唐紅 16
気を失っている間に、どれほど犯され嬲られた身体を拭われたのかはわかりません。ただ、他の男性のものを直に注ぎ込まれた部分を、運転手の唇で拭わせるなんて・・・とても考えられないことでした。
「おねがい・・やめて・・・きたな・い・・」
彼の優しさにわたくしは大きく抗う事もできず、だからといってそのまま身を任せることも出来ずに、身じろぎをくりかえしておりました。
そのくせ視界を奪われた状態で、運転手の生暖かい舌と唇に大きく濡れ光った真珠を舐め上げられる妖しい快感は、拭われたばかりの花びらにさえまた溢れるばかりの蜜を湧きださせるのです。
「いいえ、汚くなんてありません。祥子様の愛液は・・美味しいです」
じゅ・・っるっ・・ 急に溢れた愛液をほんの一滴すら零したくないといわんばかりに、彼は舌と唇を使って吸い上げます。
「あっ・・ふぅあぁぁん」
2枚の花びらを同時に啜り上げ、口中で・舌先で執拗にねぶられて、はしたない声まで上げてしまうのです。
「こんなに光って・・クリをこんなに大きくして」
運転手のうわずったような声すら、わたくしの羞恥を煽りつづけるのです。
彼に掴まれ自由を奪われているはずの足首からも、はしたない淫楽が忍び寄るのです。
「いやぁぁ・・・」
全く視界を奪われることは、触覚と聴覚を2倍にも5倍にも増幅します。
ぺちょ・・・くちゅ・・ちゅ・・ 愛液が流れてゆく会陰から、左の花びらの尾根を通り・・度重なる絶頂で大きくなった真珠の表面をたどり・・・。
右の尾根をゆっくりと降りてゆく彼の舌先が、愛液にまみれる音さえも克明に響くのです。
「はぁぁ・・あん・・やめ・て・・」
激しさを押えて何度も舌先は同じルートを辿り続けます。
同じ強さなのに一度めよりも二度め、二度めよりも三度めの快感のほうが強くなってゆくのです。
「おねがい・・ゆるし・・て」
花びらの尾根や外側ではなく・・・蜜を湧きだされる狭間をねぶってほしい、真珠の表面をゆるく撫でるのではなく・・・強く吸い上げ甘噛みしてほしい。
彼の破廉恥なくせに紳士的な舌使いに、わたくしの腰は枕で押し上げられた以上に浮き上がってしまったのです。
「もっと・・・ですか 祥子さま」
舌がかすかに離れる分だけ、迫り上がる腰の動きを運転手は気づいていました。
また少し・・・舌を離していじわるな質問をします。
「いゃぁぁ・・・あはぁあ」
喘ぎ声とうらはらに、彼の舌を求めてまた上がってしまう腰を両手でつかみ、運転手は激しく吸い上げました。
「ああぁぁあ・・・ゆるし・・てぇぇぇ」
一枚づつ吸い上げた花びらに歯を立て、根元から吸い上げた真珠を甘噛みするのです。
「あぁ・・いいぃぃぃ」
堅く尖らせた舌を花びらの狭間に突き込み・・・淫らにひくつく内壁をまるで彼の塊のように舌で突き上げるのです。
「やぁ・・ゆるし・・て・・い・・くぅ」
ちゅぽ・・くちゅ・くぽ・・溢れる蜜をかき回す彼の舌が、水音を高くします。
「いくっ・・・」
運転手の顔にこすりつけるほどに腰を高くふるわせて・・達して・・・しまったのです。
「祥子様の香りに狂ってしまいそうです」
下のお口とのキスを止めることなく、運転手はつぶやきます。
「こんなフェロモンを溢れさせて。あぁぁ先ほどの主とのときよりもっと強い」
柔らかな狭間からは、彼の唇では拭いきれないほどの愛液がしたたっておりました。
男性と運転手に、代わるがわる数度にわたって絶頂に送り込まれた身体は、運転手の愛撫を受けていない部分に淫らな疼きを送り込み・溜め続けていたのです。
両の乳房の先端は、指一本触れられていないのに堅くとがり。会陰の先のアナルは愛液にまみれ、花びらと同じだけ蠢いておりました。
「祥子様 次はうつぶせです」
運転手は目隠しをしたままのわたくしを抱き起こしました。その時はじめて、彼がなにも身に付けていないことに気づいたのです。
彼のすべらかな肌と筋肉質の胸に抱き起こされ、受け止められて・裏返しにされ・・・さきほどよりももう一つ枕を積んだほどに高くなった部分に、腰をおかれうつぶせにさせられたのです。
「あん・・」
糊のきいたシーツは直接触れる乳首を容赦なく刺激します。
目隠しをしていたので実感はなかったのですが・・・わたくしは胸元を布団に直接押し付けられ、腰だけを高くあげた淫らな姿を運転手に晒していました。
