淑やかな彩

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お仕事が終わった後のお夕食は・・・そうですね、半分くらいはクライアントと打合せ方々になることがほとんどです。最近ではイタリアンか、京料理をベースにした和食屋さん、フレンチのビストロが多いですね。
完全にプレゼンが終わったあとですと打ち上げ♪もありますが、大抵は次のプレゼンが近づいていたりしますので、なかなかぱぁ～っとという訳にはまいりません。
軽くお酒をいただきながら、お食事をご一緒して、会話は次のプレゼンテーションのこと、という感じです。陽も暮れ落ちた事務所でしかめ面で打合せをするよりも、発想豊かな打合せが出来るという効果もございます。

今夜は、珍しく一人の夜です。
バーでお酒というよりも、美味しいコーヒーを頂戴したい気分だったのです。
そこでお食事は帰宅してから自宅で取ることに決めて、行きつけの珈琲専門店にいくことにいたしました。

その前に、立ち寄ったのはブックセンターです。
仕事帰りに週に２～３日は立ち寄ることにしております。読書好きなものですから、コミックスから小説・経済書までどんなジャンルのものでも興味を引けば手にすることにいたします。新作をチェックして、好きな作家の方の文庫本（通勤に読みたいものですから小さくて軽いものを選ぶことにしているんです）を見て、コミックスのコーナーも一応チェック。
今日は女流作家の方の短編を１冊買い求めたのです。

地下鉄で１５分ほど。駅から徒歩で５分たらずでお気に入りの珈琲専門店があります。
「いらっしゃいませ」
気持ちのよいスタッフの方の声に迎えられてわたくしはいつものカウンターの席に向かいます。
こちらのお店は、スタッフの方がお席に案内してくださるのが基本なんです。わたくしも沢山のお客様がいらっしゃっている時はご案内いただくまで大人しく待っております。
でも、今日のようにどなたもお待ちではなくていつも座るお席が空いているときは、スタッフと店長の暗黙の了解のもとでそのお席にそのまま向かわせていただくんです。
「今夜はお早いですね。」
女性スタッフがお水のグラスを差し出してくれました。
「ええ、お仕事も一区切り付きましたからね。キリマンジャロをお願い。」
「どうぞごゆっくりなさってください。」
微笑んで、彼女はオーダーを店長に伝えます。
普通のお客様ならここでお砂糖とミルクを出してくれるのですが、わたくしは美味しい珈琲はブラックでいただくことにしてますので、そのままスタッフは他の仕事をなさいました。
ほどなく、豆を挽くところから１杯づつ店長が珈琲をたててくださいます。
豆は焙煎をしたばかりのものを、毎日本社から届けられているのです。豆は生きています。新鮮なものを最高の管理下で使ってくださるのです。美味しい道理ですね。
香り高い珈琲が目の前に運ばれました。
「今日は読書ですか？」
「ええ」
わたくしは、先ほど手にいれたばかりの文庫本を開きました。
「今度おすすめの本があったら教えてください。加納様に前に教えていただいた小説、面白かったですから。」
「わかったわ、またいい本があったらプレゼントしますね。」
「ありがとうございます。どうぞ、ごゆっくり。」
ブラックの珈琲は熱く、わたくしの喉を滑り落ちてゆきます。
バロック真珠のような美味しさが口のなかに広がってゆくのが、わたくしの大好きなキリマンジャロのお味です。
こちらのお店では、こうして本を読むこともありますし、iBookを広げてネットに興じることもあります。
最近では珍しく喫煙可のお店なので、たまには隣に並んだお客様が香り高い葉巻を珈琲と一緒に楽しまれていることもあるんですよ。
ウエッジウッドのカップ一杯の珈琲をいただいて、いつもよりも早い時間に今夜は帰ることにしました。
これから自宅でお夕食ですから。
「ありがとうございました。」
スタッフの男性の優しい声に送られて、自宅に向かいます。

今夜のメニューは、からすみとパプリカのパスタに、作り置きしてあるビシソワーズ、それにロメインレタスのサラダです。
パスタを茹でるためのお湯を湧かしている間に、スーツから部屋着に着替えてまいります。
エプロンはあまりいたしません。お魚を下ろすときなどは、さすがに使いますが、今夜は茹で上げたパスタにさっと摺下ろしたからすみを合えるだけの簡単なレシピですから、あまり汚れることもありませんしね。
帰宅してすぐに冷凍庫から出しておくと、ちょうど良く解凍できるのがビシソワーズです。週末においしい男爵いもとたまねぎをブイヨンで煮て・・・生クリームで簡単に作れるわたくしのお気に入りのスープなのです。
これからの寒くなる季節には、あたたかなポトフなどもよろしいですわね。
ロメインレタスは洗って、手でちぎって、今夜は美味しいお塩とブラックペッパーだけでさっぱりと。
あと・・・ふふふ、冷たくした白ワインを一杯。
お気に入りの洋画のDVDを環境映像のように掛けて、ゆっくりといただきます。

お食事は、できれば独りじゃない方が楽しいですね。
お外で頂く時は、お店のスタッフの方と会話を楽しんで頂戴してます。
いつかはきっと・・・ね。

自宅にお仕事を持って帰ることは、最近ではほとんどいたしません。
以前はよくしたのですけれどね。
もちろんフリーですから、自宅でこなさなくてはならないお仕事もあるのですが、こんな夕食の後にカリカリとするくらいなら翌朝早くに起きてこなすことにしております。

お食事を終えてからは、バスタブにお湯を張って・・朝ほどではありませんがゆっくりとぬるめのお湯で入浴します。
柔らかな泡をシルクのタオルに乗せて、やさしく肌を拭ってゆきます。強くすると赤く痕がついてしまうので・・そう男性がわたくしの肌を愛撫してくださるように・・・洗ってゆきます。
わたくしは左の肩先から腕を・・そして両脚を洗って・・・ヒップから背中・・首筋・・はぁぁぁん・・・ちょっとはずかしいお腹からGカップの乳房をまぁるく洗って・・・タオルを脇の下へ・・それから改めてボディシャンプーを泡立てて手にとり・・・太ももの狭間は指で隈無く洗ってゆきます。
あん・・・だめです。そんな風にご覧になっちゃ・・・
そうそう、夜は髪を洗わないのでアップにしています。
身体を覆った泡を流して、バスタブに浸かります。ワインの仄かな酔いと適度な湯温が、わたくしの睡眠薬です。

お風呂上がりには薔薇の香りのボディパウダーを、白い肌を慈しむ様にはたきます。
ナイティはしっとりと肌を覆うシルクのロングスリップとハイレグのパンティだけ。今夜はスカイブルーのセットを選びました。後は、黒とシルバー、ホワイト、パウダーピンク、ローズピンクのセットがあります。
そのままでははしたないですから、ベッドに入るまではお揃いのガウンを羽織っているんですよ。もちろん。
身体を締め付けるようなものは眠るときには身に着けないようにしています。時にはロングスリップだけ・・・な夜もありますの、ひとりの夜には。でも、これはないしょ♪です。

読み刺しの文庫本を持ってベッドへ入ります。
やわらかなシーツに包まれて、スタンドの明かりで本を読むのですが・・・ふぁぁぁぁ・・・ごめんなさい、今夜はもうおねむ・・です。

おやすみなさい。