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幽玄な桜の下に

昨日までの暖かさが嘘のような花冷えの日
迎えに来た車が見慣れぬ街を通って連れてきてくれたのは
見事な枝垂の1本桜の下にたたずむ鄙びた庵

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「大石内蔵助が蟄居していた庵だそうですよ」
「本当にひっそりとした場所だこと」
「今では住宅街ですが、あのころはなにもない場所だったでしょうね」
「目印は丘の上のこの桜だけ?」
「かもしれない。花の時期になると、夜毎忍んでくる女性もいただろうね」

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「あん・・・」
しだれかかる桜の下の作られたかのような薄闇の中で
わたくしは唇を奪われてしまう
「だめ・・ん・・・・」
蟄居の<謹慎>のための場所で求められる快楽の・・・キス

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お願い・・・見ないで・・・
車の運転席で待っているあの人にも
そして、ここに蟄居していたという方の霊にも祈ってしまう
「・・・ばちが・あた・・る・わ」

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膝がくずれ落ちそうになるまで繰り返されたキスの後
連れて行かれたのはとある寺院の塔頭にある湯豆腐のお店
「肌寒い日だから湯豆腐で暖まりましょう」
そしらぬ顔でそういう男性を
目元を桜色に染めたまま責めるように見上げる
「祥子さんを求めて当たる罰ならいくらでも引き受けますよ。なぁ望月」
「はい。もちろんです」
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