ぺちょ・・・ 運転手は今度はなんの予告もなく、愛液にまみれたアナルを舐めるのです。
「やめ・・て・・あぁあん」
腰を振り彼の唇を避けようとしても・・・その動きはわたくしの身体を一層嬲るだけでした。シーツに押し付けられた欲情した乳首を、彼にアナルを責められながら愛撫されるのと同じになってしまうのです。
くちゅ・・ 皺の一本一本を愛でる様な、優しい舌使いで緊張を解きほぐしてゆきます。
「ん・・・おねがい」
バージンを奪われてから・・・年若いセフレにもう一度だけアナルでの快感を教え込まれている身体は、運転手の口戯にはしたなく反応してしまうのです。
「ゆるして・・・」
わたくしのアナルは快感に負け、先をわずかに堅くした彼の舌先を、2重にしめつけるその内部に迎え入れようとするかのようにひくつき・・なのに時折ふっと力を緩めるのです。
「祥子様 主の嗜好はご存知でしょう。どうか・・・息を吐いて私に身体を預けてください」
ローションの冷たい感触がわたくしの狭間を垂れてゆきます。
「あっ・・・」
運転手の熱を持ったような舌と腕に愛撫されていた身体に、わずかに鳥肌をたててしまいました。
「申し訳ございません。冷たかったですか?」
彼の優しい声がいたします。右手がわたくしの丸い腰のカーブから太ももを・・・そしてガーターストッキングに包まれた脚へと何度も往復いたします。
「これでもう冷たくはございませんでしょう。祥子様」
ほのかに暖かい彼の体温を伝える指先が、アナルにローションをなじませるのです。
「あうっ・・・や・・・」
運転手の中指が、アナルの中にするっと差し入れられました。
続いて蜜壷の中に左手の中指と人差し指が・・・。
「はぁぁ・・ん・・きつ・・い」
何度か中指を・・・蜜壷の人差し指と擦り合わせる様に抜き差しをするのです。
「力をぬいてください。祥子様」
指先を始点にくるくると円を描く様に中指を動かします。締まろうとする筋をゆっくりとゆっくりと柔らかくしてゆくのです。
「あぁぁ・・ん・・だ・・めぇ・・」
ゆっくりと抜き始めた右手の中指はすぐにローションに濡れた人差し指を伴って・・・ふたたびゆっくりとアナルに入り込んでくるのです。
そして蜜壷には左手の薬指が・・・。
「かんに・・ん・・あぁ・・・ひど・・い」
ゆっくりとしたアナルへの2本の指と、密壷の中の3本の指が間の薄い壁を両側から擦りあげます。
「おねがい・・・ゆるし・・て・・あん」
指だけの愛撫のはずなのに、運転手の荒い息まで・・聞こえるのです。
「力を抜いてください、祥子様。これを受け入れられたらゆるしてさしあげます」
すっと抜かれたのはアナルの指でした。
すぐさまそれは3本の指になって、さらにきつく内壁をひろげるのです。
「あああぁぁぁ・・・いやぁぁあ」
身体中を押し開かれる感覚に、わたくしの意識ははしたない狭間の彼の指にだけ集中してしまいました。
たった1本、薬指がプラスされただけですのに、いままでの倍にも広げられたようです。
くちゃ・・・くちゅ・・「あぁああ・・・いぃぃ」
ぐちょ・・くちゃ・・「はぁあん・・・やぁぁ」
ローションと愛液が運転手の指でかき混ぜられる音に、わたくしの高い喘ぎ声が重なります。
露天風呂の男性にまで聞こえそうな激しい淫ら声・・・。
「あぁぁ・・・かんにんしてぇぇ・・・いく・・や・・あぁあああ」
きゅうっと胎奥から快感の収縮が起こりはじめました。
「祥子様 いってください。さぁ・・・いきなさい」
運転手は指を・・・花びらの中のものだけでなくアナルの指までを、激しく出し入れいたします。
「私の指でいってください、祥子さま」
「いくっ・・・あぁぁぁぁぁ」
内臓までも淫らに震わせて・・・わたくしは運転手の指に翻弄されてしまいました。
唐紅 17
「刺激的な啼き声でしたよ、祥子さん」温泉から上がった男性が襖を開けて、奥の間に戻ってきたようです。
わたくしはまだ赤の絞りの帯揚げで目隠しをされ、腰を高く上げたままで運転手から与えられた絶頂感に酔った様になっておりました。
男性の声も遠くに聞こえるようで・・・実感すら湧きません。
「温泉の中で、ふふ あまりに早く回復してしまって困りましたよ」
わたくしの閉じかけた膝を、男性の浴衣がまた開くのです。
「あんな声・・・指以外のもので愛されたんですか?」
