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重なる指に-2

二人きりになれる場所に着くまでわたくしたちは、一言も交しませんでした。
指先をからめることも、腕を組むことも、ましてや先ほどまでカウンターで触れていた脚さえ見知らぬ他人のように離していたのです。
ほんの少しでも互いに触れたら・・・堰を切るように溢れて止まらなくなってしまう事を恐れるように。

牡丹4


「ん・・ふっ・・」
部屋へ向かうエレベーターで交したキスが始まりでした。
エレベーターが開いて廊下に誰もいないことを確認した一瞬以外、貪る様なキスを止める事は出来ませんでした。

「しょう・・こ・・」
「ぁ・・ん・・」
かすれた声でわたくしを呼んだのと、部屋のドアが閉まったのは同時でした。
扉の内側に互いのバッグを落とすように置くと、彼はわたくしのジャケットの釦を、わたくしは彼のネクタイを外しはじめたのです。
「だ・め・・・んん・・・」
ジャケットを落としてあらわになったノースリーブの肩を彼の唇が襲い・・・カットソーの中のブラのホックをはずそうとするのです。
「いい・・香りだ」
「ゆるし・・はぁぁ・・ん・・」
今度はネクタイを緩め、シャツの貝釦に指を掛けるわたくしの首筋から耳へと・・・
「はぁ・・ぁん だめ・・・あぁぁ・・・」
両手首を掴まれて引き上げられ・・・腋窩を舐め上げられた瞬間、カットソーは引き抜かれ、スカートのファスナーは引き下ろされてしまったのです。

「さっきのバーボンより祥子のフェロモンが香るな。」
「あん・・・・いじわ・る・・言わないで・・・・」
「どうした?」
「おねが・・い・・」
「もう立っていられないのか」
「ん・・・・ゃぁ」
彼のジャケットすら脱がす事ができなかったわたくしは、ランジェリーだけの姿でベッドの上に放り出されたのです。

牡丹5


「そんなに感じてるのか?」
「やっ・・・だめ・・」
横たわったわたくしは、いつもと違い部屋の中が明るいままであることにはじめて気づきました。
「なにが駄目なんだ」
自らジャケットを脱ぎ、ネクタイを引き抜きながらベッドの足元に乗る彼は引き寄せたわたくしの両膝を割ろうとするのです。
「だめっ・・あかる・ぃ・・ぃやぁぁ・・・」
明るすぎる間接照明を遮るように腕を上げた途端、彼の手で寄せ合わせたストッキングの膝は割り開かれてガーターストッキングの奥のはしたなく濡れそぼったショーツまでも、明かりの下に晒されてしまったのです。
「綺麗なパウダーピンクのランジェリーなのに祥子が濡らすからそこだけ濃いピンクに見える。」
「や・・っ・・・」
開いた脚の間に身体を割り込ませた彼は、スリップの裾を引き下ろそうとするわたくしの手を左手一本でやすやすと封じてしまいます。
「いつから濡らしてた? こんな状態だってことは、俺が来る前からか? マスターに欲情してたのか?」
「あぅっ・・・っちが・・うぅっ・・」
「ブラの上からでも祥子の乳首が堅く立ってるのがわかる。」
彼は右手をランジェリーをつけたままの乳房を指先がめり込むほどに揉みしだき・・・左手はシルクのスリップの裾をわたくしの手ごとガーターベルトのレースが丸見えになるほどに引き上げたまま、視線ははしたないショーツの上と、羞恥にまみれるわたくしの顔を交互にさまよわせるのです。

「やぁぁ・・・ゆる・し・て・・・明かりを・・・」
「久しぶりに逢う恋人に、祥子のきれいな花びらさえ見せてくれないつもりかい?」
シュルッ・・・ シュッ・・・
「いやぁぁぁ・・・」
乳房から離れた手はあっという間にショーツのサイドのリボンを解き・・・明かりの下に晒してしまったのです。
「ヘアをカットしたんだね。祥子のつややかなヘアの感触も好きだったが、この景色も格別だね。まだ触れてもいないのにいつも慎ましやかなピンクの花びらがこんなに濃く色づいてる。」
「はぁぁ・・・ん・・」
彼の指先が、濡れそぼる真珠の上をはいて花びらからしたたる蜜を掬うのです。
「きれいだ。何度見ても・・・こんなに」
「おねがい・・ゆるして・・・もう・・ ね あな・た・・・ぁ・・」

