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ハートバタフライ

ひっそりとした山間の空間に
咲き誇る藤袴の花々
一輪では地味なのに
まだ朝日が差し込まないこの谷を
上品な薄紅色に染めていた

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ひらりひらり・・・
森を超えて儚い影が
薄紅の谷間を訪れる

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アサギマダラ・・・
小さなハートを羽にそっと潜ませた
高原の蝶たち

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一頭一頭ハートの数も位置も違う
愛らしいその模様の数で
想いを計ろうとするのは
人間の浅はかさなのかもしれない

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見つめるその姿を
ふっ・・・と宙に舞わせる

次に目の前に現れてくれるのが
同じ模様を持つアサギマダラなのか
誰にももうわからない

青い海・穏やかな河

紺碧の外海が打ち寄せるプライベートビーチから車で1時間
渡された部屋のキーと簡単な地図を手に
向かった市街は艶やかな光でわたくしを出迎えてくれた

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「シルクのランタンが道案内をしてくれますよ」
ランチで別れたあの男性が教えてくれたとおり
魅力的なランタンをたどってゆくと
川沿いのプロムナードに出る

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日が落ち始めた南の空は虹色の残照を残し
海の青さを際立たせていた太陽は
穏やかな川面に夕焼けを映して沈んでいこうとしている

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黒く沈んでゆく河を彩るのは灯篭
ろうそくのゆらぎが意外な明るさで
ゆらり ゆぅらりと河を下ってゆく

繋ぎとめられた船に
昼間は緑々と茂っていた水草の根元に
寄り添うように惹きつけられてゆく

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「いけない 待ち合わせの時間」
河を渡り旧市街を進む
彩りをクラシックに重ねたレストランの入り口も
モノトーンでまとめられたブティックのショーウィンドウも
急がなければならないわたくしの足を止める

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「小さな看板しかないから気をつけて」
そう石塚さんは言っていた
本当に小さいから
「迷子になったら表通りから動かないでいてください」とも

それなのに頭上の灯りさえここにおいでと
誘惑のささやきを途絶えさせはしない

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ふと見上げたそこに本当に小さな木の看板
その先の道は人がようやくすれ違えるほどに狭い道
それなのに右側には住人のものらしきバイクが連なる
わたくしを導くのは磨りガラスに
蘭を浮きだたせた街灯1つ

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突き当たりにはあの方が待っていた
「Secret Gardenにようこそ」
揺れるランタンは柔らかく吹き抜ける風に揺れていた
「心細かったですか?手が少し冷たくなっている」
声を出さずに首を小さく横に振った
この場所にはささやき以上の声は
まだふさわしくないような気がして・・・

異国の空の下から

真っ青な海と空の下で
数日を過ごしております

いつか皆様に
この素晴らしい景色を
お届け出来る日が
来るかもしれませんね

木陰を抜けて

陽射しが重く熱が高まってゆく
油照りと称されるこの時期の気候だけれど
今年は少し質が違うよう

日傘を手に向かったのは
名前だけを告げられた東山の塔頭
眩し過ぎる道からほんの少し入っただけで
滴る緑がわたくしを迎えてくれた

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「初瀬様とお約束なのですが」
「はい、お越しになってます。
 このまま庭園をおすすみください」
「ありがとうございます」

メモはこの街で行きつけにしている
珈琲専門店のスタッフに預けられていた
「なぜ、ここが?」
と首を傾げたわたくしに
「このお客様も常連さんのお一人なのです」
と微笑みながらスタッフはそう告げた

苔と白砂と飛び石の連なりを
ワンピースの裾を揺らして歩みを進める

陽射しの強さの分だけ闇は濃くなる
それを足元に敷き詰められたような
紅葉の影が証している

「加納様のことは何度かここで
 お見かけしていたようで
 先日、次はいついらっしゃるのだろう
 って聞かれたんです。
 多分今週末ですってお答えしたら
 もしお見えになったら
 このメモを渡してくださいって。
 そうおっしゃって置いていかれたのです」 

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最後にお会いしてから
幾度かこの街にうかがっている
でもお会いすることはなかった