はしたないことを聞く声と、足元で浴衣を羽織る衣擦れの音が、わたくしに理性を取りもどさせました。
「おねがい・・・これをとって・・・」
目隠しをされて遮断した視覚が快感を増幅するのです。
身体の内を這う指を何倍にも感じさせたのです。
「ふふふ 彼に外してもらったらどうですか」
運転手に翻弄され絶頂を極めたわたくしを、嘲るように男性の声が響きます。
「祥子さんの乱れた黒髪に赤い帯揚げ、濡れそぼった花びらに赤いガーターと白いストッキング。綺麗ですよ」
それだけ言うと男性は、まだ運転手の指責めで快感の引かないアナルに、昂った塊を押し入れたのです。
「あうっ・・あぁぁ・・や」
いつのまにか塗られていたのでしょう。
男性の昂りはローションですっと滑らかに・・・運転手の指ですっかり拡張されたアナルに飲み込まれていったのです。
さきほどわたくしを抱いていたときよりも・・・少し太さと堅さが増したような塊でした。
「あん・・そんなに・・はげしく・・だ・め・・」
男性の長い塊は、大きなスライドでわたくしの内臓をかき回すのです。
「いい感じにほぐれてますね。ああ気持ちいい、祥子さんあのあと何人にこのアナルを許したんですか、いいなさい」
腰の動きを早め・・太くなってゆく根元でアナルを押し広げるようにして、先ほどとまた同じ質問を繰り返すのです。
「やぁ・・・あぁぁあああ」
達したばかりの排泄器官は、つい先ほどまでの悦楽の記憶を呼び醒まされてしまうのです。
「何人ですか? こんなに滑らかに受け入れるようになって。さあ!言いなさい」
奥まで差し入れ・腰を回して、つるつるした内壁からその奥のすべての壁を塊でかき回すのです。
「あふっ・・・ひとりだ・け・・です・・あなたの他は・・・ひとりだけ」
入り口と奥の両方の刺激は、他の方との情事を口にさせるだけの強制力をもっていました。
「ほう たったひとりとで・・こんなになるのですか。くやしいな、余程上手い男性だったんですね。祥子さん、いいですよ」
わたくしの告白を引き出したことで満足したのでしょうか。動きを緩やかに変えて、男性の声も優しく変わってゆきました。
「君も、祥子さんを楽しませてさしあげなさい」
側に控えていた運転手に男性が声を掛けました。
運転手の動く気配に、わたくしは彼の塊で口を犯されるのだと想像したのです。でも、彼は主である男性の側に座りました。
「失礼いたします」
「あぁっ・・・あああ・・・だめ・・そんなこと」
運転手はわたくしの足首を掴み上げ、ストッキングの上から足指を一本一本ねぶりはじめたのです。
「や・・ゆるして・・はぁぁああ」
男の方に足をなめられるなんてはじめてでした。
それもストッキングごしに、指の股までもなまあたたかい舌が這い唾液でぬめるのです。
はじめての快感はわたくしの身体を朱に染めるほど刺激的でした。
「あうっ きつくなった。良かったな、祥子さんは喜んでくださったぞ」
締め付けに動きをゆるめながら、男性は運転手に話しかけるのです。
「ありがとうございます 祥子様」
そのときだけ唇を離して・・・また唇での愛撫を続けます。
帯揚げの目隠しを外すことは許されませんでした。視界を奪われたまま・・・触覚に対する反応を数倍に高められたままで、運転手の口戯は続けられたのです。
足に・・・それも指の一本一本にまで・・・性感帯があるとは思ってもみませんでした。
「はぁぁ・・・やめ・・て・・」
運転手は手にした右足の親指を口に含み、まるでフェラチオをするかのように唇で締め付けながら舌を這わせるのです。
爪の付け根の薄い皮膚が伝える彼の唇の感触は、手の甲に口づけされるかのようでした。
パンプスのつま先を支えている指の腹は、まるで首筋へ口づけられたかのようにわたくしの身体をおののかせます。
「あぁあぁぁあ・・・だぁ・めぇぇ」
親指をくまなく舐め回すと、その舌は人差し指との間に這わせるのです。
彼の舌は、先ほどまでわたくしの花びらの狭間を辿っていたのと同じ動きを繰り返します。
たった数センチの違いでしかないのに、指と指の間に隠されている部分は数倍の強さと感度で、彼の舌の動きをわたくしのはしたない快感に変えてゆくのです。
「あああ・・・ゆるし・・て・・ぇぇ」
人差し指を口に含まれるころには、わたくしは軽く達していました。
