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唐紅 11

「どれ、ごちそうになろうかな。祥子さんの唇から、ね」 
隣に座った男性は、手に持ったグラスをわたくしの唇に寄せ・・・傾けてゆきます。
口の中にグラスの1/3ほどを流し込むとそのまま唇を重ねるのです。
「ん・・・んん・・・っく」 
お酒は男性の舌で口腔でかき回され・・・わたくしの唾液とともに吸い上げられてしまいました。
「ん、これは美味いな。もう一口」 
わたくしの背は座椅子に押し付けられ・・・男性の身体の圧力で、左側に畳まれていた脚さえも次第に伸びてしまうのです。
「ん・・・ぁぁ・・・だぁめぇぇ」 
二口目の梅酒を・・・余韻まで味わう様にむさぼるのです。ディープキスを繰り返しながら、男性の手はわたくしのバストをまさぐりはじめました。
「な・・にを・・なさ・・る・の」 
唇をついばむようにされながらも、わたくしは脇に控えている運転手の視線を感じて抗いの言葉を口にしてしまいました。
 
「こうして飲むのが美味しいと女将に聞いたことがあってね」 
男性の指は白い乳房の先端で堅く立ち上がっているであろう先端を探る様に、絹の上を動くのです。
「女将の手作りの酒なんですが。祥子さんの唇からいただくのは格別ですよ」 
前歯の上を・・・舌の先を・・・唇角を男性の舌先が動き回るのです。
「あっ・・・ふぅん・・・やぁ・・・」 
座椅子と男性に阻まれて上半身は逃げることができなくなっておりました。されるがまま・・恥ずかしいのにただ軽く首を振ることしかできません。
「君も飲ませてもらったらどうだ、ん?いいでしょう、祥子さん」 
男性は、側に控えグラスの受け渡しをしていた運転手にそう声を掛けるのです。
「ありがとうございます。祥子様こちらへ」 
男性のキスでバランスを崩しかけていた上体を、今度は背中から運転手に預ける形になってしまいました。
 
「どうぞ、祥子様」 
首筋から聞こえる声は、わたくしの唇に押し当てる硝子の杯と同様に、有無を言わせない力がありました。
「っん・・・くぅっ・・・」 
座椅子から上体を運転手の引き締まった身体に引き寄せられて、顎を引き上げられ・・・後から身体ごとかぶせるように唇を重ねられてしまいます。
「あぁ・・美味しいです。祥子様」 
運転手は二杯目のグラスを口に運ぶことなく・・そのまま唇を重ね続けました。
わたくしの上体は、もうほとんど運転手の正座した膝の上に横たえられてしまったのです。
彼の熱い口づけと肩先を抱きしめる腕が、わたくしを徐々に蕩けさせてゆくのです。

「ん・・んっ・・・だめ・・・」 
揃えたままに伸ばされていた足先から着物の裾をまくり上げられる感触に、わたくしは我に返りました。
「やめ・・て・・・んくっ・・・」 
足元に膝立ちになった男性が、左手でわたくしの足首を押さえ右手で友禅の裾を左右に分けていたのです。
抵抗する声さえ、運転手の口づけに打ち消されてしまいました。
 
足首を思うがままに動かしながら、男性は着物の裾を・・・ガーターの留め具が露になるほどに広げてしまったのです。
「紅葉に初雪だな。僕のプレゼントも気に入っていただいたみたいですね、祥子さん」 男性は深紅の長襦袢の上に伸ばされた白く輝くストッキングの脚を、じっくりと視姦するのです。
間接照明だけの薄暗い室内の中で、雪見障子から差し込む四角く切り取られた庭からの光だけが白々と明るいのです。
わたくしの下半身はそのはしたないフレームに見事に収められておりました。
視線を避けようと左右に揺らす膝さえも、脚のやわらかなラインをストッキングの光で照り返らせる効果しかありませんでした。
 
「ん・・っっく・・・いやぁ」 
息をする間もないほどに口づけは繰り返されました。
「私のキスはお嫌ですか? 祥子様」 
熱情にかすれる声で運転手は囁くのです。
「んん・・ん・・・」 
答える間もなく重ねられる唇に、わたくしは弱々しく首を横に振りました。
なぜなら、この宿で最初に彼の手で袖口のカフスボタンを外されたときから・・・わたくしはほんとうは・・・彼の唇を欲しいと・・・思っていたのです。彼の腕にこうして抱きしめられたいと・・・思っていたからです。
「ありがとう・・・くちゅ・・・ございます。祥子様」 
運転手は舌を吸い上げるような激しいキスを繰り返しました。

