ジューン・ブライド 30
「ねえ、祥子さん。」トモくんが絡めていた指を解くと、その腕をわたくしの身体に回してきたのです。甘えるときの・・・なにかをねだるときの彼の仕草でした。
「なぁに?」
「前に一緒に会った先輩のこと憶えてる?背の低い方の先輩。」
わたくしが以前、元の上司との意に染まないひと時を過ごしたあとに、トモくんを呼び出した時についてきた二人の先輩のことでした。あの時、トモくんははじめて先輩も一緒にと・・3人の男性で一緒に・・・わたくしのことを朝まで嬲ったのです。
「憶えているわ」
わたくしよりも少し背が高いだけの、声の優しい男性。小柄なのにわたくしを貫いた塊は・・・凶暴なほどに猛々しかったのです。
「僕の後、あの先輩と付き合わない?あれから、何度も祥子さんのこと聞かれてるんだ。」
「何を言っているの。」
わたくしは言下に拒否をいたしました。
「だめ?」
「だめよ。あの時は、大好きなあなたがどうしてもって言うからご一緒しただけよ。トモくんがいないのに、あの方とお付き合いするなんてできないわ。」
「そっかぁ」
トモくんの声は・・・なぜか残念そうでした。
「あたりまえでしょう。」
「ん、先輩と祥子さんが付き合えば、時々逢えると思ったんだ。先輩と一緒にあの時みたいに祥子さんを可愛がってあげられるのにって。」
なんてことを考えているのでしょう。これから可愛い新妻と新婚生活を送る人なのに、先輩に委ねてまで・・・わたくしを手放したくない・・・なんて。
トモくんの手はお湯の上の硬質な泡を掬っては・・・わたくしの白い項へと這ってゆきます。
「だめよ、今日でおわり。先輩さんともお付き合いはしないわ。」
気持ちは・・・トモくんの気持ちは嬉しかったのです。でも、今夜が汐時でしょう。
「まだ、気が済まないの? あんなに激しくしたのに。」
「ん、まだ。ほらこんなになってるんだよ。」
浴槽の中でわたくしのまぁるい腰には昂ったままの塊が熱い脈動を伝えていたのです。
「困ったコね、もう」
首を反らしてすり寄せた彼の頬は・・・おひげでちくちくしていました。いまもわたくし自身を苛む萌え出たばかりの芽と同じに。
「ここで・・・したいの?」
背中を預けるように、わたくしは最後の誘惑の言葉をトモくんの耳元で囁いたのです。
「祥子さんっ」
わたくしの身体を引き立てると、浴槽の縁に手をつかせて・・・後から・・・身体を重ねたのです。
「お先にちょうだいしたわ。」
濡れた髪をタオルで包み、バスローブ姿で森本さんに声を掛けました。手に持った洋服は、彼の目に触れない様に素早くクローゼットに収めたのです。
「ねえさんもアイスコーヒーどう?」
カラン・・という氷の音が窓際のソファーセットから聞こえました。先ほど浴室で聞いた彼の声は・・・ルームサービスに応えるだったようです。
グラスにはまだ細かな水滴が浮かんでいるだけでした。
「あら、うれしいわ。」
バスローブの胸元をきつくかき合わせて、わたくしは森本さんの並びのソファーに座ったのです。
「きれいね。」
目の前には七里ケ浜の海が一望できました。
「なにしていたの?」
「ん、ずぅぅっと海を見てた。」
部屋の中には低くクラシックのBGMが流れていました。ここで、アイスコーヒーを飲みながら、海を見て作品に想いを馳せていたのでしょうか。
「そう。でも、目が眠そうよ。お昼寝前にお風呂浴びてらっしゃいな。お湯も入れ替えておいたから。」
「そうするよ。ねえさん、寝ちゃう?」
「なぁに」
「お風呂から出て1人だと淋しいなぁって思って。」
「甘えて・・もう。本を読んで、アイスコーヒーをいただいて待っててあげるわ。」
そう・・・森本さんに無防備な寝顔を一方的に見られることには抵抗があったからです。
「それじゃ、いってくるね。」
ジャケットを脱ぎはじめた森本さんに背を向けて・・・わたくしは窓の外の波にたゆたうサーファーたちの姿を見つめていました。
「あぁぁっ・・・トモくぅぅ・・ん」
腰だけを高く上げさせたわたくしの白いヒップを掴むと・・・トモくんはその手で割り開く様にして・・・大きく昂った塊を花びらの狭間へ突き入れたのです。
「洗ったばかりなのに、こんなにぐちゅぐちゅにして」
あぁっ・・・トモくんの言葉の通りだったのです。奥まで清めたばかりの身体は・・彼に触れていただけなのに・・・蕩ける蜜を溢れさせてしまっていたのです。
ぽってりと熱をもった花びらは・・・何の抵抗もなくトモくんの塊を飲み込んでしまいました。
「やぁぁぁ・・・だめぇぇ・・・そんな・・にしちゃ・・だめぇぇぇぇ」
バチャ・・バチャ・・トモくんの動きに合わせて浴槽のお湯は激しく波打つのです。
「ほら、水槽に手をついて。身体をあげて、祥子さん」
わたくしは壁沿いに伝う様に手をついて・・上体を少しづつ高く・・していったのです。
「・・ぁぁあああ・・いい・・ちがうぉぉ・・・そ・こぉ・・だめぇぇぇ」
身体を上げるにしたがって・・・トモくんが数の子天井だと喜んでいたわたくしの感じやすい部分が、一層強く刺激されてしまうのです。
激しい水音よりも・・・わたくしの細く高い喘ぎ声の方が・・・大きく浴室にこだましてゆきます。
「ほら!ほら! いいの、祥子さん」
2度満足しているトモくんは・・・わたくしをどんなに追い上げても・・まだ余裕のままに責め続けるのです。強く送り出される腰はわたくしをどんどん水槽寄りに押し付けていったのです。
「いぃぃぃ・・のぉぉ・・・トモくんのぉぉぉ・・・いぃぃ」
水槽に押し付けられたGカップの白い乳房は・・・堅くしこった先端がわたくしをもっともっとと感じさせてゆくのです。
「だめだろ!祥子さん。勝手に乳首で感じちゃ!」
背中から伸びた手が・・・わたくしの乳房を左右から掴み取りぐぃと引いたのです。
わたくしの上体は彼の指だけに支えられ・・・淫らな蜜壷をトモくんの塊だけに貫かれた・・・不安定な姿勢を強要されたのです。
「指がうまっちゃうよ、祥子さんのバスト。これが感じるの?」
トモくんは乳首を人差し指と中指の間に挟むと・・・第二関節でぐりぐりと・・・捏ねるのです。
「あぅっ・・・・ひゃぁぁぁ・・・だめぇぇぇ」
長く大きな塊と指でトモくんはわたくしを翻弄しつづけました。
「胸を嬲ると、祥子さんの中がきゅって締まるよ。」
強弱をつけて・・・わたくしの感じやすい乳房を・・乳首を・・愛撫するのです。
「はぁっ・・・あぁぁ・・あぁぁぁ・・・も・・ぅぅぅ・・・だめぇぇぇ」
「ああいい、祥子さんの凄すぎるよ。」
一段と太くなった塊が内臓をすべて貫くんじゃないかと思うほど・・・強く抽送されるのです。後から犯されつづけるだけの・・・獣の体位にわたくしの身体はなす術もありませんでした。
「いっちゃうぅぅ・・トモくぅん・・・・いっくぅぅぅ」
エコーの掛かった喘ぎ声が一層淫らに響きわたくしの耳を辱めます。
「ほら!もっと感じて!」
わたくしの乳房を手放すと、青く光る水槽に縋らせて・・・白い腰を鷲掴みするのです。押し入る速度も深さも変えることなく・・・ぐるりと奥を捏ね回してゆきます。
「あっぁぁぁん・・・トモく・・ん・・ちょうだ・・い・・・しょうこのなかをまっしろにしてぇぇぇ・・」
「ん!いけっ!!」
トモくんの腰がわたくしにめり込むのではないかと思うほど深くに止まって・・・熱い精液をどくどくと・・吐出したのです。
「いっ・・くぅぅぅ」
わたくしはトモくんから与えられる最後の絶頂に、全身を震わしておりました。
ジューン・ブライド 29
「あん・・・だめぇ・・・そんなにしちゃぁ・・」清めるのではなくて・・・愛撫の色合いを強めたトモくんの指に、わたくしは抗議の声を上げたのです。トモくんの手のひらはシャワーの湯を溜めると、花びらを浸す様に何度も押し付けるのです。
「ぬるぬるだよ、祥子さんのここ。」
「だって・・・あなたが・・・あぁん」
やがて・・・中指が花びらの奥へと・・・進みはじめました。
「僕の精液を2回分も絞り取るからだよ。祥子さんのエッチなここが。」
