2ntブログ

夢のかよひ路 56

望月さんが追い求めるように重ねる唇を離された瞬間に、わたくしははしたないおねだりを口にしてしまったのです。
ゆうべ・・・最後にわたくしに1枚もランジェリーを付けさせなかったように、望月さんも素肌の上に寝間着だけしか身に着けてらっしゃいませんでした。
望月さんの手で導かれ、寝間着越しに熱い塊に押し当てられていた指で・・・わたくしはもどかしく彼の寝間着の前を開いて・・・直接・・大きく昂った塊に触れたのです。
「っく」
「これで・・し・て・・・」
引き締まった腹部に付くほどに反り返った塊の・・・裏筋を彼の雫を掬い取った指で・・上下に・・皺袋まで・・まるでさきほどのわたくしの背筋を愛撫されたのと同じ様に・・撫でつづけたのです。
「ゆうや・・の・・せいえき・・・ まっしろな・・せいえきを・・・ちょうだぁぃ・・」
「祥子さん!」
望月さんはわたくしの肩を押して仰向けにすると、ご自身はがばっと身を起こしたのです。はねのけられた羽布団の中からは、男と女の淫らな香りが広がります。
数時間前に望月さんご自身が結ばれた伊達締めを、切なげな表情で解いてゆかれるのです。わたくしの背を持ち上げてしゅるしゅる・・と絹の伊達締めを引き抜くと、清冽な朝の光の中で寝間着の前を一気に広げてしまわれたのです。

「あ・・・みちゃ・・」
わたくしの膝を割ると、広げた寝間着を踏みつけて素早くその間に望月さんは大きな身体を割り込ませたのです。
ご自身は寝間着を脱ぐ間も惜しいのか、裾だけを開いて大きくそそり立つ彼の塊を露にするのです。
「しょう・こ・・」
「あっ・ぁああ・んん・・・」
膝を抱えると、塊を押しあて・・・一気にわたくしの花びらの奥を目指したのです。
背中と腰だけの愛撫で、わたくしは内ももをしっとりとぬめらせるほどに蜜を溢れさせておりました。
望月さんの塊の先端からも溢れる雫はわたくしの花蜜に絡み付いて、彼らしくないがむしゃらな挿入さえも助けたのです。
「きぃ・・っつぅぃぃ・・・」
ずぶ・じゅぅっ・・ずぶぅぅ・っ・・ 望月さんは長太い塊を1/3ほどを無理矢理押し込み・・一度花びらの間から腰を引いて抜け落ちる寸前まで・・・濡れそぼった塊を再び強引に最奥へと送り込んできたのです。
「あぅっ・・そこぉ・・・」
1/3だけぬめりをまとった彼の塊は、その先の望月さんの茂みに隠された根元まで・・・なんの抵抗もなく蜜壷に飲み込ませ、わたくしの子宮を突き上げたのです。
「しま・るっ・・・」
波音に紛れるほどのうめきを上げて、それでも望月さんの腰の動きは緩みません。昨晩の浴槽の中での行為と違い、正対した状態で膝を抱え込まれてのこの行為は本当に子宮口をこじあけてしまいそうなほどに、深く・強く・突き入れられるのです。
「はぁぅっ・・あぁあ・・ぁぁぁ・・」
あまりの強さにわたくしの身体は迫り上がり、子宮を直接スパンキングをされているような鈍い痛みから逃げようとします。が、寝間着の裾を望月さんの身体に踏まれていては、それも叶いません。
括られてもいないのに、逃げることもできずに責め立てられるわたくしの肌は、真夏の朝日の熱を遮るエアコンの冷気の中でさえ・・・淡い桜色に変わっていったのです。
「あぁぁ・・ゆぅ・・やぁぁ・・・」
いつか、わたくしのはしたない身体はその痛みすらも淫媚な刺激へと変えてゆきました。蜜壷も・・その奥の壁までもがまるで望月さんを求めるように柔らかくなって・・・そして・・・
「ああ、欲しがってますね。祥子さんのここ・・こんなに。もっと感じてください。」
「ゆうやぁ・・ぁぁぁ・・・いいのぉぉ・・・」
曲げていた膝を伸ばし、足首を掴むと望月さんは両肩にわたくしの脚を抱えます。
なお深くまで・・・そして長身な彼の身体はわたくしの腰を浮かして・・より激しく抽送を繰り返すのです。

