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初雪 60

「もっと。それではきれいに剃ってあげられないですよ。」
石塚さんの声に、あと15センチずつ両脚を開いたのです。
「みちゃ・・やぁ・・」
カメラと4人の男性の視線が、わたくしの姿態に注がれているのが痛いほどわかります。自分自身の意志で、男性の前で下肢をこれほどまでに広げることなど・・・はじめてのことです。
羞恥はわたくしの身体に、はしたない変化をもたらし始めていました。
「それじゃまだ剃れませんね。こうしてください」
石塚さんと美貴さんの手がわたくしの両足首を掴むと、ローテーブルの角・・・わたくしの腰の左右に白足袋の脚を置いたのです。
「望月!」
「い・・やぁぁ・・」
右足・・そして左足。
足首に縄が掛けられて、その縄がテーブル角から脚にまわされて固定されてゆくのです。そして・・とどめのように、わたくしの膝を曲げられたまま固定するように縄を打たれてしまったのです。
テーブルの上のわたくしの下肢は・・緋の湯文字の上に・・・はしたないM字を描いていました。

「ゆるして・・こんな姿・・ぃやぁ・・」
カシャ・・カシャ・・・ 様々な角度から、わたくしの淫らな姿はフラッシュを浴びせられ記録されてゆくのです。
「ふふ、このまま犯したくなる姿ですね」
わたくしが顔を背けた先・・・右隣にいらした美貴さんは、着物ごしにご自身の昂った塊のシルエットを露にさせて見せつけるようになさるのです。
「せっかく祥子さんが許してくださったのです。もう少しですから我慢しましょう。」
左隣に移られた山崎さんが、美貴さんを諌めます。

「少し熱いですよ」
石塚さんの声の後・・わたくしの茂みの部分に熱く絞られたタオルが当てられました。
そして同じ熱が、左右の首筋と肩口にもひろがったのです。
「震えてますね。まだ寒いですか?」
芯まで温められるような自然のあたたかさを・・・肩から胸元に掛けて動かしながら山崎さんが問いかけます。
「・・・いいえ」
そう口にしながらも、実は身体の芯までとどいた冷気がまだわたくしの身体からは抜け切ってはおりませんでした。辱めと暖炉の炎で火照った肌の中から・・・時折すうぅっと<寒さ>が上ってくるのです。
その冷たさと・・これから行われることへの恐れが、わたくしに小さな震えを与えていたのでしょう。

第二次性徴をみてから・・・はじめて・・・秘められていた茂みを失うのです。
それも複数の男性の手によって。極めて淫らなそのシチュエーションが、最もわたくしを打ち震えさせていたのです。
右と左から腕と肩・・・白い・・縛り上げられた乳房へも、お二人の手で次々とあたたかなタオルが当てられてゆきます。そしてお湯で絞られたタオルが残した濡れあとを、柔らかな乾いたタオルで拭き取り、優しく摩擦されるのです。

「腰を浮かせてください」
石塚さんの手で、茂みのタオルが取られました。
そして・・・わたくしの腰の下にいくつかのクッションが置かれたのです。
「・・あぁ・・」
M字に開かれた脚の中で、腰だけをせり上げるような姿に・・・されてしまったのです。
「動かないでくださいね」
シャキ・・・シャキ・・・シャキ・・・ わたくしの茂みを石塚さんの指が軽く引く感触の後、鋏が動いてゆくのです。
すぐにカミソリを当てられると思っていたのに・・・
「祥子さんが一度も経験がないというのはわかりますよ。このしなやかな毛先・・・そして長さ・・・まるで祥子さんの髪を愛でているときと同じ感触です」
「いや・・ん・・」
決して露にすることのない・・・漆黒の茂みのことを、男性の口で論評されてしまうなんてあまりに恥ずかしすぎます。
「僕はね、祥子さんの髪が大好きなんです。細くて・柔らかいその手触りが。だからもう一つのヘアをこうして任せてもらえるなんて何よりも喜びなんですよ」
「・・ゃぁ・・」
「ありがとう 望月くん」
鋏の音が止まると同時に、石塚さんの手にはクラシックなシェービングセットが渡されていたのです。
穴熊の毛を使った・・オークと真鍮づくりの・・美しく・・そして淫らな目的の為の道具。
カチ・・カチ・・と真鍮のカップに当たるブラシの柄の音に合わせるように、きめ細やかな泡が出来上がってゆきます。
「お洒落な道具じゃないですか。石塚さんは電気シェーバー派でしょうに」
紳士のためのクラシックな嗜みの道具に、美貴さんの目が注がれていました。
「普段はな。朝は慌ただしいからどうしてもね。でも、ここに来る時は急ぐことは何も無い。チューダー様式の別荘でゆったりと朝風呂の時には、こんな道具にも凝ってみたくなるのさ」
「その気持ちは解らないでも無いですね」
山崎さんがおっとりと頷きます。
お二人の手はわたくしの腕と乳房を・・・セクシャルになりすぎないように、彷徨っておりました。