「やぁん・・そんなこといっちゃやぁ。」
トモくんには、素直に甘えられるのです。年下の・・・わたくしのことを何もしらない相手だから・・・なのかもしれません。仕事もキャリアも年齢も関係のない、ただの甘えたな女に・・・わたくしはなっておりました。
「僕のことも洗って。」
ボディソープをわたくしの手に2プッシュほど出すと、彼に向き合いました。
トモくんはシャワーヘッドを手にして、髪を濡らさない様に気を付けながらわたくしの白い背中に暖かな湯を流してくれたのです。
両手にしぶきとなったお湯を少し受けると、やさしく細かな泡をつくりました。
その泡でトモくんの塊を包む様に・・・するのです。最初は泡だけが彼に触れるようにそっと・・・そして小指から順に不規則に少しづつ絡めてゆきました。
「あぅっ 祥子さんの洗い方ほんとにいやらしいなぁ。」
最後には2本の親指が・・・塊の裏側の感じやすい筋の上を不規則に動き回らせます。
「ん いいよ、祥子さん。ここも口でして。」
トモくんは・・・2度も達した後なのに、わたくしの手の中でもう・・・昂りを示しはじめました。その上、に乳首への口戯を求めるのです。
くちゅ・・・首をかしげるようにして・・・わたくしは彼のがっしりした胸板に可愛く愛撫をおねだりをしている左の先端から・・・舌でねぶったのです。
「いい、あ 祥子さん」
わたくしが・・・彼に教えてもらったことの一つは、男性も乳首が感じるということでした。
わたくし自身が感じ過ぎる場所だから男性ももしかしたら・・・と唇を這わせることはありました。ですが、それまでの男性達は、同じ行為をしても嫌いはしないけれど望むということもしませんでした。やがて、男性にはそこには性感が存在しないのかと・・・思うようになっていたのです。
「そう、もっと」
初めてトモくんと逢った時、わたくしは舌を触れたとたんに彼があげた上ずった声に驚きました。そして、何度もトモくんに強請られるままに・・・男性のその場所を愛撫してあげたのです。
「トモくん、脚を開いてちょうだい」
手の中の塊はすっかり完全な状態にまで戻っていました。
彼の肩先にキスを1つすると、わたくしはボディソープにまみれた指を、柔袋から・・・その奥へと・・・這わしていきました。
「お部屋は何階なの?」
エレベーターホールでわたくしは森本さんに聞いたのです。
「4階だよ。海がきれいに見える見晴らしのいい部屋だって。」
到着したエレベーターのボタンを押すと、森本さんの答えが終わる間もなく4階に到着しました。
このホテルは周囲の景観の問題もあったのでしょう。高層ではなく4階が最上階の低層の建物になっていました。駐車場のあった場所までもR134からは、随分登っていましたからそのワンフロア上はさぞや美しい景色なのでしょう。
「お部屋は並びかしら、あまり遠くないといいわね。」
内線電話があるとはいえ、横に長い建物の端と端のお部屋では不便だと思ったのです。
「こっちだよ。」
「ん。」
建物の丁度中央にあたるエレベーターホールから、右への通路へと森本さんが歩きだしたのです。同じ側の近くのお部屋が取れたのでしょう。わたくしは森本さんの半歩後に従いました。
「ここが、今日の部屋だよ、ねえさん。」
森本さんが立ち止まったのは、建物の一番端のドアの前でした。わたくしの部屋なのでしょうか、答えも待たずにカードキーを差し込むのです。
「1人で平気なのに。」
開いたドアを押さえて、わたくしを部屋に入れるのです。
すぐ後から、森本さんも入ってらっしゃったのです。
「もう・・・なんでこんなお部屋なの?」
そこは広々としたダブルベッドルームだったのです。
「シングルはもともとあまり部屋数がなくて、今日はいっぱいなんだって。急にだったから、ここかスウィートしか空いてないって言われちゃって。」
森本さんは、まるで悪戯を見つかった子供のような顔をしていました。
「だめ?ねえさん。お行儀良くするから。約束します。」
ベッドにバッグと買い物袋を置くと、両手を合わせてわたくしを拝むのです。
「しかたないわね。」
森本さんのコミカルな仕草に、わたくしは、怒ったような顔を・・・少しだけ緩めたのです。
お部屋がないのなら仕方ありません。この贅沢なダブルルームは、2つのシングルルームよりも高価だったのかもしれないのです。森本さんがそう言うのなら、きっとお行儀よくしていてくれるのでしょう。
「よかった。ね、それじゃ先にシャワー浴びてくれば。さっぱりしてから昼寝しよ。」
ふわぁ・・・クマのぬいぐるみのような表情であくびをすると、クローゼットやドレッサーの引き出しを開けて、備え付けのバスローブを見つけてきたのです。
「いいのよ、森本さんが先に浴びてらっしゃい。」
眠そうな瞳が可愛そうになってきました。
「ううん、レディファースト。ねえさんが先にバスルーム使って。」
森本さんは、意外とまめな方なのでしょう。そう言うなり、バスタブにお湯を溜めにいったのですから。
ここで押し問答をしていてもはじまりません。
「ありがとう。それじゃ、お言葉に甘えて。」
バッグをクローゼットに置くと、バスローブと先ほど買ってきたものだけを持って、1人バスルームへと向かいました。
「祥子さんをだっこしてるの、きもちいいよ。」
きらきらひかる泡のまあるいお風呂の中で、わたくしはトモくんの腕の中に抱きかかえられていました。
「疲れない?」
わたくしの肌から一瞬も離れたくないとでも言う様に・・・彼の手はわたくしの手を握りしめていたのです。
「大丈夫。祥子さんももっと楽にしていいよ。」
「ふふ ありがとう。」
首だけを後に巡らしてちゅ・・っと、わざと可愛くキスしたのです。これ以上セクシュアルな雰囲気にならないように。
ジューン・ブライド 28
「ね、キスマーク付けていいよね、祥子さん。」「ぁぁ・・ん・・だ・めぇぇ」
わたくしの喘ぎに塗れた否定の言葉が終わる前に、引き寄せた白い肌に・・・今度は噛み痕とくっきりとした大きな紅い印を残したのです。
「っくぁぁ・・・つかえ・・るぅぅぅぅ」
「僕のが、子宮にぶつかってるよ。ここだろ。」
大きく前後に上体を動かされるだけで・・・わたくしの胎内は違った刺激に晒されていました。もう動かすことなどできないほどにみっちりと詰まった砂糖の器の中を、強引に大きなスプーンでかき回した時のような抵抗と摩擦で・・・身体の芯を・・・もみくちゃに・・・めちゃくちゃにされているようでした。
「ああ 祥子さんの子宮にフェラされてるみたいだよ。こっちの唇も」
ちゅぷ・・・トモくんの濡れた唇が髪を掴み取られたわたくしの唇に重ねられました。
前歯を・・・歯茎を・・・上顎を・・・舌を・・・わたくしの口腔まで余すところなくトモくんの舌が這っていったのです。唇と舌先だけでなく・・・貪るような発情するためのキスを深夜の夏の路上で教えたのも・・・わたくしでした。
「あふっ・・ぅ・・」
「もっと」
堪えられない喘ぎに唇を離そうとするわたくしを彼は許してはくれませんでした。わたくしの・・・くちびるは・・・口唇と花びらと子宮の・・・3つともにトモくんに奪われ陵辱されていたのです。
少しでも再奥の狂おしい嬲りから逃れようと膝を立てた分だけ・・・トモくんの塊は強く大きく突き上げてくるのです。
「ぁぁ・・ぁぁあ・・・・いっちゃ・・う・ぅぅぅ・」
わたくしは堪えようもないほどに・・・追い込まれておりました。快感の収縮さえより深い淫楽を与えるだけだとわかっていても・・・もう身体は言う事を聞いてはくれません。
「いくよ!!祥子さんの中に いくっ!!」
最初のようにわたくしの両肩を押さえつけると・・・噴き上げる精液を子宮に直接浴びせる様に・・・トモくんも達していったのです。
「お部屋あった?」
ラウンジに戻ってきた森本さんにそう声を掛けました。
珈琲のおかわりをいただいて・・・しばらく紫陽花を見つめて。空室がないとフロントに断られただけにしては、長い間を1人で過ごしていたのです。
