十五夜の集い
抱き締められた肩からまぁるい腰まで幾度も彼のすべすべな手が這ってゆく
最初はワンピースの上から
次第にファスナーを引き下げて
直接肌に触れてゆく
「あぁん だめ」
心細さに彼の腕にすがる
それなのに次の瞬間
手品のようにブラのホックは外されていた
「背中も感じるんだね」
「言わない で あぁぁ」
恥じらいに染まるほほを
彼のスーツの肩に押し当てる
もう、ハイヒールで立っているのがやっと
「どちらの部屋に行く?」
耳許で彼が囁く
顔を上げた視線の先には
全面ガラス張りのエレベーターに映る
彼の眼差しと
シルクのドレスをまとわりつかせた
ミルクのようなわたくしの背中
ウエストを横切る
ガーターベルトのレースさえ露に
「いゃっ」
「私の部屋に来るなら」
彼の右手が腰の丸みを撫でる
「このファスナーを上げてあげるよ」
彼の左手はわたくしの肩にある
「祥子が独りで部屋に戻ると言うのなら」
中指が衿ぐりをやわらかくたどってゆく
「この扉の前で剥き下ろしてしまおうか」
「やめて」
いまもいつ誰がこのエレベーターを
停めるとも限らない
だからと言って
偶然出逢った彼と
一夜を過ごす覚悟なんて出来はしない
「いいね、祥子」
「でも」
「ほら、もう着くよ」
「あっ あぁぁぁん」
「何倍も気持ちよくしてやる」
「だぁめぇぇ」
「見も知らぬ男に見られたいのか?」
「いやっ」
「決まりだな」
ポン♪
扉が開く
でも、ファスナーは
引き上げられはしなかった
扉の外の数人のフランス人男性の脇を
背中をヒップの割れ目まで露にしたままで
すれ違った
庇うように彼が
後ろについてくれてはいたけれど
ヒュー♪
エレベーターの中から扉が閉まる寸前に
溜め息とも口笛ともつかない声が漏れた
「私の部屋に来るかい?」
うつむくわたくしの頬に指を這わせる
「それとも、
戻ってくる彼らに可愛がってもらうかい。
ガーターストッキングとパンティだけの姿で」
目の前でエレベーターの表示が
このフロアに向かってくる
「お願い」
「はっきり言いなさい」
「あなたのお部屋に」
彼の片頬に笑みが浮かぶ
「行こうか」
差し出された腕に手を絡ませた
深い海のような絨毯の上
堪えきれない悦楽の予感に
わたくしはふらつきながら歩いていた
真っ白な背中を公に曝したままで
- ‥‥‥
-
さすが、M.OOKIさんのスーパームーンは、一ひねりあり、味わい深いですね。どそうしても月を主題に写してしまうけど、紅葉が主役、素敵です。
あれ、もう紅葉してるのですか。
そうか、M.OOKIさんは、どこかへお出かけなのですね。今は一瞬にして写真を送ることが出来るので、便利です。
物語の祥子さん、寂しさは癒されましたか。
2014/09/14 17:26| URL | masterblue [Edit] - masterblue様
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masterblue 様は、M-OOKI 様のお写真のファンなのですね。
確認したのですが、残念ながら今年のお写真ではないようです。ただ時期は今頃で、色づいた品種の紅葉だったようです。「この写真には秘密があるのよ(笑)」とおっしゃっていました。
2014/09/15 14:20| URL | 加納 祥子 [Edit] - そうですか
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そうでしょうね、やっと大雪山が色づいたとのことですので。ちょっと意地悪してみました。ともかく、あまりにもムードのある、素晴らしい写真なので。
私のスーパームーンの写真は日の丸写真ですから。
秘密?‥‥‥いろいろ意味深ですね。
2014/09/16 21:20| URL | masterblue [Edit]
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