「ほおぅ いったんですね。祥子さん」
一度わたくしの中に精液を吐き出した男性は、わたくしの収縮さえも余裕をもって受け止めていました。
「やぁ・・・」
性急な動きをすることなく、ただ熱く長い塊にわずかに太さを加えて、快感に打ち震える胎内の感触をゆっくりと味わうのです。
「はぁあああ・・・」
両手を突き上体を起こす気力すらも、2人の男性はわたくしから奪ってゆきました。
唐紅 18
くちゅ・・・ ストッキング越しの運転手の口戯は、わたくしの淫らな身体の反応を無視するかのようにひたすらに続けられました。「いぁああ・・・」
わたくしの性感帯は花びらや真珠のように・・・達したあと少しの間だけ感覚がわずかに鈍くなることもあるのです。
なのに・・・足指の感覚は衰えることを知りません。
どれだけねぶられても・・新たな淫感をわたくしに送り続けるのです。
三つ編みにされた黒髪は感じ悶えるにつれて乱れてゆきます。
なのに総絞りの赤い帯揚げは緩むことなく、わたくしを紅の闇の世界に留めるのです。
「はぁぁあ・・・や・あぁぁ」
運転手の口戯は小指に向かうほどに・・・淫らな感覚をより鋭くさせてゆくようなのです。
「僕が動かなくても祥子さんのアナルが勝手に締め付けて、ああ いいですよ」
わたくしの腰を鷲掴みにし、ぐいっと根元まで塊を押し込んだ男性は・・・まるくまぁるく腰を回してゆきます。
「あ・・ああ・・い・・っぱ・い」
根元に向けて太くなった塊は排泄器官を運転手の指以上に押し広げ、その長い先端でわたくしの内臓をかき混ぜるのです。
「ゆるし・・てぇぇ・・い・・くぅぅ」
薬指を甘噛みしたまま・・・しごくように頭を上げてゆく運転手の愛撫に、わたくしはまた達してしまいました。
「まだ右足の愛撫さえ終わっていないのに。またいったのですか、祥子さん」
ぴちゃぁ・・・男性の玉袋がわたくしの花びらから溢れる蜜で、はしたない音をたてるのです。
「これじゃ彼の望みに応えるまでに、祥子さんがいき狂ってしまいそうですね。ふふこんなに溢れさせて、僕のをつたって滴ってしまいそうですよ」
「あぁふぅぅ・・ああ・・・やめ・・て」
男性の密着した腰を揺する様にされるだけで、花びらはくちゅくちゅと音を立て真珠までもが悦びを生み出すのです。
「彼はね、祥子さんのストッキングに包まれた脚を楽しみにしていたんですよ」
ひとしきり快感にひくつく身体を楽しむと、男性はまたゆっくりと抜き差しをはじめました。
「足指だけじゃなくてね、ふくらはぎや膝の裏や愛液で濡れた太ももの内側まで・・・その口で愛撫したいとね」
焦らすようにゆっくりと抜き、自らが開発した場所を犯し抜く権利があるといわんばかりに・・・ゆっくりと押し込むのです。
「ゆる・・し・て・・」
男性が口にする運転手の破廉恥な欲望は、赤い帯揚げの目隠しのせいで、増幅されてゆく快感を強い媚薬に変えてゆきます。
「ゃあああ・・はぁああ・・だめぇぇ・・」
押し広げられる動きではなく、内臓を・・・アナルの内壁を刮げとるかのような男性の動きは、新たな刺激となってわたくしを襲います。
「どれだけ祥子さんにいただいた破れたストッキングを喜んでいたことか なぁ」
明らかに動きを早めながら運転手に問いかけるのです。
「やぁぁ・・ゆる・し・・て・・また・・いき・ま・す・ぅぅ」
運転手は答えるかわりに小指と薬指を同時に口に含み、その狭間を舌で愛撫したのです。
敏感な指先を軽く噛み狭間をねっとりと舐め回す舌使いがわたくしを追い込むのです
「あぁぁ・・・い・・くっ・・」
男性に貫かれ抜き差しされたままでの3度目の絶頂は、それまでと違う深い波でわたくしの理性をさらってゆくのです。
「そんなに感じて、締め付けたらだめじゃないですか 祥子さん」
ぱん・・ぱん・・男性の腰の動きが早まります。
「おねが・・い・・もう・・ゆるし・・て」
小指から土踏まずを通ってアキレス腱をねぶり、ふくらはぎに舌を這わせて膝裏の薄い皮膚を吸い上げるのです。
「あぁあああ・・・やぁ」
太ももをひくつかせるほどの・・・立て続けの絶頂がわたくしを打ちのめしました。
脚の力はとうに抜け落ちていました。
腰にあてがわれている2つの枕がなくては、男性に貫かれているはしたない姿勢を保つことすらできなかったでしょう。