運転手のディープキスに蕩けてゆこうとするわたくしを、主である男性は許してはくれませんでした。
「ちが・・う・・の・・ぉ・・・いやぁぁ」
ストッキングの足首を左右に広げると、襦袢の上に大島の膝を進め・・・膝までも大きく割ってしまうのです。
「祥子さんは僕よりも彼を気に入ったみたいですね。はは、妬けるな。キスだけでこんなにするなんて」 
広げられた両脚の合わせ目を三角形に覆う深紅のレースは・・・もう溢れる蜜にまぶされていました。
広げられた綾絹の光沢よりもつややかな光を放ちはじめていたのです。
「いやぁぁ・・・見ないでぇぇ・・・んくっ・・・」 
両手を、わたくしのストッキングの膝を愛撫するように蠢かせて、視線だけを恥ずかしい場所に注ぎ続ける男性に・・・わずかに腰を捩り視線から逃れようとしました。
「おとなしく・・・なさって・・・ください。祥子様」 
くちゅ・・・ちゅ・・・飽きることなくキスを繰り返す運転手は、左手でわたくしの肩を抱きしめたままで・・・右手で帯揚げと帯枕の結び目をさりげなくほどいておりました。
はらっ・・・ 畳に落ちる絹の柔らかな音は、彼の激しいキスの音と男性の淫らな視線に打ち消されてしまいました。
 
「このままだとシルクの長襦袢にシミをつくってしまいそうですよ。祥子さん」 
男性のからかうような声に、わたくしははっとして腰を浮かせてしまいます。
この着物の価値を知っていたらそんなこと・・・とてもできません。
「もう祥子さんの唇には満足したろう。そろそろ解放してあげたまえ」 
わたくしの膝の間から立ち上がった男性は運転手にそう命じます。
「・・・ありがとうございました、祥子さま。ではこちらに」 
運転手はそう言うとわたくしをくるりと俯せにして、あぐらに崩した膝の上にやはりわたくしの上体を乗せたのです。

唐紅 12

「あん・・・」 
わたくしの頬には,運転手のあの熱い塊が彼の浴衣ごしに触れていました.
「いやぁ・・・」 
足元であぐら座りになった男性は、俯せにされ思わず膝を引き寄せていたわたくしの着物の裾を、背中に向けて一気にまくり上げてゆきます。
羞恥のためにとった防御の姿勢が、白い肌の腰のまぁるいラインをそのまま男性に曝け出すような淫らな姿に変えられてしまったのです。
 
深紅のガーターベルトとTバックの僅かなレースは、だからこそ白い肌をことさらに強調していました。
白すぎるストッキングの光沢は、肌のなまめかしさをいっそう引き立てる役割しかしておりませんでした。
 
帯の上に高くまくり上げられた着物と長襦袢は、わたくしのはしたない下半身を彩る額縁のようです。
「みない・・で・・・」
「ほおっ・・・」 
男性は先ほどと同じ様に、わたくしの肌を曝け出させるだけで指すら触れてまいりません。 視線を・・・肌の上を這っていると感じてしまうほどに・・・執拗なほど強く注ぐのです。
「だめぇぇ・・・」 
運転手の手で頭と肩を抑えられ、わたくしは姿勢を戻すこともできません。視線をそらすためにできるのは、腰を・背を、捩るように動かすことだけでした。
 
「あの時はじっくりと鑑賞できませんでしたからね、祥子さん。今夜は楽しませてもらいますよ」 
3人の男性に、ホテルの部屋に入るなり愛撫を繰り返された夜のことを口にするのです。
「・・・いや・・・」 
あのときわたくしは、男性にアナルバージンを奪われたのです。
「綺麗ですね。装ったあなたも、こうして肌を晒したあなたも。もう一度逢いたかったのですよ」 
ふっ・・・白い肌の頂きに男性の熱い息だけが吹きかけられます。
「ん・・・んっ」 
ピクン・・それだけの刺激で身体中が反応してしまうのです。
「あの時は祥子さんの口と・・・初めてのここを」 
ふっ・・・Tバックのレースごしに運転手の指で清められたアナルにも、息を吹きかけるのです。
「あっ・・・ぃゃぁ」 
男性の息は肌には熱く感じられるのですが・・・それは同時に濡れそぼった狭間のレースを冷たい感触に変えるのです。アナルへの熱い刺激と、はしたなく溢れてしまう愛液の証の冷たさが・・・わたくしをいたたまれなくさせました。
「祥子様。お静かになさってください」 
運転手のしなやかな指が、彼の塊に触れていない方のわたくしの頬をなで上げます。
「まだ何もしていないじゃないですか。祥子さん」 
白く剥き出しにされた腰の脇に座る男性は、ふぅっ・・・とまた狭間に息を吹きかけます。
「ぃやぁぁぁ・・・」 
何本もの手で嬲られるよりも・・・双の瞳で見つめられるだけ、ただそれだけのことがわたくしの羞恥心を刺激し、秘めた狭間から枯れることなく愛液を溢れさせるのです。
運転手の膝に抱きかかえられ、彼の熱い塊と指で両の頬を愛撫される慕うしさと、その膝の先のはしたない後姿を彼の主に視線で犯されていることに心を引き裂かれ、なのにはしたないこの状態がより快感を高めていることを、わたくしは認めたくはありませんでした。
 
「ここだけは前回味合わせていただけなかったんですよね、祥子さん」 
太ももの狭間の深紅のレースが、その赤をどこまでも深め続けるように潤いを含んでゆきます。
「3人でお相手をするには祥子さんは素晴らしすぎるのですよ。全てを味わいたくて・・・なのにどれだけ時間があっても味わいつくせないんです、あなたは」 
ため息をつくかのように、恋歌をうたうかのように男性は語るのです。
  