牡丹6


哀願するわたくしに唇を重ねると、彼は腕を伸ばして部屋の明かりを落としました。
「しょう・こ・・・」
「あふぅぅ・・ぁん」
スリップとブラのストラップを乱暴に引き下ろし彼の手に揉みしだかれて堅く立ち上がった乳首をねぶりながら、わたくしがほとんどの釦を外していたシャツを脱ぎ去ります。
「いいのか?」
唇も耳朶も首筋も乳房も・・・全てに唇を這わせながら、柔らかな感触のウールのスラックスとソックスを荒々しく脱ぎ捨て、わたくしの手を彼のものに導くのです。
「はぁぁ・・・あぁ・・おっ・きぃぃ・・・あぅっ」
彼はいつものボクサーパンツを・・身につけていませんでした。
いつからそんな風になっていたのか、いままでにないほどに猛々しく雄々しく立ち上がり、わたくしの指にはぬめる彼の体液さえ感じられたのです。
「ほしいか?祥子。これが欲しいか?」
「は・・ぃ・・・ほしぃ・で・すぅ・・・はぁうっ」
「じゃぁ 咥えてくれ」

力強い腕で体勢を入れ替えられたわたくしは、ガーターストッキングだけの姿にされ、仰向けの身体の中心にそそりたつ彼に唇を重ねたのです。
少しずつ口内の粘膜の比率を高めるように・・・唇の触れた場所に舌先を這わせるように・・・
「ああ・・・そこだ 気持ちいいな 祥子のフェラは 本当にいい」
彼の茂みに鼻先を埋めるほどに深く・・喉奥で先端を愛撫し・・・
左右の皺袋をひとつづつ含み・・・
鼻先で袋の根本を刺激しながら舌先で彼のアナルを舐め・・・
「うぅ いいっ」
同時に彼に添わせた指に新たなあたたかな粘液がしたたり落ちるのがわかります。
指先を皺袋に移し・・・わたくしは改めて口腔に彼を迎え入れたのです。

「最高だ 祥子 これ以上されたら逝ってしまいそうだ」
長い髪に指を絡めるようにしてわたくしの頭を引きはがすと、彼はわたくしの身体をそのまま昂りの上へと引き上げたのです。
「祥子を味あわせてもらうよ」
「あぁうっ・・・」
騎上位に彼を跨がらせたわたくしの花びらを貫くように、昂りを突き上げ・・・わたくしの腰をぐいと引き下ろした彼は、挿入するなり最初の絶頂に達したわたくしを容赦なく責め立てはじめました。

牡丹7


「はぁぁ・・ん・・いい・・いぃのぉぉぉ・・・あなたぁぁ・・・」
「っ締まる 祥子のはなんて」
わたくしを上にして責めに応じてたゆんと揺れる乳房をいらっていたのは、十分にもならなかったように思えます。
突然動きを止めると、彼は今度は正上位でわたくしを責め立てたのです。
「いぃぃ・・・あな・た・・・す・きぃ・・・」
「好きだよ 祥子」
「だめ・・・そこ・・・また・い・っちゃ・うぅぅ・・」
「何度でも逝ったらいい。祥子が逝くのを見るのが俺は好きなんだ。」
「あぁぁ・・・いっちゃう・・ぅ」
「逝ってるな 解るよ 祥子の身体は嘘がつけない」
「やぁ・・・そんな・・あぁぁ・・・いやぁぁぁ」
「もっと もっとだ」

逝き続けたままの身体をうつぶせにされ、ヒップだけを引き上げられて今度は後ろから深々と・・・
「あぁ・・・ゆるしてぇ・・また・・いぃぃ」
「ほらっ」
パシィ! 白く張りつめた尻たぼに平手のスパンキングが飛びます。
「ひぃっ・・・」
「いいのか? 祥子」
パシッ! パチッ! 立て続く刺激にわたくしは身体全体をひくつかせてたくましい彼を体奥でより一層感じてしまうのです。
「祥子に逢うまでバックがこんなにいいとは思わなかった」
「あうっ・・・」
「わかっているか祥子。スパンキングの度に祥子は酷く締め付ける。」
「あぁぁ・・・いぃぃ・・・いぃのぉぉ・・・・」
「動かずにいても中が動いて俺のを扱く。奥を突けば吸い込むようだ。こんな身体は祥子しかしらない。」