「っく すごい締め付けだ。僕もいってしまいそうですよ 祥子さん」
男性にも2度目の絶頂が迫っていました。塊がまるで排泄器官であることを忘れた様に・・・いままでにない早さでわたくしを抉ってゆきます。
「はぁ・・ん・・んん・・やぁぁ」
ようやく右脚を解放されたと思いました。
でもそれは左足指への新たな刺激でしかなかったのです。
運転手は今度は親指から甘噛みを加えた口戯で、わたくしを責めるのです。
「おねがい・・・もう・・いかせ・ない・・で・・ゆる・し・て」
右足の愛撫の記憶と、初めての刺激に敏感になった左足が、アナルと胎内とを耐えられないほどに淫らに変えてゆきます。
「ああ、いきそうだ 祥子さん」
まるでノーマルな性交のような激しさで男性はわたくしを犯すのです。
「あああああ・・・いく・・ぅぅ・・ぅ」
左足の薬指を吸い上げられた瞬間に、わたくしの性感は意識を白く飛ばすほどに高められ・・・一気に頂きに押し上げられてしまいました。
「いくっ・・・あぁ」
短く喘ぎ声を上げた男性はわたくしの腰を引き寄せ、アナルの奥に熱い精液を何度も何度も叩き付けるように吹き上げました。
熱い・・・内臓に直接注ぎ込まれた精液の感触だけを最後の記憶に、わたくしはまた意識を失っていたのです。
「祥子様 大丈夫ですか?」
次に意識が戻ったのも、やはり運転手の腕の中でした。
帯揚げの目隠しは解かれ、わたくしの身体を彩っていた深紅のランジェリーは全て脱がされて・・・一枚の浴衣を着せかけられておりました。
「ありがとう あなたがしてくださったの」
高く上げさせられていた喘ぎ声のせいで、声はほんの少しハスキーになっていました。
ゆるやかに打ち合わされた浴衣の前を掻き合わせて、わたくしは上体を起こしました。
「どうぞ これをお飲みください」
運転手が差し出したのは、あの梅酒を薄く水割りにしたグラスでした。
「ん・・」
・・っく・・んっく・・ 冷たいグラスが喉の乾きを意識させ、わたくしは一気に甘露な液体を飲み干してしまいました。
部屋はあの奥の間でした。
すでに居間との間の襖は締められ、梁にかかっていた縄も片付けられておりました。
衣桁には、わたくしが着せられていた黒地に紅葉の柄の友禅と月待ち月の帯が、一幅の絵のように掛けられておりました。
「起きられますか? 温泉にはいられてはいかがでしょうか。浴室のご用意はできております」
グラスを受け取った運転手がそう勧めてくださいます。
「あの方は?」
予告通りに・・・わたくしを1人で貪り尽くした男性の姿が、その部屋にはありませんでした。
「そちらの部屋に 満足しておやすみになっておられます」
運転手の視線が襖の向こうを指し示すのです。
「でしたら、温泉にいったらお起こししてしまうわ」
浴室は居間として使っていた部屋から、廊下を抜けた左側の脱衣室・・・のはずでした。
「いえ、どうぞこちらから」
わたくしの手をとって立たせると、運転手は押し入れだと思っていた襖の1枚を・・・すっと開くのです。
そこは鏡台のあるあの部屋でした。
「ゆっくりとあたたまっていらしてください。お部屋に戻られるときもこちらから、いってらっしゃいませ」
脱衣室への襖を開け脱衣室へと案内すると、運転手はわたくしを1人にしてそのまま鏡台の部屋へ残りました。
唐紅 19
乱れていた髪は、あらたに三つ編みにされておりました。洗面台には、櫛と簡単なヘアクリップと基礎化粧品が用意されていました。
この宿に来てはじめてひとりになれたのを確認し、浴衣の前を押さえていた手を離し・・・ヘアクリップで髪をアップにしました。
繰り返された絶頂はわたくしを少し青ざめさせ、全身をけだるくさせていたのです。
最初に気を失った時とおなじように、男性の名残は運転手によって綺麗に拭われておりました。
浴衣を落とし・・・露天風呂に向かうと、冷たい空気の中で掛け湯をし、優しい恋人に癒されるような暖かな湯に身を沈めました。
髪を洗い・身を清めたわたくしは、脱衣室で少しとまどっておりました。
身に纏うものがあの浴衣しかなかったからです。
洗い髪をきつく三つ編みにし、浴衣だけを羽織って前を押さえ・・・あの鏡の部屋の襖をあけたのです。
そこには真っ白な長襦袢の掛けられた衣桁と、運転手がおりました。
「祥子様。お願いがございます」
正座をし、 まっすぐにわたくしを見て運転手が静かな声で申します。