夢のかよひ路 57

「いい、祥子さんの身体。」
望月さんに両脚を引き上げられ宙に浮いた腰から、ひくつく塊をつっ・・と僅かに引くのです。
「祥子さんは不安定な姿勢になると、あっこんなに。まるでここで僕のを掴んで安心しようとするようにぎゅっと締まるんですよ。」
「やぁ・・あぁぁ・・・」
わたくしの両肩は、望月さんが膝をつく寝間着に止められて布団の上から動けずにおりました。白い・・柔らかな曲線を描くふくらはぎと足首は、望月さんの両肩に担がれています。その狭間で宙に浮いた腰は・・頼りなげにふらつき・・・望月さんの塊が引き抜かれる切なさに・・きゅっとはしたなく蜜壷をしめつけて・・・追い縋ってしまうのです。
「あぁ・・だめぇぇ・・ゆぅやぁぁ・・かん・にんしてぇぇ・・・」
目覚めてからずっと・・・わたくしは望月さんのがむしゃらな容赦ない責めに、もう何度も軽い絶頂を迎え続けていたのです。これ以上続けられたら、ほんとうにおかしくなってしまいそうでした。

ふっと、望月さんの腰の動きが止まったのです。わたくしの中にしっかりと塊を埋めたままで・・・両脚を下ろしたのです。
「・・はぁぁ・・・・」
「苦しかったですか?祥子さん」 
わたくしは、とっさに声が・・出なかったのです。首を横にふるふると振ったのです。
「ごめんなさい。これじゃ首が痛かったですね。」 そう言うと、望月さんはゆっくりと大きなままの塊を引き抜くのです。
「あ・ん・・・」
彼のかりに掻き出される様に、わたくしの愛液が腰の丸みにそって、つつっ・・・っと流れ落ちます。
でもそんなことに斟酌せず、望月さんは膝で押さえていた寝間着の裾から降りました。ふっと・・縄を解かれた時と同じように肩に掛かっていた重みが消えてゆきます。
そして望月さんは、今度はわたくしの隣に床柱を背にして脚を投げ出して座ったのです。裾を開いて、花蜜にコーティングされたそそり立つ塊を朝の光に見せつけるように。
「さぁ、ここに来て下さい。」
わたくしの手を握ると、昨夜の温泉の中と同じように彼の上に・・・寝間着に袖を通しただけの身体を引き寄せ、そして・・・。
「はぁうっ・・・」
望月さんの上へ・・・花びらの中心を貫かれた姿勢で抱き寄せられたのです。
「ゆう・やぁ・・・だ・め・・」
「なにが、だめなんですか?」
「よごし・・ちゃぅ・・・ねま・き・ぁあぁぁ・・・」
今度はわたくしの膝が望月さんの寝間着の裾を押さえていたのです。抜き出されるだけであんなに愛液を溢れさせてしまう蜜壷が・・・こうして愛されていたら今度は彼の寝間着まで濡らしてしまいかねなかったからです。
なのに、小刻みに下から突き動かされる望月さんの塊に・・・わたくしは腰を押し付け・・くねくねと淫らに・・・反応してしまうのです。一層の快感を求めて・・・。
いつしか二人の間の水音は、障子ごしの波音よりも淫らに大きくなってゆきました。
「ふふ、これじゃほんとうにぐっしょり濡らしてしまいそうですね。」
「おねがい・・あぁぁっ・・・」
望月さんが両手を差し出しました。
でもその手は、わたくしの身体を一層大きく膨らんだ彼の塊から引き上げるのではなくて・・・袖だけを通していた寝間着を・・・ほんのり桜色に染まったわたくしの身体から引きはがすためだったのです。
「いやぁぁっ・・・」
突然のことに、わたくしは彼の眼の前で揺れる乳房を隠そうといたしました。
宙を舞った手首を望月さんが掴みました。そしてそのままわたくしの頭上に腕を引き上げたのです。
夏の清冽な朝日の中、男性にまたがり蜜壷を突き上げられて首から肩を淫楽に桜色に染める淫らな姿を・・・望月さんの眼の前に晒してしまったのです。
「まだこんなに締め付けるんですか?すごいですよ。ああ祥子さん、いい」