初雪 61

「祥子さんの剃毛用の道具にはぴったりだろう。品のない道具を使いたくはないからね」
石塚さんは、きめ細やかな泡をたっぷりと載せたブラシを取り上げました。
「あん・・・」
柔らかく暖かな感触がわたくしの丘を覆ってゆきます。
シャリ・・・シャリ・・・ 下腹の端から、カミソリが当てられたのです。
「繊細な場所ですから動かないでください。決して傷つけたりしませんから」
チャプ・・チャプ・・・ 水音が・・・カミソリを洗う湯音がわたくしの足元でいたします。
シャリ・・シャリ・・ そしてまた剃毛が再開されるのです。

「こんなところにほくろがあるのですね。祥子さん」
丘のちょうど右足寄りのところに・・・小さなほくろがあるのは気づいておりました。普段は濃い茂みに隠されて居る場所なので、いままでどなたにも気づかれたことはありません。
「どれ・・・あぁ、かわいいほくろですね。」 
「こんな風にしないと、ずっと知らないままでしたよ。祥子さんの身体にあるほくろのこと。」
「おっしゃらないで・・・」
こんな風に羞恥を煽る言葉を口にされながらも、お二人はカミソリが当てられてからは淫らな悪戯を仕掛ける事も無く・・・わたくしの肩に優しく手を添えてらっしゃいました。
わたくしの両手が自由だったなら、きっとその手を握りしめていてくださったことでしょう。

「・・ん・んん」
次に泡が載せられたのは・・・花びらの両脇です。
シャリ・・シャリ・・・ 片手で押さえながら、右の外側から剃り落してゆかれるのです。
チャプ・・ャプ・・ フゥァ・・・ 柔らかい肌の部分には・・慎重に何度もカミソリを洗い・・泡を重ねてから刃を当ててゆきます。
「望月くん。ちょっと」
石塚さんは側でシェービングソープを用意していた望月さんを呼びます。
小声でなにかを指示すると・・・わたくしの花びらを覆う丘を押し開く指が増えたのです。
「・・や・・だめ」
複雑な場所を綺麗に剃り上げるために・・・望月さんの指までが添えられたのです。
わたくしは思わず身じろぎをしてしまったのです。
「動かないでください、祥子さん。ここを傷つけたら、今夜僕たちはどうしていいか解らなくなってしまう。いいコにしてください。」
山崎さんが優しくわたくしの耳元で囁きます。
花びらの際から・・・後の蕾まで・・・

他の方と比べたことがないのでわたくしには解らないのですが、いま刈り取られている茂みは・・・男性の方達の言葉を借りればきっと豊かなのでしょう。
自分では思いもしない場所にまで走るカミソリの感触から・・・普段の嗜みの無さを指摘されたような恥ずかしさに、身も世もない思いをしておりました。
「これで終わりです」
あたたかいお湯で絞られたタオルを当てられて・・・いままでカミソリが走っていた場所を拭われたのです。