「どうか今一度、私に身を任せてくださいませんか」
たしかに今夜・・・何度も彼の唇で・指でわたくしは上り詰めさせられました。
でも彼はまだ一度として達してはいなかったのです。
彼の主は、彼の望みを叶えてやると言っていました。
そのために、今日一日わたくしに全てを委ねてやって欲しい・・・とも言っていました。
望み・・・その言葉の解釈が、主である男性と彼との間で違っていたのでしょう。
それとも運転手の<欲>なのでしょうか。
「お疲れなのは存じております。おねがいします、どうかわがままを聞いてください」
真摯な彼の姿勢にわたくしは首を縦にふりました。
「ありがとうございます」
運転手は立ち上がると、衣桁に近づき月光を集めたような白の長襦袢を取り上げました。 半襟までもが純白で、桜の花びらのような折り柄だけが上品に浮かび上がっておりました。
「私が祥子様にどうしても着ていただきたかったものです」
わたくしの肩から浴衣を取り上げ・・・両肩にふわりと着せかけます。
真紅のものと同じ量感のある綾絹の感触が肌を覆いました。
「だって・・・あのお着物もあなたが用意してくださったのでしょう」
奥の間に飾られた、芸術品のような着物を思い起こしておりました。
「はい、でもあれは主から伺っていた祥子様のイメージで選んだものです」
わたくしの前に跪くと、優しく襦袢の前を合わせ腰紐と伊達締めを結んでゆきます。
「私があの日お送りした祥子様に感じていたイメージは、このお姿です」
掛け布を上げた鏡に映っていたのは、花嫁衣装のような純白の襦袢に包まれたわたくしの姿でした。
上品に合わせられた襟元から伸びた首筋に、1点だけ赤い痕が見られました。
無意識に髪を反対側にまとめていたとわかり、はっとして首筋を手で隠しました。
「お綺麗です、祥子様」
運転手はわたくしの後に立ち、鏡越しに視線を合わせてまいりました。
背中に触れ・腰に触れる彼の身体は・・・もう熱く反応しておりました。
「お着物も合わせて用意してございます。それは明日。さあ・・・こちらへ」
奥の間へと、運転手に肩を抱かれるようにして入ってゆきました。
奥の間の中央に敷かれた布団は、シーツまで新たなものに変えられておりました。
すっ・・・襖をしめる音に僅かに遅れ、わたくしは後から運転手の腕に抱きすくめられておりました。
「祥子・・さ・ま・・・」
襖の向こうの主を気遣う彼の囁きに、わたくしは首をかしげるように仰向けてゆきました。
「お名前は?」
主からも<彼>としか聞かされていませんでした。もとよりわたくしは、その主の名さえ未だ知らなかったのです。
「望月です」
「もちづき・さ・・ん・・・ぅくっ」
彼の名を呼ぶ間もなく唇を塞がれてしまいました。
運転手の口づけは甘く・・・優しいものでした。
後ろ向きに応えていたわたくしの身体を優しく回して、向かい合って抱きしめる間も・・・小鳥が啄むようなキスを途切れさせはしませんでした。
「はぁ・ぁぁ・ん・・」
長い夜の間、なすがままに翻弄され続けていたわたくしは、初めて自らの意志で、両腕を彼の背中に回したのです。
わたくしを抱きしめる望月さんの腕は一度だけきつくこの身を抱きしめると、あとは優しく背を・・・腰をたどってゆきます。
そしてゆっくりとわたくしを布団へと導きました。
「あぁ・・・祥子様」
柔らかな感触の上に膝立ちになったわたくしの首筋に、彼は唇を這わせます。
「あん・・・や・」
白い肌にぽつりと付けられた赤い痕を、きつく吸い上げるのです。
「だめ・・・」
優しかった彼のふいの激しい仕草に、抗いの声を上げてしまいました。
「いやです。他の・・・それがたとえ尊敬する主がつけたものでも・・・ほかの男の付けた印を見るのはいやです」
耳を甘噛みしながら伊達締めを・・・腰紐を解くのです。
「改めて私が印を付けます。それだけは、許してください」
はらりと落とされた襦袢の襟元に現れた痕にまで唇をつけるのです。
「あっ・・・はぁ」
それだけのことにわたくしはせつない疼きを感じてしまいました。
左乳房に男性が付けたあと二つの痕まで舌を這わせ、同じ様に・・・より濃い痕を印してゆくのです。
「望月さん・・・おねがいがあるの」
わたくしの声に顔を上げた運転手は、ほほを寄せる様に抱きしめてこういいました。
