2ntブログ

祥子の日常/ビジネスタイム 2

ショルダーストラップはほとんど使いません。
この大きさだとそれほど重くもなりませんし、重くなるほど何かを沢山入れて歩くというのも無粋でしょう。それに、冬場毛皮の時にストラップは使えませんしね。
確かに両手が空いて便利ではあるのですが、ショルダーにすることで姿勢が歪んでエレガントに歩けない・・・それが、ストラップを使わない一番の理由でしょうか。
やはりハンドバッグはその名の通り、必ず手で持つ・・のが美しいものです。

そう言えばわたくしも、とても若い・まだ会社員だったころは、A4の書類が入るような大きなサイズのバッグを長く愛用していました。
書類とプライベートのものをいろいろ入れて、ずっしりと重くなった大きなバッグをまるでキャリアの証のように持ち歩いていたこともありました。
でも、それはあまり美しくないことにある日気付いてしまいましたの。
いまでは、書類関係がある時には全く別のバッグに書類だけ入れて持つことにしています。12inchのiBOOKを持ち歩くこともありますので、そんなはエールラインのシリーズに書類とPCを一緒にということも多いですね。
出張などの時は、黒のエールバッグの大きいサイズのものをプラスします。
持って行くものに合わせて深さを変えられるシンプルな構造のバッグですが、収納力が高く1・2泊程度の旅行でしたら便利です。

わたくしは、フリーですから決まったオフィスに<出勤>するわけではありません。その時々、ご依頼をいただいたクライアントのオフィスに<伺う>んです。
近頃は、とても有り難いことに、わたくしのためにデスクを1つ用意してくださるクライアントもありますので、そちらにまず顔を出すことが多いでしょうか。
もちろん別のクライアントからご依頼があれば、そちらに先にお伺いします。
都内ですと、ほとんど東京メトロが移動の足になります。時間に正確で・都内を縦横無尽に走る地下鉄は大変便利です。
自宅からドアtoドアで、山手線内でしたらどのクライアントにも最長でも45分で到着できるのですから、とても快適です。
離婚と同時に都内に越してきたのも、この便利さ故ですね。

ただ一つ残念なのは、車を運転する機会がほとんど持てなくなってしまったという点です。ドライブには、時々誘っていただくのですが・・・自らの手で操作して、風を切り・風を追い越してゆく操作感はまた格別なものがあります。

クライアントへ伺うのはアポイントメントに合わせて。それ以外に、わたくしのスケジュールを縛るものはありません。
おつとめの方達よりも少し遅い時間の電車で移動することがほとんどです。
慌てて駅の構内を走ることも、年に一度あるかないか(笑)。そんな通勤時間を送らせていただいております。


オフィスに到着したのは10時30分頃でしょうか。
「おはようございます。」
午前11時を過ぎるまでの挨拶の言葉です。
もちろん11時を過ぎれば、こんにちわ・・になります。
わたくしに、用意されているデスクはオフィスの一番奥。既にお仕事を始められている何人かの方にご挨拶しながら、席に向かいます。
窓際の明るく、快適なスペースです。
席に付いてまず最初にすることは、Macを起動することです。メールチェックは出掛けに自宅で済ませていますから、あまり時間は掛かりませんがやはり一番最初にさせていただくことにしています。

「加納さん、お電話です。」
「ありがとうございます。3633へお願いします。」
こちらのオフィスの方達には、とても良くしていただいてます。
社員でもないのですが、普通に電話をつなぎここの社員さんと同じ様に接してくださいます。

祥子の日常/ビジネスタイム 3

「おはようございます、加納です。」
わたくしはフリーですので、こちらのお仕事をする時はここの社名を名乗ってお電話をすることもございます。大阪や名古屋の支店の方と連絡を取るときも、近頃ではわたくしの個人事務所の名前を出す必要は全くなくなりました。
「佐伯です、おはようございます。今日の打ち合わせは予定通りでいいですか?」
「はい。何人でお越しになりますか?」
「私と山野の二人で伺います。」
「わかりました、お待ちしております。」
今日の午後のプレゼンテーションのための事前打ち合わせです。
プレゼンというと、以前は営業畑の方は丸投げでお任せ、というケースが多かったのですが最近では皆さん事前に打ち合わせを希望されます。
用意した企画書をお見せして、ストーリーの全体の流れと提案のポイント、こちらの会社にとってのメリット・デメリットをお話するのが打ち合わせの内容になります。

午前11:00。
「おはようございます。ゆうべは遅くまで掛かったんですか?」
朗らかで大らかな声は、営業マネージャーの佐伯さんです。真面目で厳しい表情の方ですが、笑われるとなんともチャーミングな男性です。
ご一緒にお仕事させていただくことが楽しみな男性のお1人ですね。
「いらっしゃいませ。いえ、さほどでもありませんわ。さぁどうぞ、こちらへ。」
お二人を会議室へご案内します。
佐伯さんの後で、書類を手に畏まっているのが新人の山野さんです。
わたくしが席を置かせていただいている、プランニング部門のマネージャーも同席しての打ち合わせがはじまりました。