「こうして見ているだけでも飽きはしない。僕はずっと昂ったままなんですよ」 
あのときわたくしのバージンを奪った、長く堅い昂りをわたくしに思い出させます。
「あの2人からあなたの蜜壷がどんなに気持いいか聞かされるたびに、僕がどれだけ嫉妬をしたかわかりますか」 
すっ・・・触れるか触れないかの距離で、男性の中指がレースの下の真珠をなであげます。
「はぁぁ・・ん」 
拒むはずの腰の動きは・・・男性を煽り誘うかのようだったに違いないのです。
「あのときバージンだなんて祥子さんが言うから、僕はどうしても欲しくなってしまったのです」 
小指の先が・・・Tバックのストリングスをくぐって、堅く閉じた排泄器官をつん・・と突きます。
「いぁ・・・ぁ・・ぁ」 
「他の男にバージンを奪われたくなかったから、ムキになってしまった。我ながら大人気なかったと反省しています」 
冷静な声のまま人差し指と中指を揃えて・・一重のレースの上から疼き切った花びらをついっとなぞるのです。
「あぁ・・・だぁ・・めぇ・・ぇ・・・」 
微かに触れられるたびに快感に打ち震える身体とわたくしのはしたない声に、運転手の塊もひくひくと脈打つのです。

「祥子さん、ここを許したのは僕だけですか?」 
思わぬ問いに、わたくしは蕩け切っていた思考を呼び戻されました。
「・・・いえ・・」 
元の上司に求められ・拒んだ夜に、年若いセフレにはじめて与えた禁断の場所。
「そうですか。祥子さんなら・・・当然でしょう」 
男性は怒りを声に滲ませることすらいたしません。ただ僅かな嫉妬を、明らかな愛撫の意図を感じる動きに変えて、小指をアナルに触れさせるのです。
「ゆるし・・・て・・・」 
Tバックを身に付けたままで、くちゅ・・・花びらから会陰へと・・・指を・・・濡れてぬめった指を往復させるのです。
「今夜も綺麗だったそうですね、祥子さん」 
「あうっ・・・」 
男性の細い小指の先が、わずかにゆるみはじめたアナルの表面をなでさすります。
「どんな時でも嗜みを忘れない女性だ。こんなところさえも・・・淫らな女だ」
「いや・・・いわない・・で・・ぇぇ」
 
「祥子さん、今夜は僕がはじめて味わうここと」 
中指が花びらの内側を抉る様に深くなであげてゆきます。
「あうっ・・・ん・・ぁ」 
男性の視線と言葉が、わたくしの愛液をふとももに滴らせてゆくのです。
もう薄いレースには留めておくことなどできません。
「それから僕が開発した、ここ」 
濡れそぼった指は、そのままアナルを愛液まみれの淫らな姿に変えるのです。
「存分に味合わせていただきますよ」

「やぁぁ・・・ゆるし・・て」 
わたくしの声に男性の指がすっと・・・抜かれます。
「香りさえ媚薬ですね。祥子さん」 
ふっ・・・ちゅっ・・・ぱ 蜜にまみれた指を男性が嗅ぎ・・自らねぶったのです。
「この味・・・若い頃ならこの味だけでいってしまいそうですよ、祥子さん」 
わたくしの名前を呼び続ける男性の淫らな行為と言葉は、とても・・・正気とは思えないほどの欲望を滾らせていたのです。
「いやぁぁぁ・・・やめ・て・・・」 視線もましてや行為など阻止することもできない羞恥に膝まで垂れ落ちそうなほどに・・・はしたなく潤みを溢れさせてしまいました

唐紅 13

「本当に着物を汚してしまいそうですね。祥子さん」 
わたくしの身体のはしたない反応すらも、男性はそのような言葉で嬲るのです。
 
「祥子様、帯をお解きいたします」 
頬に触れる運転手の塊からは、すでに牡の香りが立ち上っておりました。
「ぃゃ・・・ゆるして」 
かすかな声で抗うわたくしを運転手の手が引き起こします。
「さ、こちらへ・・・」 
雪見障子の側のスタンドの明かりの隣・・・庭にもし人がいれば全て見られてしまう場所・・・にわたくしを立たせようとするのです。
「かんにん・・・して」 
この離れが宿の外れに位置していて、庭にはだれも居ないことを知っていても、そんな場所で着物を脱がされるなんてはしたないことはできません。
「祥子様。さぁ・・・」 
ふたりからのキスの合間に、既にほどかれていた帯揚げは彼の手の中にありました。
 
「こちらへ・・・ 祥子様」 
三度目の運転手の促しに首を横に振ったときです。
背後に座っていたはずの男性が、胸の前で重ねられていたわたくしの両手を背後から捉えたのです。
「今夜も素直に言うことを聞けないんですね。祥子さんは」 
何度も繰り返され登り詰められない快感に力を失っていた身体は、男性の力の前に容易に両の手を引き上げられてしまったのです。 
運転手はその手首に、先ほどまでわたくしを飾っていた帯揚げを真綿の様にまといつかせるのです。
「彼が上手なのは着付けの帯結びだけではないんですよ、祥子さん」 
酒器の乗った小机の下の闇から運転手が取り出したのは赤い縄でした。

