夢のかよひ路 9
「だめです。帰ったりしちゃ。」「・・・あん」
腰を浮かせかけたわたくしを、大きな望月さんの長い腕が抱きしめます。
想像以上に・・・きつく。
「帰らないわ。」
「本当に?」
「ええ、祥子って呼んでくださったらね。」
「しょう・・こ」
そのまま、望月さんの唇がわたくしに・・・重ねられたのです。
数日ぶりの激しいディープキスでした。
男性なのに柔らかな唇と舌はわたくしの口唇をついばみ・ねぶり・絡め・吸い上げてゆくのです。
わたくしは声を上げることも忘れて、望月さんの腕の中に・・・はしたなくキスに蕩ける我が身を投げ出しておりました。
しなやかな望月さんの指が、口づけを交わしながら乱暴にわたくしの眼鏡を取り上げます。
アールグレーの香りの唾液はわたくしの唇から望月さんの口内へと絡めとられ・・・より濃く・甘くなってわたくしの喉へと落とされてゆくのです。唇は熱すぎる呼気を上げてもほんの少ししか離れることを許されずに、喘ぎはそのまま吐息となって望月さんの体内へと流れ込んで行ったのです。
望月さんの指が、わたくしの髪に差し入れられます。大きな手が・・指が・・わたくしの首筋のリボンを解き・・・柔らかなストレートロングの髪を絡めとり、優しくこの数日緊張に強ばっていた頭皮を・・・首筋をもみほぐすように愛撫するのです。
繊細に指を動かしながら、動物的にわたくしを貪るキスは・・・止まりません。官能的なまでに身も心もほぐされてゆく喜びに、わたくしの身体は震えはじめておりました。
「あん・・ゆるして・・・」
ほんの僅かに離れた彼の唇との狭間で、わたくしはため息のようにたった一言漏らしたのです。
ディープキスは、もう数十分にも及んでおりました。真摯で溺れているような口づけは、わたくしをあと数分で最初の絶頂へと導きかねないほどの力を持っていたのです。
「帰る・・・なんてもう言いませんか?」
こくん・・・とわたくしは望月さんと眼を合わせることすらできないままで、首を縦に振ったのです。声を出したら、ただの答えさえはしたない喘ぎになってしまいそうだったからです。
「本当に?」
「ええ」
わたくしはそのまま、彼の胸元へと顔を埋めていったのです。
「よかった。祥子さんに嫌われたかと思った。」
抱きしめたわたくしの頭に顎を載せるようにして、望月さんが、他の方達がいらっしゃるときとは違う、ふたりきりの時だけに聞かせてくれる柔らかな声で語りかけてくれたのです。
「嫌ったりしないわ。」
子供の様に彼の胸にぐりぐりと頬を擦り付けて・・・わたくしは答えました。
わたくしの方こそ別荘での最後の一日を、もしかしたら望月さんに嫌われたのか・・・と半ば案じていたのですから。
「夕食までは、我慢しようと思っていたんです。優しい誠実な恋人のように祥子さんをエスコートしたかったんです。」
「嬉しいわ。」
「でも、祥子さんが帰るなんていうから我慢できなくなって。まだ、あなたがここに居てくれるかどうかって、ドキドキしてる。」
「ん・・・」
言葉通り、わたくしの右耳が当たっている望月さんの胸は、トットッと・・・早い鼓動を刻んでいたのです。命の証の音・・・を。
赤子のようにわたくしは彼の鼓動に安心し、大きな胸に素直に抱き取られていったのです。
- 恋人
-
優しい誠実な恋人はキスしないのか?
(*'‐'*) ウフフフ♪
やっぱりするでしょう。
熱くって、時間を忘れる、あまやかなキスを
いつまでも・・・・。
キスされるの大好き♪
2006/10/11 15:21| URL | さやか [Edit] - さやか様
-
そうですの。
女性はこんなにもキスが大好きなのに、男性は時間がたつとすぐに省略しようとするんですもの。
花束とキスがあれば・・・女性はいつも優しい女神様でいるのにね♪
2006/10/11 15:54| URL | 祥子 [Edit] - 会話の距離感
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会話の中身で二人の距離感が分かりますね。
「帰る」なんて言ういじわるな祥子さんにキスの雨。
時間がたつと省略するって、確かに。
最初はあんなに憧れたものなのに(笑)。
2006/10/11 22:27| URL | eromania [Edit] - eromania様
-
うれしいです。
そんな風に感じていただけたなんて・・・とても。
ぐんぐんと近づいてゆく二人の関係をこれからも感じていただければ嬉しいです。
キスだけは省略しないでくださいね♪お・ね・が・い♪
2006/10/12 00:11| URL | 祥子 [Edit] -
甘えて拗ねて…可愛い二人…。
キスだけでお互いが熔けて交わってしまいそう…。
キス…だーい好き!だから、15分以上は…今夜も…。
それが欲しくて、逢いたくて…。
後の事はおまけの様にも思える位に。
2006/10/12 01:49| URL | るり [Edit] - るり様
-
そうなんです。
恥ずかしいのですけれど、望月さんと二人きりになるとわたくしもこんな風にどんどんと甘えたさんになっていってしまいます。
キスは、本当に素敵ですね。優しくて・甘くて。
でもはしたない大人の身体は・・・キスでその先の欲望を目覚めさせてしまうんです。
2006/10/12 08:11| URL | 祥子 [Edit]
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