再び乱暴にわたくしを引きはがすと仰向けにして・・・正上位で・・・・彼は絶頂へ向けて・・・身体を重ねたのです。
「はぁぅ・・ん・・」
「祥子 逝くぞ!」
「はぁ・・・いぃぃぃ・・・」
「一緒だ いいな」
「くださ・いぃぃ・・・ あなたの精液で・・祥子を・・まっしろ・に・し・てぇぇぇ・・・」
「ああっ 逝くっ」
ヘッドボードに突き当たったわたくしの頭を一層押し付けるように3度大きく突き上げると、彼は熱い精液をわたくしの中に迸らせたのです。

牡丹8


「あ・ん・・・ ごめんなさい」
シャワーを浴びた彼に頬を撫でられて、あられもない姿のままでいることにはじめて気づきました。
彼に逝かされたまま気を失ったようになっていたわたくしの身体には、パウダーピンクのスリップだけが掛けられていたのです。
「そろそろ時間だ。シャワーを浴びて来られるかな?」
「はい。 あっ・・・いゃ・・・はずかしいわ」
身体を起こしただけで・・・太ももに暖かなものが垂れ落ちてくるのです。
「さっき拭いたつもりだったけど、今夜は沢山出したからな」
「もう・・・」
ベッドサイドのティッシュを慌てて押し当てて、彼がベッドの上にあつめて置いてくれたランジェリーを胸元に抱えたのです。
「シャワーを浴びてきます。」
「逝ったままで気を失っている祥子もきれいだったよ。あと少し若ければもう一戦挑んじゃいそうだ。」
「いじわる・・・・」
「普段の乱れない祥子を知っているからだろうな。俺にだけ見せる姿だと思うとたまらない。うれしかったよ。」

「・・・すぐに・・支度しますわ」
先ほどとは違う熱に染めた頬を隠すように、わたくしはバスルームに逃げ込みました。

牡丹9


「ありがとう 遅くなっちゃったね。」
「ううん」
二人きりの部屋を出たエレベーターの中で名残の口づけを交しながら、わたくしは彼に腕をからめたのです。
「いつものように凛とした祥子も好きだよ。」
「ふふふ・・・」

夜の空気は、ふたりにはとても心地よいものでした。
火照る身体を冷やす為にも・・・腕を組んで街を歩くためにも・・・・ コメント
ありがとうございました。
あの方とお付き合いさせて頂くにおいて
「君子の交わりは淡きこと水の如し」を自身に言い聞かせています。
先日のやせ我慢も、まさに仰る通り、堰が切れてしまう事を恐れる理由からでした。
今作の逢瀬は、何時も魅力を感じるところである、じっくり丹念に練り上げる如きものとは様子が違いました。
しかし、決壊して荒れ狂いたいという未熟な私の願いを重ねる事が叶いました。
再度の戯言、ご容赦下さいませ。

2008/06/13 18:02| URL | かずみ  [Edit]
花開く、その咲き加減が饒舌に逢瀬を語って
います。言葉を深めています。

濃厚でした。お見事です。

2008/06/13 20:57| URL | dreamcat  [Edit]
おひさしぶりでございます
先日少し足を延ばして紫陽花をみて参りました。
墨田の花火・城ヶ崎・渥美絞り・未来・・・・もっともっと種類はあるのですが、私は城ケ崎にとても惹かれました。

どんな逢瀬もそれを表すのは一言では無理です。
バラでも紫陽花でもいろいろな種類があるように、どの逢瀬もその時々の色や匂いや気持ちで表されるものですよねえ。



2008/06/13 23:41| URL | 桜草  [Edit]
激しい逢瀬の時間
 官能的な文章ありがとうございました。
 祥子様の逢瀬の時を描写した文章、久しぶりに読ませていただいて堪能いたしました。 
 祥子様も書いておられるように、じっくり祥子様の感情の動きまで表現すると、こんなに長くなってしまうのですね。
 この長さは、祥子様の一連の逢瀬の時を描いた文章の中でも長い部類に入るのでは……?
 そして、その文章の素晴らしさは、私の敬愛し尊敬する、富島健夫先生、川上宗薫先生、宇能鴻一郎先生の作品にまさに、勝るとも劣らないものでした。
 素晴らしい!
 その一言です。
 次回がアップされるまで、何度も読み返すつもりです。
 今回は前回に引き続きこんなに早くアップしてくださり、うれしい限りですが、急ぎません。
 ゆっくり待っていますので、次回もよろしくお願いいたします。

2008/06/14 07:23| URL | オーバーチュア  [Edit]
やはり素敵です
ご無沙汰してます。
ほんとに祥子さんがアップするのを
待ち焦がれていました。

遠慮していましたが、
もうコメントも大丈夫でしょうか?