「なんですか?祥子様」
「おねがい・・・あなただけの・・痕を付けて。はしたないわたくしが嫌いじゃなかったら」
「あぁ・・・しょうこ・さ・ま・・」
彼はまだ痕の付いていない・・・真っ白な右の乳房に顔を伏せたのです。
そしてわたくしの困らない秘かな場所に、大輪の薔薇のような赤い印を付けてくれました。
「望月さんありがとうございました。お礼です」
純白の長襦袢を肩に羽織り、首筋から胸元まで幾つもの赤い痕を散らした姿のまま・・・わたくしは膝をくずしました。
無言で運転手の浴衣の腰を引き上げ立つ様に促します。
わたくしは自らの手で彼の浴衣の前を割り・・・猛々しいほどに反り返った塊に、わたくしは唇を触れさせたのです。
唐紅 20
「ん・・んくっ・・・」そのまま喉奥まで、熱い先端を上顎にこすりつけるように咥え込んだのです。
「うっ・・・」
運転手の手が・・無意識なのでしょう。
わたくしの頭を両手で押えるのです。
ちゅ・・ぷ・・ 鼻先が彼の茂みに埋まるほど深く口腔に納めたところで、彼の裏側の中心線に舌先をあて・・くうぅぅっと頭を引くのです。
「あぁ 祥子様」
くちゅ・・・ぺちょ・・・ すぼめた唇が、張り切ったかりでそれ以上引けなくなったところで頭の動きを止めるのです。
口腔はわたくしの唾液と、彼の塊でいっぱいに満たされておりました。
っちょ・・・くちゅ・・・ 少しだけ頭を戻してから、舌先は塊の下の合わせ目からかりの裏側をぐるりと回り・・・また合わせ目へ・・・そして唾液よりも粘度の高い液体を溢れさせている先端へと這わせるのです。
「あっ だめです」
運転手の鈴口はまるで生き物のように、侵入してくるわたくしの舌先にやわやわとしたキスをくりかえします。
くぽぉぉ・・・ちゅ・っ・・ 先端からは新たな粘液が湧きだします。
そのタイミングを待って・・・わたくしは深く浅く、口唇での動きを伴った愛撫をはじめました。
ちゅぽぉぉ・・・くちゅぅぅ・・じゅるっ・・・ちゅぅぅ・・・
「あぁああ・・・」
わたくしの頭に添えられていただけの両手が次第に力を増し、やがて彼の思うがままに前後させられはじめたのです。
「祥子様 なんて口なんですか。こんな。まるで あぁ」
他の男性にキスをしながら突き入れられて・・・上顎は胎内と同じ数の子状だと言われたこともございます。
わたくしは快感を与える為の口内の動きだけに集中いたしました。
じゅ・・・ぽ・・・ 彼の敏感な裏側の筋を舌で不規則に刺激しながら、先端が常に上顎をなぞり続けるように・・・舌を隆起させるポイントを変えるのです。
「いい 噂以上です。あっ」
彼の塊が一段と逞しさを増してゆきます。
広がったかりが出し入れされるたびに、わたくしの唾液は掻き出され・・・赤い痕を散らした胸元をしとどに濡らしました。
「あぁっ いきますっ」
頭に添える手に力が籠ると、長い間何度もの衝動を堪えていたであろう運転手の噴出は、太く・大量に・たたき付けるかのような勢いで口腔ではじけたのです。
ふっ・・・っくん・・・ 息をすることもできないほどの量の精液を、わたくしは塊を口にしたまま・・・喉奥だけを動かして少しづつ飲み下したのです。
「申し訳ありません。祥子様」
先ほどとは違い・・・彼の手はわたくしの髪を優しくやさしくなでてくれたのです。
ぺちょ・・・ちゅ・・あっくぅん 彼の体液を飲み干したわたくしは、まだ堅さを失っていない塊の先端をそのまま吸い上げ・・・もう一度喉奥まで迎え入れて舌で清めました。
「どうかもうおやめください。お願いです」
指先は一切使わずに口唇と舌先だけで・・わたくしは彼の大きな塊を愛撫したのです。
そして当たり前のように塊を清めたあとは、その下のやわらかな袋に唇を這わせたのです。
ちゅる・・・くちゅ・・・くぅぷっ・・ 片側づつ口に含み、あめ玉を舐める様にやさしく舌を這わせます。
「祥子さま。また あぁ」
わたくしは運転手の想いにただひたすら、一言の言葉も・・喘ぎ声すらも発することなく口戯で応えておりました。
ちゅ・・くっ・・ぷ・・ 改めて彼の塊を、花びらの狭間のようにすぼめた唇に迎え入れた時には、初めて唇を這わした時と同じ昂りと堅さを取り戻しておりました。
「しょうこ・・さ・ま・・・」