今回、プレゼンに使用するのはレジュメと、パワー・ポイント。

お客様が数多くいらっしゃる場合には、プロジェクターとPOWER BOOKを持ち込んでパワー・ポイントで一気にご説明することが効果的です。
テレビや映画・CMといった<映像>に、日常的に触れていらっしゃるせいでしょうか。
提案の細目を詰めるのではなく、全体の方向性を選定していただく場合なのは、こうしてイメージを映像で訴えかけるプレゼンが効果的です。
できれば、簡単なプロモーションビデオのようなものが作れるといいのですが、そこまでは広告代理店がクライアントでも無い限りなかなか手を出すことはできません。プロモーション・ビデオに近いイメージで、場合によってはBGMなどをプラスしてプレゼンができるという意味では、パワー・ポイントは優秀なソフトですね。
プロジェクターも、コスト・大きさ共に機動的なものが増えております。今日ご提案するクライアントの会議室程度の規模でしたら、ノートブックPCとあまり変わらない大きさで高性能なものがありますから、それで充分です。

勿論、クライアントは印象だけで決定を促す訳には参りませんから、手元にはきちんとしたデータを添えた企画書をご用意いたしました。

今日のクライアントは、航空会社です。
プレゼンのテーマは「機内ユーティリティの統一」。
今日の装いは、ネイビーのピークドラペルのジャケットと膝丈タイトスカートにライトブルーのカットソーを選びました。
濃紺のストッキングにパンプス、シニヨンにまとめた髪型で、客室乗務員さんとまでは言えなくても、少しでも<機内>をイメージしていただきやすいように工夫します。

佐伯さんと山野さんにレジュメをお渡しし、パワー・ポイントでの説明をほとんどプレゼン本番と同じ様にいたします。約20分で、一通りの説明を終了します。
「いいですね。」 
これが佐伯マネージャーの第一声でした。

祥子の日常/ビジネスタイム 4

「ありがとうございます。今回は方向性ですから、個別の商品についての各論は省いております。この案件に対する当社のポジショニングと、この提案のもたらす効果に重点を置いてまとめました。」
「いまは、航空会社もコスト重視でとにかくどんなものにもスポンサーを付けたり、広告をプラスしたりしがちだから、機内が雑然とする。こうして、統一したコンセプトを持ち込むと、数段高級感のある過ごしやすい雰囲気の機内に変わるね。」
「はい。同質化競争が続いている機内サービスで、他社に一歩先んじるのに環境を整えるという着眼点は効果的だとおもいます。」
佐伯さんも、企画のマネージャーも頷いてらっしゃいます。第一回めのプレゼンとしては、この方法で成功のようです。

「あの、説明のお時間や資料についてはいかがでしょうか?」
わたくしは、気になっている点を確認します。どんなに優れた提案でも、クライアントがプレゼンテーションに許してくださる時間には限りがあります。いただいている時間を有効に使って、充分な説明を印象的にさせていただくのがわたくしの仕事です。
「持ち時間は1時間ですから、30分は説明に使えます。」
控えめに教えてくださったのは山野さんです。
「いまの感じで説明してください。不足しているポイントなどは、最後に私が補足します。」 佐伯さんのレジュメには、既にいくつもの書き込みがされています。さすがに・・・この方の判断はいつも的確で素早いです。
「はい。わかりました。説明自体は20分ほどにまとめます。同じ画面を集中してご覧頂ける限界だと思いますので。後はお任せいたしますので、よろしくお願いします。」
やぁ、こちらこそ・・佐伯さんは頷いてらっしゃいます。
この方とのプレゼンは今回で3回目。お互いに阿吽の呼吸で進められる、素敵なご担当者のお1人です。
「企画書とプロジェクターはこちらで持って行きましょうか?」
「はい、よろしくお願いします。現地集合でしょうか。」
「ですね、10分前にクライアントのロビーで。」
「わかりました。」
手元の企画書を封筒にいれ、セットしてあるプロジェクターを山野さんにお渡しします。
「よろしくお願いいたします。」
エレベーターホールまでお二人を見送って、こうしてプレゼン前の事前打ち合わせは終了します。

12:00。
昼食は、こちらの会社のデザイナーの方とご一緒することが一番多いですね。
なにげない日常の趣味のようなお話の事もあれば、お食事をしながら簡単に企画の方向性を決めてしまうこともあります。
そんな時はメモも持たずに、互いの感性と記憶力の中で情報をやりとりします。
<パワー・ランチ>などと称して、お食事の場に沢山の資料や分厚いシステム手帳を持ち込むなんて・・・スマートじゃありませんでしょう。