あの神社へ行けば
高い確率でお会いすることがわかっていたから
かえって足を向けることができなくなっていた

約束した訳ではないけれど
あの方を拒むことが
もう許されないような気がして

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竹林を映し込む池の飛び石
その先に落ち着いた茶室が見える
木立と流れのある池のおかげで
外界よりも涼やかな庭園

あの方はきっとそこにいらっしゃる
しんとした表情で

これまでよりもひと回り小さな池の飛び石を
竹の手すりに手を添えてゆっくりと進む
あの男性にお会いする時間を
少しでも引き延ばそうとするように


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「よかった お越しいただけて」
藍鼠の絽の着物をさらりと着こなした
初瀬さんがお茶室の入り口にいらした

「お待たせしてしまいましたか」
「いえ」
「素敵な池のある庭園ですね。
 錦鯉がみごとっ・・ぅぅん・・・」
たたんだ日傘を持つ左手を柔らかく引かれ
ひんやりとした唇を重ねられた
「あっ・・・だぁっ・・ぅぅ・・」
絡められた舌も
汗ばむワンピースの背中に回された手も
優しく冷たい
唇を味わうように
わたくしの舌から蜜が溢れていると
言わんばかりに
白い歯が愛おしい宝石かのように
男性の唇が、舌が貪ってゆく

「だ・・めぇぇ・・・」
木陰でわずかに下がったように思えた体温が
キスだけで上がってしまう
唇を離された時には
わたくしははしたなく絽の着物の肩に
顔を埋めていた

「中に入りましょう 涼しいですよ」
まるで何もなかったかのように囁く

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足を踏み入れた茶室は
窓や戸を開け放しているだけなのに
不思議と涼しい
二階へと誘われて進むと
窓の外にこれまでの庭にはない
艶やかな色が広がる

「百日紅とこちらの池には蓮もあるのですね」
「花の名前がすらすらとその唇から流れ出る」
いつの間にか後ろに立った初瀬さんの腰が
わたくしの白いフレアスカートに包まれた
柔らかな丘に触れている
もう熱く昂ぶってさえいる

「心もとなげに飛び石を渡る様子も
 足元に戯れる錦鯉を愛でる視線も
 深い声で語る花の名も
 なんて艶めかしいのですか」
「あん・・・だめ」
抱きしめるように胸元に回された手は
ヒップに押し付けられる昂りが嘘のように
ひんやりと冷たい
「ここならどれだけ声をあげても大丈夫です
 その花の香りのような声を
 私に聞かせてください」

「そのためだけにわざわざ?ん・・・あっ」
男性の左手がワンピースの上から乳房の頂をやすやすと探り当て
指の腹で優しく嬲りはじめる
「いえ 祥子さんとお話しをしたかった
 1階のお茶室には玉露の用意もしてあります
 この季節の一番のご馳走である<涼>を
 あなたにプレゼントするつもりでした」
「あん・・だ・・・め・・」
右手が胸元の釦を一つずつ外してゆく
「でもあなたを見たら堪えられなくなった」
「はぁぁ・・・ん・・・」
「いい声だ もっと聞かせてください」
覆いかぶさるように右耳を舌が這う
左手と釦を外す右手と男性の舌に絡めとられて
わたくしはやはりもう拒めなくなってしまう

「こんな陽射しの日が続くのに
 白くしっとりとした肌
 今日のワンピースよりも何倍も魅力的だ」
胸元をはだけられ肩から剥き降ろされたワンピースは
二人の身体に挟まれわたくしの腕の自由を奪う
「ゆる・・し・・て・・・」
庭の池に面した三方の窓は開いたまま
一番広い窓のまえに立たされたまま
ランジェリー姿を晒されてゆくなんて
「ほん・・とうに・・・はぁぁんん」
首筋を這う舌が背骨を降りてゆく
「汗をかいて・・・いる・・の
 はずか・・・し・・ぃぃぃ・・・」

初瀬さんの唇が降りてゆく分だけ
総レースの白のスリップも
ハーフカップのブラも
剥がれてゆく

「祥子さんの汗も美味です
 背中のやわらかな曲線を
 すべて舌で辿りたくなる」
初瀬さんの舌は言葉を現実に変えてゆく
「はぁぁ・・・・」
白い脇腹へと唇のついばみが動いた時
ストッ・・・足元にワンピースが輪になって落ちた
「あ・・・っ」
伸ばされた男性の指先が露わになった両の乳首を
捉えた途端大きく慄いたわたくしの身体を
抱きとめ青畳にうつぶせに横たえた