「ん、とれたよ。3時からチェックインできるっていうから、してきたよ。」
「そう。よかったわね。」 時計の針は3時を10分ほど過ぎていたのです。森本さんは、サーバーを持ってきたサービスの女性にもういいよと断ると、席につかずにわたくしの肩に手をかけたのです。
「せっかくだから、お昼寝しない?ねえさん。」
「ふふふ、こんないい天気なのにお昼寝?」
「ちょっとだるくなっちゃったし、夜はホテルのフレンチを予約したからさ。それまでちょっとしよ♪」
魅力的なお誘いでした。別のお部屋なら、彼が起きるまでわたくしはお部屋でゆっくり持ってきた小説を読んでもいいと思っていました。
「わかったわ。いきましょう。」
ありがとうございました、というサービスの女性の声に送られてラウンジをでたのです。
「ちょっと寄り道」
森本さんはわたくしの手を取ると同じフロアの売店へ向かったのです。
「お買い物だったら、あとで1人で来たのに。」
「欲しいものがあるのはねえさんだけじゃないからね。」
「ふふふ、そうだったわね。」
ふたりとも日帰りのドライブの予定でした。リゾートホテルですから、ディナーといってもこのスタイルで咎められることはないでしょう。ただ、最低限のランジェリーと基礎化粧品は必要でした。
森本さんも気恥ずかしかったのか、それぞれ別々に必要なものを買い求めました。
小さなバッグと売店のショップバッグを手に、二人はエレベーターホールへ向かったのです。
ふと気がつくと、わたくしはベッドに1人横たわっておりました。
身体にはバスローブが掛けられて、バスルームからは水音が響いていたのです。
トモくんの姿は、お部屋の中にはありませんでした。
ただ、この部屋に入ってから荒々しく脱がされたままだったはずの二人の洋服はきちんとハンガーに掛けられていたのです。
「祥子さん、気がついた?」
腰にタオルだけを巻いたトモくんが浴室から出てきました。
「ん、お洋服 ありがとう」
バスローブを抑える様にして身体を起こしました。
つかつかと近寄ると、わたくしの手を引きます。トモくんは1人でお風呂の用意をしていてくれたようでした。
「一緒にお風呂にはいろう」
「もう、先に入ってればよかったのに。」
幾度も極めた絶頂でわたくしの身体はぐったりとしておりました。よろける足どりをトモくんは支える様にして連れて行ってくれたのです。
「広くて綺麗なお風呂だったからさ、祥子さんと入りたいなって思って。」
浴室のドアを閉めると、わたくしの身体の前を覆っていたバスローブを優しく奪います。
「僕が洗ってあげる。早くおいで。」
腰のタオルはそのままに、トモくんはバスルームに先に入って行ったのです。
そなえつけられたブラシで髪を梳き、ゴムで濡れない様に高い位置にまとめてから彼の後を追ったのです。
「わぁ・・・きれいね」
ベッドルームの水槽の丁度裏側が・・・バスルームだったようです。
手首を括られてトモくんに嬲られたわたくしの肌にまとわりついていたカクレクマノミが優雅に広い水槽を泳いでいました。水槽の下の浴槽にはもう薔薇の香りのバスバブルが虹色の光を反射していました。
「祥子さんは気に入ると思ったんだ。」
腰のタオルをはずしたトモくんがシャワーヘッドを手にわたくしを待っていたのです。
「ん・・・」
近寄ったわたくしの肩に少しだけ熱いシャワーが浴びせられます。
バス・スポンジを使わずに、手のひらだけで・・・トモくんはわたくしの身体を拭ってゆきます。
シャワーヘッドをホルダーに固定し、キスをしながら・・・背中を腰を・・・二人の身体で挟む様にしたままの両の乳房を・・・そして・・片脚を浴槽のへりに掛けさせるとそのまま花びらへと手を這わせるのです。
「泡立たないね、ここにヘアがないと。」
「いじわるぅ」
わたくしの恥ずかしい姿にされた丘にボディソープを塗りつけるのです。以前なら・・・漆黒の茂みが・・・細かな泡を自然に作り出していたのです。
その泡で優しく・・・敏感で感じやすい部分をトモくんの指が洗ってくれていたのです。
わたくしは、入浴をし身体を清める姿を・・・元の夫にも、他の男性に見せることはありませんでした。
一緒に入浴することを許したのは、トモくんと・・・それから望月さんだけでした。そしてトモくんには、こうして女性の身体を清めることも教えてきたのです。
ジューン・ブライド 27
ちゅく・・ちゅぅ・・・ぺろぉぉ・・・ わたくしの茂みがないだけで・・・こんなにはしたなく・・・男性を蜜に塗れさせてしまうものなのでしょうか。身体が淫らに変わってしまった証拠を消すかのように・・・・トモくんの柔袋までも、しっとりと濡らした蜜を追って・・・わたくしの舌と唇は動いていったのです。
「祥子さん、そんなとこ舐めたらまた堅くなっちゃうよ。」
言葉通り・・トモくんは達したばかりのはずなのに、わたくしの鼻筋から額にかけて熱く脈打つ塊を・・・押し付けてきたのです。
「ぁぁあん・・だ・・めぇぇ・・・」
トモくんがどれほど若くても・・・こんなに早い回復ははじめてでした。まだ、胎内に彼のミルクを留めたままで・・・また次の責めを受けなくてはならないのでしょうか。
「こんなに欲しがってるよ、祥子さんのこと」
彼は塊に手を添えるとわたくしの頬を・・・Gカップの白い乳房を・・・熱い先端でつつき回すのです。
「ねぇ、どこにほしい?祥子さん、言ってごらん」
トモくんの声は熱を帯びていました。
わたくしを辱める行為を止める事なく・・・ぐりぐりと鴇色の乳首をすでにぬめりを溢れさせている先端で嬲りつづけるのです。
「おねがい・・・やすませて・・」
秘密を知られてはならない・・・緊張感の果ての激しい絶頂は、想像以上にわたくしを消耗させていました。
「休みたいの?いいよ。じゃ休んでいる間に祥子さんのアナルを広げておいてあげるよ。」
「いゃぁぁぁ・・・」
「アナルが僕のを受け入れられる様になるころには、元気になってるよね、祥子さん。」
「だめぇぇ・・・・」
トモくんの言葉も・・・指も・・・舌も・・・全てがわたくしの姫菊を狙っておりました。彼にとって姫菊が、唯一のバージンを奪った場所だと信じているからなのかもしれません。
自分以外の男性に、自分には許さない行為をさせたわたくしへの、裏切りの代償を言外に要求しておりました。
「ローションを買わなくちゃね。」
室内の端にある自動販売機へと・・・トモくんの視線が走るのです。
「おねが・い・・ゆるし・・てぇぇ・・」
わたくしの身体は、10日前の陵辱からまだ立ち直り切ってはいませんでした。
丹念に・丁寧に扱ってくださった大人のあの方達であっても・・・本来、性愛の対象ではない排泄器官を責め続けたあの時の余韻は、まだこの身体の中にダメージとしてしっかりと残っていたのです。
「それじゃ、入れさせてよ。祥子さんのここに。」
ベッドヘッドに上体を預けて脚を伸ばしたトモくんは・・・わたくしを引きずり起こすとくったりとした両脚を彼の左右に開かせて・・・彼の出した精液で滑る花びらに熱い先端を押しあてたのです。
「あぁぁぁぁ・・・っ・・・」
わたくしの腰に手を当てると、一気にトモくんを飲み込ませるように・・・押し込んできたのです。
「ねえさん、明日も休みだって言ってたよね。」
森本さんは窓外の紫陽花の上に泳がせていた視線を、わたくしに戻しました。
「ん、あと一日ね。」
「明日はなにか予定があるの?」
「いいえ、急ぐ用事はないから、いつものところにのんびりと珈琲でも飲みに行こうと思っていただけよ。」
せっかくの休日ですが、いくつか次の仕事のための構想をまとめておきたいと考えていました。デザインやコンセプトワークは、決まった場所に居る必要はないのです。心地よく思考が解放出来る場所でこそ、いい企画が出る事は体験上いやというほどわかっていたのです。
「それじゃ、泊まって行ってもいいよね。」
「えっ・・」
森本さんは思わぬことを口にしたのです。泊まるって・・・ここに?
