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夢のかよひ路 43

ガチャっ
「きゃっ!」
わたくしは、突然開いたドアの音に小さく悲鳴を上げてしまったのです。
「どうしましたか。祥子さん。」
「驚かせないで。びっくりしたわ。」
「ふふ 一体何に驚いたんですか?変な人ですね。この場には、祥子さんの他には僕しかいないのに。さぁ中に入りましょう。」
腕を括られたままのわたくしに、望月さんが手を貸してくださいます。
「ひとりで、できるわ。」
恥ずかしかったのです。
つい先ほど驚いたときも・・・ショックで・・花びらから蜜を溢れさせてしまっていたのがわかったからです。1時間前に修善寺の山中でいまの姿にされてからずっと、車のシートに敷かれていたタオルにはわたくしの愛液で出来たはずかしい沁みが付いているに違いなかったからです。
「それだけ括られていたらバランスが取りづらいはずです。遠慮しないで、さぁ。」
望月さんの声には、セクシャルな雰囲気は全く含まれてはいませんでした。
ただ、純粋にわたくしを気遣っているのです。
「わかりました。それなら、縄を外してください。」
わかっています、彼がいじわるを言っているのではないことくらい。
それでも、羞恥からわたくしは少しわがままを口にしてみたのです。
「もちろんです。あまり長時間括ったままなのは良くないですからね。ここには温泉が引いてあります。縄を解いて、ゆっくりと浸かりましょう。」

紳士的な望月さんに、これ以上駄々をこねるわけにはいきませんでした。
彼に手を貸していただいて、助手席で身体を回すと少し勢いを付けて立ち上がったのです。両手を縛められたままのわたくしは、反動で望月さんの腕の中へと身を躍らせてしまいました。
「あん、ごめんなさい。」
「いいんですよ。まるでお正月に雪の別荘でお迎えしたときの様ですね。」
・・・思い出してしまいました。
女性運転手の結城さんの運転する車のリアシートで、東京から雪の別荘に到着するまでの間中石塚さんと山崎さんに嬲られ続け・犯され続けたこと。
先に別荘に着いていた望月さんに出迎えられ・・・嬲られた余韻を残した無惨な姿を見られてしまった時のことを。
「あの時も、ほんとうはこうして僕の腕で祥子さんを抱きしめてしまいたかったんです。あの方達の手前・・・とても出来ないことでしたけれど。」
思わぬ抱擁に身を捩るわたくしの耳元に、また新たな告白を望月さんはするのです。
「ゆう・や・・?」
「さぁ、中に入りましょう。万が一こんな時間に通りかかるのが居るとすれば、たちの悪い連中です。そんな奴らに、祥子さんのこんな艶姿を見せるわけにいきません。」
まるで先ほどまでわたくしが脳裏に描いていた最悪の状況を言葉にされているようでした。
「それとも、僕ひとりじゃ物足りませんか?祥子さん。」
「悠哉の・・・いじわる。」
「はい、わかりました。あっ、これは持って行かないと。」
そうして、助手席のタオルを取り上げたのです。わたくしの・・愛液の染み通った・・・バスタオルを。
望月さんは車内を覗き込み、リアシートからわたくしの手籠を取り出すと畳んだバスタオルと一緒に持って、わたくしを建物の中へと導いたのです。 コメント
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