夢のかよひ路 58

ガタ・ガタッ・・
床柱を背にした望月さんの動きが伝わってしまったのでしょうか。
竜胆と灯台躑躅の枝が生けられた花瓶が、小さく鳴りました。
玄関も・・床の間も・・・そして化粧室にさえ、生花が生けられてありました。
近頃ではお父様も滅多に使わないと、昨夜まどろみかけたわたくしに望月さんは教えてくださいました。そのことを思えば、この花達はとても贅沢なおもてなしなのです。
が・・・その時のわたくしには、そのおもてなしを楽しむゆとりなど・・・なかったのです。陶器と木のぶつかる音は気になっても、わたくしの意識は眼の前で白い乳房を嬲る望月さんしか見えておりませんでした。

「あぅむ・・ん」
ちゅぱ・・・ 昨日お逢いしてから、何度目でしょう。
望月さんの唇がわたくしの鴇色の先端を啄むのは・・・。
「はぁあぁぁ・・・ん・・」
それでも、望月さんの温かな口唇に愛撫される度に淫らな慄きは身内を走り・・・新たな蜜を湧き出させるのです。
「あぁ・・・」
いつもなら、この濡れた暖かさで・・・快感に導くのはわたくしの役目でした。
口戯に感じて・・・大きな手で黒のロングヘアを鷲掴みにして、頭上から投げかけられる男らしく快感を滲ませた望月さんの声をわたくしはこの度の逢瀬でまだ一度も聞いていませんでした。
Gカップの乳房をねぶられながら・・・わたくしはフェラチオをさせていただいていないことに・・・改めて気付いたのです。
こんなに・・・わたくしばかり・・・・。
「あぁん・・ゆうやぁぁ・・・だめぇぇ・・・」
でも、そんな必要はまったくなかったのです。
目覚めてからいままで・・・望月さんの塊は昂り続け、いまもわたくしの蜜壷の中で更に大きく・・そしてこれでもかとばかりに、突き上げてくるのですから。

「祥子さん キスマークを付けてもいいですか?」
望月さんが先ほどまでねぶっていた乳房を手のひらで支えて・・・わたくしに聞くのです。
それでも、最初はなにを言っているのか・・・わかりませんでした。わたくしの理性は立て続けに敏感になった花びらを抉る快感に・・蕩けきって・・・いたのですから。
かりっ・・・
「あぅっ・・・」
右の乳首を望月さんの前歯が噛む・・のです。
もう甘噛みとは言えないほどの強さの痛みでなければ、わたくしに理性を取り戻させることさえ出来なかったのです。
「もう一度聞きます。キスマークを付けてもいいですか?」
今度は・・彼の言葉は脳裏までしっかりと届きました。
と、同時に・・さきほども同じ質問を繰り返されていたのだ・・・とわかったのです。
「えぇ・・つけ・てぇ・・・」
「いいんですね。」
「ゆうや・の・ぉ・・しるしぃぃ・・・」
きっと胸元の白い肌に・・付けるつもりなのでしょう。
彼がわたくしを1人で抱いた時いつもそこに付ける様に。
他の方が痕を付けたときはその上にもっと濃く・・・ご自分のキスマークで他の方の痕跡を消そうとするかのように付けるのです。
「そうです。祥子さんがたとえ一時だけでも僕だけのものになった証です。」
「あっ・・だめぇ・・・」
それまで顔を伏せていたわたくしの乳房ではなく、望月さんの唇はわたくしの左の首筋に吸い付いたのです。
頸動脈の・・・脈動のするあたりの薄い皮膚に・・・。
「やぁ・・はぁん・・・・」
ちゅぅぅ・・
その唇は首筋を前へと動き・・そのまま胸元へランダムに痕を付けながら下がってゆくのです。
「な・・だめぇ・・・ゆぅ・・やぁぁ・・・」
胸元に吾亦紅を咲かせながら、望月さんは腰の蠢きを止めることはいたしません。一層・・・激しくなさるのです。
困惑と快感と羞恥の狭間で、わたくしは身を捩るしかありませんでした。
左の首筋から左のGカップの乳房の頂きまで。
友禅の附け下げの柄のように左半身に赤い痕跡を点々と付けて、望月さんはようやく顔を上げてくださったのです。