「きれいですよ、祥子さん。まるで蘭の花を見ているようですよ」
息を詰めた様にして剃毛を続けていた石塚さんが、わたくしの花園をこんな言葉で形容するのです。
トレイ一杯の様々な道具を望月さんが持ち去った後で、わたくしの左右にいらしたお二人がわたくしの脚元に回られました。
「ふふ こんなにふっくらと高いんですね、祥子さんの丘は。気持ちいいはずです」
山崎さんの声は、まるで彼のすべすべの手で触れたように・・・剃り上げられたばかりの肌を撫でてゆきます。
「ぁあ・・・おっしゃらないで・・・」
「これで本当に一点の汚れもない紅侘助のような姿になりましたね。緋色と白と・・・薄紅の花びらと、ね」
わたくしの腰回りの湯文字を美貴さんが整えていました。
「望月」
「はい」
カシャ・・・カシャ・・・ カメラを手に望月さんが戻っていらしたのです。
「やめて・・・」
剃毛前の写真を撮られているのです。
初剃毛後のお写真もやはり・・・撮られてしまいました。
「もう 蜜を浮かべてますね、祥子さん。写真に撮られるのは感じますか?」
「いやぁっ・・・違います」
露にされた花びらは、もうほんのわずかな変化も隠すことが出来なくなっていたのです。
チィィ・・・カシャ・・ 「だめぇぇっ・・」
「こうして拡大した写真にすると、本当に蜜を溜めた蘭の花みたいですね」
やはりあれはカメラの望遠機能を使われた音でした。ほんとうに綺麗な薄紅だと・・・山崎さんは改めて恥ずかしいひと言を付け加えるたのです。

初雪 62

「やぁぁぁ・・・」
欲望を露に素肌に戻された秘め所を見つめる男性達の視線に、わたくしの身体は反応を止めることができなくなっていました。
「男を惑わす花。僕たちはもうこの花の虜なんですよ、祥子さん」
石塚さんも立ち上がり・・・デジカメのモニターとわたくしを見比べるのです。
「縄を解いた椿の姿の祥子さんも欲しいね」
「はい」
美貴さんの言葉にわたくしの膝の縄を解き・・・両足首の縄をとくと・・・こわばった両脚を引き寄せて・・・テーブルから下ろしてくださったのです。
「申し訳ありません。あまりきつく縛ったつもりはなかったのですが・・・少し赤くなってしまいました」
「いや・・・これも風情があっていいよ」
石塚さんの指が膝上の痕をなぞるのです。
剃毛の間、緊張のあまり弛緩を繰り返した身体は、膝の上下の縄痕と白足袋の上に少しだけ走る縄痕を残していました。
「失礼します」
カシャ・・・カシャ・・・
「すべすべした下腹から脚まで翳りの無い熟した大人の女の白い肌。たまらないね」

「縄を解いて差し上げなさい」
美貴さんのひと言に、望月さんは広げられていた湯文字でわたくしの剃毛済みの腰を覆ったのです。
「祥子さん、おつかれさまでした。身体を暖めるためにも入浴をなさってらしてください。望月も一緒にな」
えっ・・・やはり・・・1人にはしていただけないの。
「ひとりで・・いたします・・・・」
「いえ、支度もありますからね。望月も祥子さんと同じように凍えたままです。それに、彼に一つくらいご褒美をあげてもいいでしょう。ね、祥子さん」
望月さんは雪の中でわたくしを守り続けてくださったのです。
そして今・・・わたくしの胸縄を解くために覆いかぶさってくる彼の下腹には・・すでに昂った塊の感触が・・・ありありとあったのです。
「わかりました」
望月さんが望んでらっしゃるなら・・・。
わたくしの手首の縄を解く望月さんの唇から、安堵のため息が漏れたのがわかりました。
「さぁ、どうぞ」
そう言った美貴さんがわたくしの肩に掛けてくださったのは・・・あの淡青の地に白侘助が描かれた長襦袢でした。
両手で前を掻き寄せて縄痕の付いた身体を覆ったのです。
寒さで凍えたままの身体を縄で縛められ・・・剃刀を当てられて・・・堅くこわばった身体を望月さんは優しく抱き支えて、先ほどのメインベッドルームへと下がりました。

