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蝉時雨の庭 2

「祥子さんてかわいいんですね」 
頬を染めてうつむくわたくしの顔を覗き込む様にして男性はささやくのです。
素肌に戻ったバストを被うスリップのレースの少しざらざらした感触までもが、男性によって呼び起こされた快感を刺激するのです。
一段と敏感さを増した乳首はしなやかなカットソーに・・・くっきりと胸の輪郭を浮かび上がらせました。
8月の夜にしては涼しい風が肌をなめてゆきます。
「喉が乾いただろう」 
男性はワインを一口含むとそのまま・・・わたくしに口移しで飲ませました。
「祥子さんにはもう少し酔ってほしいからね」
「なにをおっしゃるんですか もっと紳士的な方だと思っていたのに」 
目元だけで軽く睨むわたくしの眼鏡を取り上げて自分のシャツの胸ポケットにしまっておしまいになりました。
「祥子さんはこのほうが似合うよ」
「見えないんです。本当に眼鏡がないと、返して お願いです」 
わたくしは眼鏡をはずすとほとんど身の回りしか判別できません。もう…池につながる道の先さえぽうっとぼやけてしまうんです。
「そうだね 今夜のライブの最後の曲が始まる時には返してあげるよ。そのほうが祥子さんにとってもいいはずだから。ただね、このブラはぼくがもらうから・・・このままで今夜は帰るんだ。いいね、来月のライブで逢えたら返してあげるよ」
「いやぁぁぁ・・・」 
男性を見つめたままかすかに抗議の声をあげるわたくしを、またワインを含んだ彼の唇がおおうのです。
細く男性の唾液を含んだ白ワインが舌の上に流し込まれ、それを飲み下すまで唇を離してはくれないのです。
「だめじゃないですか そんな声を上げちゃ。お友達に聞かれてもいいんですか 祥子さん」 
アルトサックスの奏者がファーストセッション最後の曲です・・・という声が流れてきます。
「セカンドセッションまでの時間は、僕の友達が祥子さんのお友達のお相手をしますから安心してください。祥子さんは僕との時間を楽しむことだけを考えてください。いいですね」 
グラスに残った最後のワインを含んで、また甘いキスを重ねるんです。
 
肌を撫でる風にワインの酔いと快感で火照る身体と理性を呼び戻されながら、男性の唇と手のひらの感触がとろとろと身体の芯をとろかしてゆくのです。
「白くて肌触りのいいきれいな肌をしていますね 祥子さん」 
そう言いながら男性はスカートの中に太ももをなで上げる様に手をいれてゆくんです。
「ふふ てっきりパンストかと思ったけどガーター風のオープンクロッチなんですね。祥子さんは想像通りのお洒落な女性だ。そして大胆なんですね」
太ももの上の肌に彼の手が直接触れて・・・それだけで身体がぴくんって反応してしまうんです。
「あん・・・だめ」
「揺れてますよ・・・胸。僕の指だけでそんなに敏感に反応したら・・・・みんなに知られてしまいますよ。祥子さん」
そのころには、イタリア製にストレッチ素材のタイトスカートに包まれた太ももの狭間はすでに濃密で香しい湿度をもった空気に満たされていました。
膝を閉じようとするわたくしのももの間は男性の腕の分だけの隙間をどんどんと広げてゆくしかありません。
「キスだけでこんなになるんですね 祥子さんは」 
指は最も奥のレースにたどりついて柔らかな果実に触れる様に、つっ・・・と指先だけで撫で上げるのです。
「あん・・・ぃゃぁ」 
思わずもれるはしたない声さえ押し殺さずにはいられません。
「祥子さん もしかして外でこんな風に愛されるのははじめてなんですか?」 
抱きしめるようにわたくしを包み込んだ男性の上半身がゆれて、彼はわざとわたくしの視線を捉えようとするのです。
「こんなに溢れさせているのに身体を堅くしたままなんて。ふふ、思ったよりもウブなんですね あなた自身はこんなに熟して溢れているのに」 
肩に最初にキスされたところから感じていたんです・・・止めようとしても緩急をつけて呼び覚まされた快感は押えきれなくて・・・もうはしたなく濡らしてしまってたんです。
「・・・はじめてです こんな はしたない・・こ・と・・・」 
震えるわたくしの声の向こうに、これでファーストセッションを終わりにします、という司会者の声が流れました。
「はじめてなのにまだ溢れてるんだね・・・敏感だなぁ いや淫乱なんだな」 
男性の指は愛液ではりついたようになったパンティの上から敏感な真珠を・・・撫で上げ・・・撫で下ろしながらそんなことをいうのです。
「おねがい許してください もう・・・だめ これ以上はだめ・・・許して」 
彼の耳元に囁く様にしか言えませんでした。
「ああ 庭に出てくる人がいるね」 
と男性は、ふいに太ももの間を満たしていた腕を抜き池のほうを見やるのです。
とっさのことで閉じそびれた膝に晩夏の風までが・・・太ももの奥を冷たくして・・・わたくし自身が濡れそぼっている事を思い知らせるのです。
 
