初雪 70
「いけない花嫁だね。ドレスを着たままで逝くなんて」わたくしの唇から2本の指を引き抜きながら、石塚さんがさらに言葉責めを重ねます。
「や・・ん・・」
後ろ手に捕まえられた震える身体は、彼に支えられていたのです。
「さぁ、ドレスを汚すといけませんから脱がせて上げましょう」
「お願い鏡を閉じて・・・」
部屋全体を映し出す壁一面の鏡は、わたくしの感じ達するはしたない表情までもを映し出してしまうのです。
「だめです。祥子さんもちゃんと自分の姿を見て自、覚していただかないといけませんからね。どれだけあなたの表情が・・姿が・・・僕たちを惑わしているか。今夜はきちんと知ってください」
美貴さんが鏡のわたくしを見つめながらそう宣告するのです。
別荘には普通ありえない壁一面の鏡。まさか、今日のために用意されたものなのでしょうか・・・
「さて、背中に沢山並んだ釦を誰が外すかですね。せっかくだからゲームをしましょう」
美貴さんの言葉に望月さんが2つのダイスを持ってきました。
4面体の赤と青のダイス。
「赤のダイスが釦を外す人を、青のダイスが外す釦の数を表すというのでいかがですか?」
「いいな、それ」
石塚さんが賛成します。
「ということは望月くんも参加できるんですね」
山崎さんも賛成のようです。
「1が石塚さん、2が山崎、3が僕、4が望月。釦を外した人は、一回に一つだけ祥子さんの身体にキスマークを残せるというのがご褒美です」
「えっ・・そんな」
この場でこのドレスを脱がなくてはならないのは仕方ありません。でも、キスマークなんて。
「大丈夫ですよ、祥子さん。あなたが困るような場所には痕は付けません。それともまだ茂みが戻らないうちに、誰かにその身体を楽しませる予定があるのですか?」
「いいえ、そんなこと・・ないです。でも・・・」
「キスマークが消える方が茂みが元にもどるよりもずっと早いはずです。もし他の男性に抱かれるなら、僕たちの存在に嫉妬させてください」
山崎さんまでもがそんな風におっしゃるのです。
「じゃ、このルールでいいですね」
美貴さんの言葉に3人の男性が頷きました。
「はじめましょう」
「望月」
「はい」
美貴さんの声に、望月さんがベッドメイクされた白いシーツの上に2つのダイスを放ちます。
音も無く転がったダイスは、赤が2 青が3。
「僕からですね」
山崎さんがハイネックのレースの襟を留めていた3つの釦を外します。そして・・・露になった肩の付け根に1つ・・赤い痕を付けられたのです。
「次」
赤が1 青が2。
「2つだけか」
広く空いた背中の最初の釦ともう一つを石塚さんが外しました。
「あん・・・」
肩甲骨の下まで緩められたのを確認すると、肩先に留まっていたレースを剥き下ろしたのです。
初雪 71
「キスマークはここだな」丸い肩先からブラウスの第二釦のあたりまで・・・露になった肌の左の乳房の脇よりの傾斜に2つめのキスマークが付けられます。
「祥子さん、鏡から眼を離してはだめです。望月。次!」
赤が4 青が4。
「失礼いたします」
望月さんはわたくしの右の手首を取り上げると、5つの釦のうちの4つを外しました。そして丁度石塚さんと反対側の右の乳房に控えめに痕を付けたのです。
「ん・・たしかに手首の釦を外さないとな」
石塚さんが妙なところに関心をしています。
「次」
赤が1 青が4
「悪いな。美貴の番がなかなかこないな」
石塚さんはわたくしの右手を取り上げると手首の最後の1つの釦を、次いで左手首の3つの釦を外しました。
キスマークは先ほどご自身が付けられた痕の少し右側へ。
「次」
赤が3 青が4
「待たされましたからね」
美貴さんは手首には眼もくれず、背中の釦を4つ順にウエストまで外してゆきました。半ばまでバストを覆っていたレースをぐいと引き下げたのです。
「あん・・・」
ゆったりとレースに包まれていた乳房がまろびでて・・たふん・・と揺れるのです。その左の乳首のすぐ脇に美貴さんはきつく痕を付けました。
「次」
赤が2 青が2
「美貴は乱暴ですね」
山崎さんはそう仰りながら左手を取ると、残りの2つの釦を外したのです。手首の釦が全て外されたことで、あと10個ほどの釦でこのレースの装いは全て剥ぎ取られる準備が整ったのです。
キスマークは右の乳房の下辺でした。
「次。だめです。眼を反らさないでください、祥子さん」
ゲームの様にして着衣を剥き下ろされることも・・・身体に白い肌に赤い印が散らされてゆくことも・・・羞恥以外の何ものでもありません。なのにその姿を直視しろとまでおっしゃあるのです。