「お仕置きです」
たん! 運転手が左右に開いたのは、二間続きの座敷を仕切っていた襖です。
普通であれば瀟酒な欄間で飾られる空間は、黒光りする太い梁が横たわっているだけでした。
襖の向こうの座敷は、二方を硝子と障子で囲まれた和室です。
モダンなローベッドを思わせるような、白生地でメイクされたダブルサイズの布団がすでに延べられておりました。
照明は枕元のスタンドだけ、障子は開け放たれ、ライトアップされた庭の紅葉がやはり見事に照り映えていたのです。
 
運転手は手にした綿縄をあざやかに捌くと、一方を梁に向けて投げ上げました。そしてもう一度・・・
二巻きした縄尻を同じ長さに整えると、主に向かって黙って頷いてみせるのです。
「祥子さん さ、こちらです」 
総絞りの帯揚げはきつくはないものの、全くゆるみなくわたくしの手首を縛めておりました。
「いや・・・」 
友禅の袖口から二の腕までをはしたなく晒した姿のままで、2つの座敷の中央・・・敷居の上へ引き立てられてゆきました。
「素直になさらないからです。」 
男性から帯揚げのからまった手首を受け取った運転手は、帯揚げの中央を引き絞るように縄を掛けました。
ひと結びでわずかにかかとを上げなくてはならないほどに、わたくしの身体を引き上げるのです。
その縄を左右に振り分けて、帯揚げごしに手首の上をきつく縛り上げてしまいました。
「ゆるして・・・」 
安定して立てない・・・両腕を着物の袖口から曝け出された姿勢が、わたくしを心細くいたします。
部屋の中央とはいえ硝子戸だけの奥の座敷の濡縁からは、わたくしのはしたない姿が全て見られてしまうのです。
「これでいいかな」 
男性はただ一つのハイスタンドを襖の側まで持ってまいります。
 
「今夜はこれ以上のことはしませんよ、祥子さん。素直になさっていればね」 
少し離れた場所からわたくしを眺めながら男性がおっしゃいます。
「こんな姿でも祥子さんは綺麗なんですね。カメラを持ってくればよかったよ」 
こんな・・・縄に縛められた姿を写真に残されるなんて・・・。
「いやぁぁ・・・」 
2人の男性の視線を避けるように、身体を捩るしかできません。
「さぁ、もったいないがそろそろ帯を解いてもらおうかな」 
大島の羽織を脱ぎ部屋の隅に袖畳みにして放りながら、男性は指示をします。
「はい・・・祥子様。失礼をいたします」 
運転手は後にまわり、先ほど着付けたのと逆の手順で帯をほどいてゆくのです。
しゅ・・・っしゅっ・・ 半幅帯がわたくしの足元に丸く落ちるのに、たいした時間は必要ありませんでした。
「おねがい・・・手首をほどいて」 
運転手はわたくしの声など聞こえないかの様に、友禅の胸元を整えている伊達締めを緩めます。
しゅっ・・・博多織ならではの音を立てて伊達締めが引き抜かれます。
「やめ・・て・・・」 
微かに抗う声さえ聞こえぬかの様に、胸高に締められた紐を・・・そして腰紐をほどいてゆきます。
 
「ああ・・・綺麗だ」 
はらり・・・と前を開いた友禅は深紅の長襦袢を見せて左右に・・打ち掛けのように裾を落としてゆきます。
「これは華やかな姿ですね、祥子さん。全く素肌をさらしていないのに、このなまめかしさは・・・大人の女だからですね・・・きっと」
厚みのある綾絹はわたくしの胸元をまだきつく押さえてはおりましたが、立ち上がりはじめているわたくしの乳首の陰をもう映し出しておりました。
ウエストから腰に添う下半身は、丸い腰のラインから体側のガーターベルトの留め具までを浮き上がらせ・・・長襦袢の下にはありえないはずの淫らな姿を暗示しておりました。
「みない・・で・・・」 
視線をそらそうとする腰の動きは、綾絹の上品な光沢となって男性たちの目に妖しく映ります。
 
「このまま嬲りたくなってしまいますね。祥子さん」 
男性は近づくとわたくしの顎に手をかけ・・・引き上げて唇を重ねるのです。
くちゅ・・・ちゅ・・・ 
不安定な姿勢のまま、身体を男性に預けることも叶わないのです。
この縛り吊るされた姿のままで、わたくしを嬲ろうとする男性の思いつきをくつがえさせたくて・・・淫らな舌のうごめきに応えたのです。
男性は左手でわたくしのアップにした髪を掴みながら、ディープキスを続けるのです。
っふ・・・ぺちゅ・・・ちゅ・・・ 
身体を密着させるわけでもなく、わたくしの側に立つ男性の大島紬特有の素材の凹凸までもが身体の表面を舐め・・・敏くなっている淫楽の妖しい感覚を引き出してゆくのです。
「ふ・・・あっ・・くぅ」 
つま先立ちの両脚に男性は膝を割り込ませ・・わたくしの太ももに堅く起き出したままの熱い塊を押し付けます。
「・・・あはぁぁ・・・」 
くちゅ・・・ 度重なる口づけは、もう情熱を伝えるしぐさを超えておりました。 
しゅるっ・・・しゅ・・・ 
ふいの胸元の締め付けが軽くなりました。
わたくしの口腔を舌で犯し続けていた男性は、空いた右手で伊達締めと腰紐をほどいていたのです。
 