ドアの先にあるベッドにそのまま倒れ込んでしまいたいほどに、わたくしは消耗しておりました。
でも、それは許されないことでした。
なぜなら男性の方達は、今夜まだどなたも満足なさっていなかったからです。こんなになるまで苛まれていても、彼らにとってはまだ前戯の域すら出てはいないのです。
わたくしへの責めは・・・これからでした。

望月さんの引き開けるドレッシングルームの中に入りました。
今日こちらに伺ってすぐに案内された時にはなかったもの・・・乱れ箱に何かが用意されておりました。
「これは?」
望月さんはわたくしを椅子に座らせると脚元に跪いたのです。
「このあとの祥子様のお召し物です」
長襦袢も湯文字も脱がせることなく、まず左足の足袋のコハゼを外したのです。
「申し訳ありません。お疲れなのは承知しているのですが、主もそして他のお二人もとても楽しみになさっているのです」
果物の皮を剥き下ろす様に・・・足袋を脱がせ、右足のコハゼに手を掛けます。
「どんなものなの?」
わたくしの足はようやく素足に戻ったのです。
わたくしの背後に回ると・・・簡単に髪を梳り、鏡の前に置いてあったヘアクリップで濡れないように軽くアップにまとめました。
「それは暖まれてから。まだ私共にお付き合いいただけますか? お辛いようでしたら私から・・・」
差し出された手に縋って・・・立ったわたくしの長襦袢の前を開くと、湯文字の腰紐に手を掛けて・・・望月さんはおっしゃったのです。
「大丈夫です。それに、そんなことを言ったら山崎さんや石塚さんはともかく美貴さんは許してはくださらないでしょう」
彼の手は腰紐を解き・・・立ち上がり様に湯文字を右手で取り去ったのです。

美貴さんは箱根での一夜の代償のように、いままでわたくしに対して他の方よりも一歩下がった立場で接してこられたのです。
事実、昨晩ホテルのメインダイニングでわたくしのお胸で逝かれたあと・・・美貴さんはわたくしにほとんど触れてはいないのです。今日のこちらへの道中もわたくしは山崎さんと石塚さんだけのものでした。
美貴さんだけが深くお持ちになっている嗜好は、まだ一度も満たされていなかったのです。

「ありがとうございます。祥子様」
掛け流しになった浴槽への扉を開けてくださいました。
「今頃はあの方達も温泉を楽しまれている頃でしょう。ほんの一時ですが、ゆっくり暖まってください」
望月さんはわたくしの肩から長襦袢を落とすと、わたくしだけを先に浴室に入れました。
「望月さんは? いらっしゃらないの」
先ほど美貴さんも仰っていたのです。望月さんも一緒に入ってこい、と。
「よろしいんですか? 祥子様。入浴はお1人でと・・以前から言っていらしたので、主はああ言っておりましたが遠慮するつもりでおりました」
無くしたばかりの茂みが恥ずかしくて・・・振り返るようにして問いかけたわたくしに・・・望月さんがほんとうに遠慮がちな答えを返してくださいました。
「暖まらないとだめです。望月さんなら・・・ご一緒してもいいです。いらしてください。」
羞恥に身を震わせながらも、彼の遠慮をはねのけるようにきっぱりと・・・まるで半分命じるように、今の気持ちをそのまま口にいたしました。

一瞬、望月さんが息を飲むような気配が伝わりました。
「ありがとうございます」と彼の声が聞こえてきました。
「すぐに参ります。祥子様もどうぞ少しでも早く暖まってください」
引き戸を締めると、彼の帯を解く音が聞こえてきました。

初雪 63

わたくしは掛け湯をすると、そのまま石組みの浴槽へ身を横たえたのです。
ピリッ・・と湯の熱が肌を刺します。思っていた以上に身体が冷えきっていたのだと、その時漸く思い知ったのです。
悦楽と緊張と羞恥に晒され続けていた身体はぐったりとしていました。
暖かい温泉はわたくしをそのまま眠りに誘ってゆきそうです。