お会いして初めて初瀬さんの肌が
わたくしの身体から離れたのがわかった
純白の総レースのパンティとガーターベルト
そしてオフホワイトのストッキングだけが
上気した肌を覆う
青畳がうつ伏せの乳房を押しつぶし
男性の指で立ち上げられた乳首を無言で攻め立てる
羞恥で上げることのできない頬に
窓の外の驟雨の気配が伝わる

「一幅の絵にしたい
 和服も素敵だがこんな贅を尽くしたランジェリーも
 あなたには似合うのだね」
男性の素肌がわたくしの背中に触れた
「はずかしぃ・・・」
ほっそりとした若い女性の身体ではない
薄く年相応の脂肪を乗せた身体を
男性の眼に晒す羞恥
「綺麗だよ」
指が何の予告もなくパンティのクロッチを潜る
「やぁん・・ぁあ」
ちゅぅ・・・くちゃ・・・・
「こんなに濡らして 私に感じてくれていたね」
「はぁぁ・・・・ん・・・やぁぁぁ」
指が唐突なキスから濡れていた真珠にも
やわらかな花びらに
無遠慮に戯れてゆく
「もっと声をあげてごらん
 この雨音ならきっとだれも聞こえない」
「ゆる・・し・・て・・あぁあぁぁぁ」
「この女の香り たまらない」

「やぁぁっ・・・」
初瀬さんの手がレースのパンティを腰から剥き下ろしてゆく
「もう我慢できない」
両手をわたくしの腰に添えヒップだけを高く持ち上げた
「まるで性急な20代のころに戻ったようで恥ずかしいが
 祥子さんのせいだな」
「あっぁぁぁ・・・・」

男性の昂りがバックから蜜壺へ突き入れられた
「きつい あぁ締め付ける」
「はぁぁ・・・ん・・・やぁぁ・・」
かりの張った昂りが濡れそぼった内壁を抉ってゆく
「素敵な景色だ 
 白のガーターストッキングに包まれた
 祥子さんの大きく張った白いこの尻たぶ
 突きますよ」
「あぁぁ・・・・」
男性の先端が蜜壺の奥を突き上げる
「だめぇぇ・・・」
容赦なくわたくしの感じやすい最奥にねじ込むように
「何がだめなんです」
いつの間にか蜜壺が吸い込むように蠢き出してしまう
「ぃいのぉぉ・・・はぁぁん・・・ゆる・・し・・てぇぇ」
「私のがいいんですね」
「やぁぁ・・・ぁぁぁ あうっ」
パンッ 白い右の丘を初瀬さんの手が叩く
「私のがいいんですね?」
「や・・・っ あくっ」
パンッ 同じ場所にもう一度初瀬さんの手が振り下ろされた
「私のがいいんですね 祥子さん」
「あぁ・・いいですぅぅぅ・・・いっちゃ・・い・そぅぅ」
「素直になればいいのです
 祥子さんは痛みにも感じるのですね
 白い肌に手の跡が残るほど叩いたのに
 その瞬間わたしのをきつく締め付けて」
「あぁぁ・・ん・・・ちがぁぁぅぅぅ・・・」
パンッ 
「はぁっぅぅ・・・」
三たび同じ場所にいまはもう熱い男性の手が叩きつけられる
「ほらこんなに締める 蜜も溢れさせて
 いいんだろう」
パンッ 四たび
「はっあぁぁ・・・いっちゃぅぅぅ・・・」
きっと白い丘にはくっきりと赤い印が刻まれている
今夜は右を下にして眠ることはできないかもしれない
「そうだろう 私も逝きそうだ
 今度逢うときには祥子さんのこの身体が何に感じるか
 もっと試してあげよう」
「あぁ・・・あぁぁぁ・・・・ん・・・んぁ」
突き上げるスピードが上がってゆく
わたくしの蜜壺がきつく締め付け蕩け
青畳に擦り付けられた乳首のかすかな痛みまで
高みに昇れとこの身体を追い立ててゆくのです