赤が4 青が4
「祥子様、失礼いたします」
望月さんがわたくしの後に回りました。4つの釦を順に外してゆきます。
ドレスにはそれ以上触れずに、わたくしの背中にキスマークを一つ付けたのです。
「次」
赤が1 青が4
「まだ釦があるんだな。脱がすのにこんなに手間がかかるものなのか?山崎。花婿が萎えたりしないか。」
軽口をききながら背中の釦を4つ外しました。
そんなことはないでしょう、石塚さん・・・明るく返す山崎さんの声を背に受けながら、石塚さんは先ほどご自分が付けられたのの隣にもう一つ痕を付けます。
「まるでバラの花束のようだろう」
「次。これで最後かな」
赤が2 青が3
「このドレスを取り去る栄誉は、僕がいただけたんですね」
山崎さんは最後の二つの釦を外すとわたくしの前に回り、両手首から袖を抜き・・・足元にたくし下ろしたドレスの輪からわたくしに出る様に促すのです。
壁一面の鏡の前で・・わたくし1人がとうとう裸身を晒してしまったのです。
「僕のキスマークはここに」
たぐり寄せたドレスを望月さんに渡すと、山崎さんは跪いたままでわたくしの左脚を取り膝に載せます。そして内ももに・・・くっきりと赤い印を残したのです。
「あ・・ん・・」
優しく、でも強い吸引力にわたくしは思わず声を上げてしまいます。
「ほんとうに綺麗に剃り上げられていますね。思わずここにキスマークを付けたくなってしまいましたよ」
「ずるいぞ。山崎」
「わかってますよ、石塚さん。これは石塚さんのリクエストですからね、そんな野暮はしません」
初雪 72
「今度は祥子さんに僕たちを脱がせてもらいましょうか」「えっ・・・」
わたくしがこの姿のままで、男性の方達のお召し物を脱がせなさいと仰るのです。
「祥子さんのドレスは僕たちが脱がせてあげました。だからお返しです」
美貴さんの声は有無を言わせないものでした。
「順番は・・・」
「美貴からでいいよな」
「ええ」
先ほどのゲームであまり出番のなかった美貴さんに、石塚さんが最初の順番を譲ったのです。
「それじゃお願いしましょう」
鏡に映らないように、注意して行えばいいのです。この方達がこの状況を楽しまれている以上、お応えするしかありません。
「はい」
鏡に向かう様に美貴さんが立ちました。かいがいしい妻のように向かい合わせに立つと、すでに3つまで開いているウイングカラーシャツの釦に手を掛けたのです。
「その前に、キスでしょう」
美貴さんはわたくしを抱きしめると、貪るようにディープキスをはじめたのです。
「ん・・ぁ・・・」
逃げられない様に抱きとめた指は、次第に背筋を・・・腰へ降りてゆくのです。
「・・んん・・ぁめぇ・・」
彼の両手は腰の頂きをはしたなく左右に割り・・・昨晩山崎さんに愛撫されただけの・・密やかなすぼまりをへと指を這わせます。
わたくしの背面は、全て鏡に映されておりました。他の方にも開かれた深い谷間の中を見られているのです。
あまりの恥ずかしさに身を捩るようにして、わたくしは美貴さんの破廉恥な手から逃れようといたしました。
「いいのですか、そんな風にして。僕たちは自分で脱いでもいいんです。そのかわり、望月に今度は恥ずかしい姿に縄を掛けさせますよ。それとも祥子さんは、望月の緊縛が気に入ったのですか。また縛ってもらいたいんですか?」
白一色の部屋の中で・・・わたくしだけが赤い縄に縛められる・・そんなことはいやです。
「縛られるのは・・いや。・・・恥ずかしいの。そんなことしないで、おねがい」
新婚の夫に甘える新妻のように、わたくしは美貴さんに訴えたのです。
「ええ、わかってますよ。僕たちがまだきちんと装っている中で、1人そんな姿は恥ずかしいでしょう。さぁシャツから脱がせてください」
まだ男性はみなさんドレスシャツと白のパンツという装いのままなのです。その中で1人裸体を晒すわたくしに、8つの視線はまとわりついていたのです。
「はい・・・失礼いたします」
美貴さんの胸元の釦を外すわたくしに、もう美貴さんはなんの悪戯を仕掛けようともしませんでした。協力的に両手首さえ差し出してくださったのです。
「まってください」
パンツの中にたくし込まれているシャツを引き出そうと、オフホワイトのベルトに手を掛けたときです。
美貴さんがわたくしの手を捉えました。
「なんでしょう」
「今夜も口紅は付けていないんですね。先ほどのキスでわかりました。ここからは手を使わないで脱がさせてください。使っていいのは祥子さんの唇だけです」