「失礼します」
引き戸を開ける音と望月さんの声がいたしました。
腰にタオルを巻いただけの姿で浴室にいらしたのです。彼はそのまま洗い場へと向かいわたくしに背を向けたのです。
先に暖まって・・・と声を掛けるきっかけを失って、わたくしは望月さんの背を見つめながらぼぉっと温泉につかっておりました。
夕食にいただいたお酒はもうほとんど抜けておりました。わたくしの水面から出ている肩先も頬も露になった耳も・・・ほんのり紅に染めさせたのは少し熱い湯温でした。
それに、わたくしを一段と火照らせているのは、先ほどまでの羞恥に満ちた責めと、背を向けたまま同じ浴室にいる望月さんの存在でした

「祥子様。お身体を流させていただきます」
「望月さん?」
浴槽の側にいつのまにか彼が腰を下ろしていました。
わたくしは、うっかりうとうと微睡んでしまっていたようです。彼の声に引き戻された意識はまだぼうっ・・と蕩けておりました。
「さぁ・・・」
差し出された望月さんの手を掴むと、ひんやりと冷たかったのです。
「ね、先にあなたも暖まらなきゃだめです。こんなに冷たいもの」
「でも・・・」
「わたくしと一緒につかるのはいや?それでしたら1人で出て身体を清めてまいります」
わたくしは浴槽の中で腰を上げたのです。
「いえ ・・・あの・・・本当にご一緒してもいいのですか?」
「ええ、望月さんさえよろしければ」
わたくしは心地よく身体を預けていた石組みのアールの中央から腰を浮かたのです。
浮力でぽっかりと浮かび上がった乳房が・・・新たな波紋を温泉の表面に加えてゆきます。
「ありがとうございます。失礼いたします」
腰のタオルを取ると、低い石組みの縁を乗り越えて浴槽に入ってきました。
タオルの下の望月さんの塊は既に半ばまで、昂りを示していたのです。わたくしは・・羞かしさに、ふと視線を逸らしてしまいました。
ざっざぁぁぁ・・・ 掛け流しで浴槽一杯に満たされていた湯は望月さんの分だけ・・・緑がかった石を孔雀色になまめかせて流れてゆきます。

「祥子様。どうぞこちらに」
彼から目を逸らしていたために、無防備に置いていた左手を望月さんに引かれるまで気がつきませんでした。
「なぁに?」
湯の浮力で軽くなったわたくしの身体を、彼の方に引き寄せたのです。そして広げた脚の間に座らせて、背中からすっぽりと抱きとめる様に腕をまわされたのです。
まるで幼い娘や恋人を労るような優しいその姿勢に、わたくしは抗うこと無く彼の腕の中に収まったのです。
「祥子様の耳もまだこんなに冷たいじゃないですか」
両手を湯の中でわたくしの身体にまわし、望月さんは唇で露になっているわたくしの耳朶に触れるのです。
「あん・・・そんなこと・・だめ・・・お耳弱いの」 
「頬も、まだこんなにひんやりです」
望月さんの唇は耳から頬へ・・・そして首筋へゆっくりと這ってゆきます。
「ん・・んん・・そんな悪戯しちゃ・・だ・め・・」 
「私に抱かれているのはお嫌ですか?」
左の首筋に触れると・・今度は右の耳に・・・その間にわたくしの腰に触れていた塊は熱い湯の中でもなお熱く・・・昂りの度合いを高めていたのです。
「・・・ぁん・・いやじゃない・・わ」
わたくしの身体にまわされていただけの手が・・・脇腹に触れ・・・乳房に触れてゆきます。
「よかった。ありがとうございます」
ぎゅっと・・ふいに抱きしめるのです。

