくしをベランダへと連れ出したのです。
16階のベランダはコンパクトなガーデンチェアが置けるほどの広さで・・・事故を考えた高めの柵が設けられていました。それでも景観の問題なのでしょうか、柵の上部は透明なアクリルで覆われていて眼下には爛漫と咲き誇る桜を眺めることができたのです。
「ここにおいで」
中層とはいえこの高度のビル風は・・・スリップだけのわたくしに冷たく吹き付けていました
「ここに手をつくんだ。離すんじゃない。」
身を守る腕を引き離された身体をかばうかの様に、高梨さんは大きな手で背中から抱きしめると・・・わたくしの両手をベランダの柵に導いたのです。

この部屋の正面には、高梨さんとはじめて出逢った美術館のあるビルだけしか高層の建物はありません。ただし、左右にはほとんど同じ造りの高度を持ったビルが、それぞれ微妙な角度で一定の距離を置いて並んでおりました。
16階といえば、先ほど歩いてきた通りにいらっしゃる方が見上げても、たぶん見つけられる事はないでしょう。
でも、美術館のあるビルの展望スペースにある双眼鏡や・・・となりのビルの上下3フロアほどの方は・・・その気になれば、わたくしたちの痴態をごらんになることが出来るのです。
それもいまは・・・闇に紛れて、などではないのです。
双眼鏡で覗かれたなら、くっきりとわたくしの白い肌のラインや、快感から逃れようとふり乱れる黒髪の一筋まで・・・わかってしまうような白昼のベランダで・・なのですから。
見られてしまうかもしれない。その緊張感はわたくしを一層敏感にしたのです。
 
「あん・・だめ・・・」
スリップのレースの下に忍ばせた高梨さんの指が・・・白いGカップの乳房の先端をいらう動きににわたくしは堪え切れずに喘ぎの混じった声を出してしまいました。
「そんな声を出したら、隣の部屋の人に聞かれてしまうよ。祥子」
「・・・ぁっ・・」
確かに高層の建物では生活音が流れ込んでこない代わりに、周囲の・・・例えば隣家の物音が・・・良く聞こえてしまうという傾向があります。先ほど破廉恥な姿で通り過ぎたいくつかのドアが開く事はありませんでしたが、あの部屋にどなたかがいらっしゃれば・・・ベランダ越しにわたくしのはしたない声を聞かれてしまうかもしれないのです。

桜陰 17

「こっちを向きなさい。祥子の愛液まみれの唇にキスをするんだ。」
「ん・・んぁ・・」
高梨さんの唇は、エレベーターの中でわたくしの茂みの奥を容赦なく貪ったままでした。
べったりと塗り込められたはしたない蜜を、一度も拭われることも・舐めとられることもなく・・・吹く風に乾きかけておりました。
なのに唇を重ねた途端、噎せ返るほどの女の匂いが・・・わたくしの口中に蘇ったのです。
今日何度目のキスになるのでしょうか。
両の乳房を高梨さんの大きな手で乱暴に揉みしだかれ・・・先端を捏ね回されながら絡み付く舌と唇は、わたくしの鎮まりかけた淫欲の漣をもう一度大きく掻き立ててゆくのでした。
「・・・ん・んん・・・ぅ・・」
吹く風に冷やされてゆくわたくしの身体とは反対に、被いかぶさった高梨さんの身体も、わたくしのまぁるく白いヒップのラインにスリップごしに押し付けられる昂りも、燠火を飲み込んだ様に熱を増してゆきます。
「・・んぁ・・・はぁ・ぁぁ・・んく」
春の風は、エレベーターで塗り込められた高梨さんの唾液と幾度もの快感の果てに溢れ返る蜜に濡れたふとともを冷やし、わたくしがどうしようもないほどに<淫らな女>だと責めるようでした。
なのに、柔らかなふくらみに守られた花びらは、わたくしを裏切る様に・・・高梨さんのキスに身芯からの熱い蜜をさらに溢れさせてゆくのです。
「はぁぅ・・・」
振り向き様に重ねられていた高梨さんの唇からわたくしの恥ずかしい女の香りが消えたころ、彼の右手はスリップの前裾をそろそろと引き上げていたのです。
 