「明日早くに家まで送ってくよ。着替えとかはここのショップでプレゼントしてあげるし。」
「もう、何を言ってるの?」
「やぁ、運転するのちょっとしんどくなっちゃって。ごめん、ねえさん。」
確かに・・・すぐに醒めるようなお酒の量ではなかったのかもしれません。
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。1人ならしばらく休んでなんとか帰るけど、ねえさんを乗せてて万が一のことがあったら困るし。」
森本さんは意識がある間は、自分の車をどうしても他の人に任せることができない質なんだと、往きのドライブの間に話してくれました。
わたくしも、流石に運転を変わるわと口にだせないほど、お酒を頂いていたのです。
でも、仮に素面だったとしても、彼はハンドルをわたくしに委ねることはなかったでしょう。
「お部屋はあるのかしら?」
都心や、もっと離れたリゾート地のホテルなら空室状況の想像もつきました。でも、都心からの日帰り圏のこういったプチリゾートのことはわかりかねたのです。
この状況なら・・・しかたないと、わたくしは思いはじめておりました。森本さんに無理をさせるわけにもいきません。
「もしお部屋が取れるなら、森本さんの言うことを聞いてあげるわ。」
シングルを二部屋用意できるなら、こんな素敵なホテルに泊まってもいいかなぁと思い出していたのです。
「ほんとう。じゃ、ちょっとフロントに行って聞いてくるね。」
本当に酔って気怠かったのでしょう。森本さんはほっとしたような顔をして、ラウンジにわたくしを1人残すと、お部屋のことを聞きにフロントに行ったのです。
「あぁぁぁ・・ん・・・こんなに・・ふかく・・・だめぇぇ・・・」
トモくんはわたくしの最奥まで一気に押し入ってきたのです。
ロングヘアが乱れる白い肩に両手を乗せ・・・腰を浮かせて衝撃から逃れようとするわたくしの動きを封じ込めると・・・下からばねのような腰を突き上げるのです。
トモくんの息も弾んでいました。
「こんな体位はじめてだよね、祥子さん」
「はぁぁっ・・・やぁぁぁ・・・」
彼の唇が・・・Gカップの白い乳房を左右から寄せて2つの乳房の先端を・・・一緒に唇に含んだのです。肩の手がなくなっても敏感な乳首を咥えられて・・・わたくしはやはり逃げることなんてとてもできなくなっていたのです。
ちゅぅぅぅ・・・ トモくんは甘噛みした鴇色の2つの果実を吸い立てるのです。
「あっ・・・あぁぁぁ・・ん・・」
たった1人の男性に・・・身体の芯を突き上げられながら・・両方の乳房を同時に嬲られるなんて。
わたくしの身体ははしたないまでに感じてしまったのです。
「ひぃっ・・・くぁぁぁ・・・」
「あぁ締まるよ、祥子さん。乳首を舐めるだけでこんなに、締め付け過ぎだよ」
トモくんは・・・わたくしの柔らかな乳房がどこまでも伸びる様を、おもしろがる子供のような表情を見せていました。突き上げた腰を起点にわたくしと彼の状態を引き離し・・・ぱん・・と伸び切ったところで唇を離したのです。
ジューン・ブライド 26
「いいよ 祥子さんの中、いい」トモくんの腰は最初からがむしゃらにわたくしを追い上げました。
「あぁぁん・・・トモくぅぅん・・・ああっ・・」
彼のくっきりと太い塊は、幾度もわたくしの蜜壷を押し開いてゆくのです。
イラマチオで喉の奥を圧迫しても飲み込み切れなかった塊は・・・今度は花びらを押し広げ根元まで押し込まれ・・・子宮そのものを嬲る様に突き上げるのです。
「そんなに締め付けちゃだめだよ、祥子さん」
わたくしの身体は、トモくんに突かれると同時に奥への衝撃を和らげようと最奥を締め付け、トモくんが引き抜かれようとするときは引き止めようとするように中程を締め付けてしまうのです。
「だっ・・てぇぇ・・・ああっ・・・いぃぃぃ」
締め付けは・・より強い快感をわたくしに強いるだけなのです。なのに、身体の芯に響く淫楽に飲み込まれながら・・・わたくしの身体ははしたなく・・・まだ・・・もっとと求めてしまっておりました。
「ここ?ここがいいの?祥子さん」
ずぅん・・・ トモくんの茂みをわたくしの蜜に塗れるほどに・・・押し込むと彼はぐりぐりと腰を捏ねあげるのです。わたくしが、以前に教えた通りに・・・。
「ぁぁぁぁ・・・いぃぃ・・そこな・・のぉぉ・・」
わたくしの奥で蕩ける快楽に湧き出す愛液は、彼の塊で満たされた蜜壷に留まる事をゆるされず・・花びらの端から姫菊に向かって滴りおちてゆきました。
「ここも、ここも でしょ、祥子さん」
「はぁうっ・・・ぁぁぁ・・・だめぇぇぇ」
トモくんは長身を折る様にして左の敏感な乳首を甘噛みしたのです。
ずくぅぅぅ・・・乳房からも送られる淫楽は・・・ますます蜜壷をひくつかせるだけでした。
「ああっ・・・やぁぁぁん・・・」
ちゅぅぅぅ・・ぽぉん 乳首の先端を・・・彼の塊がわたくしの子宮を嬲っているのと同じこねるような舌先の動きで・・・ねぶり、Gカップの白い乳房が伸び切るまで強く吸い上げる様にして・・・頂点で離すのです。
「いいんだね。祥子さんの中、僕のをぎゅって扱いてるよ。ああいい。我慢できない。」
再び力強い抽送がはじめられました。わたくしは・・・これ以上・・・まだ・・あぁぁ。
「おねが・・いぃぃ・・ゆるしてぇぇぇ・・・」
もう・・・彼の若さに・・・わたくしは翻弄されるだけでした。腰の一点から送り込まれる快楽は・・・わたくしの意識を独占していったのです。
「いくよ。いい、祥子さん」
わたくしの両脚を抱え上げると・・・トモくんは引き締まった腰をぶつけるように・・・激しく蜜壷を抉るのです。大きな塊が・・・一層その太さを増していました。
「ちょうだいぃぃぃ・・・トモくん・・のぉ・・せいえきぃぃ・・ちょう・・だぁぁい・・しょうこの・・・なかに・・・ちょぉぉだぁぁぁぁぃぃ・・・」
淫らではしたないねだり声が終わる前にトモくんの塊は・・・わたくしの蜜壷で・・・はじけていたのです。
「ここは3階になるのね。」
お食事のあと、森本さんはわたくしをホテル棟の中にあるラウンジへと誘ってくださいました。
「傾斜地に建っているからね、山側の駐車場がホテルの3階にあたるんですよ。」
ラウンジへ向かう途中にあったエレベーターの表示が、3階を示したまま扉を開けていたのを不思議がったわたくしに、彼は種明かしをしてくれたのです。
ランチとはいえ、手の込んだ会席料理が用意されていました。
喉が渇いているからと注文したビールだけのつもりが、お料理が進むにつれて冷酒まで頂いてしまいました。
最初はホテルのお庭を散歩して酔いを冷まそうと話していたのですが、心地よい疲れと酔いに身を浸したくなって・・・ラウンジのお席へと移ってきたのです。
「ここもあじさいが綺麗なのね。」
天井までの1枚ガラスの先には、ピンク色を中心とした西洋紫陽花がうつくしく咲き誇っていました。向き合うのではなく、森本さんとガラスに向かって並んで座ったことに、わたくしは少しだけほっとしていたのです。
「実は隠れた名所でもあるんですよ、このラウンジから見る紫陽花も。」
テーブルに届けられた水を一気飲みすると、森本さんはコーヒーを2つオーダーしてくださったのです。
「ねえさんはケーキはいいの?」
あら、この二人は姉弟なのね・・・と二人の関係を推し量っていたであろうサービスの女性の目が、得心がいったように語っていました。
「ご用意いたしましょうか?」
こちらはワゴンサービスでケーキを選ばせてくださるようでした。
「いいえ、まだお腹がいっぱいなの。だから今はいいわ。ありがとう。」
最後の一言は、森本さんとサービスの女性の両方への言葉でした。
「後でケーキを頼んでもいいしね。」
森本さんはにこにこと微笑んでいました。
「ここもロケハン先だったの?」
あまりに綺麗な紫陽花が・・・わたくしに疑問を湧かせました。
「ん、実はそうなんです。」
思いついたことは・・・的を得ていたようでした。