「ん・・くるしいわ・・もちづき・さ・・ん」 
「あぁ 失礼いたしました」
微かな声に気づいたように緩められた腕の中で・・・わたくしは右に身体をずらしたのです。丁度望月さんの右の脚に背を預けるように、そして・・・左手の指を彼の塊に触れさせたのです。
「もう・・こんなに」
湯の中でさえ・・・まるでぬめりを纏うかのような熱とひくつきを、揺れる水面の下で触れる指におずおずと伝えてきました。
「ずっと、祥子様のお側にいるとずっとこうなんです。その白い肌を見るだけで」
塊に触れると湯から覗いてしまうわたくしの肩先に唇を押し当てるのです。
「あん・・」
それでもわたくしは、触れている指を離しはしませんでした。
肌に滑る温泉の湯をローションのようにして、触れるか触れないかの間隔で敏感な先端を丹念に中指と薬指の先で辿ってゆきます。
先端からかりに向かって撫で下ろし・・かりの裏側をくすぐって・・・また鈴口まで撫で上げるのです。
裏筋側からゆっくり一周すると、今度は人差し指と中指を添えて・・・裏の合わせ目から付け根に向かって何度も何度も指を上下させるのです。
望月さんの塊はわたくしの指から逃れる様に・・・またより強い刺激を催促するように・・ひくっ・・ひくんと・・湯の中を揺れ動きました。

初雪 64

「祥子様、お許しください。のぼせてしまいそうです」
軽い・単純なタッチの繰り返しだけ・・・なのに、望月さんの表情には淫楽に耐える苦悶の表情が浮かんでいました。
「のぼせてしまう?もうそんなに暖まったのですか?」
確かに望月さんの身体は、わたくしの背に当たる脚も身体を預けている胸も・・・充分な熱を蓄えていたのです。わたくしはだからといって、彼から指を離すことはいたしませんでした。かわりに刺激を強めるのではなくて・・・やわやわと纏い付かせる様にして塊に指を沿わせていったのです。
「その縁の岩に腰掛けて少し休まれたら?わたくしはもう少し暖まりたいわ」
「そうさせていただきます」
望月さんは立ち上がると、浴槽の縁を構成する岩の一つに腰掛けます。 
彼の目は・・・腰を覆うためのタオルを・・昂った塊を隠すためのタオルを探していました。でもそのタオルは、先ほど彼が浴槽に入って来た場所の床に・・・置かれていたのです。とても手を伸ばしても取り上げることなんてできません。

「なにをなさるんですか。あぁ、ぁ」
わたくしは彼の昂りに・・・自ら顔を伏せたのです。
くぷぅぉ・・・ わたくしの唇より熱い塊を喉奥までゆっくりと飲み込んでゆきました。
ちゅ・・くぅぅ・・・ 濡れた望月さんの茂みに鼻が付くほどに含むと、今度はゆっくりと唇を引くのです。口内では、舌で先ほどまで指で撫でていたように裏筋をなぞりながら。
「あぁ 祥子さま」
塊から離れそうになるわたくしの唇を無意識にでしょうか・・・追いかけるように、腰を突き上げてまいります。
ぺちゅ・・ぺちょ・・ 唾液で濡らした唇を軽く開いて敏感な先端に触れると、そのまま顔を左右に振るのです。わたくしの左手はすでにひんやりとし始めた皺袋にやわやわと触れていました。
「いい 祥子さま。いいです」
岩を掴む望月さんの指に力が入っているようです。視線に入る彼の指の関節が、僅かに白くなっているのです。掛け流しの湯の音が彼の声もわたくしの立てる淫らな音も・・・外には漏らさないようにカムフラージュしてくれました。
ぺろぅっ・・・ぷちゅぅぅ・・・ 右手を塊に沿えると先端をからかりの裏側まで・・・先ほど浴槽の中で指でなぞった様に舌を這わせていったのです。
ちゅぷぅ・・くちゅ・・ 塊はひくひくと震え先端からは・・先走りの滴が滴り、わたくしの唇を濡らすのです。花びらのように開いた唇を添えて・・今度は先端を舌で嬲りながらゆっくりと塊を含み出し入れをはじめたのです。深く・・・時に浅く・・
「なんて 唇なんですか」
望月さんの手がわたくしの頭に添えられたのです。そして遠慮がちに力を加え始めたのです、わたくしを誘導するように。
わたくしの動きにつれて温泉の湯がゆらゆらと揺れるのです。
ちゅぽ・・・ちゅく・・ 温泉ほどに熱い唾液を口内に溜めて、わたくしの舌は幾度もいくども彼の塊の上を舞ったのです。
望月さんの塊が滴らせる粘液はわたくしの唾液と混ぜ合わされ・・・口腔を彼の香りで満たしていくのです。
「あぁ だめです」
唐突に彼の手がわたくしの頭を塊から引き離したのです。