「いやぁあぁ・・・」 
襟の重みで自然に襦袢の前は落ち開いていってしまいます。
男性の着物の感触が絹ごしではなく直接素肌に・・・敏感な乳房の先にまで触れてきました。
室内の少し下がった気温が・・・男性に膝を割られて・・・ふとももの中程まではしたなく溢れさせていた愛液をまたたくまに冷やすのです。
「僕のプレゼントがどのくらい似合っているか見せてもらいましょうか」 
耳朶を甘噛みすると男性は2・3歩後ずさるのです。
 
「みない・・で・・くださ・い・・」 
長襦袢は友禅と同じに前を大きく開いて、わたくしの身体の両側に沿って落ちていました。
豪奢な額縁に彩られた白い肌には・・・深紅のランジェリーのセットが添えられていたのです。
1/4カップの深紅のブラジャーは、縄で縛られ引き上げられ両腕とともに縦に引き上げられたGカップのバストの下辺を、僅かに覆っておりました。
2/3カップのブラでも隠すことが難しい堅くしこった鴇色の乳首はもとより隠れるはずもなく、白い素肌の上で夜気にさらされておりました。
普段であればそのたわわな・・・ランジェリーに隠されているべきやわらかな膨らみが、男性の唇を誘うかの様に柔らかく揺れました。
 
幾重にも絹と紐で縛められていた胴はかすかに赤く色づいておりました。
ですが・・・それもほんの僅か、ほとんど陽の光に触れたことのない肌が白いのだということを改めて感じさせる程度のものでした。
あれほどの男性達の悪戯にも着崩れることさえなかったのに、肌に最小限の痕しか残さない着付けの技は、運転手の技術が並大抵のものではないことを物語っておりました。
 
ウエストには豪奢なレースのガーターベルトが巻かれ・・・その留め具の先は両脚の足袋よりも白い輝くストッキングにつながっておりました。
そろいの深紅のレースも真白のストッキングさえも、太ももの肌がミルクを溶かしたような肌理の細かい柔らかさに溢れていることを強調するだけでした。
そして・・・その中心の秘めた場所を覆う繊細なレースだけは、薔薇をかたどった柄を浮き上がらせずに深く静かに漆黒の中に閉じ込めておりました。

唐紅 14

「・・・い・・や・ぁぁ」 
2人の男性のため息も吐息さえも聞こえない部屋の中央で、ライトアップされた夜景をバックに梁につり下げられ・・・はしたない下着姿を晒さねばならない羞恥に、わたくしはとうとう淫らな声を上げてしまいました。
「ぁ・・・・あぁ・・・・」 
運転手は、主が解いた伊達締めを紐を拾おうとわたくしの足元に跪いた姿勢のまま、深いため息をもらしました。
「ほぉうっ・・・・今夜は一点の紅も散らさない白い肌なのですね。祥子さん」 
大島を着たままでわたくしを唇で蕩けさせていた男性は、まるで自らの手で彫り上げた彫刻を少し離れた場所からあらためて見つめたときのように、満足のため息を漏らします。
「似合いますよ。祥子さんの白い肌には華やかな色がやっぱり似合う。なぁ、君」 
男性は、わたくしを見上げたままで動きを止めた運転手に語りかけます。
「私はこれが初めてですが・・・ほんとうにお似合いです。祥子様」 
畳に落ちていた2本の紐を手に、運転手はようやく立ち上がりました。
「おねがい・・・ほどいて」 
先ほどまでの男性のディープキスは、たった一本のかんざしで結い上げられたわたくしの髪をしどけなく乱しておりました。
背の中程まである黒髪が・・・一筋、ふたすじ・・・。
ほどけかけ・・・うつむくが故に白いデコルテに陰を落とすのです。
「ほんとうにカメラがないことが残念です。こんなに美しい祥子さんを留めておけないなんて」 
赤い絹・紅葉・・・そして闇に浮かび上がる白い肌。
望んでも得られない淫絵がそこには展開されていたのです。
「せめて・・・これではいかがですか」 
運転手が差し出したのは男性の携帯電話でした。
「よろしければ・・・私にも1枚撮らせてください」
「あぁ君もほしいか。そうだな、今夜の記念にな・・・」 
この場には不似合いな小さな機械から、思った以上に明るい光とシャッター音がわりのデジタル音が発せられます。
「だ・・めぇ・・・しない・・で・・・」 
顔をそむけ身をよじることで・・・乱れた黒髪と・・・たゆんとゆれる乳房が、男の欲望を刺激するなんて思いもせず、わたくしは不安定な姿勢で抗いつづけました。