「えっ・・」
手を使わずに、革のベルトまできちんとされている男性のウールのパンツを脱がさなくてはならないなんて。わたくしに・・・出来るかしら。
「さぁ お願いします」
わたくしは美貴さんの前に跪きました。
ベルトの端を歯形が付かないように唇で挟み込むと、ゆっくりと解く方向へと押してゆきました。
まだ真新しいのでしょう。革は適度なテンションでそろそろとバックルの中央に撓んでゆきます。
唇で撓みが挟み込めるほどに大きくなったところでバックルの上に顔を動かし、ピンを外すと、残りのベルトを全て唇で引き抜いて・・・ベルトを外しました。
次はパンツのウエストです。前カンを外すように前立てを唇に挟んで引っ張ります。
洗練されたつくりのパンツは、なかなか上手に前カンを外すことができません。何度も美貴さんの腰に頬をこすり・・パンツに唇を滑らせてから・・ようやく外すことができました。
ところが、さらに内釦があったのです。
加えて手を使わずにこの行為を続けたせいで・・・美貴さんの塊はパンツの前をはちきれんばかりに昂っていたのです。
初雪 73
「これ以上は無理ですわ」跪いたままで、美貴さんを見上げてそう言いました。
頑張っても・・真っ白い上質なウールのパンツを、わたくしの唾液にまみれさせてしまいそうです。
「ん、それじゃファスナーをその唇で下ろしてください。それで許して上げましょう」
こくん・・と一つ頷くとわたくしは前立ての中に左右に首を振る様にして・・・唇をくぐらせました。
ファスナーのスライダーを前歯で噛むと、一旦上に引き上げてストッパーを外し、それからゆっくりと引き下ろしはじめたのです。
なんでもない時でしたら、そう難しいことではなかったでしょう。
でも、いま美貴さんの身体は確実に昂っていたのです。
盛り上がった塊がファスナーのカーブを一層きつくしているのです。
前歯に力を入れて・・もう一度ぐいと引き下ろしました。それでもやっと1/3ほどスライダーを下ろす事ができただけです。
あと2/3。
手を使わない・・・ということにわたくしは夢中になっておりました。
両手は美貴さんの膝を抱えるように回し・・・その膝で白い乳房をつぶしてしまうほどに上半身を倒し密着させておりました。
鏡に映った後姿は、頭を動かす度にまるで淫らな行為を誘う様に・・・まぁるい腰を揺らしていたのかもしれません。
目を伏せ、与えられた命令を達成することだけを考えていたわたくしには、美貴さんの視線が、彼の腰に伏せられたわたくしの顔と鏡との間を行き交っていたことには気づいていなかったのです。
「まだですか? 祥子さん」
美貴さんの声に、わたくしはもう一度前歯に力を込ました。
ジィっっっ・・・ 頂きを越えたところで、スライダーは一気に下までおりたのです。
「やっとできましたね。それではもう手を使っていいですよ」
「はい」
そう言われてはじめてわたくしは、どれだけ自らの身体を美貴さんに預けていたのかを知りました。
「あん、ごめんなさい」
上体を美貴さんの脚から引き離します。
「いえ、楽しませてもらいましたよ、祥子さんの胸の感触。手で楽しむのもいいですが脚でこうして楽しむのも乙なものですね」
「そんな風におっしゃったら・・・いや」
パンツの内釦を外して引き下ろすと、左右の脚をそれぞれ抜いていただきます。
わたくしが入浴していた間、この方達も温泉を楽しまれていたからでしょうか。足元は素足でムートンのスリッパに包まれていました。
「頂戴します」
脇に控えた望月さんが、美貴さんの脱がれたものを受け取ってくださいます。
パンツの中にたくし込まれていたシャツの最後2つの釦を外すと、わたくしは立ち上がって背中に回り、美貴さんのウイングカラーのシャツを肩から脱がせました。
「これでいいですよ。さぁ、次は誰の番ですか?」
白のボクサーショーツだけになった美貴さんの一言に、わたくしは少なからずほっといたしました。この場で男性の下着をこの手で引き下ろせと言われたら・・・やはり躊躇してしまっていたでしょう。
「それじゃ、僕のを脱がせてもらおうかな」
石塚さんがわたくしの手を彼のシャツへと導いたのです。
「祥子さんはこちらにいらしてください」
釦を外そうとしたわたくしは、美貴さんの指示でベッドの上で膝立ちにさせられました。
石塚さんはベッドサイドに立たれ、わたくしはベッドの端に向かって・・・壁面の鏡に丁度横からの姿を晒すような体勢を取らされたのです。