「夏でも真っ白な肌・・・この季節にキスマークがこんなに綺麗に映えるのは、祥子さんくらいなものです。」
望月さんは、まるでご自分が描かれた絵画の出来映えをご覧になるように・・・頭を床柱に預けてわたくしの肩を両手で押しやるのです。
彼の塊を・・・蜜壷に飲み込ませたままで。
わたくしは、望月さんから視姦される恥辱にまた・・一段と彼を締め付けてしまったのです。

夢のかよひ路 59

「やぁ・・・」
「キスマークを付ける度、祥子さんの白い肌を僕が吸い上げるのと同じほど、祥子さんの花びらの奥は僕のを締め付けるんですよ。気付いていましたか?」
「ち・がぁぅ・・のぉ・・」
「いいえ、違いません。首筋の1つは一回目の質問で答えてくれなかったお仕置きでした。でもその後のは・・・あまりの気持ち良さに止めることができなくなっちゃったんです。そろそろ・・・」
「ゃぁあ・・・ぁん」
望月さんの手は、彼に跨がったわたくしの膝を伸ばすように動かします。
太長い彼の塊を蜜壷に飲み込んだままで強制されるこの行為は、片脚を伸ばす毎に一層深く・・・わたくしの奥を責める結果になりました。
「ゆっくり、ですよ。」
わたくしの身体を、後ろにゆっくりと倒してゆきます。
身体を倒すほどに、望月さんのまぁるい傾斜のすべすべとした先端が・・・わたくしの蜜壷の数の子だと言われる壁を強くこすり立てるのです。
身芯を揺さぶられる快感に、わたくしは後頭部から倒れ込む恐怖心を押さえ込まれておりました。
「はぁぅっ・・」
頭がシーツに付き・・背中がエアコンに冷やされた綿の感触に震えたときに、望月さんの塊が抜け落ちてしまったのです。
その瞬間、わたくしはあまりの切なさに・・・はしたない声を上げてしまったのです。
身体の他の部分は・・・たとえば彼の腕はわたくしをこれほどしっかりと抱きとめてくれているのに、まるでただひとり・・決して1人ではたどり着くことのできない愉悦の海に放り出されたような気さえしたのです。

目覚めてから、何度も・・・彼が先に逝ってしまうかと思いました。
なのに、いつもわたくしだけが押し上げられ淫楽の波間を1人漂わされていたのです。
もう・・・限界でした。
幾度もの絶頂はわたくしの身体に緊張を強い続け、もうその状態に駆け上がることさえ・・辛くなっておりました。
「白いシーツの上で、キスマークがとっても綺麗ですよ。祥子さん」
「あぁ・・ん・・・ゆうやぁ・・」
「なんですか?はっきり言ってください。」
わかっているはずなのに・・・なんで・・こんなにいじわるを言うのかしら?
「ねぇ・・・」
「無言のおねだりは聞きません。ちゃんとお願いしてください。」
「おねがい・・・いかせて・・ わたくし・・で・いって・・・」
切れ切れに、わたくしはそれだけを口にいたしました。
それ以上は・・とても・・・たったこれだけの言葉の狭間さえ、それまでの快感のせいで息が弾んでいたのですから。
それに・・・わたくしの花びらは、これだけの言葉を口にする間も彼の塊を求めてはしたなく愛液をしたたらせていたのです。
「わかりました。」
「あうっ・・・」
望月さんは昂ったままの塊を、蜜に塗れ玄関に飾ってあった山百合のめしべよりも紅く染まった花びらに突き立てたのです。
「あぁ・・ぁあああ・・ぁあぃぃぃ・・ぁ」
その後には言葉はありませんでした。
ただ彼の塊だけがわたくしを蹂躙しつくしたのです。
ひと突きごとに揺れる彼のキスマークに彩られた乳房を・・・寄せる眉根を・・・悦楽の涙を一筋流すわたくしの眦を・・・望月さんはただ無言で視姦しつづけ・愛し続けたのです。
「ちょうだい・・・ゆぅぅ・・やぁぁ・・・」
「まっし・ろぉ・・・にぃぃぃ・・・してぇぇぇ・・・・」
「あぁ・・ゆぅやの・・いぃぃ・・のぉぉ・・・」
「せいぃぇ・・きぃぃ・・ちょ・・ぉぉだぁぁぁああ・・・・ぃぃ・・・」
「いくぅぅ・・のぉぉぉ・・・・」
「ゆぅぅ・・・やぁぁ・・・・」
「いっちゃぁ・・・うぅぅぅ・・」
「ひ・いい・・いいぃぃのぉぉ・・・あぁ・・ゆぅやぁぁ・・・・いぃぃ・・・い・っち・・ゃぅぅぅ」
「逝って!祥子さん!!」
「い・・・・・・くぅぅぅぅ・・・・」
「あっ! くっ!!」