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「祥子さん 心配しないでください。この写真は僕と彼だけが楽しむためだけのもの、約束します」 
数枚のカットを携帯に収め、男性はその機械を運転手に託しました。
「フラッシュの光を肌が反射して、まぶしいくらいでしたよ。祥子さん」 
改めてわたくしに近づいた男性は、不自然に引き上げられた乳房を指先で撫で上げるのです。
「ここに・・・あんなに赤い印をたくさん付けて差し上げたのに、もう跡形もない」 
喉元から乳房の下辺の丸みまで、啄むように唇でたどりながら・・・中心に近い敏感な部分だけを舌先で佩くようにねぶるのです。
「あ・・・はぁぁぁん・・・やぁぁ」 
今宵はじめての素肌への直接の愛撫でした。
長く焦らされ続けた身体はそんなわずかな刺激にさえ、はしたない声を上げてしまうのです。
「今夜はいくつ痕がほしいですか? 祥子さん」 
答えを待たずに男性は、左乳房の下側のもっとも柔らかい部分をきつく吸い上げるのです。
「あうっ・・・やめて・・」 
ち・・ぅぅ・・・ ランジェリーのレースだけしか触れることのない柔らかな肌は、男性の口づけに軽い痛みすら感じていました。
「ん・・・綺麗だ。もっとですか 祥子さん」 
次は吊り上げられた両腕のせいで、寄せられた二つの乳房の谷間に近い部分・・・開いたシャツの襟元に隠れるか隠れないかの部分・・・に唇を這わせます。
「やぁぁ・・・・っ」 
抗いは首を振ることしかできません。 
でも・・・その仕草さえ、黒髪の先で男性の頬を優しく愛撫する結果になってしまうのです
瞬く間に感じやすい左の乳房に2つの赤い痕をつけられてしまいました。
 
「今夜はそうですね、祥子さんが素直になさらなければその度にお仕置きとしてこの印をつけてゆきましょうか」 
Gカップの重みがつくるとろんとした丸みに沿って、ブラの上端を唇がだどってゆきます。
「1つづつ、ランジェリーでは隠れない場所に。あなたのお洋服でも隠せない場所に ね」 
男性の舌は言葉嬲りを続けながら、乳輪をめぐり胸元から首筋へ・・・そして耳へと這い登ってゆくのです。
「しない・・・で・・ぇ・・」 
淫らな姿勢で刺激を加えられつづけ、なお置き去りにされる乳首の疼きは、わたくしの声を欲望でかすれさせました。
「もっと!そうもっと・・・感じるんです」 
耳さえも性器のように舐め回す男性は、崩れかけた髪から赤い珠のかんざしを引き抜いたのです。
「ここに欲しかったんですね。素直にねだったらどうですか、祥子さん」 
左手に持ったかんざしの珠で、堅く大きく立ち上がった乳首をくるんとなぞるのです。
「あふっ・・・あぁぁぁ」 
待ち続けた刺激が・・・髪に飾られていた珊瑚の冷たい感触だなんて。 
男性の指を無意識に期待していた身体を、快感に大きく波打たせてしまったのです。
「随分敏感になっていますね。じらし過ぎましたか」 
右の乳首は・・・銀のかんざしの尖った先でがつぅぅ・・っとなぞるのです。
「はぁぁ・・・ぁあん・・やぁ・・・」 
ピンポイントで伝えられる刺激は、鋭角な銀の先が与える痛みに戦く怯えさえも、快感に変えてゆくのです。
 
「こんな風にしたらおかしくなってしまいますか?祥子さん」 
部屋を出たとばかり思っていた運転手が、わたくしの左側におりました。
そして右側には男性が・・・2人は同時に両の乳首をくわえたのです。
「ああぁぁぁ・・・だめぇぇ」 
2つの唇と2枚の舌に同時に左右の乳首を嬲られる。
綾絹ごしの刺激にさえ愛液を溢れさせる敏感な先端は・・・ありえない愛撫に限界まで堅く立ち上がり、男性の甘噛みをねだるのです。
「やぁぁ・・・ゆるし・・て・・・ぇ」 
運転手はより敏感な左の先端を、堅くした舌でなんどもなんどもねぶるのです。唇で根元をはさみ・・・吸い上げながら側面を舌先が這いまわります。

「ひぃぃ・・ぁ・・・はぁぁ・・・」 
甘噛みでひりつく右乳首を舐め上げながら、男性は手にしたかんざしの珠を太ももに押し入れ・・・レース越しに愛液にまみれた真珠を撫で上げたのです。
「いやぁぁ・・・ゆるしてぇぇ・・・」 
もっとも敏感な3カ所を同時に嬲られて、不安定な姿勢を保つことさえできなくなってしまいました。
わたくしの腰をささえてくれたのは運転手でした。
吊るされたままで限界まで伸ばされた手首は、全ての体重を受け止め絞りの帯揚げ越しとはいえ赤い縄痕が熱くひりつきます。
「ぁあ・・・おねがい・・・ゆるし・・て」 
疼き切った淫楽の芯ともいえる3カ所を、2人の舌と珊瑚玉で嬲られて・・・わたくしは今夜初めて達してしまったのです。

