ホットショコラ
雪も降らないのに凍えるほど寒い寺を巡り・町を巡りあの女性を探す
当ても無く歩いても出逢えるはずもない
解っているのにあきらめられない
昨夜呼んだ芸・舞妓達が
柔らかな京言葉にのせて聞かせてくれた
あの女性がこの街に居るという事実が

でも、さすがにそろそろ限界だ
アンティークな光があの女性に似合う
美しいサロンを訪れる
暖房だけではないあたたかさが私を包む
目の前であたため続けてくれる
ホットショコラをオーダーする

甘過ぎないコクのある滑らかさが
私の舌にからみつく
まるであの女性と交わすキスのように
そう想うだけで身体の芯に火がついた

「ありがとう
バレンタインにはホットショコラね
本当に美味しかったわ」
階下から微かに声がした
舌を焼きながら席を立つ
なのに・・・
あの女性はもうそこにはいない







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