「祥子 スリップとガーターだけでベランダに出て、男にセックスを強請っているはしたない姿を見られているんだよ。」
「いゃぁ・・・」
彼の一言に・・わたくしは抗いを止めることが出来なくなってしまったのです。見られるかもしれない・・・じゃなくて、既に見ている人がいる、なんて。言葉と同時に茂みを分け入った中指をつたって・・・太ももに新たな蜜がとろぉ・・りと流れ落ちていったのです。
「おねがい、もうお部屋の中に・・・いれて。」
「何を言ってるんだい。こんなに溢れさせて。」
「いやぁっ・・・おねが・・い・・」
「だめだよ、祥子。僕は二人で桜を楽しもうを言ったはずだ。」
くちゅ・・高梨さんはわたくしの真珠をいらっていた右手を引き抜くと、ねっとりとまぶされた蜜を見せつける様に自らの口唇でねぶりるのです。その手をポケットの中に入れると、わたくしの首に着けられた桜色の首輪のための・・・ゴールド・チェーンのリードを取り出しました。
「やめ・・て・・」
リードの革のハンドルをベランダの手すりにくぐらせて止め付けると、端の留め具を・・・鈴が着けられた桜色の首輪の金具に繋いだのです。
 
「ベランダで飼われている発情しっぱなしの淫乱な牝猫の出来上がりだ」
「ゆるして・・・」
「祥子は今日はいくつお仕置きを受けなくちゃいけないんだ?」
「おねがい・・・」
「そこに手を付きなさい」
高梨さんが指差したのは、ガーデンチェアのためのテーブルでした。
5cmヒールのパンプスを履いたままで、60cmほどの高さのテーブルに・・・手を付くなんて・・・。はしたなく、大きな腰を突き出す姿を高梨さんは求めていらっしゃるのです。
「ゆるして・・ください・・きゃぁ・・」
高梨さんはリードを強く引くと、わたくしの上半身をテーブルへと引き寄せました。
この場で晒さなくてはならないあまりの淫らな姿勢に・・・わたくしは抵抗を止める事ができなかったのです。
 
「もっとお仕置きが欲しいのかい? 祥子。逢えない間、ずっと押さえ込んでいたMの欲望を、僕に逆らってでも満足させたいっていうのか?」
「ちがう・・わ・・・ゆるし・て・・」
首に着けられた小さな鈴の音さえ・・・ビル風は消し去ってゆきます。
「困ったひとだ。とことん僕を満足させてくれるつもりらしい。」
欲情に彩られたため息をふっとつかれるのです。
「そのまま、そこで立ったままでオナニーをして・・・向こうのビルから双眼鏡で見ている男達にその淫乱な身体を見せつけるんだ。」
「いや・・・」
「わかったね、祥子。僕が戻ってきた時に言いつけ通りにしていなかったら、この乳首にピアスを付けるよ。」
高梨さんの指が・・堅くしこったままの左の乳首を捻りつぶすのです。
「やぁぁぁぁ・・・・だめ・・ですぅ・・・」
耳朶にすら開けた事のないピアスを、身体に・・・それももっとも敏感な場所にするなんて。
「言いつけを守っていればいいことだ。わかったね。逝っても止めるんじゃない。ガーターベルトで留められたストッキングが祥子の愛液でどろどろになっても、僕が止めていいというまで続けるんだ、いいね。」
そう仰ると、ガラスを開けわたくしをベランダに繋いだままで・・・1人室内に戻ってゆかれたのです。