「もう、ワインがないんだ。新しい冷たいワインを頼むよ、彼女の分もね」 
男性は庭を歩いてくる支配人を呼び止めました。
わたくしは眼鏡を外されて霞む視界のなかで、池の上の橋をこちらに渡ってくる支配人に姿をやっと見分けることができました。
「ここは気持ちがよろしかったのではないですか、特等席なんですよ」 
彼になぶられたままの姿のわたくしは、カットソーを揺らす柔らかなバストと浮かび上がる乳首の陰と頬を上気させたままの姿を隠したくて男性の方に隠れる様に身を寄せるしかなかったんです。
「いい場所を教えてくれてよかったよ。ただ彼女は少し酔ってしまったみたいですけれどね。そうだ、氷入りの水も一緒に・・・申し訳ないね」 
「承りました」 
と歩み去ろうとする支配人は、立ち止まるとわたくしの肩を抱き寄せる男性を振り返りながらこう言いました。
「よろしければ・・・隣の離れはお客様がおりますが茶室が空いております。今夜は使わない予定なので灯りを入れる事はできませんが、灯りをともさなくても外のライトアップの光で十分でしょう。お連れ様のお加減がよろしくなるまで休まれてはいかがですか? お飲み物もそちらにわたくしがお届けします。」
「ありがとう 遠慮なく借りるとしよう」
「庭に戻られなくともそちらから降りていかれればすぐですから」 
ベンチの奥の踏み石をゆびさした支配人は会釈をして本館に戻っていってしまいました。
「さあ 祥子さん行きましょう」 
手を引いてわたくしを立ち上がらせた男性は先に立って飛び石伝いに歩いてゆきました。
右手を男性に掴まれたわたくしは、歩くたびに揺れる胸元をハンカチを握りしめた左手で隠す様にするしかありませんでした。
ブラなしで外を歩くなんて・・・バストが大きくなりはじめてからはじめてのことです。 想像以上の揺れ方や双のふくらみの中身が濃いミルクが革袋の中で揺れるような不思議な重量感を伝えるなんて思ってもいませんでした。
その上しなやかに肌によりそうピンクのカットソーは、レースのスリップとともに白い肌に寄り添い・・・バストの重みと揺れをそのまま疼く乳首へと伝えるのです。
「はぁん・・・おねがい・・・もっとゆっくり歩いてください」 
揺れるお胸の刺激を最低限に止めたくて男性の手を軽く引きました。
「いいんですか? ほかの方にその姿を見られても」 
つと立ち止まった男性はこちらを振り返りながら思いがけない言葉を口にしたのです。 「それとも・・・見せたいんですか?でしたら止めませんが、戻りましょうか先ほどの場所まで」
「ちがいます いや・・・そんなことないです」
「ふふふ そうですよね さ、急ぎましょう」
 
石段を降りて植え込みを回り込むと瀟酒な引き戸の玄関がありました。
そっと引き戸を開け三和土に男性の靴と揃えてパンプスを脱ぐと、磨き抜かれた板の間を抜けて書院づくりのお茶室に入りました。
支配人が言ったように小さな中庭を挟んだ反対側の離れには明かりがともり男性ばかりのお客様が数人お食事をはじめたばかりのようでした。
 
「いいお茶室ですね。立派な床の間だ 祥子さんご覧になりませんか?」 
畳に座ろうかと思ったわたくしは、改めて立ち上がりました。  
「お客様がなくても生け花を欠かさないなんて思った以上にいいホテルですね。こちらは」 
ハンカチごとわたくしの左手を包み床の間の花の前に引き寄せました。
花好きのわたくしは見事に生けられた桔梗に心奪われて、無邪気に男性の手にハンカチを残したまま床の間に向かってしまいました。
「もう桔梗が・・・あぅぅ・・・なにをなさるの」 
一度は離したわたくしの左手首を掴みうしろからわたくしを引いた男性は、繊細な南天の床柱を後ろ手に抱える姿にわたくしの両手を・・・彼の手に残ったハンカチでいましめてしまったのです。
「そろそろセカンドセッションが始まる時間ですね。窓を開けて・・ああ音が聞こえる ここも特等席だ、Take Fiveからスタートなんですね」 
まるで先ほどのベンチで隣に座って睦言をいっている続きのようでした。でも・・・次の瞬間にはわたくしに向き直った男性はこのお茶室の目的を改めてわたくしに告げたのです。

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「祥子さんの声もこれで隣の離れに聞こえてしまうかもしれませんね。灯りはないですから・・・どんな姿でも見られることはないですが、気づかれたくなかったら静かにしてください いいですね」
男性の魅力的な声が静かに・・・わたくしの羞恥の時間がまだ続くことを告げました。 コメント
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