「おね・・が・・い ほどいて・・」 
運転手に抱きかかえられる姿で、わたくしは彼の眼を見つめて哀願したのです。
 
「お願いする相手が違うのではないですか。祥子さん」 
男性は愛液で濡れ光る珊瑚玉のかんざしをスタンドの照明にかざして、海から上がったばかりの様な光沢を愛でておりました。
「少し楽にしてさしあげますよ、さあ」 
眼顔で運転手に指図をするのです。
運転手は抱きとめていたわたくしの姿勢を、元に戻してくれました。 
あぁ・・・やっと彼が手首の縄を解いてくれる・・・そう思ったのです。

しゅ・・・っ 
運転手が浴衣の袂から出したのは、新しい赤い綿縄と1本のタオルだったのです。
「いやぁ・・・ゆるして・・・ぇ・・」 
さばいた縄尻を同じ長さに決め、二つ折りにした縄を足元に置きました。
「祥子様・・・失礼いたします」 
わたくしの前に跪くと、左の膝の裏に手を当てついと持ち上げるのです。
「やめて・・・おねがい」 
畳んだタオルを膝裏に当て、その上に二つ折りの縄をかけ、片方の輪に両の縄尻をくぐらせてました。
そして・・・ 
しゅっ・・・しゅ 必要以上に作った輪が締まらない様に一つ結び目をつくるのです。
「やぁぁ・・・」 
運転手は黒光りし鑿痕が波打つ梁の、すでにかけられた縄より50cmほど左側に新たな縄尻を投げ上げくいと引き上げたのです。
「あぁ・・・・やめて」 
わたくしの左脚は高く深く曲げられ、吊り上げられてしまいました。

唐紅 15

「淫らな場所を、これでじっくりと眺められます。似合いますよ、祥子さん」 
身体を支えるのは右脚一本きりでした。
縄で吊り上げられた左脚と・・・両の手首はそれぞれ均等に、赤い縄目に自らの重さをきりりと伝えていたのです。
「おねがい・・・みない・・で」 
わたくしは手首で吊るされる以上の縄辱を受けるとは、夢にも思っていませんでした。 
強引に開き上げられた膝を、なんとか引き寄せようと努力するたびにバランスは崩れ・・・下辺の1/4しかささえられていない乳房はたふ・・たゆんと揺れるのです。
男性の視線の先には、柔らかな狭間に食い込まされたTバックの細いレースが・・・濡れて光っているに違いなかったからです。

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「祥子さん。これはお願いをする相手を間違えた罰です」 
男性は、胸元のブラウスの第一釦を開けただけでも見えてしまう場所に・・・強く・・赤い痕をつけるのです。
「ゆるし・・て」 
かんざしを抜かれた髪は、新たにつけられたキスマークよりも長く胸元に落ちかかっておりました。
「さて、僕が初めて味わせてもらう場所はここ・・・なんですね」 
愛液で濡れそぼり、花びらと真珠に張り付く様に食い込んだ淫らな場所を、男性は手にしたかんざしの珊瑚玉でなぞりあげます。
「いや・・・ぁあ」 
引き上げられたことで露になった太ももの白い内側の肌が、蜜を塗った様に濡れ光るほどになっていても、なお男性の嬲りにわたくしの淫らな花びらは愛液を溢れさせてしまうのです。
 
「祥子さん、選ばせてさしあげましょう。この姿勢のままで唇で愛されたいですか?それとも僕のこれに貫かれたいですか」 
いつのまにか帯を解いていた男性は大島の前をくつろげて・・・すでに反り返るように昂った塊を露にいたしました。
「僕に唇で愛されたいなら、祥子さんがいくまでこのままです。僕に貫かれたいなら、僕がいくまでこのままの姿勢です。どちらがいいですか?」 
男性の塊は自らの言葉に刺激されたように、先端から透明な液をしたたらせヒクヒクと動いておりました。
「いや・・・おねがい・・ゆるして」 
男性の提案はどちらもわたくしには選ぶことはできませんでした。
「さぁ、選んでいいと言っているのですよ。どちらがいいんですか?祥子さん」 
着物を落とし、全裸になった男性が近づいてくるのです。
「や・・・ほどいて・・」
「素直になれないみたいですね、せっかく選ばせてあげようと思ったのに。これは罰です」
「あっ・・あぁあああ」 
男性はわたくしに正面から近づくと、左手でふらつく腰を引き寄せ・・・長くそりかえった塊を花びらの狭間に押し入れたのです。
ひくっ・・・っくん 何度も愛液を溢れさせるほどに疼いていながら、指すら差し入れられなかった蜜壷はきしみひくつきながら・・・男性の塊を飲み込んでゆきました。
「やぁぁぁ・・・」 
すべらかに男性を受け入れてしまう身体に対する羞恥と、胎内を奥まで割り開かれる衝撃に、声を高めているわたくしの髪をもう片方の手でかきあげ、男性は白い首筋に4つ目の痕をつけるのです。
「あぅっ・・・いぁぁぁ」 
逃げられない様に押さえられた腰を・・・ぐぃっと引き寄せるようにして、男性は彼の塊を全てわたくしの胎内に収めてしまったのです。
先端は子宮口を突き上げ、徐々に太さを増す根元は花びらを大きく割り開いておりました。
「くぅっ・・・しまる」 
動くことのできないわたくしの身体は、貫かれ奥を刺激される快感に、密壷を間断なく妖しく蠢かせることでしか淫らな喜びをあらわすすべを持ちませんでした。 
まるで別の生き物がそこにいるように、不規則に男性の塊を締めつけたのです。
「ゆるし・・て」 
男性はゆっくりと腰を動かしはじめました。
長く堅い塊は、大きなストロークを繰り返して・・・幾度もわたくしの奥を突き上げ、感じやすい部分を先端で愛撫しつづけます。
「あぁぁ・・・ゆるし・・てぇぇ・・いぃぃぃぃ」 
ふいに早く打ち付けはじめられた塊は、引き出す根元で・・・先ほど珊瑚玉で絶頂に導かれた淫らな肉真珠さえもこすり上げるのです。
「祥子さん いいですよ。あっ・・・いい!こんな締まり ああ・・・」 
不安定なわたくしの身体を揺り動かすようにして、熱い塊はわたくしの内壁をすべて擦りあげ・・・かき出すように胎内を踊るのです。
「ああぁぁ・・ぁぁ・・い・・くぅっ・・・」 
白く濁った愛液がとろ・・っと右の内ももを流れおちてゆきました。
「しまる・・・いく・・・祥子さん!受け止めてください」 
最奥をたたくように2・3度強く突き上げて、男性は直接子宮に注ぎ込む様に精液をわたくしの中に吐き出したのです。