桜陰 18

わたくしは中途半端なままで放置された自らの身体に、おずおずと指を這わせたのです。
人前で、たとえどんなにお慕いしている男性の前だとしても・・・自らの指ではしたなく慰める行為を晒すことなど、普段のわたくしなら絶対に考えられないことです。
でも・・・乳首にピアス・・という途轍もない痛みを想像させる脅しには、従わないわけにはいきませんでした。
それに、高梨さんが口になさるのです。きっとだたの脅しではないでしょう。たとえ今日なさらなくても・・・次にお逢いする時には・・・彼が口にした<お仕置き>は必ず実行されるからです。
パリで?それともNYで?
装身具としてではない、はしたなく身を飾るための貴金属を、高梨さんはわたくしのために選んできたのかもしれません。そしてこともなげに・・・左手の掌に冷たい光を放つ小さな飾りを載せて、わたくしに見せるのでしょう。
「これをつけて上げるよ」と。
 
わたくしの左手は・・・恐怖心に負けて・・・とうとうスリップの裾をくぐって・・潤む花びらへと進みました。
風に吹かれ続けている肌の冷たさとは逆に、そこは熱く・・蕩けていたのです。
「ぁぁ・・ぁ・・・だめ・・」
ちゅぅるぅん・・・とまるで飲み込むかのように・・・濡れそぼった狭間はわたくしの指を・・・奥へ・・奥へと迎え入れようとするのです。
「・・ん・ぁ・・ぁぁ・・だ・・め・・ぇぇ・・」
右手は、花びらと真珠からの快感だけで理性を霞ませることなんて許さないと言うかの様に・・・左の乳房と、堅く立ち上がった姿のまま、レースのスリップとの摩擦にさえ淫楽を貪ろうとする乳首をやさしく愛撫しはじめてしまうのです。
「ゃぁぁ・・・だ・め・・なの・ぉぉ・・」
奥へと入り込もうとする手の動きに前屈みになってゆく姿勢がつらくなって・・・わたくしはガーデンテーブルの端に腰を預けました。
「はぁ・・・ぁぁ・・・ぁだ・・め・・」
スリップの左の肩紐は肘近くまで落ち、自らの手でもみしだかれる白いGカップの乳房を・・・露にしてゆきます。
「・・・ゅるし・・てぇぇ・・・ぁぁ・・だめ・・ぇぇぇ・・・」
体重の一部をテーブルに預けることで自由になった脚は・・・太ももの狭間でわたくしの手が自由に動き回れるほどに・・意志をなくしたかのように次第に開いてゆきます。
脚が開かれると同時にスリップの裾はたくし上げられて・・・いまではストッキングを留めているガーターベルトのストリングと秘められていなければならない太ももが・・・乱れた裾の下でほとんど春の日の下に晒されていたのです。
「・・・みない・・で・・だ・・・めぇ・・・」
羞恥と快感で伏せていた瞼が身を撫でる風に怯えて一瞬開いた時、正面にそびえる美術館のあるビルが見えたのです。
「・ぉねがぁ・・ぃ・・みなぃぃ・・でぇぇぇ」
いまも、ベランダの柵に首輪で繋がれ、ランジェリーを自らの手で乱して自慰に耽る・・・淫らな女の行為を見続けている方がいらっしゃる・・・。
「・・だぁっ・・・めぇぇぇ・・・・」
蔑みと淫欲を含んだいくつもの視線を意識した途端、身体は勝手に暴走したのです。
「ぁぁああ・・・ぁぁ・・・だめ・・・ぇぇぇ・・・」
ガチャ・・・ 背を反り返らせ快感に翻弄されそうになるわたくしの首筋を、柵に繋ぐリードと首輪が引き止めます。
「ぃくぅぅぅ・・・・・」
あまりに深く・・・それも・・自らの指で・・・逝って・・しまい・ま・した。

