麦秋の候になってしまいました
春から一気に夏の陽気になったと思ったとたんの天候不順皆様はいかがお過ごしですか?
わたくしは実は本業の仕事がSUPER HARDな状態になっていて
こちらのブログにも下びた広告が・・・(泣)
そして皆様ともご無沙汰をしていて誠に申し訳ありませんでした
そんなわたくしに代わり、
出版社様がなんとか上巻のみですが発刊にたどりついてくださいました
下巻は・・・わたくしが全く校正できないので・・・
本当にごめんなさい
ちょっといつとはお約束できないものの
下巻も必ず出しますのでお待ちいただけると助かります
近況報告も兼ねて・・・出版のご案内でした
春の匂い
早朝の新幹線の車窓からはまだ雪景色が見えた風はまだ冷たい
なのにあの女性から届いたメールには
「春をご一緒にいかが?」
とだけ書かれていた
仕事の予定はそこそこにこなし
訪れた庭園には
冬の名残を感じさせる赤い実がそこここにある
足を踏み入れた庭園は甘い香りに満ちている
あの女性のうなじから漂う仄かな甘い匂い
陽に透ける椿の花びらが
メールの一文字一文字にまぶされた
彼女の恥じらいを予感させるようだ
曲水の宴の庭園は
見事だけれど目的地までの距離が長過ぎる
気が急く・・・
目の前の座敷にいるあの女性は
どんな装いなのだろう
足許に広がる落ち椿のように
無惨に乱してみせたい
あの女性を
今夜は・・・
ホットショコラ
雪も降らないのに凍えるほど寒い寺を巡り・町を巡りあの女性を探す
当ても無く歩いても出逢えるはずもない
解っているのにあきらめられない
昨夜呼んだ芸・舞妓達が
柔らかな京言葉にのせて聞かせてくれた
あの女性がこの街に居るという事実が
でも、さすがにそろそろ限界だ
アンティークな光があの女性に似合う
美しいサロンを訪れる
暖房だけではないあたたかさが私を包む
目の前であたため続けてくれる
ホットショコラをオーダーする
甘過ぎないコクのある滑らかさが
私の舌にからみつく
まるであの女性と交わすキスのように
そう想うだけで身体の芯に火がついた
「ありがとう
バレンタインにはホットショコラね
本当に美味しかったわ」
階下から微かに声がした
舌を焼きながら席を立つ
なのに・・・
あの女性はもうそこにはいない
しん・しん・・・
「今年はいつもより暖かいのね」昨日、ホテルのソファーで呟いた
この人を見て急に決めた
実家に置いてある車のタイヤは
偶然にも正月に帰省した折りに
スタッドレスに履き替えたばかりだった
「たった2時間足らずなのに」
印象的な瞳がおおきく見開かれる
それだけで幸せな気持ちになる
さく・さく・さく・・・
粉砂糖をまぶしたような足許の雪は
今朝舞っていたものなのかもしれない
もっと降り落ちたばかりの
真っ白な雪にこの人の足跡をつけて欲しい
沈み込みそうになる身体を
そっと抱き寄せる言い訳になるから
「つららなんてひさしぶりね」
私はあの雪の別荘以来だ
この人もそうだといい
・・・心からそう思う
暮れ始めた里に雪が舞い始める
明日の朝には生まれたての雪景色を
この人に見せられるかもしれない
「やっぱり寒いわね
でも綺麗 ありがとう」
優しく搦められた指先を握りしめる
凍える日なのにあたたかい指先に
私の中の男が溶け出してゆく
「早く宿に向かいましょう」
謹賀新年
明けましておめでとうございますこの元旦は雄大な富士の裾野に満ちる
朝日とともに迎えました
思わず手を合わせてしまうほど
神々しい光景
皆様にもよい一年でありますように