なのに森本さんは、カメラを手にもしていなかったのです。
「もう、言ってくれればあんなにお酒を勧めなかったのに。」
「ねえさんと一緒だと、お酒が美味しくて。つい、ね。」
「コーヒーをいただいて、早く素面に戻ってちょうだい。」
「はぁい。」
間延びした返事は、森本さんがリラックスしている時の独特の口調だったのです。
わたくしたちは、まるでいつものお店に居る時のように、コーヒーを前に置いてのんびりとした会話を交わしはじめました。
「祥子さん、きれいにして。」
トモくんは二人の粘液にまみれた・・・まだ力を失っていない塊を、喘ぎのおさまらない唇に差し出してきました。
「・・・・はっぁ・・」
ぺちゅ・・・ わたくしはいつものように彼の先端に舌を這わせたのです。
くちゅ・・ぺちょ・・・ちゅぅぅぅ・・・ わたくしの蜜とトモくんの精液で薄白くコーティングされた塊の表面を根元まで拭うと・・・塊の芯に残っている精を裏筋に舌先を押し付けしごきだすようにして・・・吸い出しました。
「ああ それ、祥子さんだけだよ、こんなことしてくれるの。」
そうかもしれません。行為の後の二人の体液に濡れそぼった塊を舌と唇で綺麗に拭うなんて・・・トモくん世代の女性が進んですることではなかったでしょうから。
わたくしは・・・清められた塊から唇を離すと・・・ねっとりと濡れそぼった彼の茂みにまで舌で拭いはじめたのです。
ジューン・ブライド 25
「ぁうん・・おねがい・・・みない・・でぇ」わたくしは自由になった左脚を・・・抑えられたままの右脚に引き寄せようといたしました。
「だめ、閉じちゃ。こんなに可愛い祥子さんが見られてうれしいよ。」
改めてわたくしの脚を押さえつけてじっと・・・熱い視線を・・愛撫するように這わせるのです。
「ああっ・・・」
「ほら、また垂らしたね。きれいだよ、祥子さんの愛液。すっごくいやらしい匂いがする。」
「みないで・・・ゆるして・・・」
「その顔も、きれいだ。祥子さんが羞恥にまみれて感じてる顔、僕好きだよ。」
トモくんはようやくわたくしの間から立ち上がると、ベッドの上に・・・わたくしに被いかぶさるように乗ってきたのです。
トモくんはわたくしの上から、左の乳房をその大きな手でやわらかく包んだのです。
「足で踏んでも気持ちよかったよ。祥子さんの胸。ぷにぷにしててもっと強く踏みたくなった。」
「ひどい・・・わ」
いまの彼の手は優しかったのです。
「はじめてしたんだ、あんなこと。感じるなんて思ってなかった。勃起しちゃったよ。」
わたくしを踏みつけ・嫉妬をぶつけていたとき・・・Gカップの乳房を・・茂みのないむきだしの丘を踏みつける感触にトモくんが感じていたなんて・・・。
「あ・・ぁあぁん・・」
柔らかく掴まれた中心をトモくんの唇が啄んだのです。酷くされた後の優しい舌の感触が、わたくしの身体から艶めかしい喘ぎを導きださせました。
「また堅くなっちゃった。ほら」
わたくしのふとももに触れる彼のトランクスの前は、堅く・熱くなっていました。トモくんは身を起こすと、その場で邪魔なものを脱ぎ捨てたのです。
「欲しい?祥子さん。」
彼の引き締まったお腹につくほどに反り返った大きな塊を・・・右手でくいくいと動かしてみせるのです。先端にはぺっとりと・・・透明な液体がまとわりついていました。
「ぁぁ・・・すごいわ」
いつもよりももっと大きく見えるトモくんの塊に、はしたなくため息のような声を漏らしてしまったのです。わたくしは、いままで何度この塊に・・・貫かれてきたのでしょう。
「言ってごらん、祥子さん。ちゃんと、ほら。」
我慢できないかのように、トモくんの右手は塊に淫楽を送り込む様に、ゆっくりと動いてゆくのです。
「おねがい・・ちょうだい、トモくんのでしょうこを犯して。」
はしたなくわたくしの声は掠れていました。
「良く言えました♪」
「ああぁっ・・」
ずぅん・・とトモくんの大きな昂りは、わたくしの再奥までを一気に貫いたのです。
「さすがに土曜日だね。思ったよりも混んでたよ。」
森本さんが車を滑り込ませたのは、七里ケ浜からほど近いリゾート・ホテルの駐車場でした。
「R134はね、仕方ないわ。」
鎌倉の海岸線を湘南へとつづく国道134号線は、渋滞のメッカでもありました。今日のこの流れなら、まだましな方だったでしょう。
森本さんは、長谷寺の駐車場で携帯のアドレスから一つの番号を選ぶと、手慣れた感じで昼食の予約を入れたのです。
お時間が・・・というホテルの方の声も聞こえたのですが、エアコンの効く車内にわたくしひとりを残し、お1人だけ車外に出るとほんの数分なんとか交渉をしてしまったようでした。
「さ、お腹もすいたしまずは腹ごしらえさ。」
海に面して建つホテル棟のはずれに建つ、離れのような和食レストランへとわたくしを導いたのです。
和食レストランは落ち着いた雰囲気を醸し出していました。
白壁にどっしりとした梁が、以前訪れたことのある箱根の宿を思い出させたのです。
もう、昼食のピーク時は過ぎていた様です。海を望む窓際のテーブル席が、わたくしたちに用意されていました。
「お飲み物はいかがいたしましょう。」
サービスの女性がおしぼりを手にわたくしたちに問いかけます。
「とりあえず、ビールをください。瓶で。ねえさんも飲むでしょう。」
「もう、運転大丈夫?」
「酔いが醒めるまで庭でも見ながらのんびりしてから帰ればいいんだから。喉かわいたしね。」
確かに、わたくしも喉が渇いていました。紫陽花が綺麗なうちにと、早朝からいままで休憩もしないで3つの寺院をまわってきたのですから。
「しかたないわね。」
わたくしは、サービスの女性に頷きかけました。
「どうぞごゆっくりなさってください。」
もうメニューはお願いしてあるのでしょう。サービスの女性がそのまま下がると、次には小振りなビアグラスと、ビールをトレイに戻ってらっしゃったのです。
「どうぞ。」
わたくしは森本さんへビールを傾けたのです。
「ねえさんも。」
今度は森本さんが。涼しげな泡を載せた黄金色の液体が切り子のビアグラスを満たしてゆきます。
「おつかれさまでした。」「おつかれさま。」
チン・・・グラスを交わすと、森本さんは一気にグラスのビールを飲み干したのです。
ジューン・ブライド 24
姫菊の内側に男性のやわらかな粘膜の感触を感じた瞬間、身体はこわばり・・・きゅぅっと彼の舌を締めつけたのです。「っく そんなにきつく締めつけちゃだめだよ、祥子さん。舌をちぎるつもり?」
一旦姫菊の中から離れたトモくんの舌は、また姫菊の外側をたんねんに舐め回すのです。
「だ・めなぉぉ・・・はぁぁあっ・・・」
姫菊を責める間・・わたくしの大きな真珠はトモくんの鼻先に嬲られていました。舌は花びらから溢れ落ちてくる蜜を舐めとり・・・そのまま花びらの尾根へと・・・登ってきました。
「祥子さんはアナルもきれいだよ。ここも。いつ可愛がっても・・・きれいで、美味しくて、いやらしい」
ぺちゅ・・・ぺちょぉぉ・・くちゅ・・・ しなやかな茂みという邪魔者のないふっくらとした丘の谷間を・・・自在にトモくんの舌が舞ってゆきます。
「あぁぁ・・・いいのぉっ・・いい・・トモくぅぅぅん」
「いくんだね、祥子さん。いけっ!!」
ぺろっ・・ちゃぷぅぅ・・・ ちゅぅぅぅ・・・ ああっ・・・そんなにしちゃぁ・・・だめ・・・・・
「あぁぁぁぁ・・・いくぅぅぅぅ・・・」
真珠を吸い上げられて・・・わたくしはトモくんの口戯で・・・達してしまったのです。
「もう、だめ。この悪戯っ子。」
ちゅっと軽く合わせただけの唇に、わたくしは森本さんを軽くにらんで嗜めたのです。
「はははっ ねえさんのくちびるは柔らかいね。さっ、戻りましょうか。」
悪びれもせずに笑うのです。
「しかたないわね。」
彼の肩をぽんと叩いて、先に行く様に促しました。森本さんにいまのわたくしの表情を見られたくなかったからです。