吹き付ける冷たい風が・・・あまりの淫らさ故の罪悪感を呼んだのです。わたくしはとっさに太ももの間の手を退け・・膝を閉じようといたしました。
「まだ、止めていいとはいってないぞ。」
高梨さんの声が開け放ったリビングの窓の方から聞こえてきました。
わたくしは抜きかけた手を・・・また・・蜜に溺れる花びらと・・はしたないピンク色の真珠へと引き戻したのです。
「もう一度、オナニーで逝ってみせるんだ。祥子。」
ガーデンチェアをテーブルから少し離れたところへ持ってゆくと、高梨さんはそこに腰掛けられたのです。
「もっと深く逝くんだ。5分以内に逝けなければ、お仕置きだからな。」
アウトドアジャケットを脱いだ高梨さんは、ネルのシャツの胸ポケットからタバコを出すと、美味しそうに火をつけられたのです。
<お仕置き>
今日のその言葉は、淫らな甘やかさだけではなくて・・・冷たく痛い恐怖感をも含んでいたのです。わたくしは、その冷ややかな脅迫に追い立てられる様に、指を・・・動かすしかありませんでした。

桜陰 19

「左手の恥ずかしい愛液を、祥子の大きなバストに塗り付けてごらん。そう、その乳首には特にたっぷりと。ふふ こんなに風が強くても祥子のフェロモンがここまで匂うぞ。」 
「ゃあ・・・」
高梨さんの指示にわたくしの身体は逆らう事など思いつかないとでもいうかのように・・・従順に動いてゆきます。
左手は蜂蜜でコーティングしたかのようにぬめりを纏わせて、真っ白なGカップの乳房に蜜壷から溢れ出た愛液を・・・塗りたくるのです。
その動きに右のスリップの肩紐も・・はらり・・と落ちたのです。
「ああ、そんなに大きな胸を曝け出して。見せつけたいのかい、僕以外の男たちに。どうなんだ・・祥子。」
「ち・・がぁぃま・・ぁすぅぅ」 
「そんなに露出が好きなら、下の通りでオナニーさせてやればよかったな。」
「やぁぁ・・・だめぇぇぇ・・・」
「ほら もう時間がくるよ。」
5分・・・というつい先ほど宣告されたばかりのタイムリミットさえ、わたくしの意識から飛んでいました。

「そこの柵に左脚を掛けろ。もっと脚を開いて、右手で祥子の淫乱な性器をぱっくりと開いて、望遠鏡の向こうで勃起させている男どもに見せつけてやれ。」
なんという・・・恥ずかしい・・指示でしょう。
「や・・っ・・・ぁぁ・・」
「逆らうのか、祥子。僕の命令だぞ。」
高梨さんの声は堅く・・厳しく、そして・・・ここで従わなければ、きっと与えられるのはピアスのお仕置きなのです。
「みない・・で・・」
わたくしは左脚をリードの繋がれている柵へと伸ばしたのです。そろり・・・と、バックストラップパンプスのつま先を掛けました。
「だめだ、あと2つ左だ。」
柵のあと2つ左の隙間に・・・あと20センチ近く・・・もっと脚を開けとおっしゃるのです。
「ぁぁ・・ゆるして・・・」
口に上る言葉とはうらはらに・・・わたくしはつま先を2つ先の柵へと移しました。
「そうだ。さあ、開いてみせなさい。」
右手を茂みの丘に添えると・・・躊躇いがちに開いていったのです。
「あぁぁ・・・やぁ・・・」
そこだけ熱を溜めたような潤みが・・吹きすさぶ風に一瞬で冷たくなってゆきます。それでも、花びらや真珠に込められた熱だけは・・ひいていかないのです。
「はしたないね、祥子。展望台の男達はもっと望遠にならないか焦れているところだろう。そのまま、逝ってみせるんだ。」
斜め前からわたくしを見る高梨さん以上に・・・向かいのビルの展望台の方のほうが・・この姿をくっきりとご覧になってしまわれる・・・たしかに・・そうなのです。
わたくしは開いた脚の膝だけでも、咄嗟に引き寄せようとしたのです。
「だめだ!祥子。さぁ逝ってみせろ」
「あぁ・・だ・・めぇ・・・・」
閉じかけていた膝を元の位置に戻しながら、わたくしはまた指を冷たく濡れた真珠に這わるしかなかったのです。