ため息のようにわたくしの名前を呼ぶと、運転手の腕は力を取り戻し、わたくしの頭と唇を彼自身から引きはがし・・・唇を合わせようとするのです。
「だ・め・・」
首を振り・・・彼の唇から逃れようといたしました。
ほんの数瞬前まで彼のものを口にしていたのです。
まだ喉の奥には熱い精液の名残が香る様にさえ思えるのです。
そんな唇を彼と合わせるわけにはまいりません。
「どうして・・・」
「だってあなたのもの・・・だから・・だ・め・・」
ん・・ぐぅっ・・・ 強引に顎を押し上げられ、唇を重ねられてしまいました。
「あ・んん・・ん・・だめ・・」
今日何度めのディープキスだったでしょう。
それでも今夜のどんなキスよりも丹念に、わたくしの口腔を彼の舌が這い回るのです。
「ぁん・・・だ・・め・・へ・ぇ」
上顎から舌の裏側へ・・・まるで先ほどの熱くて堅い塊のように・・・彼の舌がわたくしの口唇をむさぼるのです。
主である男性のように、技巧をつくした口づけではないのです。
熱に浮かされたような・・・わたくしのすべてを彼のものにしたいと叫んでいるようなキスでした。
「だめなものですか。美味しいです」
一時の熱情がおさまったのでしょう。
優しく・ほほを寄せるようにして、わたくしをシーツの上に横たえました。
「や・・・はずかしいわ」
真上から見つめる運転手のまっすぐな瞳を見返すこともできずに、瞼をふせてしまったのです。
「お願いです。こちらを見てください」
はだけたままだった長襦袢を掻き合わせて・・・わたくしの身体を覆いながら優しく語りかけるのです。
「ん・・」
やっと瞼をあげることができました。
彼の瞳はさきほどと同じところに、やさしく佇んでいました。
「私の名前を呼んでくださいますか?」
彼の手はわたくしの身体をまさぐることもなく、わたくしの右手に重ねられていたのです。
「もちづき・・さ・ん・・」
唐突な願いを不思議に思いながら・・・わたくしは彼の名を口にしました。
「あぁ 良かった。どうして先ほどは声を出そうとはしなかったのですか?」
一瞬なんのことかと思いました。
でもすぐにあの口戯の間のことだと気づいたのです。
「だって・・・あんなに大きいんですもの」
彼の張り切った塊はわたくしの口をみっちりと塞いでいました。
でも・・それだけではなかったのです。
せめてこのときだけはわたくしの全てで彼に応えたかったから・・・とは言えませんでした。
「祥子様の声は媚薬なんです」
運転手はわたくしの身体に彼の下半身を沿わせてまいりました。
「媚薬だなんて・・・あ・・・ぁはぁ・・ん・・」
さきほどまでお行儀良くしていた彼の右手が、白い綾絹の長襦袢の上から・・・わたくしの太ももをなであげたのです。
「その声です」
左手はわたくしの首筋に差し入れられ、柔らかな黒髪の生え際を刺激します。
「ぁぁ・・んん・ん・・」
襖を隔てただけの隣室には、彼の主である男性が眠っているのです。
運転手の微妙な指使いに・・つい出てしまいそうになる声を押し殺そうと努めました。
「もっと・・です」
長襦袢の上を這う手が、予告もなく左の乳首をきつくつまみ上げました。
「あぁぁぁ・・だめ・ぇ・」
一晩中、快感に立ち上がったままの先端は、綾絹の刺激に疼きを高め・・・彼の指でわたくしの芯へと容赦なく快感を送り込むのです。
「その声です。ほら祥子様おわかりでしょう。私は祥子様の声だけでもこんなになってしまんです」
わたくしの身体に押し付けられていた彼の塊は、ひくひくと震えておりました。
フェラチオで達したあとの口戯でたしかに彼の塊は硬度を取り戻していました。
このひくつきは・・・彼が最前よりももっと欲情を高めたことを示しておりました。
「はぁぁ・・ん」
彼の指先は、長襦袢に陰を落とすほどに堅くしこっている乳房の先端を・・・優しく嬲り続けるのです。
「欲張りですね。祥子様にフェラチオをさせながら・・・僕はこの声が欲しかったんです」
喘ぐような吐息とともに、軽く唇を重ねるのです。
「でも 声まで聞いていたら、もっと早くいってしまっていたかもしれません。申し訳ありませんでした。祥子様の口に出してしまったりして。お許しください」
唇だけを触れ合わせるキスに、思わず舌先を差し出したくなってしまうのです。
「いい・・の・・お口に・・欲しかった・か・・ら」
わたくしの声ははしたなく濡れていたに違いありません。