写真を撮りながらゆっくりと降りてゆく彼の背中を、わたくしは見つめていました。
ねえさん・・と呼ぶ彼を、わたくしは本当の弟のように錯覚していたのです。戯れのようなキスは、改めて森本さんのことを1人の男性なのだと意識させました。
恋愛ではない友情に近い好感で今日の一日を二人で過ごすことを了解したつもりでした。
森本さんは魅力的な男性でした。わたくしの好みにタイプであることも確かです。
でも・・・。
回廊のように花の道は続いていました。
でもその道も、経堂の前を抜けると上境内に戻ります。
わたくしは先ほどのことは単なる戯れだと思う事にしたのです。目の前を歩く男性は、気のいいわたくしの<弟>なのです。
「ねえ、お腹が空かない?」
振り返った森本さんの顔も、珈琲専門店の隣で並んでみるいつもの顔に戻っていました。
「そうね、いま何時かしら」
「もう1時近いんだ。ごめんね、こんなに連れ回して」
「いいのよ。雨の上がった翌日の午前中が紫陽花の花は一番きれいなんですもの。」
「そう言ってもらえるとほっとするよ。お昼にしよう。和食がいい?洋食がいい?」
「ん、気分的には和食かしら。」
「じゃ、急ごう。」
「ええ」
わたくしの手を取って森本さんは弁天堂へと向かう道へと歩き出しました。
「いったね、祥子さん。」
わたくしの脚を抑える手に力を込めたまま、トモくんは唇を離しました。
「ぁぁ・・・だめ・・ぇぇ・・」
達した緊張の後で気怠くなった脚をなんとか元に戻そうとしたのです。水槽の青い明かりの中・・・わたくしは・・・はしたない場所を晒されていました。
「きれいだよ、祥子さん。こんなきれいなピンク色してるんだ。いつも綺麗だっておもってたけど、ここも白くて・・・」
ちゅっ・・・萌え出たばかりの丘に・・・キスをするのです。
「あぁっん・・・」
くちゅっ・・・上り詰めたばかりなのです。トモくんの視線は新たな蜜を湧き出させる力を持っていました。
男性と違って・・・長引く淫楽は・・・彼の目の前の真珠も花びらも・・・いまも溢れ出した蜜で淫らなコーティングを施しているはずでした。
「僕が開発してあげたアナルもひくひくしてるよ。祥子さん、欲しくなっちゃった?」
中指を花びらの間を泳がせて蜜にまみれさせると姫菊の中心を・・・つついたのです。
ジューン・ブライド 23
そこには・・・見事な一幅の絵がありました。ピンクからパープル・・・ブルーへとグラデーションを見せる紫陽花の中に、花の色を凝縮したようなサマーブルーのカーディガンと一段濃い藍のワンピースを着た女性がロングヘアとロングスカートの裾をひるがえして・・・微笑んでいるのです。
「わたくしじゃないみたいだわ。」
アングルのせいもあるのかもしれません。写真の中の女性は本当にわたくしではないように・・・見えました。
「僕のイメージしていた出会いのシーンにぴったりなんです。ここまで登ってきたかいがありました。」
ありがとう・・・そっと森本さんの手にカメラを戻しました。
彼はそのまま何枚も、お堂の鈍色の瓦を背景に一層映える紫陽花を写してゆきます。
「もっとこう観光地風な風情のない場所かとおもっていたけれど、ここは素敵ね。連れてきてくださってよかったわ。」
「ねえさんがそう言ってくれたらうれしいな。」
山の上に吹く風が、少し汗ばんだ身体に心地よかったのです。
カメラの電源を切ると、森本さんは散策路にある鉄柱に腰をもたせかけ、ほぉっと・・・ため息をついたのです。
「ねえさん」
「なぁに?」
「さすがに一番上までくるとドキドキもんだね。」
そういえば、森本さんが高いところが苦手だということを、以前聞いたことはありました。だから、観覧車とか苦手でさ・・・と恥ずかしそうに微笑んで珈琲を口に運んだ横顔を今でも憶えています。
「ん、でもちゃんと柵もあるし、大丈夫でしょう。」
怖いなら手を繋いであげるわ、その言葉を実行に移す様に、彼の手に開いている右手を重ねてあげたんです。
「がんばったご褒美がほしいなぁ。」
「ごほうび?」
「そう、ねえさんから」
ほんとうに、まるで甘えた幼い弟です。
「何が欲しいの?」
わたくしは森本さんに正面から向き合いました。
「これっ・・・」
軽く繋いだ右手をぐいっと引くと、森本さんはわたくしの唇を奪ったのです。
「あぁぁっ・・だめぇぇぇ・・・トモくぅぅ・・ん」
トモくんの両腕から・・・彼の快楽で責め立てるような舌から・・・なんとか逃れようと・・・わたくしは身を捩ったのです。
「だめだよ。クンニで逝くまでゆるさない」
ちゅぷ・・・ トモくんの舌は・・まるで先ほどまでのキスでわたくしと舌を絡め合い・貪りあったように・・・今度は花びらを翻弄し・ねぶりあげるのです。
「ゃぁぁぁ・・・あっあぁぁぁ・・ゆる・・し・てぇぇぇ」
二枚の花びらを割ると・・堅く尖らせた舌をねじ込むようにして・・・わたくしの蜜壷を犯すのです。
わたくしの声が一段と高く・・細く響いたのをトモくんは冷静に確認していたのでしょう。今度は姫菊を・・細かなひだの一本一本を確かめる様にねっとりと舌でなぞります。
「そこ・・だぁめぇぇ・・・はぁぁ・・ん・・」
「柔らかくしとかないと 後で痛いよ」
「だめぇ・・・き・たなぁ・・い・・あぁぁぁ」
身体を合わせないと決めてはいても、女の嗜みとしていつもトモくんと逢う時と同じように・・・清めてはありました。でも、仕事の後シャワーも浴びないままで・・・こんな風に彼の唇と舌で責められるとは思ってもいなかったのです。
「汚くなんかないよ。祥子さんのここ、美味しいよ。こんなことも・・・してあげる。」 ちゅぷぅ・・・ 堅く尖らせた舌先を姫菊の蕾に押し入ろうとするのです。まだ堅い蕾には彼の舌先を迎え入れる事など出来はしないはずなのに・・・幾度も幾度も・・・トモくんは繰り返します。
「ああっ・・・やぁぁ・・」
ぬぷぅっ・・・ どれだけ心は抵抗をしたことでしょうか。
なのに身体は・・・ほんの少しづつですが・・彼の舌を受け入れていったのです。
ジューン・ブライド 22
「ああぁぁぁぁ・・・っ・・」トモくんの舌がわたくしのアナルから真珠までを・・・一気に舐め上げたのです。
この数日、片時も休むことなくわたくしの秘められた柔肌は苛まれ続けておりました。
「とろとろだよ祥子さん。こんなに濃いジュース、美味しすぎるよ。」
「はぁぁぁ・・いゃぁぁ・ん・んぁぁ・・」
じゅるりゅゅ・・・じゅりゅ・・ わたくしのはしたない声に、トモくんの立てる淫らな水音が絡まります。
「祥子さんの こんなにぷっくりしてる。キスしてってねだってるみたいだよ。」
「やぁぁぁ・・・ぁぁあぁ・・・」
ちゅぅぅぅぅ・・・ 指一本触れられてもいないのに・・・すでに大きくなっているピンク色の真珠を吸い上げてゆきます。
女性の快感の芯を口で愛する方法をトモくんは完全にマスターしておりました。
がむしゃらに貪って痛みを与えるのではなく、その寸前の快感の極みまで・・・舌と唇と・・・時には歯をやさしくあてがって軽くしごきたてるようにすることさえ、いまでは自然に・・・あぁぁぁぁ・・・
「ええっ、こんなに登るんだ。」
長谷寺の上境内の大黒堂の脇から、眺望散策路は山の傾斜面に沿って上へと伸びておりました。
「もう、大げさね。登るってほどでもないでしょう。あんなに綺麗なんですもの、行きましょうよ。」
観音堂でいつまでも手を合わせていたのを先へ行こうと急かした森本さんを、今度はわたくしが急かす番でした。
「都会の子だからなぁ。こういうのあんまり得意じゃないんですよ。それに、実はちょっと高いところが苦手で。」
本気とも冗談ともつかない口調で、森本さんが言い訳をします。
つい先ほどまで、ロケハンのための写真を熱心に撮ってらしたのです。絶対にこの場所のことは気に入っているはずなんです。
「年配の方も歩いてらっしゃるんだから、結構歩きやすいと思うのよ。ね、お仕事に必要なんでしょう、行きましょう。高いところに行って怖かったら手を繋いでいてあげるわ。」