「はぁぁ・・・ぁうん・・・」
くちゅ・・くちょ・・・ 一度上り詰めた身体は、遠くから不特定多数の方に視姦されているという高梨さんの責めの言葉に、新たな蜜をとめどなく湧き立たせてしまいました。
「だめ・・・ぁぁ・・・・・」
ちゅくぅ・・ちゅぅ・・・ 中指が真珠を撫で下ろし・・・慎ましやかな花びらを撫でる時には・・後を追う人差し指が疼きを溜めた真珠の側面を指先で辿るのです。
「あっ・・・ぁはぁぁ・・ん・・・」
ちゅぷぅ・・くちゅぅ・・ 中指と人差し指が共に花びらを嬲ると・・そのまままた真珠へと戻されて・・
その動きを憑かれた様に繰り返すのです。
 
「祥子はそんな風にしてオナニーをするのか。恥ずかしいね。ああ 手のひらまでぐっちょり濡れさせて。」
「あぁ・・いわない・・で・・ぇ・・」
高梨さんの羞恥を煽る言葉が・・・わたくしをいたたまれなくさせます。動いていた指を引いてしまいそうになるほどに。
「だめだ。もっと激しくしてみせろ。女として一番恥ずかしい、誰にも見せることのないオナニー姿を何人もの男の視線に晒して、逝くんだ!祥子。」
吹き付ける風は、先ほどより弱くなっていることも確かでした。
でも、風に乾いてゆこうとする太ももの湿り以上に・・新たな熱い潤みが・・淫らさを忘れる事など許さないと言わんがばかりに、溢れ出してくるのも事実だったのです。
「ゆる・・してぇ・・・あぁ・・やぁぁぁ」
茂みごしに丘を押さえている右手は、溢れ出る蜜に滑り・・・ぬめり・・もう開きつづけることも難しくなっておりました。
「はぁぁ・・・ぁ・だめぇぇ・・・」
滑る右手を、わたくしは無意識のうちにそのまま右の乳房へと・・敏感な先端へと這わせていったのです。
「そうか。その巨乳を弄らないといけないのか、祥子は。なんて淫乱な身体をしてるんだ。もっとはげしく!! 逝け!!祥子。」
「ああぁぁぁぁあ・・・っ・・・」
ガチャ・・ガチャン・・・ わたくしは高梨さんと彼方の展望台からの視線に犯されながら・・・逝ってしまったのです。

桜陰 20

「8分だね、祥子。」
高梨さんはテーブルに身を預けぐったりとしているわたくしに背後から近寄ると、肩越しにスリップのストラップを元通りになおすのです。と、同時に深い声が冷酷にわたくしが逝くまでの時間を告げたのです。
「・・・は・・ぁ・・ぁぁ・」
身体からはまだ快感の余韻は引かず・・・わたくしの意識は戻り切ってはおりませんでした。
「5分の約束だろう。お仕置きをしないとな。」
まだ、スリップの下で昂ったままの左の乳首を捏ね回しながら、右手は先ほどはだけてしまったスリップの裾を治しているのです。
遠くからいまの光景だけをご覧になった方からは、わたくしのはしたない行ないを嗜める優しい恋人のように映っていることでしょう。
この耳元の言葉が届かないのですから・・・
「いやぁっ・・・」
オーガンジー越しにGカップの中央で堅くしこった先端に爪を立てられて、わたくしは高梨さんの言葉の意味を思い出したのです。
・・・お仕置き。いま、彼が嬲っている場所に付けられてしまうピアス。
「そうだ、お仕置きだ」
高梨さんの腕と手には・・恐怖に堅くなったわたくしの身体が感じられたのでしょう。
自分自身の欲情した身体の状態を言葉にすることすら拒んだわたくしが・・・誰に見られているかも解らない場所で、昼日中から自慰行為を・・・それも2度も達するまでし続けたのです。
どれだけ、怯えているのかはお解りだったはずです。