13:00。
午後の外出までの時間を、先ほどの案件とは別の件の資料のラフを作って過ごします。
デザインとか企画というお仕事には、繁閑がありますからいつも・・・というわけではありませんが、だいたい一度に担当させていただいている案件は3~5案件になることがほとんどです。それに飛び込みのお仕事もありますね。
プレゼンテーションの時期がずれますから、納品に合わせて全体のスケジュールを組んでプレゼン日に間に合う様に資料づくりをするタイム・マネジメントもわたくしの仕事の一つです。
デザインの大まかな流れや今回提案したようなプランニングの仕事でも、構想をまとめるのは、意外と鉛筆と無地のレポートパッドを使っています。具体的なデザイン作業や、書類作成はほとんどPCですので一日6~10時間はPCの前のことが多いです。
打合せで人とお逢いしているか、PCでデザインワークをしているか・・・が、わたくしのお仕事です。

打合せには、やはりきちんとした装いが求められますので(デザイナーの装いのセンスが悪かったら、そのデザイナーにお仕事を頼みたいと思いますか?)、きちんとジャケットを着るようにしています。
でも、PCでの作業にジャケットは肩が凝ってしまいますでしょう。
ですから、個別の作業の時はジャケットをロッカーに仕舞って、ブラウス姿やカットソー姿になります。
いまも、ライトブルーのカットソー姿でお仕事をしているのですよ。
ジャケットを脱ぐと露になるバストのラインを、プライベートでお逢いする男性の方達は楽しみにしていてくださいますが、お仕事をご一緒する方達は何もおっしゃいません。

祥子の日常/ビジネスタイム 5

デスクワークの時にジャケットは脱ぎますが、足許をサンダルに履き替えたりはいたしません。
足許の乱れは姿勢も悪くいたしますし・・・どうも・・・ごめんなさい、個人的にしっくりこないからとしかお答えのしようがありませんわ。

「加納さん、ちょっと教えてくれないかなぁ」
「はぁい、なんですか?」
仕事柄、こちらの会社の他の方達よりはPCに詳しいことから、時々呼ばれて質問されることがあります。デスクに座ってらっしゃる、男性の肩越しに簡単な操作をお教えすることも、しばしばあります。
「ここのメニューバーから・・・」
お教えする時は、ちょっと手間ですが操作方法を耳元でお教えして、その方に実際に操作をしていただきます。わたくしがちょこちょこっと触ればそれで解決するのですが、そうしてしまうといつまでも覚えていただけませんでしょう。
一つお教えすると、それに合わせて関連した質問をいただくこともありますね。
企業ではほとんどWindows機を使ってらっしゃいますよね。わたくしはMacなのですが、質問いただくような操作は大抵わかりますので、なんとかお役に立っているようです。
同じオフィスにいながら、あまり業務内容が重ならない方達との、ささやかなコミュニケーションタイムです。

15:20。
そうこうするうちにクライアントへと向かう時間になりました。
今日プレゼンにお越しになるお客様は、以前別の案件でお世話になった方もいらっしゃるとのこと。楽しみです。
「プレゼンにいってきます。今日はこちらには戻りません。」
企画マネージャーとアシスタントの女性に声を掛けて、ジャケットとPCバックを手にオフィスを出ます。
地下鉄から私鉄へと乗り入れて50分。この移動時間の間に、今日のプレゼンのシュミレーションを頭の中で繰り返します。今朝の打合せだけでなく、その前の企画作成段階から幾度となく検証したストーリーです。よどみなく説明ができそうです。

都内での仕事の移動は電車がほとんどです。距離的にあまり遠くなければ、車を使う事もありますが、渋滞により時間を読めないのだけは致し方ありません。
お時間の約束を守るのも、営業の基本ですものね。

16:20
「お疲れさまです。」
「お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、時間通りですよ。もう少し待ってください。」
クライアントのオフィスへと到着しました。わたくしを見つけた佐伯さんが声を掛けてくださいます。
山野さんは先に会議室に向かって、プロジェクターの準備をしていてくださるはずです。
セキュリティの受付前にあるソファで、約束のお時間までしばしの休憩です。
「今日は、どなたが?」
「営業企画とCS推進室のメンバーだって聞いてます。15名ほどでしょうか。加納さんは以前にも実績がありますから大丈夫ですよ。」
佐伯さんが、わたくしの質問に的確にお応えくださいます。
16:30から約1時間のプレゼンテーションです。

「お待たせいたしました。こちらへどうぞ。」
クライアントのご担当者が呼びにいらしてくださいました。
さぁ、これからプレゼンへ・・・・いってまいります。

祥子の日常/ひとりの夜

おはようございます。祥子です。
石塚さんの粋な夜のプレゼント<Fireworks>いかがでしたでしょうか。
花火が始まって・終わるまでの限られた時間での逢瀬の物語でした。
全15話という<淑やかな彩>では比較的短い物語に、物足りない想いをされた方もいらっしゃったみたいですね。
一瞬ですが花火と共に激しく責め立てられてしまった一夜は、これから望月さんにバトンタッチされるようです。ぜひ、お楽しみになさってください。

さて、今回は以前にもお伝えしておりました<祥子の日常>の夜をお届けします。
どなたともご一緒しない一人きりの夜をわたくしがどう過ごしているか・・・こっそりご覧になってくださいませ。