強面の映像監督さんに、そんなことを言う人は周囲にはいないのでしょう。
年下だからという気安さで、わたくしは優しく言うと彼の背を押したのです。
散策路は登り始めてみると、前日の雨の影響も感じさせないほどに足元は階段状に整備されておりました。安全のためにしっかりと組まれた竹の手すりが周囲の雰囲気を壊さない様に、巡らされておりました。
唯一つ、傾斜路はときどき想像よりも急な所があったのです。
森本さんは、わたくしを先に登らせると少し後からゆっくりと付いていらっしゃるようでした。カメラを手に行く先を、そして振り返っては眼下のお堂を背景に咲く紫陽花に向けて何度もシャッターを押されているようでした。
お仕事モードに入った彼に、声を掛ける必要はありませんでした。
わたくしは階段にこすらない様に、長いデニムのフレアースカートの裾を右手で摘んでゆっくりと自分なりのペースで散策路を楽しんでいたのです。
「ねえさん。」
「なぁに?」
カシャ・・・ 散策路の一番上の踊り場に足を掛けたところで、わたくしは森本さんの声のほうに振り向いたのです。
にこやかな微笑みの表情、前髪を押さえた左手。そして、前開きのデニムのワンピースから覗いたストッキングに覆われた太ももから白革のローファーのつま先までも、カメラは捉えていました。
「きれいだよ、ねえさん。」
踊り場の先で待つわたくしに追いついた森本さんは、先ほどの一枚をデジカメのファインダービューに再生して、見せてくれたのです。
まさか、わたくしが撮られることになるとは思ってもみませんでした。
「仕事のお写真を撮らなくてはいけないのに、メモリーの無駄遣いなんてしちゃだめよ。」
照れ隠しに本当の姉のように優しく叱ると、カメラを受け取ったのです。
ジューン・ブライド 21
「あそこが、散策路だね」「きれいね」
本堂の左手に紫陽花色に染まった山の斜面が見えました。たしかにあそこなら、森本さんの言う圧倒的な量の紫陽花を楽しめるかもしれません。
「だめよ。お参りが先。」
わたくしは、本堂の前を通り過ぎようとする森本さんの袖を引きました。
「おねがい・・・手を・・・ほどい・・・て」
優しいキスの狭間で、わたくしはずっと縛められたままの手を今度こそ自由にしてくれるようにと頼んだのです。
「ごめん、祥子さん」
トモくんは、キスを止めることなく両手をわたくしの背中にまわすとネクタイを解いてくれたのです。彼の右手に握られたヴィトンのネクタイは、くしゃくしゃになっていました。
「もう、使えないわね。」
「いいんだ、こんなもの。」
贅沢な絹の拘束具は、ひらひらとわたくしのふくらはぎの上に落ちてゆきました。
「手、大丈夫?」
「ん・・・ちょっと痺れてるだけ」
滑らかな絹は、平らなだけ後に残るような痣にはなっていませんでした。が、わたくしの手首にはくっきりと縛られたあとが残っていました。
それ以上に、踏まれた時身体の重みを全て受け止めていたことで、じんじんとした感覚が残っていたのです。
「痛い?」
トモくんは、大きな手のひらでわたくしの右手を・・・そして左手を・・指一本一本をもみほぐすようにマッサージしてくれるのです。
「痛くはないわ。ん、ありがとう、感覚ももどってきたわ」
手首の痕が薄れてゆくほどに、手のひらはいつもの感覚を取り戻していたのです。
「あんな無茶な縛り方しちゃだめよ。」
「うん。」
まだわたくしの右手を両手に包み込んだままで、素直に頷くのです。
トモくんの中に、縛りへの好奇心が芽生えた以上、正しい知識は必要です。
でも、もう教えてあげる事はできません。無茶をしないよう・・・女性の身体には限界があるのだということだけが、いま教えてあげられる全てでした。
「ね、シャワーを浴びさせてちょうだい。」
トモくんに支えられ立ち上がったわたくしは、彼の首筋に白い腕を絡めると・・・そう囁きました。いまなら、きっと素直に言う事を聞いてくれる・・・はずでした。
嫉妬に駆られたトモくんの責めは、わたくしの太ももの間をはしたなく・・・濡らしたままだったからです。
「シャワーの前にベッドだよ。僕が綺麗にしてあげるよ。祥子さんのフェロモンがぷんぷんしてる。」
マッサージしたばかりの手首をわたくしの身体の前でクロスさせて掴むと、トモくんの182センチを超える大柄な身体ごと・・・ベッドへと向かうのです。
「だめっ・・・ね・・ゆるして」
わたくしの腰には、再び堅く昂った塊が・・・押し当てられていたのです。
「ヘアがなくなって舐めやすくなってるんだ。祥子さんクンニ好きだろう。今夜はたっぷり舐めてあげるよ。」
今度はベッドに仰向けに押し倒すと、跳ね上げる両膝に手を掛けて・・・大きく左右に割るんです。
ジューン・ブライド 20
「トモくんをわたくしだけの恋人にしたいって、何度も思ったわ。でも、そんなことは無理。17歳の年の差は埋まらないわ。こういう日がいつか来るってわかっていたから、セフレという関係を続けてきたのよ。」「祥子さん。」
「わたくしは、あなたのことを・・・何も知らないわ。知っているのはこの身体とベッドのなかのことだけ。」
首をかしげると・・・顔を埋めた彼の胸に小さくキスをしたのです。
「それで充分だろ。」
耳元で吐き出す様に出された声には、強い悲しみが宿っていました。
「おねがい。あなたのことを嫌いにさせないで。」
彼もわかっているはずなんです。
「トモくんが好きなの。わたくしだって、あなたがこの腕で毎晩若くて可愛い奥様を抱くって想像するだけで嫉妬するのよ。さっきまでのあなたと同じ、わかるでしょう。」
トモくんの腕に、一層力が籠りました。
「逢う度に、じゃぁねとトモくんの車から降りるたびに・・・嫉妬に狂いそうになるの。次に逢うまで辛い・・・あなたとそんな悲しい関係になりたくないわ。おねがい。わかって。」
「・・・うん。」
彼の声がようやくいつもの落ち着きを取り戻したのです。
「最後だから、思い出をちょうだい。トモくんにたくさん可愛がってほしいの。」
「祥子さん。」
トモくんはわたくしに・・・降るようなキスを浴びせたのです。
長谷というと大仏様を思い浮かべてしまうのは観光客だけなのかもしれません。
土地の名を持つ寺院である長谷寺は、厳かな表情の十一面観音菩薩を本尊とする観音山に広がる広大な敷地の寺院だと、山門近くの案内に印されておりました。
「思ったよりも、厳粛な雰囲気だね。」
先を歩く森本さんは、鶴岡八幡宮のあじさい園と同じ様に、わたくしの手を握ったままでした。
「もう、ころんだりしないわ。大丈夫よ」
整備された広々とした駐車場を歩きながらそう言ったわたくしの手を、まぁいいじゃないといって屈託なくとったのです。
「仲のいい姉弟だって言えばいいさ。」
「もう」
こちらにはロケハンのために訪れたのです。
いずれ彼がカメラを手にするときは自然とこの手も解いてくれることでしょう。
「ねえさん、行こう。」
森本さんは、二人分の拝観料を払うと山門をくぐったのです。
「このお寺は、紫陽花だけじゃなくてお花がたくさん植えられているのね。」
すぐ目の前に広がる妙智池の周囲にも色鮮やかな初夏の花が奔放に咲き乱れているのです。
「最近の観光寺院にとって、庭と花は大事な集客装置だからね。」
さっそくにカメラを構えた森本さんは振り向きもせずに、シビアな現実を口にします。
「ふふふ、罰当たりって言われちゃうわよ。」
「でもさ、ここに来ている拝観者のどうだろう85%はきっと紫陽花を見にきたんだよ。観音様を信仰して、なんて客は5%もないよ。」
「ここにも、紫陽花目当ての不届きものが2人ね。」
「たしかに」
あははは・・・ 明るく笑う森本さんの肩がやさしく揺れています。
池をわたると本堂までは、上りです。
左右の植栽が見せる景色の変化を楽しみながら、地蔵堂で一度手を合わせると鐘楼を通って本堂へと進みました。
ジューン・ブライド 19