文章は、いつもながらの素敵な文で、
それだけで昇天してしまいそうですが、
花の写真が相乗効果となって
私の気持ちをかきむしりましたよ。

とても嬉しかったです。

2008/06/14 20:18| URL | くろす  [Edit]
落差の美学
この一文を読んで、ほんとうに祥子さんとベッドをともにしているような錯覚に陥った殿方は、きっと私だけではないでしょう。
濡れた祥子も好き。
凛とした祥子も好き。
その落差そのものも・・・妖しく美しいと思います。
それにしても。
ベッドのうえで、こんなセリフをきめるのは。
よほどの修練がないと、いけませんねぇ。

2008/06/14 23:38| URL | 柏木  [Edit]
待ち焦がれた逢瀬。
普段の顔とは違う祥子さんへと変貌を遂げさせるに充分な時間だったようですね。
濃密で、感情のまま情熱的。
まさに牡丹に、夜露が煌く様な妖しい美しさを感じます…。

2008/06/16 00:33| URL | るり  [Edit]
皆様ありがとうございます
2話でこんなになって・・・なにがショート・ショートだとお怒りを買いそうで心配でした(笑)
無事それでもショート・ショートの範囲?で終わった物語に沢山のコメントありがとうございました。

かずみ様
心に秘めた想いを少しでも晴らしていただくことができましたでしょうか。
大人になり・・・いろいろなしがらみもでき・・・
若いころのようなただ思いをぶつけるような恋もだんだん出来なくなってまいりましたね。 わたくしたちも。

dreamcat様
お写真のイメージを汲み取っていただきとても嬉しいです。
お写真の花の数は、わたくし1人を表すときは1輪の花、彼と二人の姿をイメージするときは2輪の花を選ばせていただきました。
開き方・乱れ方は・・・dreamcat様のご明察のとおりでございます。

桜草様
紫陽花もいまが盛りですね。
このところ、額紫陽花の園芸品種が増えましたね。
わたくしも先日、紫陽花の撮影に行ってきました。
雨が降り始めて、さきかけの紫陽花にたまった水滴が素敵でした。

オーバーチュア様
喜んでいただけて幸いです。
巨匠の皆様の足許にも及びませんが、久しぶりの艶めいた場の描写にはわたくし自身もドキドキいたしました。
以前のような長編はなかなか着手できませんが、また近々・・・お待ちくださいませ。

くろす様
こちらにコメントいただくのもお久しぶりですね。
ご無沙汰しておりました。
以前のようにデイリーにお返事はできないものの、こうしてお言葉をいただけるのはとても嬉しいです。
今年は花を撮り続けるつもりです。
花に合わせたお写真をどうぞ楽しみになさってください。

柏木様
昼は淑女・夜は娼婦。
男性が一番大好きな女性の落差かもしれませんね。
男性もだと思いますが、女性もこの方がこの表情を見せるのはわたくしだけ、だと思うのは格別な喜びでもあるのです。
一種の独占欲なだけかもしれませんが(笑)
手練の柏木様なら、きっともっと素敵な言葉で女性をかき抱いていらっしゃるのではないでしょうか。

るり様
大人だから、自由な時間もあるから、もっと・ほんの少しの時間でも一緒に過ごせたら・・・と思いますが、現実はなかなかままならないものですね。
押し殺すが故の迸りや喜びも・・・大人の醍醐味と受け止めるのが正解なのかと思う今日この頃です。

2008/06/17 11:53| URL | 祥子  [Edit]
ますたー様にお願い
 ますたー様にお願いいたします。

 あなた様は、何かこのブログの趣旨を間違えておられるのではないでしょうか。
 あなた様のコメントは読むと大変不快になるので、このような投稿はおやめになっていただけないでしょうか。
          このブログの一愛読者より

2008/07/04 18:10| URL | オーバーチュア  [Edit]
オーバーチュア様
申し訳ございませんでした。
わたくしがなかなかこちらに来られないせいで・・・ご不快な想いをさせてしまいました。
あの方は業者さんのお一人だと思います。
出来るだけ頻繁に削除に努めますのでどうかご容赦くださいませ。

心強いコメント、とてもうれしかったです。
ありがとうございました。

2008/07/04 18:31| URL | 祥子  [Edit]
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