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Fireworks 1

山崎さんと地下のバーで再会し、結城さんのお話を聞かせていただいた3週間後。
わたくしの手元に一通の封書が届きました。
宛名はありません。
差出人の所には<石塚 胤人>とだけ書かれていました。
あの・・・年末に届いたカードと同じです。きっと望月さんが直接こちらにお持ちになったものでしょう。

封筒を開けると、そこには・・・
 『TAKEGAMI DREAM NIGHT in Symphony』
という文字だけを中央にくっきりと印刷したカードが1枚入っていました。
そしてその下にはかっちりと力強い文字で手書された次のようなメッセージが、メールアドレスと共に記されていたのです。

 祥子さん、お待ちしています。
 都合がよければ手続きの関係上
 フルネームをメールで教えてください。 石塚

石塚さんからのお誘いのようでした。
カードの裏面もシンプルなデザイン処理がされていました。日時と日の出桟橋の文字だけが右下に小さく書かれていました。
Symphonyとは、たぶん東京湾クルーズのための観光船のことでしょう。
でも・・・TAKEGAMIっていったいなんのことなのでしょうか。
様々な疑問はありましたが、お誘いいただいた日曜日。
たまたまわたくしのスケジュールも空いておりました。流石に、お盆休みの中の日曜日だったからです。
以前に東京湾クルーズでのパーティは経験がございました。
優雅な一時を半年ぶりに石塚さんとご一緒するのも一興かと、手書きされていたメールのアドレスにお返事をする気になりました。


お約束の日は二日続いた通り雨のせいでしょうか。
出掛けるころには夏らしい熱気のなかにも微かに風がそよぐ過ごしやすい天候になっていました。
雲の流れが速いのは・・・台風が近づいているせいかもしれません。
日の出桟橋が集合場所なら、多分間違いなく客船でのクルージング・パーティなのでしょう。
同じ東京湾でも屋形船なら和服のほうがしっくりいたします。
でも、シンフォニーでのパーティならドレスに近い装いのほうが引き立つはずです。
その夜は、黒の総レースのワンピースを選びました。
素材は上質だけれど、デザイン的には華美になりすぎないシンプルなものです。お正月に山崎さんがプレゼントしてくださったマリエのように、肩で留める黒のインナードレスがセットになっていました。
どんなパーティなのか、どなたがいらっしゃるのかさえ解りませんでした。二人きりのお食事会ではないことだけは・・・あのインビテーション・カードで想像できたのです。
わたくしに出来ることは、お誘いしてくださった石塚さんに恥をかかせないことだけでした。

髪型は、一瞬アップにしようかと迷いました。
でも、このワンピースには決め過ぎで嫌味かもしれません。さらりと光沢のあるストレート・ロングの髪を背中に流しました。
ランジェリーは、黒のレースの繊細なものにいたしました。レースのスカラップに少しだけ金糸が使われた贅沢な素材は、まるで夏の夜空にきらめく星のように美しく見えました。インナードレスがありましたからスリップは付けずに、ハーフカップのブラとハイレグのパンティ、そして極薄の黒のストッキングを選んで脚を通しガーターベルトのストラップに留め付けたのです。
足元は、ドレスの雰囲気に合ったエナメルのバックストラップパンプス。アクセサリーは付けずに、バッグはゴールドに鞣された革のパーティバッグを選びました。 コメント
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