「あら、思ったより早く着いたのね。」わたくしは森本さんに見られない様に、一筋の涙の痕を手の甲で拭うと軽く倒していたリクライニングを起こしたのです。
シートに凭れて瞳を閉じていても、わたくしは眠ってはいませんでした。
森本さんが音を押さえてかけてくれたクライズラー&カンパニーのレッドルームから流れる心地よい音色を、OLD LANDMARKから白鳥の湖まで全て聞いていたのです。
二人きりの車にいながら、トモくんとの最期の夜を不自然じゃなく思い出すために・・・彼の言葉に甘えていただけでした。
森本さんは何かを気づいていたのかもしれません。
さりげない彼の優しさに対する礼儀として、いま森本さんの声で目覚めたばかりのように・・・振る舞いました。
「大丈夫?ちゃんと起きてる」
「森本さんの運転が優しいから、うとうとしちゃったわ。」
「ちょっと歩くけど、平気かなぁ」
「ええ、せっかく連れて来て頂いたのだから長谷寺の紫陽花を見たいわ。」
「ん、それじゃぁ行きますか。」
森本さんはカメラを手に車を降りました。
運転席のドアの前でわたくしを待って、紫陽花の景色を求めて想像よりも広い長谷寺へと歩き出したのです。
「どうしたの、祥子さん」
トモくんはわたくしを抱き起こすと、先ほどまでの荒々しさが嘘のように・・・唇で涙の痕を拭ってくれたのです。
わたくしの涙を見たのは、トモくんにとっては初めての出来事でした。
年上の大人の女。そのイメージに一番相応しくない<涙>を見せるようなことはいままで一度もいたしませんでした。
トモくんの瞳の中から、嫉妬に高ぶっていた感情がゆっくりと醒めてゆくのが眼に見えるようでした。
「トモくんには、誰よりも知られたくなかったわ。だから、身体のことを言い訳にして逢えないってメールしたのよ。」
彼の腕の中で、わたくしは静かに語りかけました。
「食事だけでもしたいって、トモくんが言ってくれた時うれしかったわ。はじめて普通の恋人になれたみたいな気がして」
そう、夜の住宅街の交差点やホテル街のある繁華街ではなくて、老舗のおでんやさんで彼と待ち合わせることについ数時間前まで心躍らせていたのです。
「お正月にご挨拶に行ってきたの?彼女のご両親のところに」
「うん」
「お許しをいただいたんでしょう。よかったわね。」
「うん」
「おめでとう」
わたくしをその腕に抱き起こしたまま、トモくんは言葉少なに肯定の言葉だけを繰り返していました。
「あのね、トモくん。もうあなたに逢えないって言ったのは、あなたが結婚するからなの。」
「でも・・・」
「お願い聞いて。わたくしも、以前に結婚していたことがあるわ。」
16年間・・・貞淑な妻で、浮気など考えない真面目な夫だったけれど・・・
「愛している夫に、他に女性がいることがどんなに切なくて、辛い事か、誰よりもわかっているわ。そして、疑心暗鬼になった奥様といる男性が、決して幸せになれないことも、ね。」
後手に縛られた腕は、痺れた様に痛んだままでした。
不安定な姿勢を安定させようとほんの少し身じろぎしたわたくしを、トモくんはなにも言わずに、左腕に力を加えて背を支えてくれました。
「トモくんに幸せになってほしいの、わかって頂戴。」
彼の力強い腕が、わたくしを抱きしめたのです。
「きっとわからないよ。いままでだって気づかれてないんだ。」
「いままでとは、恋人だった時とは違うわ。24時間・・・一緒に暮らすのよ。すぐに気づくわ。」
そう、何年も結婚生活を重ね心の離れた夫婦でさえ、女の勘はあなどれないものです。
ましてや、心が夫にしか向いていない新妻には隠し通せるわけがありません。
ジューン・ブライド 18
わたくしの・・・どちらかといえば豊かな漆黒の茂みは、花びらを守る丘から姫菊のあたりまでをいつもやわらかにカールしたヘアで覆っていたのです。なのに・・・いまはまったくその柔らかな茂みはなく、ぽつぽつと伸びかけたトモくんの髭のような芽吹きが、白から鴇色へと変わってゆく柔らかな皮膚に散りばめられているだけだったのですから。
「どうしたの これ」
トモくんは立ち上がると、わたくしの身体を起こし・・・正面を向かせたのです。
「見ちゃ・・・いや・・・」
わたくしの声は、羞恥に掠れておりました。
「自分で したんじゃないよね。祥子さんがそんなことするわけない。誰にさせたの? ねえ、祥子さんのここ誰に剃らせたの」
トモくんが初めて見せた嫉妬でした。
17も年上の女が、自分だけを相手にしているとは思ってなかったとしても、彼に許している以上の行為をさせている相手がいるとまでは・・・思っていなかったようでした。
「あなたの知らない人よ」
わたくしは精一杯冷静を装った声でたった一言、言い放ちました。
そう、彼にはもうわたくしに嫉妬をする資格などないのです。逢っている時だけの恋人、そんな都合のいい謳い文句で続けたセフレという関係は、トモくんの結婚で今日でピリオドを打つんですから。
「あうっ・・・」
なんの予兆もなく、トモくんはわたくしをその場に押し倒したのです。縛められた両手が身体の下敷きになる痛みと、無遠慮に花びらに押し込まれた中指にわたくしはうめき声を上げてしまったのです。
「何をするのっ・・・」
わたくしの身体はこれまでの彼との行為ですでに充分な蜜をたたえていたのです。トモくんの中指はずぶずぶと進んで・・・同じ様に唐突に引き抜かれました。
「生理も嘘だったんだね。」
はしたない蜜に濡れそぼった中指を水槽の青白い光に晒すと、くちゅ・・・ トモくんは口に含み指の根元まで咥えて・・・透明な愛液をねぶりとったのです。そして、押し倒されたままのわたくしの隣に仁王立ちになりました。
「ここを見られたくなかったからか?」
トモくんの足が・・・わたくしの茂みのない太ももの狭間を・・・踏みつけました。
「うっくっ・・・そうよ。あなただけじゃなくて、誰にも見られたくなかったわ。」
彼の足裏にもちくちくする感触は伝わっているでしょう。なのにそれを楽しむように、ぐりぐりとわたくしの柔らかな丘を踏みにじるのです。
「その変態野郎だけってことか?」
わたくしの身体の上にあった足を・・・太ももの間に強引に割り入れると、今度は反対の足で左の乳房を踏みつけるのです。
「はぁぅっ・・・言ったでしょ。誰にも、よ。」
Gカップの乳房は柔らかく流れはするものの・・・圧倒的な質量でトモくんの足裏の蹂躙を受け止めておりました。
痛みは身体の芯を僅かに到達するころには快感に色を変えるかのように走り・・・トモくんの足の下で乳首は鴇色に堅くなったままでした。
「ご主人様が出来たから、僕はもう用無しってことか?」
左足をわたくしの右脚を広げさせる様にして戻すと、今度は先ほど無毛の丘を踏みしめていた脚で右の乳房を踏みつぶしたのです。
「あぁっ・・・ちがうわ。関係ないわ。」
足の親指と人差し指で・・きりきりと乳首をしめつけるのです。力加減のできない足指は、わたくしの感じやすい身体を苛むのです。
「ひぃぃっ・・・やめてっ・・」
トモくんは乳首を摘んだままの足で、今度は踵をやわやわとした乳房に埋め込もうとするようにぐりぐりと押し込むのです。
「違わないだろう。そいつにはここをこんなにさせるくせに。」
限界まで乳首を摘まみ上げたところで足指を離すと・・・またちくちくと萌え出たばかりの丘を踏みつけるのです。
「あっ・うっ・・ぅぅ・・・ちがう・・わっ・・・」
こんなに・・憎しみをぶつけるかのような・・・男の力で押さえつけるような・・・仕打ちをトモくんがするとは思わなかったのです。痛みに言葉はうめきに代わり・・どう伝えても・・彼には届かないのかと・・絶望しかけたのです。
わたくしの眦を・・・つうぅぅっと涙が流れてゆきました。
「ねえさん、着いたよ。」
森本さんがわたくしの肩を軽く揺すっておりました。
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