「おねがい・・ゆるして・・・」
高梨さんを振り返るわたくしの睫毛には、淫楽と恐怖に浮かんだ涙が光っておりました。
「そんなにピアスがいやなのか?祥子は」
わたくしは、こくん・・と一つ頷きました。
「ピアス以外のことなら、どんなお仕置きでも従うか?」
Gカップの乳房をいらい続ける高梨さんの左手にキスを一つすると・・・また一つ頷いたのです。
「おねがい・・・ゆるして・・・ください」 
繰り返されるわたくしの哀願に、鷹揚に頷き返すと高梨さんは首輪からリードを外し柵から革の持ち手を取られたのです。
そして・・・改めて首輪の留め具にリードを繋ぐと・・・こう仰ったのです。
「祥子。まさかそのテーブルを汚したりはしてないだろうね。」
「やぁ・・っ・・・」
1人で立ったままでは居られなくて、腰を浅く預けていたガーデンテーブルの事など考えもしなかったのです。

「立ちなさい。」
リードを強く引かれ、わたくしは預けていた腰を上げざるをえませんでした。
「ああ こんなにして。」
高梨さんの声で振り返ったわたくしは・・・はしたなさに思わずガーデンテーブルから視線を反らしてしまったのです。
腰を下ろしていた場所には・・・わたくしの太ももと腰の内側のラインの形にくっきりと・・・淫らな潤みが残っていたからです。
「ゆったりと煙草と夜景を楽しむためのテーブルに、祥子のフェロモンをこんなに塗り付けて。」
顔を反らせるんじゃない・・・という代わりにリードを引くのです。
「1人になった僕を苦しめるつもりなのか?」
「ちがい・・ます・・」
「祥子、言葉遣いがなってないね。どうなんだ、そのつもりなのか?」
「いい・え・・ちがいます・・ごしゅじんさま」
わたくしはその一言で・・・また高梨さんの声の呪縛に囚われてしまったのです。この方は、いつもこうしてわたくしを理性のレベルでも・・・従わせるのです。
 
「そうか。仕方がない、これは自分で綺麗にするんだな。」
「・・・はい。バッグを・・取りに行かせてください。」
高梨さんの仰るとおりです。わたくしは桜のバッグの中の自分のハンカチを取りに行こうと思ったのです。
「どうしてバッグがいるんだい?」
「あの・・・わたくしのハンカチできれいに」
「何を言っているんだ。祥子がその口で舐めて綺麗にするに決まっているだろう。」
「・・・ゃぁ・・なにを・・」
わたくしが流した蜜を・・・わたくしの口唇で舐め・・拭うなんて・・・なんてことをさせるおつもりでしょう。
「祥子は僕の言う事を聞くと言ったね。さぁ、言う通りにするんだ。」
三度リードを引くとわたくしの顔を・・上半身をテーブルの上に伏せさせようといたします。
「腰を落とすんじゃない!」
テーブルの前に跪こうとしたわたくしの腰をしたたかに叩くのです。
「・・ぁぁ・・・」
高梨さんの手で後から腰を引き立てられ、両脚はバックストラップパンプスの隙間に押し入れられた彼の足で、肩幅ほどに左右に割り開かれたのです。

このベランダで最初に高梨さんに要求された姿を・・・とうとう取らせられてしまいました。それも・・・自らの手で2度も逝き果てた・・・淫らな花びらをベランダの外に向かって晒す羞恥とともに。
「さぁ、きれいにするんだ、祥子。君の白濁した愛液に濡れたテーブルをね。綺麗になるまで許さないよ。このままの、はしたない姿を向こうから覗いている男達に晒しつづけるんだな。」
両手を着いた間に、わたくしの頭を逃れないように押さえつけてそう仰るのです。
「・・・はい」 わたくしは舌を伸ばし・・・テーブルの表面を光らせている粘液を掬い取ったのです。