「だめぇぇ・・・いっちゃぃまぁぁすぅぅ・・・」
「ああわかるよ どこに欲しい」
「こぉの・・ままぁぁ・・・・くださぁぁぃぃぃ」
「いいのか?中でいくぞ」
「中に・・・祥子のぉ・・・なか・・に・・・」
「奥に出してやる」
「あぁぁ・・・いくぅぅぅ・・・いっちゃぅぅぅ・・・・」
突き上げられた子宮はこの男性の精液を欲して
かりの張った先端に熱いキスを繰り返している
蜜は太ももの内側を滴り落ち
青畳を汚さないかと気が気ではなかった
「おね・・がぁぁぃぃぃ・・・いっしょ・・にぃぃぃ・・・」
「ああ 逝くぞ」
「いっちゃ・・ぅぅ・・・・いくっぅ」
激しい突き上げを最奥で止めて
男性のみっちりとした先端から精液が吹き上がる
「しょ・・う・・こ」
「はぁぅぅ・・・いぃぃぃ・・・」
身体はピクンピクンとこの性急な絶頂に
男性と引き離されても打ち震えていた

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いつの間にかあの激しい雨は止んでいた
ここに来たときの激しい日差しは
雨雲の名残に遮られていた

「先に降りていますから
 落ち着いたら降りてきてください」
男性はうつ伏せのまま震えるわたくしの側に
いくつかの冷たいおしぼりを置いて
階段を降りていった

1階のお茶室は一層涼やかだった
「どうぞ」
「いただきます」
差し出された白磁の茶器を口元に運ぶ
「おいしい まるで上等なお出汁みたい」
「玉露を氷で水出しにしてみました」
瞬く間に干してしまった器に
おかわりを注いでくれる
「ありがとうございます」
ゆっくりと喉を滑り降りる甘露を味わうと
正面に初瀬さんの眼差しがあった

「先ほどからあの蓮の花をみていました
 まるであなたのようで」
池の面に強い雨に打たれた八重の蓮の花が一輪
「あの花が美しかったのでお見せしようと
 ここでお茶を用意していたのです
 でも 私はいけない大人ですね
 許していただけますか?」
わたくしはゆっくりと頷きました
「よかった またお誘いしていいですか?」

「初瀬さんのことをもっと教えていただけるなら」
わたくしは見ることのできなかった
蓮のほころぶ花のように
わずかに頬を染める男性に微笑んだ

芳しき丘へ

どこまで行けばいいのだろう
そう思うほど幾つもの林を抜けた先に
その丘はあった

油絵のような濃厚な色味が幾重にも重なる
夏のはじめだけの景色
香りのあまり強くない種類の百合なのに
まるで強い香りに包まれているような
錯覚を覚える

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ビジネススーツと革靴
セルシオで到着したこの場所は
主が経営する会社の持ち物のひとつ

「一度ぜひお越しください」
この季節のために丹精を込めて
1つ1つの花を育てている庭師からの電話で
突然このスケジュールが決まった

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この丘を彩るのは百合だけではない
ラベンダー、モナルダ・ベルガモット、アガパンサス
フロックス・ナターシャ、ヤロウ、アスチルベ
様々な宿根草が風に揺られ繊細な美しさを添え
花の蜜に惹かれた
蝶が我が城のように乱舞する

「今年はまだ庭が若いが来年ならいいかもしれない
 あの女性を連れて来よう」
サマースーツの背中を見せたまま
主の美貴がつぶやくように言う

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高原・主とその友人たち・あの女性
雪の高原の別荘にあの女性をお連れした時の
狂おしいほどの熱情と欲情が一瞬で蘇る

「ゆるして・・・いっちゃぅぅぅ」
何度その声を出させただろう
幾度その声に共に頂きまで登らせられただろう

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気配を感じて振り向いた先に
あの女性のような一輪の花が咲き誇っている
純白の穢れのない姿なのに
私を主と友人たちをそそらずには済ませない
何かをまとったあの女性に似ている

早くあの女性に逢いたい
そう思った瞬間に主が言った
「ここからそう遠くない場所に
 あの女性をもてなすための
 別荘をひとつ手にいれてくれ」
「はい 承知しました」

自ら口にした答えが私の心の片隅を焼く
主とその友人たちへの嫉妬と
私一人があの女性を独占できない時間が
どうしようもなく存在するその事実に