haikari_061116_kayoimichi.jpg

喉元まで迫り上がるかと思うほどの突き上げの果てに、望月さんはわたくしの中に・・・熱い迸りを・・・くださったのです。

夢のかよひ路 60

「辛かったですか?」
まるでそこに甘い蜜が流れてでもいるかのように、わたくしの涙のあとを望月さんの舌が舐めたのです。
望月さんの言葉よりも、そのあたたかく柔らかな感覚に、わたくしは理性を目覚めさせたのです。
いまのわたくしは、愉悦の海から放恣の白浜に打ち上げられたばかりの人魚でした。括られたわけでもないのに、脚も手も・・・まるで自分のものではないようにぐったりとしていたのです。
「祥子さん?」
わたくしの視線は焦点がぼやけたままだったのでしょう。
心配そうな望月さんが瞳の奥を覗き込むのです。
「大丈夫ですか?」
「・・・え・え」
あえて、急いで、意識を戻さなかったのです。
他の方がいらっしゃるならともかく、望月さんの腕の中で・彼に守られて・彼と二人きりなのです。
ただ、黙ったままだと本当に慌てて心配してしまいそうな彼のために、掠れた声で一言だけ返事をしたのです。
「よかった。」
わたくしに添えていた右手を伸ばして枕元からティッシュをとると、ゆっくりと花びらの間から熱いままの塊を引き抜いたのです。
「・・・ぁっ」
開かれた脚の間・・・腰の丸みにそって流れ落ちるまっしろな精液は・・・望月さんの身体の熱をまだ蓄えたままでした。
畳まれたティッシュが蜜壷の口にやさしく添えられます。
わたくしの身体は、エアコンの効いた室内の中でも薄く蜜を塗った様に淫らな汗に覆われていたのです。

このまま浴室へと誘われるのだとばかり思っていました。
なのに・・・望月さんはティッシュを挟んだわたくしの両脚を、彼の手で寄せたのです。
「ふたりの情熱の証を祥子さんの身体に抱いたまま、もう一眠りしましょう。もう少しだけ。いいでしょう?」
彼の手で始末をされても・・・まだ焦点のあわないぼんやりとした眼差しを投げかけていたわたくしを、望月さんはそうおっしゃって抱きしめたのです。
わたくしは無言のまま、寝間着を着た望月さんの胸にそっと額を付けました。
波の音を3つ数えたところで・・・わたくしはまた幸せな微睡みに落ちていったのです。


祥子からの手紙ー16

氷を浮かべた紅茶がわたくしの視界を琥珀色に染めています。
その向こう・・・ホテルのラウンジの外は、夏を惜しむカップル達が水着姿で戯れておりました。
わたくしはいま1人で、お庭が美しい望月さんのご自宅近くのホテルのラウンジにおります。望月さんが、わたくしにとおっしゃっていたお着物などをまとめにご自宅に帰りセルシオで迎えにきてくださる間・・・だけですが。

結局、わたくしはあれからあと二晩<下田の寮>で望月さんと二人きりで過ごしました。
彼が衝動のままに付けたキスマークが原因でした。
用意してくださった、ISSEI MIYAKEのベージュのハイネックワンピースでさえ隠すことができないほどに赤々と付いたその証は、あまりに生々しく目立っていたからでした。
まるで傷を癒す湯治のように、わたくしたちは二人で何度も温泉に浸かったのです。その度に望月さんの指でやさしくマッサージされて、紅い印はようやく目立たなくなりました。
二人して今朝それを確認してから、こちらに戻ってきたのです。

明日からは、わたくしも望月さんも・・・いつものお仕事が待っています。
花火の夜からいままでの・・・夢のような3日間から、少しずつ現実に戻ってゆこうと思います。
夢から本当に醒めるのは、今夜望月さんにおやすみなさいと言ってセルシオのテールランプを見送る時でしょう。
だからあと少しだけ・・・夢の・・中で。

あっ、望月さんが迎えにいらっしゃいました。
それでは、また。
ごきげんよう。