気がついたのは運転手の腕の中でした。
着物と長襦袢と深紅のTバックはわたくしの身体から取り去られ、絞ったタオルで身体を清められていた時でした。
「ん・・・ぅうっ・・」
「大丈夫でございますか?祥子様」 
わたくしはほんの少しの間ですが、失神をしていたようでした。
「ええ・・・ごめんなさい。お手間を掛けて」 
彼は赤い縄の痕がわずかに残ってしまった手首を、あたたかいタオルでマッサージしてくれていました。
「ありがとう もう大丈夫」 
そういって彼の胸に手をあてて、起き上がろうとしたのです。
「祥子様 もう少しゆっくり休まれてください」 
彼は膝の上からわたくしの身体を、糊のきいたシーツの上へ下ろします。 
抱きしめたままでわたくしの後頭部に手を添え、ゆっくりと上体を倒すようにいたしました。
かんざしを抜かれて乱れていた髪は、梳かれて左側でゆるく三つ編みにされていました。
「主はいま温泉にいっております。しばらく戻らないでしょう」 
先ほどまで縄で縛り・吊るすように命じていた男性がいない。
わたくしを犯した男性のかわりに側に彼がいる、それだけでわたくしは少しほっとしておりました。 
キングサイズのベッドのような大きな布団の中央に横たえられて、はじめて先ほどまでの責めがどれほど激しいものであったかがわかったからです。 
身体のあちこちが火照り、わずかにきしみを上げていました。
  
「おねがい、なにか羽織るものをちょうだい」
ランジェリーの一部だけしか身につけていないこと、横たえられたことで運転手の眼に全てを曝け出していることにようやく気づきました。
「申し訳ございません。お召し物は差し上げられないのです」 
冷たく感じられるほどの声で運転手は答えます。
「いや・・・おねがい・・はずかしいわ」 
シーツだけでも・・そう思っても、見事に整えられた和の寝具には身体を覆う薄物すらありませんでした。 
両手で乳房と茂みを隠し、身を捩る様にして彼の視線から逃れようとしたのです。
「それでは こういたしましょう」 
運転手は枕元にくると、懐から先ほどまでわたくしの手首に絡んでいた帯揚げを取り出して・・・目隠しにしてしまったのです。
「いやぁ・・・」 
突然視界を奪われたことに驚いて、わたくしは両手で彼の手を帯揚げを外そうといたしました。
「祥子様 お静かになさってください。私はもう祥子様をくくりたくはないのです。あんなに手首を赤くされて」 
彼の顔も見えないなかで、声だけが深くわたくしに届きます。
「主もお約束いたしました。祥子様が本当にいやがることはいたしません。ですからもう今夜はあなたを縛らせないでください。さあ、お静かに」 
そう言ってやさしくわたくしの両手を身体からはがし・・・体側に置くのです。

「リラックスなさってください。まだお清めが済んでおりませんから」 
運転手がわたくしの足元へ動く気配がいたしました。
ぱふ・・・ 少し堅い枕のようなものが置かれました。
運転手が手を、布団とウエストの隙間に差し入れると・・・ぐいっとわたくしの腰を引き上げ、枕のようなものを押し入れたのです。
「なにを・・・なさるの・・・」 
ガーターベルトと白いストッキングだけをつけた下半身を、はしたなく突き上げた姿にされてしまったのです。
「失礼いたします」 
両足首を掴み膝を曲げる様に開くと、運転手はその中央に座ってしまいました。
「ぃやぁぁ・・・みないでぇ・・」 
先ほどまで男性に激しく突き上げられていた花びらの狭間が、いまは彼の目の前に開かれているのです。
脚を閉じることもできず、あまりの恥ずかしさになんとかして膝をつけようといたしました。
「お静かになさってください。祥子様」 
わたくしの足首を両手で握りしめたままで、運転手は花びらに口をつけたのです。