スプリングの効いたマットレスの上で、わたくしが石塚さんのスタンドカラーのシャツの袖口の釦を外そうとした時です。
「・・あっ・・だめ」
真っ白なまぁるい腰の谷間に・・・ローションが垂らされたのです。
初雪 74
「祥子さんは石塚さんの服を脱がせてください。手を休めてはいけません」わたくしの背後に立った美貴さんの指がローションのぬめりを載せて、密やかに奥にある蕾に触れたのです。
「おねがい、ゆるして・・・」
なにも纏うものもないままで、鏡に映されながら男性の衣服を脱がせてゆかなくてはならないのです。その上、後の蕾を嬲られながらなんて・・耐えられません。
「僕たちは恥ずかしがりやなんです。着ていたものを脱いでしまったら祥子さんを愛撫しないではいられません。だから脱がせてもらった順に祥子さんを可愛がってさしあげます」
やわらかく・・中指で・・・姫菊の皺をたどるように・・・
「あぁぁ・・・」
釦を外すどころではありません。わたくしは石塚さんの手に縋る様に・・・掴まっていたのです。
「早く石塚さんのシャツの釦を外してください、祥子さん。身体と同じに素直になったらいかがですか?」
幾度もローションをまぶして指を少しずつ・・・中心に沈めてゆきます。
「あっ・・・あぁ、だめぇ」
美貴さんがご一緒なのです。いつかはこんな仕打ちに会うことは覚悟していました。それでも・・・皆さんが同時に愛してくださるお時間の中でのことだと思っていたのです。
美貴さん以外の方のシャツの釦を外しながらなんて、想像してもいませんでした。
ただでさえ 本来は性愛の対象ですらありえない排泄器官です。
じっと身を任せていても身悶えしてしまうほどの感覚を与えてくる場所なのです。
わたくしは石塚さんの手にすがるのが精一杯でした。
「そうしていてもいいですが、祥子さん。全員を脱がせない限り祥子さんへの責めは終わりませんよ。明日の朝までだって、いえ明日中でも4人で愛してあげます。帰るのを一日延ばせばいいだけですから」
「ああ、祥子さんとなら2日延ばしてもいいぞ。僕は4日に東京に居られればいいんだからな」
「ええ、うちの会社も4日が仕事始めです。明後日は取引先が挨拶に来ますが、父がいますからね。いいですよ、祥子さんと過ごせるなら」
「ぁあ・・・だめぇぇ・・・」
視線の端で望月さんまでもが頷いているのです。美貴さんがここに居る以上、彼もここに居るのが仕事だからです。
「皆こう言っていますよ、祥子さん。それじゃあと2日滞在を伸ばしましょうか。望月、結城くんのいるホテルに彼女の滞在もあと2日延ばす様に電話をしてくれ」
美貴さんはわたくしの身体に中指の第一関節までを埋め込んだままで、望月さんにこんな指示までなさるのです。
「・・だ・・めぇ・・っ・・いたし・・ますぅ・・」
この方達と過ごす時間が伸びることがいやなのではありません。この方達にあと2日も責められ続けたら・・・わたくしは淫らに逝かされ続けて、身も根も尽き果ててしまいそうだったからです。
ようやく石塚さんの左手のカフスの釦を外しました。
「もっと身体の力を抜いてください。そんなに締め付けたら僕の指すら動かせなくなってしまいます」
姫菊の中に差し入れた指を、ゆっくりとまわすのです。
「はぁ・・ぁぁ・・ん・・」
力を抜きたくても腰と指先に神経を分断されて、わたくしは身体に自然と身体をこわばらせてしまいます。
「石塚さん、祥子さんの身体を支えてあげてくれますか?」
「ああ」
両手のカフスを外したわたくしの身体を、石塚さんは抱きしめるように包み込んでくださいました。夫の胸に抱かれたままで、シャツの釦をひとつずつはずしてゆく甘えた年若い妻のように。
「ん・・くっ・・ゃぁ・・」
アナルの刺激でわたくしはもう幾度も身体をひくつかせておりました。その度に乳房はたゆ・・ん・・と揺れ、翳りのない白い下腹も柔らかな太ももも微かに慄くのです。
石塚さんの白いシャツの胴に擦られる乳首も、くっきりと立ち上がったままでした。
「なかなか釦が外せませんか?」
スタンドカラーのシャツは第一釦から7つ、全ての釦がきっちりと留めつけられておりました。
「・・・はぁ・・い・・」
「助けてあげる訳にはいかないからな。頑張ってください、祥子さん。でもいいんですよ ゆっくりで。こうして僕の腕の中に快感に震える祥子さんを抱きとめておける、こんなシチュエーションはなかなか味わえないでしょうからね」
がっしりとした体格の石塚さんは、わたくしのことをびくともしないほどにしっかりと受け止めていてくださっていたのです。