ん・・くっん・・ わたくしは口内に満たされていた液体を飲み込んだのです。
「だめ?」
望月さんへのご褒美のつもりでした。共に入浴することを躊躇うほどの望月さんの淫情を、ふたりきりの時間になら果たしていただけると思ったのです。
そして・・・この行為は彼のためだけではなかったのです。一方的に嬲られ続けていたわたくしの秘めた欲望を満たすためでもありました。だから・・・きっとはしたない表情をしていたに違いありません。
首を傾げて彼を見上げ・・どうしてここで止めなくてはならないの、と眼で問いかけたのです。

「こんなのはいやです」
岩組みの縁から浴槽へと・・・望月さんは身を沈めました。今度はわたくしを横抱きにするようにして。
「お気持ちはうれしいです。このまま祥子様を連れ出して二人きりになれるなら我慢なんてしません。でもこの後・・・ですからこうして祥子様を抱きしめて暖まれるだけで充分なのです」
寄り添う様に・・・耳元に囁くのです。
「祥子様、一つだけわがままを聞いて下さいますか?」
こくん・・と頷いたわたくしの唇は、抱きしめられたままで彼に奪われていったのです。

「お身体を流しましょう」
優しくうっとりと重ね続けた唇を離して、望月さんがわたくしの身体を引き起こしました。
「自分でいたしますわ」
このまま彼に身体に触れられたら・・わたくし・・・
「いえ、させてください」
わたくしを先ほど彼が使っていた洗い場へと連れて行きます。
「そのまま立ってらしてください」
手桶にバラの香りのバスバブルを作り、柔らかなスポンジに取り上げたのです。
わたくしの首筋から暖かな泡をやさしく順に載せてゆく様に・・・スポンジを動かしました。
「ん・・ぁ・ぁ・」
彼の手はわたくしの腕を指先までなぞると、背中を腰の頂まで・・・そして左右の乳房をまぁるく円を描く様に撫でてゆくのです。
「脚を開いてください」
望月さんは先ほどよりもたっぷりと泡を取り上げて・・・わたくしの剃り上げられたばかりの白い丘に優しく触れてゆきました。
「・・ぁっ・・・」
茂みを無くした秘め所は、ふんわりとやさしいその感触さえもダイレクトに伝えるのです。わたくしは左手の甲で唇を被いました。
「沁みますか? 祥子様」
思わず漏れた声に手を止めて、跪いた望月さんがわたくしの顔を見上げます。
「いいえ。あの・・違うの。大丈夫です」
感じてしまって・・・思わず漏れた喘ぎだとは言えませんでした。
「よかったです。すぐ側で見ていたのですが、石塚様の手はほんの僅かも祥子様を傷つけてはいなかったので。知らないところに傷が付いていたのかと思ってしまいました」
望月さんの手はその間もゆっくりと、わたくしの脚へとスポンジを動かしてゆきます。
「石塚様はあのように剛胆に見えて、実はあの方達の中で一番繊細で器用な方なのです。石塚様がなさると仰らなかったら、私が替わりにさせていただいておりました」
わたくしの身体を全て泡で包まれると・・・立ち上がってゆっくりと首筋からシャワーをあてはじめたのです。
背中の側を腰から足首まで・・・そしてわたくしの顔をあおのけて・・肩から両の乳房・・白い腹部へ・・・。
「頬ずりさせていただいてもいいですか?」
跪いて目の前の泡をシャワーで流して・・・遮るもののなくなった太ももの合わせ目から望月さんの視線は動かなくなりました。
「・・いやぁ」
言葉とは裏腹に、わたくしの手は彼の髪を促す様にかき抱いたのです。